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webadm
投稿日時: 2008-6-4 2:59
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
Re: HP3456AのオリジナルROMを再生
元に戻してからself testをやってみたら、かなりの確立で#10でエラーになるようになった。

オリジナルROMを装着して動作テストした際にめちゃくちゃに暴走していたので、それであちこちFETのスイッチ状態がめちゃくちゃになってどっか壊したかもしれない。もともとの故障の原因はROMの劣化ー>暴走ー>アナログスイッチ制御がめちゃくちゃで他関連部品故障、という筋書きだったのかもしれない。

#10というとOHM'S CURRENT SOURCE関連だったかな。再チェックが必要になってしまった。

やらなきゃよかったオリジナルROMチェック。

P.S

再度チェックしてみたら、問題なかった。ふと思って入力端子に先日付けていたワニ口クリップコードをつなげてHIとLOを短絡してself testしてみたらものの見事に#10でエラーになった。そうだself test時には入力端子に何もつなげてはいけなかったのだ。先日は温度ドリフトを監視するために0.1 DCVレンジで入力をショートしていたので、その状態でself testを実施してしまっていたのだった。試してみると、クリップコードを入力端子に差し込んだ状態でオープンにしても#9や#10でエラーとなる。何もつないじゃいけなのでした。
webadm
投稿日時: 2008-6-2 11:32
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
Re: HP3456AのオリジナルROMを再生
苦労してオリジナルROMを挿すためのICソケットを実装した上で、再生したオリジナルROMをソケットに挿して電源を入れて立ち上げてみた。

結果は、HP3456の表示が行われる時もあれば、初っぱなから暴走している時もあったり、電源を入れるたびに不確定。

やっぱりオリジナルROMは使えないという結論に。

最後の仕上げに今回作成したROM基板のチップセレクト信号線のつなぎ方をハンダ付けではなくICソケットへ以前切って余ったICソケットの足をハンダ付けして差し込むような形に変更。これで64K ROM3つか256K ROMひとつか変更するのが簡単になる。きっともう変更しないと思うけど。



あとやり残したことは自作シグネチャアナライザの動作確認をこの個体を使用して行うことぐらい。さっさとやってしまわねば。

webadm
投稿日時: 2008-5-28 21:36
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
HP3455Aがやってきた
もうデジタルマルチメーターは卒業と言った矢先にまた買ってしまった。



HP3455AというHP3456Aの一世代前の製品。以前に同じ型でおジャンクなのが出ていたがそちらは同じような奇特な人の元へ行った。今どうなっていることやら。

HP3456Aより古いはずが、むしろこちらの方が新しいとしか見えない。外も目立った傷や汚れが無く、動作も問題無い。破棄されるまで清浄な環境で完全に整備された状態で保管されていたと思われる。



動作的にも安定していておそらく何もしなくても良いように見えるが、一応お約束で中身を拝見。開けてびっくり、中から新品のように艶々な基板や部品が姿を現した。あまりに新子過ぎるので、最後に内部の基板が交換修理されたままなのかもしれない。



写真はOUTGUARD LOGICのメインコントローラー基板を写したもの。謎のAMDマイクロシーケンサーとそのコントロールストアを収めたMASK ROMが3つ見える。新品のように艶々している。



OUTGUARD LOGICメイン基板を見るとやはり作りが新しい。中央付近にSRAMが2個見える。それと大きな電解コンデンサ、まるで新品のようである。やはり基板ごと交換修理されたように見える。交換しないと以前みかけた個体のようにSRAMが故障して動作不能になってしまうのかもしれない。

INGUARD部分はHP3456Aよりも念入りにネジ止めがされており、ちょっと簡単にはシールドを外せないので状態も良いので中身を見るのは割愛。

たぶん電解コンデンサも新しいように見えるのと動作も安定しているので問題無いだろう。HP3456Aについていたのと同じタイプなので取り外すのにもやっかいなので。故障でもしない限りはそのままで。

使用してみるとこれは抵抗レンジが狭い。最大レンジが10MΩまでしかない。これはHP3456Aでは1GΩまで広がっている。やはり10MΩは少なすぎる。

DCVとACVの測定精度も十分なものを保っている。HP3456AのAnalog Filterという機能に相当するものはこれではFAST ACVという機能になっている。FASTなので収束は早いがリップルは残るというHP3456AではアナログフィルタOFFに相当する。デフォルトはアナログフィルタがかかった状態。50Hzの交流とかを測定するとFASTモードではリップルのために表示値が実際の実効値より増えてしまう。これはHP3456AのアナログフィルタをOFした時と同じである。他の測定モードではこうしたフィルタがかからないがHP3456Aになって独立したアナログフィルターがACコンバーター内蔵のものとは別に設けられるようになった点が異なる。

