ログイン
ユーザ名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
Main Menu
Tweet
Facebook
Line
:-?
« 1 (2) 3 »
スレッド表示 | 新しいものから 前のトピック | 次のトピック | 下へ
投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-14 13:30
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
線電荷
前問で点電荷は終わって、次は線電荷の問題

一様な線密度λの電荷が線分上に分布しているとき直線外のP点に生じる電位または電界の強さを求めよ。(1)Pから線分に下した垂線の足をOとするとOP=aで、Oを原点として線分にそって座標をとると線分の両端の座標がI1,I2の場合、(2)Oが線分の中点の場合、および(3)無限に長い直線の場合について。

というもの。

なにがなんだか問題の意味がよく判らない長い文章だ。



図で表すと問題は上の2つに分類される。左は線分が有限長の場合で(1),(2)が該当する、右は線分が無限長の場合で(3)が該当。

いずれの場合でも無限小の線分ds当たりの電荷が点Pに作り出す電位または電界を線分区間で積分すればよいことになる。

無限小の線分ds上の電荷dqは



従って線分上の電荷が周囲に作り出す電位は



ということになる。

従って、線分区間[I1,I2]上の電荷が座標(x,y)に作り出す電位は



ということになる。

実は上の積分計算は手元のMaximaではバグがあって計算できないため、Wolfram Mathematica ONLINE INTEGRATORを利用させて頂いた。Mathematicがバンドルされたrasberry piが売られているらしいので買おうかな。PC版を奮発して買ってもいいけど、いくらするんだ。

題意では全然必要とされていないが電位図をプロットしてみると
plot3d(log(sqrt(y^2+(x+2)^2)+x+2)-log(sqrt(y^2+(x-1)^2)+x-1), [x,-3,2], [y,-3,3],[z,0,5],[grid,100,100],[gnuplot_preamble,"set contour both;set cntrparam levels incremental 0,0.5,5"])$


楕円型の等電位線が特徴的である。ドイツの理論電気学の本には回転楕円体(Rotationsellipsoide)と書いてある。上のプロットは接平面の電位図なので、立体電位図にするとラグビーボールみたいな形状になると思われる。それをプロットしてみるのは読者の課題としよう( ´∀`)

題意の点Pではx=0,y=aなので代入すると



ということになる。

おろ著者の解とは微妙に違う。どうやら著者の場合、暗黙にl2<l1<0という関係を前提としているらしい。解答に添えられている図からもそのことが伺われる。そうだとすると積分順序が逆だと思われる。どうやら怪しい雰囲気がぷんぷんする。こちらはドイツの理論電気学に書いてある内容を参考にしてMathematicaで確認しているので、たぶん間違いはないはず。著者が執筆した当時は計算機もないし(でもMathematicaやMaximaは無かっただろう)、この種の積分計算は難しい部類に入ったと思われる。



また電界は

('A`)マンドクセ

著者も完全にスルーしているぐらいだから難しいのだろう。そもそも積分の段階で間違ってたし。これは読者の課題としよう( ´∀`)

(2)の設問に臨もう

Oが中点の場合には、中点から両端への距離は等しいので、l1=-l,l2=lと置くと電位は



おろこれも著者の解とまるで違う。著者の解は分母が何故かaになってるし、意味わがんね(´Д`;)

どうやら著者は解答に書いてあるのとは別のアプローチをとって求めたみたいだ。中点Oと点Pへの垂線を中心に対称であることに着目して、0からlまでの線分についてだけ計算してそれを二倍するという作戦らしい。いいのかこれで



やっぱりちがうじゃん(´Д`;)

座標軸の原点Oからそれぞれの線分単に向けて互いに積分の向きを逆向きにしない限り積分結果は同じにならない。

先に紹介したドイツの理論電気学の本のページの最後に同じ結果が載っている。流石にドイツの教科書だけに間違いは書いてないだろう(今まで間違いを見つけたことがない)。



ドイツの理論電気学の式ではI/2lをλにd/2をaに読み替えれば同じ式だというのが判る。

もはや著者の解答は信用できないことになった。

点Pにおける電界は



おろ何故か電界の式だけは著者の解と一致している。

何故なんだ、わがんね(´Д`;)

(3)の無限長の線分の場合

lを無限大に極限移行すればよくね?



