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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-12-22 4:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3086
Re: n重極子
途中まで続きを書いたのだが、記事の長さの制限を超えた時点で、超えた文のデータが失われてしまった。ここで続きを書くことにする。

この結果から、x_nは



ということになる。

また2つの仮定解は元々(仮定解は定数倍の不定性があるが重要ではなく、仮にどちらも定数を1としてしまえば)



であることから



ということになる。

Rodriguesはあらかじめ同じ次数mで階数nが正と負の場合で解が線形独立ではないということを知った上で上の思い切った導出を行っている。

これを裏付けるために、ここで先の多項式の除算が割り切れることに関して以下の様に示している



彼は知っていたのかどうか不明だが、これは今日知られているLegendre陪関数の以下の公式と同値であることは誰も触れていない。



かなり荒削りな方法だがなんとか答えの一歩手前までもってきた感じがする。

ここで彼は、n>mの場合については一価連続でない有理関数になることから除外している。

そしてようやく以下の結論を得る。



(2014/12/22)
Rodriguesの論文をなぞることができるようになったことだけでも1年近く粘った甲斐があった。微分や積分記号が出てきても驚かなくなったものの、やはり面倒な計算は敬遠しがちである。
特に微分方程式をp回微分するとかの計算は、さすがになぞっていないが、一生に一度ぐらいはやっても良い気がする。

Rodriguesの論文は誤記も多いし、19世紀初頭に書かれたものとは言え、数学的にも荒削りで、途中に出てくる積分とかが収束するかどうかの言明もされていない点で誰しも納得がいかないものであることは確か。反面、当時誰も言明しなかった(Ivoryは既にそのひとつ手前まで迫っていたが論文に書いたのはずっと後だった)Legendre陪微分方程式の一価連続な解の公式を見いだした。それはn=0と置けばLegendre微分方程式の一価連続な解の公式でもある。
Rodriguesはこの論文の後、二十年後にもうひとつの論文を書いているが、それは前の論文とは直接関連しないが、それなりに先駆的な内容を含んでいたらしい。ユダヤ系フランス移民族のために、名前を途中でフランス系に変えたり、時と場合によっては元の名前を使ったり複雑な境遇だった模様。それでも親がユダヤ系らしく金融業を営んでいたので、その後を継いだのか銀行家に転身してしまった。

一方Rodriguesがインスパイアされた論文を書いたJames Ivoryは、Sir James Ivoryと後に呼ばれるように、英国はスコットランド人の数学者で、晩年は数々の王立協会の勲章を授与され、英国国王からはKnightの栄冠を与えられている。さぞかし幸福な人生だったろうと想像するが実際は、それとはまったく逆で、Rodriguesが読んだ論文を書いて後に何を血迷ったか、当時高級下着の材料として需要が高まっていた亜麻糸の紡績事業を興し、すぐに破綻するもその後もRodriguesが論文を書くまでの間、諦めずに設備が差し押さえられるまで事務所を構えたまま教職と事業家の二足の草鞋を履いていた。

亜麻は長い丈の茎から丈夫な繊維がとれ、肌触りも良いので世界中で需要が高まったが、茎から取るので花から取る綿と違ってかなりの動力を必要とするので設備も大がかりのものだった。誰もが始められるので過当競争になってすぐにコストが見合わなくなったのではないだろうか。

破綻後に王立軍事学校の数学教授のポストを得て厚遇されるも、事業破綻の後遺症と、ポスト争いのプレッシャーに脅かされ、生来病弱な体を蝕み、精神を病んでしまった。今で言う総合失調症で、その後も全快することなく、様々な王立天文協会へ招聘を受けるも、協会側にそれを好まない一派が居ると主張して受け入れなかったとか。

教授職を辞職してからもロンドンに住まい、数学の研究に没頭したそうだ。その後「いまだかつてないほど不幸な数学者」という記事が書かれるほど不幸な数学者だというのはあまり知られていない。

彼の業績に十数年の空白期間があるのは、その遍歴を知れば納得する。ネットで検索すれば彼の経歴の書いたページには肩書きとして「Mathmatitian and Mill Manager」とあるのは、十数年間も二足の草鞋で紡績設備の管理者だったからである。

なんの話だったっけ?

ああ、Rodriguesの公式の導出仮定の話ね。

話を元に戻そう。

今日知られているRodriguesの公式と称するものは、実際にはRodriguesの導出したものの特殊な形でしかなく、彼はより一般的なLegendre陪微分方程式の解の公式を導出したのだった。

一般のテキストはショートカットのためにRodriguesの公式と称するものから出発するのが普通である。誰もRodriguesがやったようにLegendre陪微分方程式をストレートに解こうとすることはしない。実はRodrigues自身もストレートにはいかずジグザクな形で解に辿りついている。何故そこまで難しいのか。それは前に導出したLegendre陪微分方程式の冪級数解からRodriguesのような多項式の導関数としての解を導出するのが大変困難であることに直面することからも明らかである。ところが、その逆の過程を辿るのは驚くほど容易である。この非対称性はいったいどこからくるのか?

