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webadm | 投稿日時: 2018-1-12 11:12 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
Re: ピアノ教本 ふう、1か月のご無沙汰でちゅ。
あれからまだ「大人のための独習バイエル(下)」のステップ3から進んでませんが(´Д`;) やっとここんところ暗譜で少しテンポを緩めれば安定して弾きとおせるようになりました。 やさしめの曲はインテンポでも大丈夫になったけど、難しめのはインテンポだと次のフレーズが頭の中で用意ができなくて事故多発(´Д`;) あれだよね、思うにピアノの演奏は日本の伝統芸の落語とか講談とかに通じるものがあるよね。 どちらも長い時間一人で延々と演じるのと、ひとつの演目の全体に渡る構成が肝だというところ。一本調子だと聞き手が途中で飽きてくるし、山場とかでは声を強めてひきつける必要があるし。 ステップ3ではもう曲を体だけで覚えるのは無理があるよね。デュナミークがあるだけではなく、声部交換やレガートとスタッカートのコントラストがあるし。 そんでもって課題曲の「すみれ」は、バイエルでは控えめ気味なレガートとスタッカートを4小節毎に交互組んで曲の端切れをよくするブリリアントな構成なので意外に難しいことが判明。 どうしてもレガートがスタッカート気味に、スタッカートはレガート気味になる傾向が、そしていつしか境目が無くなって全体が単調に(´Д`;) こうしたエントロピー増大則に逆らうためには、意識的にレガートな部分はよりレガートになるように、スタッカートな部分はよりスタッカート気味に弾くように心がけないとだめなのよね。そうやって意識的にエネルギーをつぎ込めば維持できると。 それと集中力が必要だよね。集中力散漫だと、弾き始めてすぐに続かなくなってしまうのよね。 今弾いているフレーズの間に心の中では次のフレーズが湧き出て待っている感じぐらいにしないとインテンポで弾きとおすのは困難。 譜面を見て弾き始めた段階から、今弾いているフレーズの次のフレーズに目をやって備えるようにしないといつまでたってもインテンポでは弾けないよね。 そう考えながら「すみれ」はレガートとスタッカートを明瞭に区別するようにするとかなり聞ける曲だということがわかってきました。 頭でわかっても体がついてこないけどね( ´∀`) さて、しばらく読んだ本の紹介をしていませんでしたが、その後読んでいた本を紹介。 以前に紹介したバッハの「正しいクラヴィーア奏法 第一部」の続編である「正しいクラヴィーア奏法 第二部」を読んでいました。 第一部は運指とか基本的な事柄だったのでなんとか読めましたが、第二部はかなり内容が高度で、著者が当時増えつつあったクラヴィーア教師を読者として想定して書いたものなので初心者が読むのには時期尚早ということがわかりました。 それでも内容的には興味深いものばかりで、まったく読んで理解できないというほどでもなく、著者の熱のこもった語りを直に聞いているような感覚を覚えます。それは訳がうまいという意味でもあります。 最初の方に著者の前書きというか解説がありますので、それもとても興味深い内容になっています。そこだけ読んでもためになります。 前半はバッハ独特の実践和声理論の解説に割かれています。読むとすぐわかるのですが、今日出版されている多くの和声理論の構成内容とはまるで異なりますが、良く読むと言っていることは一部共通のものがあります。 今日教えられている和声理論は、バッハとは対極的な立場にあったラモーが体系的に整理した仕事に基づいているのがわかります。 後者は基本3和音、4和音に基づいているものの、実際の曲では3和音が続けて弾くとか4和音を続けて弾くなんて曲は滅多にありません。なので何故そんなことを最初に学ぶのかと疑問になりますが、その方が楽曲の分析がし易いということがあると思います。いずれにせよ演奏の実践とは少し距離を置いています。 それに対してバッハの和声は演奏特に即興演奏に必要な実践的な和声の組み合わせを具体的に紐解いている点が今日の和声の教え方と根本的に違います。 それでもバッハがこの本の中で繰り返し口を酸っぱく言っているのが今日でも和声理論を学ぶと最初に目にする連続5度、連続オクターブの禁則です。 今日の和声理論の本では頭からこの禁則を原則として教え込まされますが、バッハの本を良く読むと、実はある条件付き(主声部とバスのインターバルが5度と8度の場合)にのみ適用される禁則で、内声との間のインターバルについてはこの限りではないということだったのでした。 確かに5度のインターバルは高い音域の方になるにつれ一発弾いただけで目が覚めるような感覚があります。実際に車用のクラクション(古くは2つのラッパや汽笛を同時に鳴らしていたもの)では5度のインターバルのものがあります。 車のクラクションは一回で目が覚めるぐらいですから、連続で何度も鳴らされたら殺意が沸いてきてもおかしくありません。 オクターブは、2つの弦から発せられる倍音がぴったり重なって強調されるのでかなり強いインパクトがあります。 内声とバスや、内声と主声部(メロディー)の間であれば、バスと主声部が5度もしくはオクターブでない限り許容できる響きに収まるということに。 元来バッハがこの本を書いた意図としては、増えつつあるインチキなクラヴィーア奏者によるインチキ伴奏の氾濫が目にあまるものがあったというのがあるようです。 バッハ伝来の和声とはまったく異なる3和音や4和音を中心とした伴奏(熊手を振り下ろすように手指で3和音や4和音を連続して弾く)者が後を絶たなかったようです。 そんな中に連続5度ないしオクターブの禁止則が必要になったわけでした。 左手で3和音や4和音を連続すると主声部とバスのインターバルが5度ないしオクターブの連続が発生する可能性が高くなるというわけでした。 当時から鍵盤楽器は他の独奏楽器や歌手の伴奏を行う機会が多く、そのために作曲者は特別にバス旋律と併せて弾く和声音を数字で添え書きした数字付きバスという記法を用いて伴奏者に提供するようになっていったようです。それが所謂通奏低音と呼ばれる演奏様式のようです。 日本では通奏低音という用語が独り歩きして違う意味を表す目的に使われてしまっていますが、元来は他の楽器や歌手の伴奏者としての鍵盤楽器演奏方法を表すものでした。 バッハの和声理論は伴奏だけでなく、即興演奏や多声部からなる合唱曲や独奏曲の作曲にも応用できるものだというのもすぐに読んで気づきます。 バイエルとかの曲でも重音の連続だけでもかなり良い響きを出しています。3和音から一音省略しても和音の機能は失われないからです。 3度や6度のインターバルの重音は連続して聴いても疲れることなく聞き続けることができると書いてある通り、バイエルやショパンの書いた曲には3度の連続、6度の連続からなる曲が必ずあります。作曲者が必ず手掛ける語法のひとつだということになります。 バッハが言うには、伴奏を行う者はそれ以前に長い間労して書かれた独奏曲(演奏会用の名曲)をたしなんでいる必要があるとあります。 つまり鍵盤楽器での伴奏を行うには、独奏者として一人前になってからということになります。 独奏だけで手いっぱいという状態ではまだまだ半人前で、他の独奏者と協奏もしくは伴奏をこなして一人前ということでしょうか。 