電位は発散する

電界はどうだ



ということになる。

電位ポテンシャルは発散して無限大になるのに対して勾配だけは極限値が存在するのね。

P.S

早くも怪しい解答内容に遭遇してしまったが、果たして間違いなのかどうかは今回は自信が無い。微分した結果は著者の電位の式でもこちらの電位の式でも同じである。だからといって著者の電位の式とこちらの電位の式が同値であるということにはならない。

P.S

やはり気になって眠れないので、確かめてみることにした。

著者の(2)の解ではOが長さ2lの線分の中点である場合、中点からの垂線上の距離aの電界は



と主張している。

こちらの答えは



とまったく違っている。

この2式が同値であるためには以下の関係が成り立つ必要がある



果たしてそうだろうか。

真偽を確かめるために、上の左辺と辺をl=1としてaを変化させてプロットしてみよう

plot2d([2*log((sqrt(a^2+1)+1)/a),log((sqrt(a^2+1)+1)/(sqrt(a^2+1)-1))], [a,-5,5], [plot_format, gnuplot])$


なんとぴったり一致するではないか。驚愕の事実が明らかに。

Σ (゚Д゚;)

意図的に1を乗じるテクニックを使うと



そうだったのね( ´∀`)

著者の方が一枚上手だったようで...orz

実はこの問題で出てくる積分は数学の歴史では重要な楕円積分というもので、積分すると楕円曲線になるという、楕円曲線の逆関数だったという話し。かつてAbelがそのことを見いだしたので有名。かのGaussも密かに研究していて将来の著書の1/3を占める予定だったが、Abelが全部先に発表してしまったのでお蔵入りになったと手紙で嘆いていた程である。戦後に楕円関数論は更に発展し、有名な谷村・志村予想につながっている。これを機会に楕円関数論を学ぶのも良いかもしれない。

楕円というと実は歴史的にMaxwellとも無縁ではない。Maxwellは子供の頃にピンと紐だけで楕円曲線を描く方法を発案している。たぶん今でもどっかの教科書に載っているかもしれない。後に同じ曲線が現れる電磁気学の研究をして本を書いたというのもまた歴史上の偶然性である。Maxwellの著書には以前紹介したように、どうやって描いたか謎だけど正確な電位図が多数描かれている。それもそのはず子供の頃にそれが得意だったからかもしれない。一種のおもちゃのような世界だったのかもしれない。

P.S

あとこの問題に限れば、無限小電位dφを積分して電位を求めるより先に垂線方向yでdφを微分してから後で線分方向sで積分しても同じ結果が難しい積分なしに導くことが出来る。但しこれは定積分によって一変数関数に縮退する幸運な例で、一般には2変数以上の関数の微分と積分の順序を闇雲に交換すると誤った結果になるので注意が必要。

P.S

同じPCにインストールしてあった少し古いバージョン(5.13.0)のMaximaだとバグらずに結果を出してくれるがcanonicalな形式に変換するとどうも変わった形に変換してくれる、定積分すれば似たような結果が得られるので間違いではないと思うが、ちょっと気になる。やはり複素積分するのがよいのか、それともMaximaの楕円関数機能を使うべきなのか。

webadm
投稿日時: 2014-1-16 4:04
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:線電荷
次も線電荷のおもしろい問題

それぞれ±λの一様な線密度で電荷が分布した長さ2lの日本の直線が平行に置かれている。(1)線分の中点を通る垂直面内で両線よりそれぞれr1,r2の距離の点Pにおける電位を求めよ。(2)無限に長い直線の場合はどうか。



