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webadm | 投稿日時: 2010-8-17 10:44 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
Norton変換 次ぎの問題も理想変成器にからんだ問題。
以下の2つの回路が等価になる条件を示せというもの。 著者とは別解でやってみよう。 前問をヒントに、理想変成器を使って上記回路の(b)を以下の様な等価回路に置き換えてみると F'が左のZ直列のみの二端子対回路の伝送行列と等しくなる条件を求めればよいわけである。 上の(b)を行列表記すると ということになる。Fは元のπ型二端子対回路の伝送行列である。 理想変成器は可逆回路なのでその伝送行列には逆行列が存在し、それを両辺に乗じるとF'が求まる ここで(a),(b)が等価であればF'が(a)の理想変成器を除いた回路の伝送行列と等しいことになるので 従って以下が成り立つ必要がある 上の第二式よりZ2=nZを他の式に代入すると ということになる。 表題のNorton変換(Norton Transformation)というのは、左の理想変成器を含む二端子対回路と等価な理想変成器を含まない二端子対回路の変換をさすらしい。検索しても現れるのはほとんどSymantecのNortonばっかり(;´Д`) |
webadm | 投稿日時: 2010-8-17 20:48 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
続:Norton変換 次ぎもNorton変換に関するもの。
以下の2つの回路が等価になる条件を導けというもの。 著者とは別解でやってみよう。 左の回路を右と同様に両脇に理想変成器を縦続接続した等価な回路を考える これのF'を導けば良いことになる。 F'は2つの理想変成器の伝送行列の逆行列をそれぞれ乗じて 一方(b)の真ん中のF'と等価になるべき二端子対部分回路の伝送行列は F'=F'bとなる条件は自明で ということになる。 なんだずいぶん温い問題だな(´∀` ) P.S このへそ曲がりな解法で気づくのは、理想変成器に挟まれた二端子対回路は以下の様な回路と等価であること 巻数比が逆の理想変成器を縦続接続するとその伝送行列は単位行列となり直結と同じになる。一番真ん中のFは更に全体のFで置き換えると無限に置き換えられる。なんだか子供の頃に鏡二枚を向かい合わせにして、横から中を覗き込んだ時に見える無限回廊を思い出す。見ては行けないと言われると覗き込みたくなる。 ここで出てくるFとF'の2つの行列は線形代数では互いに相似な行列として大抵の参考書で出てくる。 手元の「ラング線型代数学(下)」では 引用:
ここでのNが問題の回路では可逆な理想変成器の伝送行列ということになる。MとM'がそれぞれ理想変性器を含まない二端子対回路の伝送行列F,F'ということになる。ここでも電気回路は線形代数の実相であることがわかる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-8-18 3:42 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
容量性変成器 次ぎも理想変成器を伴う回路の問題。
以下の理想変成器を伴う回路全体のインピーダンスマトリックスを導けというもの。伝送行列でないところがひっかけである。 著者と別解でやることにしよう。 最初にインピーダンスマトリックスを伝送行列に変換する 上記に題意の理想変成器の伝送行列の逆行列を乗じると理想変成器を含む等価回路の理想変成器を除いた部分の回路の伝送行列が得られる。 これがC1のみ並列接続した部分回路の伝送行列と等価であるためには が成り立つ必要がある。従って 3番目の式よりZ3が求まり、順次代入していくと ということになり、従ってインピーダンスマトリックスは ということになる。 インピーダンスパラメータがすべて容量性リアクタンスに見えるため容量性変成器と呼ばれる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-8-21 10:11 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
抵抗性変成器 次ぎも理想変成器を伴う回路の問題。