後半は即興演奏ないし即興曲(ファンタジー)が議論の中心になります。 かつて即興演奏に長けた奏者はまた作曲でも秀でていたのを思い出します。 バッハしかり、モーツァルトしかり、ベートーベンしかり、ショパンしかり。 ショパンで思い出したのは、身内の間では百面相の名人でもあったようです、つまり瞬間芸の達人でもあったわけで、なるほど人の気を一瞬で引くようなアイデアが次々と沸いてくるのでしょうね。 確かに彼らの曲はめまぐるしく変化する百面相のような曲が多いです。 たぶんに小さい頃から遊び感覚でいろいろな音型を実験的に試してアイデアの下地にしてきたのでしょう。 学生の頃に遊びで弾いていた大講堂にあった壊れた古いアップライトピアノの話は以前したよね、あの時もいろいろ遊びで弾いて響きが記憶の奥底に残っていたのだと思います。今それを少しづつ思い出しています。 巷にあふれる和声理論の本に飽きたら、この本を手にしてみることをお勧めします。だいぶ世界が変わると思います。 んじゃまた。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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ピアノ教本 | webadm | 2016-9-19 5:59 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-10-23 22:12 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-10-30 8:03 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-11-4 6:55 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-11-13 11:39 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-12-5 2:35 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-12-11 23:58 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-12-24 1:25 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2016-12-25 22:23 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-1-3 4:45 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-1-22 3:37 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-1-30 9:19 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-2-6 5:06 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-2-12 4:19 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-2-19 0:49 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-3-21 3:37 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-4-17 21:54 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-5-8 0:06 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-5-28 21:31 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-7-2 21:55 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-8-13 11:11 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-9-20 12:33 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2017-12-2 22:07 |
» Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-1-12 11:12 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-1-29 5:48 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-5-5 2:28 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-9-9 20:31 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-9-30 22:06 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-10-7 14:58 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2018-12-23 22:37 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-2-20 10:29 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-4-14 23:51 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-4-21 7:29 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-4-29 12:39 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-5-4 5:01 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-5-4 23:11 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-5-16 12:44 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-5-26 19:33 |
Re: ピアノ教本 | webadm | 2019-7-5 10:32 |
バイエル卒業(´∀` ) | webadm | 2019-8-5 0:50 |
Introducing Pianoprima EXERCISES | webadm | 2020-8-11 6:27 |