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webadm
投稿日時: 2009-10-21 11:57
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
真空中の電荷分布による静電界
工学系の電磁気学の本は大抵最初に静電界からはじまる。

手元にある20世紀初頭に出版された物理学の本では古典物理学のオムニバスなネタがてんこ盛りでが今日の物理学では当たり前に登場する原子に関しては一切登場しない、それでも最後の方に電磁気に関してページ多くの章が割かれており、やはりそこでも最初に静電気とCOULOMBの法則が紹介されている。他にも既に当時実用段階だった発電機や電動機、ソレノイドや磁気回路についての章はあるが、電磁誘導や電池、電話機、はたやホイットストーンブリッジなどの電気回路の話も出てくるが、Maxwellの電磁気理論は説明だけで方程式は登場しない。その代わりMaxwellの光の電磁波説やヘルツの電波の発見に関する章は登場する。その中に放射線現象やX線とかも登場する。つまり当時の物理学は物理現象やその応用をテーマとしたオムニバスな自然科学の延長線上にまだあったと言える。電磁気や放射線は当時最先端のテーマで、後に原子物理学、量子力学や理論物理学に分かれていったものと思われる。電磁気学も応用理論として電気工学と電磁気学に分かれていったように見える。

そうもともとはみんな物理学の対象だったのだが、今ではそうではなくなってしまっている。

そしていつしか物理学の頃には説明されていた歴史的な経緯とかは捨て去られて結果としての式だけを教えるということになってしまった。

Maxwellの電磁気学の著書を見ても、古いドイツの理論電気学(電磁気学と電気理論を統一したもの)では主に電場と磁場(電界と磁界)の概念の説明にほとんどのページを割いて、最後に式が登場する形で書かれている。Maxwellの電磁気学の著書に至っては一番最後の2ページでようやく12の方程式が登場して終わる。それに至るのに電場と磁場の説明が必要なのだった。

今日では物理系ではMaxwellの方程式が最初に出て、それを支える電場と磁場の理論が続くという形になっている。工学系では逆に電界と磁界の理論があって最後にMaxwellの方程式に帰着するという伝統に従った形になっている。どちらも同じなのだが、順序が違うとこうも別物に見えるものは他にはないかもしれない。

20世紀初頭ではまだ光も様々な物理現象も量子レベルの振る舞いを支配している力が未知だったために説明することができなかったが、Maxwellの電磁気学理論によって光、静電気、磁気が統一された理論で互いにつながった。アインシュタインによってニュートン力学が修正され電磁気理論と統一されたが、今日まだ重力と電磁気を統一する理論は完成していない。

そういったまだ発展途上の発端のひとつが電磁気理論である。今のところ電磁気理論は現実の現象を説明するのにうまくいっている。もちろん量子レベルの現象についてはそれでも説明できないものが残されているが。少なくとも我々が電気や電子機器で利用していることは電磁気理論で説明でき予測できるから設計が出来たのである。

電気回路理論と電磁気理論の違いは、電気回路理論では抵抗、コンデンサやインダクタンス素子の挙動は電磁気理論に基づく近似を使うがそれ以外では電磁気現象の影響が無視できるとしている。もしくはそれに代わる近似理論を用いている。電磁気理論は実際の設計計算を行うのが難し過ぎるためである。今日のように高性能で電子計算機が手軽に利用できるようになってようやく電磁気理論に基づいたシミュレーションや計算が容易に可能になったが、数十年前まではそれすらも現実的ではなかった。

それでも年々、電子機器が高性能化、低電圧化や微細化が進むと、電磁気現象の影響を設計上無視できなくなってきている。これからの時代こそ電気と電磁気の理論の統一的な理解が急務となるのは疑いない。これまで半導体や光工学の世界では既に電磁気理論を応用して成功しているが、更に微細化が進むと量子力学の世界に入ってしまう。

MaxwellもFaradayも本当のところ電磁気がなんなのかは最後までわからなかったのは我々と同じであるが、少なくとも電場と磁場という概念を利用するとすべて辻褄が合う説明ができるということを誰よりも先に発見したのである。電場も磁場も現実に存在するものではないが、存在するとして考えるとすべての現象がうまく数学的に辻褄があう。それがどうしてかは量子力学が進歩しないとなにもわからない。

またMaxwellとFaradayが現在の電界と磁界の概念を主張した当時は、それとは別に遠隔作用論が支配的だった。これはニュートン力学が2つの質量点は重力で互いに引き合う(遠隔力)が発生するとしているためである。常に2つの質量点が存在して初めて重力が現れるという考え方である。確かに重力は質量に働くので、質量が0になった途端重力は消え失せるように見える。これは後にアインシュタインによって修正されるまで権威ある理論として時代を支配していた。今ではアインシュタインが主張するように質量やエネルギーが存在するだけで周囲の空間が歪むというMaxwellとFaradayの考えていた電場や磁場と同じ考えが受け入れられていて、うまく自然現象を説明できている。もちろん遠隔作用論がまかり通れば、どれだけ遠くに離れていても瞬時に遅れなく情報が伝わってしまうことになるので現実と矛盾する。今では電磁波も重力も近接作用であると考えるとうまく自然現象が説明できる。それによって真空中を進む光の速度が決まる。光の速度は我々が太陽系で生活する中編み出してきた独自の時間の単位、秒単位で進む距離が定められている。これは座標系によらず一定で、時間は座標系によって遅れたり進んだりするものと考えるとこれまた物理現象を説明するのに都合が良い。

ということで遠くの山の頂上を見定めたはいいが、まだ麓にもたどりついていない。

それでは一歩づつ歩み始めよう。静電界もしくは静電場という麓にむかって。

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題名 投稿者 日時
 » 真空中の電荷分布による静電界 webadm 2009-10-21 11:57
     Re: 静電界I:真空中の静電界 webadm 2013-11-18 4:56
     Coulombの法則 webadm 2013-11-18 5:45
     電界の強さと電位 webadm 2013-11-25 0:14
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