以下の理想変成器と抵抗のみからなる回路が抵抗性変成器となることを示せというもの。 いつも通り著者とは別解でやってみよう。 上の回路のインピーダンス行列を以下の通り仮定する これを例によって伝送行列に変換すると ということになる。 一方理想変成器を伴う等価な回路の理想変成器を除いた部分回路の伝送行列をF'とすると、 ということになる。最終的にこれが抵抗R2が並列に接続されただけの二端子対回路の伝送行列と等しくなければならないことから が成り立たなければならないことになる。 最初にR21が求められ、順次他の式に代入して他のインピーダンスパラメータを解いていくと ということになる。これは抵抗性変成器であることに他ならない。 |
webadm | 投稿日時: 2010-10-31 3:26 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
理想ジャイレーター ふう、アルバイトの仕事で忙しくなってまたしても3ヶ月近く間を空けてしまった。
結局その間収入が無く、手持ち現金が底をついて保険を解約して生活資金を捻出しているという有様。 はたらけどはたらけど....(以下省略) それでも電車で移動する間や食事の合間に訪れる貴重な自由時間は線形代数学の本や代数幾何学の本を読んで集中力を維持する毎日。最近は数学の世界がファンタジーワールドのように現実を忘れることができる世界だと感じてきている。 その都度Dirichlet伝のエピソードを思い返す。Dirichletが子供の頃にやっと買ってもらった数学書に夢中になっている時に母親が水を差すように「お前にそれはわかるまい」と言うと、少年Dirichletはこう言い返したという「いいえお母さん、僕はわかるまで読むのです」。三つ子の魂100までもという通り、Dirichletの数学に対するこの姿勢は終生変わらなかった。ゲッチンゲンにてDirichletはいつもGaussの大著D.A(Disquisitiones Arithmeticae)を常に携帯し何度も読み直していたという。 Newtonも無名時代は手に入れた数学書が理解出来ずに躓くたびに最初のページから読み直していたという。そして遂に現在あたりまえに教えられている一般二項定理を発見したことをきっかけに今日知られるNewtonに至る。 経済的に恵まれているからといって、一度読んでもわからないといって貴重な本を読むに値しないといって投げ出すことをしていないだろうか? むしろ値しないのは読み手の方ではないだろうか。 投げだしそうになっても、Dirichletの少年の頃のエピソードを思い出し、「わかるまで読む」のである。 なんの話しだったか。ああ、ジャイレータね。 これは理論の時に似たような例題をやったような気がする。 理想ジャイレータの出力端にインピーダンスZを接続した回路の入力端の駆動点インピーダンスを求め、それがZに反比例することを確かめよという問題。 色々方法はあるけど、二端子対回路として見ればインピーダンスパラメータのZ11(開放駆動点インピーダンス)がそれに該当する。 問題の回路の伝送行列を理想ジャイレータのみからなる二端子対回路とインピーダンスZのみから成る二端子対回路の縦続接続として求め、それをZパラメータ行列に変換すればよい。面倒だがやってみよう。 また例によってインピーダンス行列を伝送行列に変換すると 従って が成り立つ必要がある。最初にZ21が求められ、順次他の式に代入していくと 従って入力端の開放駆動点インピーダンスZ11はZに反比例することになる。すなわちインピーダンス変換回路のひとつであるインピーダンス反転(impedance inverter)回路となる。アナログ集積回路などでは外付けキャパシタンスをインピーダンス反転して内部でインダクタンスとして利用することが可能になる。 このあまのじゃくな解法の副産物として、理想ジャイレータを伴う回路の出力端の開放駆動点インピーダンス(Z12)は負性抵抗となることがわかる。これは当然ながら受動素子だけでは実現できない。トランジスタのような能動素子を使えば、負性抵抗も実現できることになる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-11-19 2:41 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
続:理想ジャイレータ 次も理想ジャイレータに関する問題。