難しいからといってさっさと忘れてしまうのは良くない。片方から入るのは容易だが、逆は困難だというのはひとつのヒントになるかもしれない。これはあれだ、トラップドア関数のようなもので、新しい暗号技術が作れるかもしれない。暗号文はLegendre陪微分方程式の冪級数のような形で、そこから元の平文に相当する多項式の導関数という形を類推するのが困難だが、逆は容易だということ。新しい暗号化技術への応用は読者の課題としよう(´∀` )

もちろんLegendre多項式は多項式だけに、無限級数の三角関数と違って有限回数の計算で済むという利点があるし、異なる次数のLegendre多項式の間には漸化式が存在し、2つの隣接する次数の多項式から隣り合う別の多項式の値を割り出すことができる。これは計算機で計算する際の時間短縮に好都合である。なので、信号処理とかでもLegendre多項式は応用されている。それに関しては別途研究するつもり。

本題に戻ると、前に導出したLegendre陪微分方程式の解の多項式部分



上のue(t),uo(t)の形から同値の以下のRodriguesの表現を導くことは大変困難であるという事実



しかしその逆は演習問題程度に容易である事実。

これは暗号と言っても過言ではないだろう。

(2014/12/31)
容易であるとは言ってみたものの、実際にやってみないと断言できない。

Rodriguesの論文では、上の式でk=0とした特殊なケースとして、後にRodriguesの公式と呼ばれる元となった以下の導関数を定義している



まずはこれを級数展開してみることにしよう。



従って



ということになる。

k=0と置くと、正規化されていない点を除いては現在知られているLegendre多項式の級数展開表記と一致することは明らかである。

ふむ、n=0が最大次数に対応するので、先のLegendre倍関数の級数部とは流儀が逆だな。

そこで上の式で2s=m-k-2nと置き換えてみよう



これを更に0次の項の係数が1になるように定数Jを任意に選んで良いから



ということで同値であることが確かめられた。

m-kが奇数の場合も同様だが、確かめるのは読者の課題としよう(´∀` )

検索すると、この逆の過程も同じような階乗のトリックを使って導出しているスライドを見つけることができた。しかしどちらにせよ、最終的な形(Rodriguesの公式)を知った上で、上の過程の逆を辿ればやってできないことはないと言っているだけで、もって廻った方法と言うべきかもしれない。

Rodriguesがやったよりももっとエレガントな公式の導出方法を見つけるのは、余裕のある読者の課題としよう(´∀` )

さてこれで踏ん切りが付いたところでまとめに入ることにしよう。

さてこれはなんの問題だったっけ?

ああ、n重極子の電界分布の問題だった。

この時点で著者の解答を見てみたら、腰が抜けそうになった。
この問題が試験にでたら、そういう解き方が正解かもしれない。受験問題と同じ扱いにしてしまうと、Rodriguesの公式とかそれにまつわる歴史とかまったく触れずに終わってしまい、知識としては残らず残念なことになってしまうだろう。

まあ脇道にそれまくった結果、Rodriguesの論文を読んだり、Sir James Ivoryの生涯を知ることができたのは結果的に豊だった。

階乗についてもテクニックが身についたが、調べてみると驚くことに階乗の定義については手元のテキストではほとんど触れていない。一度に1ずつ変化するビックリマーク(!)すら書かれていないのだから、一度に2ずつ変換する二度ビックリマーク(!!)なども使われていても定義は無かったりする。これはもしかして尋常小学校で習うからですか、そうですか。



(続く)
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題名 投稿者 日時
   真空中の電荷分布による静電界演習問題 webadm 2014-1-9 0:00
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     電気双極子 webadm 2014-1-12 21:28
     続:電気双極子 webadm 2014-1-13 22:09
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     線電荷 webadm 2014-1-14 13:30
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     面電荷 webadm 2014-1-20 16:30
     続:面電荷 webadm 2014-1-20 18:11
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     続:電気二重層 webadm 2014-2-10 17:27
     n重極子 webadm 2014-2-10 19:02
       Re: n重極子 webadm 2014-3-24 13:28
         Re: n重極子 webadm 2014-8-21 10:22
         » Re: n重極子 webadm 2014-12-22 4:09
     多重極展開 webadm 2024-1-30 18:55

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