というもの。

これは電気双極子がびっしり縦に長さ2lだけ並行に積み重ねたようなものとも考えられる。有限長と無限長の場合を考えるのは前問と同じ。

前問の場合には単線電荷だったので、回転楕円帯のような電位分布になったが、今度は並行して逆極の線電荷が置かれるのでちょっと事情が変わってくると思われる。

点Pにおいて2つの線電荷がぞれぞれ作る電位ポテンシャルは

どうすんだこれ(´Д`;)

r1とr2でPの座標が表されているんですが。

ああ、単一の線電荷だけ考えれば軸対称だからr1と上の線電荷,r2と下の線電荷にそれぞれ接する接平面で求めて重ね合わせればいいのね



ということになる。これも前問でやっと気づいた意図的に1を乗じるテクニックを使った。

おや前問の結果を利用した著者の解では前問には無かった未定積分定数項が加えられているが、こちらは定積分なので未定積分定数はないはず。著者は何もその点については触れていないけど、何かあるのかな。

(1)では電位だけ求められているので、これで十分ということになる。

更に電界を求めるのは読者の課題としておこう( ´∀`)

(2)では、無限長の場合なので、lを無限大に極限移行すれば



ということになる。

おろ、前問の単線では電位が発散したのに、複線だとちゃんと収束するのね。

これらの電位図をプロットするのも読者の課題としよう( ´∀`)

P.S

またしても謎な著者の解答例。未定積分定数はなんの意味があるんだ。ねむれねー(´Д`;)


P.S

その後考えてみたら、静電場の場合には上の結果でよいが、2つの線電荷上を電流が流れていてそれが時間で変化する関数の場合には、事情は違ってくる。

静電場での電場は



ということだが、後で学ぶことになる線上に電流が流れていて時間で変化する場合、磁界が時間と共に変化するので静電場にベクトルポテンシャルが加わる。



従って電位にもこのベクトルポテンシャルが未定積分定数として加わることになる。

あくまで一般的に考えた場合で、静電界のみしか存在しない場合には考えなくても良いことになる。
webadm
投稿日時: 2014-1-19 18:08
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続々:線電荷
次も線電荷の問題。前問と似ているが少し易しい。

それぞれ±λの一様な線密度で電荷が分布している間隔dの長い並行2直線があるとき、両直線の中点を結ぶ線上で電界の最大の点と最小の点とを求めよ。



というもの。

前問と同様に線素当たりの電荷はそれぞれ



従って線の中点を結ぶ直線上の距離xに置ける両線電荷が作り出す電位は



ということになる。

ここで直線の長さを無限大に極限移行すると



ということになる。

この中点を結ぶ直線上の電位図をMaximaでプロットしてみると



ということになる。中点を結ぶ直線上の中間部分では電位勾配が緩やかでほぼ直線的になり、両線電荷の近くでは勾配が急になることがわかる。

電界は



ということになる。

これもMaximaでプロットしてみると



というようなバスタブ曲線が現れる。

電界は上の結果からx=0とx=dの点で最大値(∞)をとり



上記の条件を満たす



が最小の点ということになる。

P.S

楕円積分と対数関数の微分についてはしっかりやっておいたほうがよさそうだ。
webadm
投稿日時: 2014-1-20 12:44
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
もうひとつの:線電荷
次も線電荷の問題の続きだが、どうやら前問まではこの問題の前座だったようだ

線密度±λで帯電された2本の直線状導線が距離dをへだてて並行におかれているとき、遠い点での電位を求めよ。
(直線状電気双極子とよばれ、τ=λdは単位長さあたりの強度である)



というもの。

しかし線状電気双極子でぐぐっても直接該当するページは見つけることができない。あまり一般的な用語ではなさそうだ。

著者は並行する無限長の2直線の線電荷が離れた点に作り出す電位の式を用いているが、ここでは別解を試みてみよう。

並行する2直線上の線分dsの電荷で構成される電気双極子が離れた点Pに作り出す電位を重ね合わせることにしよう。

図に示すように、2直線を結ぶ線分の中点Oを通り2直線に平行な方向をz軸とし、中点Oと離れた点Pの距離rを半径とする円筒座標で考える。



おろ著者と違う結果になってしまった...orz

やはり最初から無限小電位を電気双極子で近似したのがまずかったか。

今度は近似しないでやってみると



ふう、やっと同じ結果が得られた。

やはり前問の結果を流用するほうが易しい。

ということは電位はz軸の座標によらずモーメントとの角度θと線分からの距離rだけで決まるということか。

電気二重層の時と違って、この問題の場合には最初から電気双極子として近似してしまってはだめだということね。

P.S

以前の線電荷の問題で単一直線の場合には無限長で電位が収束しないという例があった。二直線で電荷の極性が反対だと収束する。

最初に出てきた積分は難しい部類に入り、極が複素平面上に存在するので、複素積分の留数定理とかを使うところだろう。
webadm
投稿日時: 2014-1-20 16:30
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
面電荷
危うかった線電荷の問題が終わり、今度は面電荷の問題