理想ジャイレータを2段縦続接続すると理想変成器になることを示せというもの。 伝送行列の縦続接続を計算すれば簡単だけど、それだと著者と同じなので違うアプローチで。 理想変成器の伝送行列をF、2つの理想ジャイレータの伝送行列をそれぞれG1,G2とすると が成り立つことを証明すればよいことになる。 式の両辺にG1及びG2の逆行列を乗じると 従ってn=R2/R1とする理想変成器ということになる。 P.S もしくはもっと簡単に線形代数的に で証明は十分かもしれない。理想ジャイレータの伝送行列の逆行列はその元の行列と等しいからである。また同一のジャイレータ比のジャイレータを2つ縦続接続すると巻き線比1:1の理想変成器、すなわち単位行列(I)に等しくなる。 線形代数学では数学的対象を大局的かつ抽象的にみるので、例題とか演習問題でもないかぎり具体例を取り上げることはない。電気回路理論は具体例で考えることが求められ大局的な観点を見失いがちである。線形代数と併せて勉強すると両方学べて一石二鳥であるのに加えて、電気回路理論を更に大局的にかつ枠を超えてとらえることができるようになる。 線形受動回路ばかりじゃもうそろそろつまらないと賢明な読者は電源や能動素子を含む電子回路を学びたいかもしれない。しかしそれらの回路は線形受動回路にあった都合のよい性質、線形性が失われるのに注意しなければならない。また機会を改めて演習が終わった時に研究テーマとしてあげることにしよう。端的に例を挙げれば、電源が入力と出力端子の間に一個直列に入っただけの二端子対回路の伝送行列を導くとしたらどうなるだろう? 端子対条件の式から4端子対定数は導けるかもしれない。しかしその伝送行列は果たして線形だろうか? 線形であるためには加法則と乗法則を満たさなければならない。すなわち、入力にP1+P2の合成ベクトルを与えた場合、出力はそれぞれを単独で与えた場合の総和と等しくなければならない。残念ながら電源を含む回路ではそれは成り立たないことは計算してみればすぐわかる。 これが二端子対回路が線形受動回路に限定して議論している理由である。それじゃ線形代数学を学んでも電源を一個含んだだけで成り立たなくなるなら使えないじゃん。と思うかもしれないが、そうした暗闇にはすでに数学が先手を打って光りを照らしてくれている。 直流回路の頃から教えられていた重ね合わせの理(superposition)を覚えているだろうか? これは複数の電源を含む回路の解析を行う際に回路をそれぞれの単一の電源のみと線形受動回路で解析した結果を総和することで回路全体の解析結果を得る方法である。 これには数学的な裏付けがあるが範囲外なので教えられることはない。線形代数学やそれにつながる代数幾何学で生まれたaffine変換群は線形代数の線形変換(ベクトルの回転と拡大縮小)と幾何学的な平行移動(電源によるバイアス)を併せ持つ変換をベクトル空間の次元を1つ拡張して加法則と乗法則を改めて定義しなおしたものである。これによって線形代数学の各種定理が適用できるようになるというものである。こうした線形でないものを線形的に扱えるようにする工夫が数学ではよくでてくる。工学でもそうした線形近似のアイデアが随所に使用されている。 またこれらの話は別の機会に。 |
webadm | 投稿日時: 2010-11-23 21:29 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
続々:ジャイレータ これでジャイレータに関する問題は最後。
以下の図のようにジャイレータの入力と出力が抵抗でブリッジ接続されたような回路が一方向性であることを示し、伝送行列を求めよというもの。 著者の図だと共通帰線を持たない回路になっているが、実際には共通帰線を持たないと抵抗でブリッジした意味が無い。 著者とは違うアプローチでやってみよう。 考え中... 以前に異なる伝送行列を持つ二端子対回路を並列した時の伝送行列を求める問題の解を利用しよう 引用:
題意よりジャイレータの伝送行列をF1,シリーズ抵抗Rのみから成る二端子対回路の伝送行列をF2とすると おろ、著者の解と違ってしまった。 どうみても著者が導いたadmittance行列を変換表を使って伝送行列に変換してみても上と同じ結果になるので、著者の誤記ということにしよう。 さてこの回路が一方向性であることを示すにはどうすんだ(;´Д`) この回路の伝送行列の行列式は0になるので可逆行列ではないことだけは確かだ。 しかもこの伝送行列の映像パラメータと反復パラメータは同じであるという変わった性質を持つ。以前の問題にでてきたあれである。 引用: Fが非可逆行列である必要十分条件は まさのこの条件を満たすことがわかる。 それでは映像パラメータを求めてみよう。 ふうだいぶ計算を間違えてやり直した(;´Д`) 2つある影像インピーダンスの片方Z01はRと等しい時に伝達定数θは1/2となる。しかしもう片方のZ02も同じ値になってしまう。どうすんだこれ(;´Д`) よく考えたらこれは対称回路だから2つの影像インピーダンスは合い等しいことになる。だめだこりゃ。 あとはオーソドックスに回路方程式をたてるという方法がある。ブリッジ抵抗Rとジャイレータを含む閉回路を流れる電流をI3とすると 以下の関係が成り立つ 第三の式からI3を求めて、それを第一と第二の式に代入して整理すると 従ってI2はE1,E2それにRに依存して定まるが、I1はE1とRのみで一意的に定まるので出力側の条件E2,I2にまったく依存しない。これはすなわち一方向性を持つということになる。 ふう、やっと終わったよママン(ノД`) 実はこうした一方向伝送回路は身近な無線機器には必ずといってよいほど使われている。 高周波増幅回路では増幅素子(特にトランジスタ)そのものが出力から入力方向への電力拡散があるため、複数の増幅段を縦続接続する場合には入力方向に出力電力が逆流していかないように一方向結合回路で接続する必要がある。 理想的な一方向結合回路はジャイレーターや理想変成器を必要とするため実現できないが、現実の素子を使って逆方向の伝播係数を順方向の伝播係数より低くする回路が実用化されている。 こうした一方向結合回路は後の問題で扱う。 P.S 実はたまたま故障したFRG-7000の回路図を眺めていて、中間周波トランスに問題とよく似たブリッジコンデンサが付いているのに気づいた。 複数のミキサー回路を有する通信型受信機の第一中間周波増幅回路の前後の中間周波トランスには一般のスーパーヘテロダイン受信機の中間周波トランス回路には無いブリッジコンデンサがついているのは何のためか長らく疑問だったがこれで明らかになった。トランスだけだと相反回路なので、後段のミキサー回路に注入されたローカルオシレータ信号が前段にあるミキサー回路へ拡散して不必要なイメージ混信を引き起こすことになる。それを防ぐには一方向結合回路が必要となる。理論を学べば「ああ、なんだ」ということになる。 P.S この回路は見方を変えると4端子対回路と解釈することもできる。4端子対のうち上下を終端と短絡処理したものと考えるのである。こうした回路は2端子4端子変換(ハイブリッド)回路と呼ばれている。共通点は伝送回路に一方向性が伴うというものである。代表的なのはアナログ電話網内で送話と受話信号をそれぞれ増幅するために網内で二線式の加入者回線を送話と受話の4線に信号分離する回路や、RF回路ではひとつのアンテナを送信用と受信用で同時使用するサーキュレーター回路などである。 |
webadm | 投稿日時: 2010-11-25 9:18 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
対称回路 次は対称回路に関する問題
以下の回路が対称か否か、また2等分定理が適用できるかどうか答えよというもの。 直感的には左右対称なような気がする。ちょっと図の上半分の部分を書き換えてみるとそれは確かめることができる。 左右ひっくり返しても回路は一緒だ。しかしこうした直感的なものは実用的には十分だが理論としてははなはだ説得力に欠けるし、一般的でもない。 もう一度対称回路の定義に立ち戻る必要がある。 対称回路とは ・伝送行列の対角要素が同じ(A=D) と定義できる。 題意の回路は同一のT型回路を左右ひっくり替えして並列接続したものである。以前の問題で導いた異なる伝送行列を持つ2つの二端子対回路を並列接続した場合の合成回路の伝送行列の公式を使い、F1を片方のT字型回路、F2をその鏡像回路とすると 従ってA=Dなので対称回路ではあるが、軸対称かどうかはこれだけではわからない。 Bartllett's bisection theoremを理論で学んだことになっているが、実は良くわかっていなかったのである。 ここでちゃんと線形代数的に新解釈しておくことにしよう。 対称回路では2つの映像インピーダンスは同一となるのは先の計算結果からも明らか。そこで対称回路が軸対称回路であると想定すると中心軸に鏡を置いた場合にはまったく同じ回路が向かい合わせに接続されたように見えたのと等価であるはず。 