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webadm | 投稿日時: 2008-9-11 22:01 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
【94】誘導性回路の電流軌跡と最大電力 次ぎの問題も趣向が変わったもの。
誘導性リアクタンスと可変抵抗負荷で構成される回路に一定の電圧を加え、抵抗を変化させた場合の回路に流れる電流の軌跡を描き、最大電力を求めよというもの。 回路に流れる電流は I=E/Z 回路のインピーダンスは Z=1/(1/R-j/X2)+jX1 で表すことができる。 従って電流はこのインピーダンスの逆数であるアドミッタンスと電圧の積で表される Y=1/Z =1/(Z0+Z1) Z0=1/(1/R-j/X2) Z1=jX1 ∴Y=1/(1/(1/R-j/X2)+jX1) I=E/Z=E*Y =E/(1/(1/R-j/X2)+jX1) 従って電流の軌跡はインピーダンスZの軌跡の逆数であるアドミッタンスYの軌跡を電圧Eでスケールしたものとなる。 インピーダンスZの軌跡は可変抵抗Rと固定リアクタンスX2の並列回路のベクトルと固定リアクタンスX1のベクトルの合成となる。 ここでZ0はその逆数であるアドミッタンスが Y0=1/Z0 =1/R-j/X2 で表される。これは実軸から-1/X2だけ離れ実軸に並行な直線を描く。従ってその逆数であるZ0は中心が(0,1/(2*X2))で半径が1/(2*X2)の円を描くことがわかる。 従って全体のアドミッタンスYの軌跡はインピーダンスZ0の軌跡を虚軸方向にX1だけ並行移動した円の逆数である円を描くことになる。 ZはR=0で虚軸のX1を始点としてR=∞で虚軸のX1+X2に至る半円を描く。その逆数であるYはR=0の時にjX1の逆数である-j/X1を始点としてR=∞でj*(X1+X2)の逆数である-j/(X1+X2)に至る。従って中心を(0,-(2*X1+X2)/2*(X1+X2))で半径がX2/2*X1*(X1+X2)の円を描く。 従って最大の電力消費となるのは有効電力が最大となる点、すなわちアドミッタンスYの実効コンダクタンスが最大となる(X2/2*X1*(X1+X2),-(2*X1+X2)/2*(X1+X2))の点となる。 従って最大消費電力は Pmax=E^2*X2/2*X1*(X1+X2) ということになる。 著者の解は中心の座標値や半径の式が図と異なり誤っており、結果的に最大消費電力の式も誤ったものとなっている。どうやったらこんな間違いが生じるのか正直理解に苦しむ。 |
webadm | 投稿日時: 2008-9-12 0:46 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
【95】力率一定の可変誘導性負荷の出力軌跡 ようやく交流回路の演習問題の最後。ベクトル軌跡の総仕上げ的な問題である。やっとここまできたよママン(ノД`)
一定電圧Eで一定内部リアクタンスX0を持つ電源に力率が一定な可変誘導性リアクタンス負荷を接続した回路に流れる電流のベクトル軌跡を描き、最大出力電力の点を求め、計算によって検証せよというもの。 回路に流れる電流は I=E/Z=E*Y =E/(Z+jX0) 従って回路のアドミッタンスは Y=1/(Z+jX0) 回路に供給される電力は P=E^2*Y で表されるので、最大の電力が供給される条件はアドミッタンスの実効コンダクタンスが最大値を取る点を見いだせば良いことになる。 一方負荷インピーダンスZの力率は一定であることから、その軌跡は原点を通り傾きがφの直線を描くことが明らかである。従ってアドミッタンスYはインピーダンスZの軌跡を虚軸方向にX0だけ並行した直線を描くベクトルの逆数であるので原点を通る円を描くことは明らかである。 アドミッタンスYの軌跡は|Z|=0の時X0の逆数-1/X0を始点とし|Z|=∞で0に至る中心を(-sinφ/2*X0*cosφ,-1/2*X0)とする半径1/2*X0*cosφの円を描く。 従って最大の電力消費となるのはアドミッタンスが最大の実効コンダクタンスを取る点、((1-sinφ)/2*X0*cosφ,-1/2*X0)である。 その時の消費電力は Pmax=E^2*(1/2*X0*cosφ-sinφ/2*X0*cosφ) =E^2*(1-sinφ)/2*X0*cosφ ということになる。 一方これは P=E^2*Y =E~2/Z =E^2/(Z+jX0) =E^2/(|Z|*(cosφ+j*sinφ)+jX0) =E^2/(|Z|*cosφ+j*(|Z|*sinφ+X0)) =E^2*(|Z|*cosφ-j*(|Z|*sinφ+X0))/(|Z|^2*cosφ^2+(|Z|*sinφ+X0)^2) =E^2*(|Z|*cosφ-j*(|Z|*sinφ+X0))/(|Z|^2*cosφ^2+|Z|^2*sinφ^2+2*|Z|*X0*sinφ+X0^2) =E^2*(|Z|*cosφ-j*(|Z|*sinφ+X0))/(|Z|^2+2*|Z|*X0*sinφ+X0^2) 従って実効電力はその実数部 Pe=E^2*|Z|*cosφ/(|Z|^2+2*|Z|*X0*sinφ+X0^2) これを|Z|で微分すると (%i119) diff((cos(p)*E^2*Z)/(Z^2+2*sin(p)*X0*Z+X0^2), Z); (%o119) (cos(p)*E^2)/(Z^2+2*sin(p)*X0*Z+X0^2)-(cos(p)*E^2*Z*(2*Z+2*sin(p)*X0))/(Z^2+2*sin(p)*X0*Z+X0^2)^2 (%i120) factor(%); (%o120) -(cos(p)*E^2*(Z-X0)*(Z+X0))/(Z^2+2*sin(p)*X0*Z+X0^2)^2 Pe'=-(cosφ*E^2*|Z|*(|Z|-X0)*(|Z|+X0))/(|Z|^2+2*sinφ*X0*|Z|+X0^2)^2 従ってPeが最大値を取る条件は分子が0となる (|Z|-X0)*(|Z|+X0)=0 従って |Z|=X0 これをPeの式に代入すると (%i121) subst(X0, Z, (cos(p)*E^2*Z)/(Z^2+2*sin(p)*X0*Z+X0^2)); (%o121) (cos(p)*E^2*X0)/(2*sin(p)*X0^2+2*X0^2) (%i122) factor(%); (%o122) (cos(p)*E^2)/(2*(sin(p)+1)*X0) 従って Pmax=(cosφ*E^2)/(2*(sinφ+1)*X0) =cosφ*(1-sinφ)*E^2/(2*(1-sinφ)*(1+sinφ)*X0) =cosφ*(1-sinφ)*E^2/(2*(1+sinφ^2)*X0) =cosφ*(1-sinφ)*E^2/(2*cosφ^2*X0) =(1-sinφ)*E^2/2*X0*cosφ 従ってベクトル軌跡から導いた値と一致する。 これにて交流回路の演習終わり。 |
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