半径aの円板に面密度σで電荷が一様に分布しているとき、円板の中心軸上の中心からxの距離の点での電界を求めよ。



というもの。

面積dS上に分布する電荷が点Pに作り出す電位は



ということになる。

半径aの円板状の電荷が点Pに作り出す電位は



ということになる。

従って点Pにおける電界は



ということになる。

立体角ωの関係式は理論の時に学んだものを思い出す必要があった。

P.S

この問題は円板面の中心軸上の電位と電界を求める問題だが、円板面の中心から離れた任意の点における電位と電界を求めるのは少し面倒だがそんなには難しくないと思われる。それは読者の課題としよう( ´∀`)
webadm
投稿日時: 2014-1-20 18:11
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:面電荷
次も面電荷の問題。しかし今度は無限平面である。

一様な表面密度で帯電している無限平面からlの距離にある点Pに生じる電界のうち半分はP点から2lの距離以内にある板上の電荷によって生じることを示せ。

というもの。

著者は前問の結果から即座に結論を導いている。

別解を考えてみたのだが、どうもうまくいかない。

円板ではなく正方領域の電荷を考えてみたが、電位の式はかなり複雑なものとなりしかも無限平面へと四辺の長さを無限大に極限移行すると電位は発散する。電界は式が難しくて微分が大変なので確認していない。

無限長の直線の線電荷を横にびっしり並べたらどうかというのも試してみた。計算は簡単だが、電界は発散する。

唯一単極電荷の平面で電界が発散しないのは円板モデルを用いて計算する方法。最初に半径を有限長で計算しておいて、後で半径を無限大に極限移動する。



円板の半径を無限大に極限移行すると、θ→π/2へと移ることになる。

従って電界は



ということになる。

これは立体角ω=2πになったことに相当するので、その半分の電界を生じるには



が必要十分条件となる。

これは点Pから平面への垂線上の距離lの2倍の距離を意味するので、r=2lの以内の距離にある平面電荷で作られていることになる。

P.S

円板モデル以外で同じ結果を導出することはできないのだろうか。それは読者の課題としよう( ´∀`)
webadm
投稿日時: 2014-1-20 21:51
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
どちらかというと:線電荷
次は面電荷の問題が続くと思いきや、面電荷にしては中途半端、どちらかというと線電荷の問題に近い。

半径aの円形コイルに線密度λで電荷が一様に分布しているとき、中心軸上、中心よりxの距離の点での電界を求めよ。

というもの。

コイルの線分ds上の電荷が点Pに作り出す電位は



従ってコイル全体の電荷が点Pに作り出す電位は円周にそって積分すればよく



ということになる。

従って電界は



ということになる。
webadm
投稿日時: 2014-1-22 23:48
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
球面電荷
次は球面電荷の問題

一様な面密度で電荷が分布した球殻から、球殻外部の点に生じる電界は全電荷が中心に集まったとしたときの点電荷より生じる電界に等しく、球殻内部の点に生じる電界は0であることを示せ。