軸対称回路では端子対条件(電圧と電流)を対称に与えた場合にはその極性によって2通りになる。 最初のケースは回路に外部から対称の電流が流入する場合、重ね合わせの理によって中心軸を流れる電流は互いに逆方向で打ち消しあうことになり流れる電流は0とならなければならない。これは中心軸で半分に切断した回路の切断面がオープンになっているのと等価である。半回路の端子側からみたインピーダンスをZocは回路全体の四端子定数から以下の関係が成り立つ。 ここで四端子定数を映像パラメータで置き換えるとZocは ということになる。 もう一方の条件では同様に以下の関係が成り立つ。 ということになる。 ここでBartlett's bisection theoremが成り立つ場合には、ZocとZscをパラメータとして持つ等価な対称格子型回路が存在することになる。前述の2つの回路条件を重ね合わせの理で等価な回路を表すと ということになる。 従って上記が成り立つための必要十分条件は が成り立つということにつきる。上記の式を整理すると 従ってA=DかつAD-BC=1が必要十分条件ということになる。したがって問題の回路は二等分定理を適用可能である。 これは著者の回答とはまったく違う。 確認のために、問題の回路と等価な対称格子型回路を合成してみよう。 対称格子型回路の伝送行列は ということになる。これは元の回路と同じである。 従ってBartlett's bisection theoremが適用できるということになる。 著者の解はむしろ軸対称回路かどうかという題意であれば正しいが二等分定理が適用できるかという題意であれば相反な対称回路(A=DかつAD-BC=1)であればOKなので正しくないということになる。 軸対称回路かどうかを直感的な方法ではなく線形代数的に判別できないものだろうか? それは読者の課題としよう(´∀` ) |
webadm | 投稿日時: 2010-11-30 0:01 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
続:対称回路 次も対称回路に関する問題。
問題文では軸対称二端子対回路が対称格子型回路と等価であることを証明せよということになっている。 しかし前の問題でも明らかのように対称回路では軸対称でなくとも2つの映像インピーダンスは等しくなる(どちら向きでも伝送行列が等しいため、その固有値(伝達定数)と固有ベクトル(映像インピーダンス)が一致する線形代数的な性質による)ので軸対称回路に限定されないと思われる。 すでに同じ結論を前問で導いてしまっているので、ここでは違うアプローチで同じ結論を得ることにしよう。 右の対称格子型回路の伝送行列を計算してみよう。前の問題で対称格子型回路は2つの対称二端子対回路を並列接続したものと等価であることから これは映像パラメータZ0,θ,Z0を持つ対称二端子対回路の伝送行列であることから等価であることが証明された。 P.S 対称回路には等価な対称格子型回路が存在することが証明されたが、非対称回路と等価な非対称格子型回路は存在するだろうか? そうだとするとすべての線形受動回路と等価な格子型回路が存在するということになる。この予想が正しいかどうか証明するのは読者の課題としよう(´∀` ) |
webadm | 投稿日時: 2010-11-30 9:27 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
続々:対称回路 次も対称回路に関するもの
以下の回路と等価な対称格子型回路を求めよというもの。 著者はもっともオーソドックスで簡単な軸対称面で二等分した回路の切断面の端子を解放および短絡した時の駆動点インピーダンスを求め、それを用いて対称格子型回路を構成している。 それとは違う方法でやってみよう。 まず全体の回路の伝送行列を求めることにしよう。以前の問題でたびたび登場する二端子対回路の並列接続の公式を用いて、T字型回路とシリーズインピーダンス回路の並列接続として求めると ということになる。 次に四端子定数から対称回路の映像パラメータを求めると ということになる。 従って等価な対称格子型回路のパラメータZs,ZfはBartlett's bisection theoremにより ということになる。ZsはZ1とZ2の並列接続であり、ZfはZ2とZ3の直列接続と等価である。 従って回路は ということになる。 |
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