というもの。

これはどうやらかなり有名な問題らしい感じがぷんぷんする。

球殻表面の面素dSあたりの電荷は面密度をσとすると



ということになる。dr,dsはそれぞれ緯線上および経線上の無限小線分であり、dθとdψは緯度および経度の無限小角である。

従って上の面素が点Pに作り出す無限小電位は



ということになる。

従って球殻上に分布する電荷全部が作る点Pでの電位は緯度と経度で積分して



ということになる。

xとaの大小関係で2つのケースに分けて考える必要がある。

x>aの場合には



ということになる。

点Pが球殻外の場合には距離xに電位が反比例することになる。

しかしx<aになると事情が違ってきて



ということになる。

点Pが球殻内になると、電位はどこでも一定ということになる。

従って電界は



ということになる。

点Pが球殻外にある時は電界は球殻の中心からの距離の二乗に反比例する。
点Pが球殻内にある時は球殻内は電位が一定なので電位勾配はなく電界は0である。

題意にあるとおり、球殻全体の電荷をQとすると



ということになる。

従って点Pが球殻外にあるときの電界は球殻全体の電荷Qが中心点Oに点電荷として置かれたのと等しいということになる。

著者は題意で求められている電界ではなく、電位でそれを示している点に注意。テストだったら点は半分しかもらえないだろう。

P.S

ドイツの理論電気学の教科書には、これは問題としては登場せずに、まったく異なった議論が展開されている点が興味深い。おそらくGauseの定理そのものが数学の講義で教えられているからだと思われる。

教科書によっては、著者も注記しているようにGauseの定理を最初から用いるものが多い。Gauseは電磁気だけでなく、重力に関しても統一的に扱う理論を同僚のWeberと研究していたらしい。同じ頃にRiemannもWeberの下で電磁気や重力に関する実験を手伝っていてその噂を耳にしていたという話しだ。後にRiemannの新しい幾何学理論が、Einsteinの一般相対性理論を構成する重要な鍵となったのは決して偶然ではない。

WeberはMaxwellと同時期に独自の電気力学を定式化していたが、Maxwellは彼らの実験結果から電磁波の伝搬速度が光速に等しいと結論づけた。Weber自信は言及しなかったが、彼が用いたWeber定数の記号cが後に光速の記号cとして用いられるようになった。

今もGöttingen大学のキャンパスにはWeberとGauseがまるでC3POとR2D2のように対話しているかのような記念像が建っている。
webadm
投稿日時: 2014-1-23 3:31
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
球体積電荷
次はどうやら球体積電荷の問題らしい

球対称の電荷分布より球外の点に生じる電界は、全電荷がその中心に集まったとしたときの点電荷より生じる電界に等しいことを示せ。

というもの。

これは前問の球殻内部にも電荷を一様に分布させたものと考えることができる。

球体内の体積素dVの無限小電荷は



ということになる。

従って無限小電荷が球の中心から距離xだけ離れた点Pに作る無限小電位は



ということになる。

従って、球全体の電荷が球の中心から距離xだけ離れた点Pに作る電位は



ということになる。

球内の点に関してはおかしな結果になっている。

題意で問題になっているのは球外の点であるので、半径aの球全体の電荷をQとすると



ということになる。

これは球体内の全電荷と等しい電荷を中心に点電荷として置いたときの電位と等しい。

従って電界は



ということになる。

同じことだが、球外の点に生じる電界は球体内の全電荷と等しい電荷を中心に点電荷として置いた時と等しい。


P.S

ちなみにx<aの場合も同様に球体全体の電荷Qで書き換えると



ということになる。

0≦x≦aの範囲と、a≦x≦∞の範囲をそれぞれの式でプロットしてつなぎ合わせると



球体の表面の中と外では電位が連続的に変化することが認められる。

実はへんてこでもなんでもなかったのである。

破線で示してあるのが球体表面の電位で、a→0に極限移行すると、x=0での電位のピークは∞になり、x>0ではたちまち相殺して0になるという、いわゆるDiracのδ関数(超関数)になる。このことから超関数(distribution)という磐余を偲ぶことが出来る。

webadm
投稿日時: 2014-1-26 1:37
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
一般の体積電荷
次も体積電荷の問題だけど、図も描けない一般化された体積電荷に拡張する純粋に理学的な問題。

有限な範囲内の同符号の電荷分布から十分遠方の点に生じる電界は、電荷が一点に集まったとしたときの点電荷から生じる電界によって近似されることを示せ。

というもの。

こういうのは学校で試験に出やすいよね。まずもって問題文の意味が理解できない人は他のもっと答えられそうな問題を先にやったほうがいい。

問題文では電荷分布に関して以下の2つの前提しか与えていない大変緩やかなもの。

・電荷分布は有限な範囲内に制限される
・電荷はすべて同符号である

今までの問題というと具体的に図が描けるような特殊なケースがほとんどだったけど、ここまで条件を緩やかにすると一般性をかなり保てるようになる。言い換えれば抽象的色彩が強まったと言える。

こうした問題に臨むには数理には数理でしか戦えないので、純粋数学のテクニックを駆使する必要がある。

問題文ではそれ以前の問題で典型的だった、σのような分布密度とかいうのも定義されていない。数理的な問題を扱うときに最もやってはいけないのは、書いてないからといって読む側が勝手な定義を追加していってしまうことである。どうしても一般性の高い問題提示の場合には、問題に臨む側としてはもっといろいろ具体的な条件で考察範囲をどんどん絞り込んでいきたいところ。与えられていないからといって書かれていない制限事項を勝手に付け加えるべきではない。

たとえば分布密度に関してはなにも制限が与えられていないので、以前の問題のように電荷密度を一様であると仮定して考えるのはよろしくない。暗黙のうちに分布密度が空間の場所によって変わるという一般的なケースをすべて考察対象から除外してしまうことになる。それで少し具体的に見えてくるものがあるかもしれないが、それはすべての可能性のほんの一握りの特殊な例に過ぎない。

ここでは電荷分布は一定であるとは限らない(そういうふうに条件がつけられていない)のだから、空間座標を変数とするスカラーポテンシャル関数と定義しても一般性は失われない。

次に必要なのは、分布範囲が有限な範囲に限られるというのがかなり自由度が高すぎて積分もできない。しかし有限は範囲に収まるということは、どこからどこまでという境界が存在するということの言い換えであると考えてもよいだろう。それを体積電荷の境界(Boundary)としてBでもよいし体積(Volume)そのものでVと定義しても一般性は失われない。範囲が有限なのだから、電荷が存在する座標に上限と下限がそれぞれ存在しそれは有限(すなわち無限大よりは小さい)ということと同値である。

境界がひとつの閉域だけから成るという勝手に仮定するのも禁物である。範囲は有限だが、それらがみんなつながっていてひとかたまりである必要はまったくない。宇宙空間の様に互いに離ればなれにご近所同士というのもあり得る。範囲が有限だといってもどんどんと遠くに離れれば一点にしか見えなくなる。

まずもって電荷密度ρを3次元直行座標pの関数とし、有限な領域V内だけ電荷が分布しているとすると



と定義することができる。

ρは3次元の座標空間の元pを一次元空間(スカラー)に写す写像であると考えてもよい。

従って領域V内の無限小体積dV中に含まれる無限小電荷量dqは



ということになる。

従って領域V内に分布する総電荷量qは



ということになる。

一般的には領域内の電荷分布密度は一様ではないので、以前の計算問題のように、電荷密度が定数ではないから積分の外に出すことはできない。電荷密度が定数というのはこれの特殊なケースだということになる。

ちょうど電荷密度がσで一定という場合には、密度関数は以下の様に定義されることになる。



そうするとσが積分の外に出せて



ということになる。

これは領域Vの体積と電荷密度定数σの積ということになる。これは特殊なケースということで一端忘れよう。

次に点pにある無限小電荷dqが十分離れた点Pに作る無限小電位は



ということになる。

従って領域V全体に分布する電荷によって点Pに作られる電位は



ということになる。

従って領域Vに分布する電荷が点Pに作り出す電界は



ということになる。

こっからどうすんだこれ(´Д`;)

積分と微分の順序は一般的に交換できないと学校で教わったよね。一度教わるともう怖くて交換とかできないよね。でも何故交換できないかは詳しく教わってないよね(そんな時間なかったし)。

で良く見ると、上の被積分関数の中で分子のρ(p)は点Pの位置には依存せずに定義されているよね。そうすると点Pに依存するのは分母の距離だけ。なのでx,y,zに関する偏微分はξ、η、ζの積分と順序が交換できることに。



ということになる。

厳密に細心の注意を払うと、被積分関数はP=pに特異点があり、そこでは微分ができない。幸いにして、p=(ξ、η、ζ)が走る範囲は点Pから十分離れている領域V内だけなので被積分関数は領域V内で微分可能で連続であるから微分と積分の順序交換しても結果は変わらない。

さてこっからどうすんだ(´Д`;)

頭の中で考えるだけだとはっきりしないのでへたくそな図を添えると



ということになる。

どっか遠くに原点Oがあって、そこからの距離ベクトルPとpを考え、pは体積電荷が分布している領域Vを走るという想定。

点Pの近傍で遠方の体積電荷が与える電界が生じるのは明らかだが、体積電荷の総量が遠方の一点にあると近似できるためには、その一点がどこかに存在しないとならない。

P-pの平均値をとればなんとなく領域Vの中心になりそうだが、電荷分布の中心というのは体積電荷密度ρ関数に依存するので、体積の中心とは一般に一致しない。

座標の原点を点Pに移動してみると





ということになる。

体積電荷密度の偏導関数との畳み込み積分みたいな形式になる。
これは元の座標系で伴っていた特異点の問題が無いだけ易しいがこの問題に関してはその特異点が領域Vの範囲外なのであまりメリットがない。



原点Oから距離ベクトルRの点に領域V全体に分布する電荷の中心が存在すると仮定して、それが点Pから距離ベクトルRだけ離れているとすると、題意は以下の命題を証明することと同意である。



そういうことだったのね( ´∀`)

でもわがんね(´Д`;)

図で見ると点Pと領域Vが十分遠く離れていれば直感的に



なのは判るんだけどね。

直感だけでは証明にならないし。

やっとこさ分厚い微積分の本を調べて立体の重心の求め方を学んだ次第。著者の解答とはだいぶ違うぞ。



どうもどれも筋が悪そうな感じがするよね(´Д`;)

結局最後の図でR→0に極限移行(座標変換)すると良い感じに



点Pに生じる電界は二項展開により



ということになる。分母が|r|の5乗以上になる項は|r|が十分領域Vから離れているとすれば無視できるとして、残る第二の積分項は良くみると重心を求める式の分母に現れてきた積分項を含んでいる。

つまり座標の原点を電荷分布の重心とすれば、第二の積分項は原点と重心が一致するので消滅することになる。

従って



ということになる。

つまり電荷分布の中心に領域V内の電荷総量の点電荷が置かれたものと近似することができることになる。目的は達せられた。

証明に辿りつくための重要なステップが複数あるので途中で諦めかけたが、諦めなくてよかった。

因みに著者の解答の式に誤植があり第二積分項に体積電荷密度関数ρ'が欠如している点を注意しておく。

P.S

この種の一般化問題は古いテキストでは滅多に見かけない。おそらく20世紀に入ってから原子モデルや分子モデルが考え出された際に重要な概念として定着したものと思われる。どちらかというと有機化学や薬学とかでは必修の概念であるため最初の講義で登場させる必要があったと思われる。

問題文で気になるのは、分布している電荷が同符号と断っている点である。現実には正の電荷があればどこかに負の電荷が存在するはずなのだが、そうすると正と負のそれぞれの電荷分布を考えなければならなくなる。一般には正と負の電荷分布の中心は一致しない場合がほとんどで、最初に学んだ電気双極子が現れることになる。つまり歴史的には順序が逆で、分子化学の領域から電気双極子がどうしても現れてしまって、それが定式化されて先に教えられるようになったという感じがする。

分子化学では良く知られているように水(H2O)の分子は正と負の電荷分布が非対称である。なのでマイクロ波で揺さぶってやると高速で振動し熱を持つ。これが電子レンジの原理だったりする。これも電気双極子で考えると納得が行くことになる。その他にも同じように非対称な電荷分布を持つ分子が沢山存在して、その性質を理解するに電磁気学の理解が不可欠である。

P.S

よくよく考えると、座標変換したのは良いけれども元の体積電荷密度関数が新しい座標の関数ρ'(r')とでもしなければいけない気がするがちょっとインチキくさい。最初から電荷分布の重心を座標の原点として体積電荷密度関数もその座標系で定義すれば問題はない。少なくとも問題文では座標系の取りかたとかに関して何も制約を与えていないので最初からそうすればよかったのである。
« 1 (2) 3 »
スレッド表示 | 新しいものから 前のトピック | 次のトピック | トップ

投稿するにはまず登録を
 
ページ変換(Google Translation)
サイト内検索