大変良い状態だが、おそらく廃棄される際に強くぶつけたと思われる底のゴム足の取り付け穴部分が底板からして凹んでしまってゴム足がうまく固定されない。それと入力端子ブロックも強くぶつけた雰囲気で土台から少し傾いている。幸いにして入力端子がへし折れる程ではなかったので少し傾く程度で問題無い。底板の凹んだ部分は少しゴムハンマーで叩いて凹み具合を緩和したところゴム足は一応固定できるようになった。

あともうデジタルマルチメーターは本当にいいや。HP3458Aというトランスファースタンダードの代用として用いられた程の高精度、高安定の最初で最後の名品もあるけど、たぶん手に入らないだろう。調べたら昔FLUKEもHPのものをそのまま販売していたらしい。校正はFLUKEの第一次校正施設で行うという高級品。第一次というのは国際標準原器の写し(トランスファースタンダード)のある施設で、それとの誤差が解るということであり、十分な安定度を保てばトランスファースタンダードの代用にもなり得ると言って良い。そんなものは有っても仕方がないのでジャンクでもなければ要らない。



HP3455AとHP3456Aの両方で同じ電池ボックスの電圧を測定してみると、なんと最小桁で5しか違わない。どちらも最後に調整されてからかなりの年月が経過しているはずだが同じ値を表示するというのはさすが精密デジタルマルチメーターとうたうほど確度と安定度の高さを物語っている。

P.S

DCV測定時の入力抵抗を測ってみたところ10GΩ以上あることを確認。ただしAUTO CALがONだと周期的に変動し、レンジによっては10GΩを下回ることがある。AUTO CALに関連して時々つながるどこかリークしているFETがあるのかもしれない。AUTO CALをOFFにすると100GΩも超えてしまう。

それとHP3456Aの時はうっかり気づかなかったが入力端子からのごくわずかな漏れ電流がある。入力端子を逆方向に抵抗を測定するとマイナスになってしまう。これは+と-電源に入力端子の信号ラインがクランプされているのでその漏れ電流によってどちらかにチャージもしくはドレインされるためである。一応回路的にはこのチャージのバランスを取る調整要素が含まれているがサービスマニュアルにはそれに関する記載が見あたらない。ちょっと普通の測定器では測定ができない(少なくともエレクトロメーターとかヌルボルトメーターが必要)ので割愛しているのかどうか。極めて微少な電流や電圧を測定するときには無視できないが通常は問題無い。
webadm
投稿日時: 2008-5-20 12:43
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
HP3456AのオリジナルROMを再生
勇み足で最初に除去してしまったHP3456AのオリジナルのROMに丸ピンICソケットを義足代わりにハンダ付けすることで再生してみた。



ちょっと足が根本近くで切ってしまったのとか果たしてつながるのか心配だったが、リード線の切れ端で間をつなぐとかして無事義足装着完了。元々残っている足が酸化膜がついてハンダが乗らなかったのでヤスリで表面の酸化膜を落としてなんとかハンダ付けができた。

だいぶ熱を与えたので無事でいるのかどうか心配だけれども、これをチェックするのはHP3456A本体に実装してみるしかない。

それをやるには本体側のメインコントローラー基板のROMを除去した後から残っている足を除去してICソケットを実装し直さないといけない。

もう十分修理が終わった状態のものをいじって壊しそうなのが心配なので、しばらくは手をつけないことにしよう。

なにか別の手段でこのROMを読み出してチェックサムを計算してみればわかるのだが。CPLDやFPGAでもできそうではある。そっちの方がおもしろそうだ。

P.S

ROMライターとかがサポートしている2764とか64kbit ROMのピンアサインに変換すればROMライターで中身がしだせる。それが簡単かつ確実そうだ。
webadm
投稿日時: 2008-5-12 23:21
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
HP3456AのGPIBを試す
そういえばHP3456AにはGPIBインタフェース機能があるが試していなかった。

NIのインタフェースカードとGPIBケーブルでつないでスキャンするとちゃんと設定されたアドレスで見つかった。古い作りだけに、IDではなく現在の表示値を返してくるらしい。



本体の方もTALKとREMOTEのLEDが点灯しているので問題なく使えることが確認できた。



これを見る限り表示は5 1/2桁でも内部的には最大の6 1/2桁で測定していることがわかる。

GPIBを使うと複数の計測器を連携して自動測定とかが可能になる。例えば精密電源やシグナルジェネレーターで段階的に入力を変化させて何カ所かの電圧や電流の測定を自動で行うとか。人が手作業で行うと間違いが入るし時間がかかり面倒なのが一発で出来てしまう。そういう使いかたの方が普通かもしれない。
webadm
投稿日時: 2008-5-12 1:32
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
HP3457Aフロントパネルの修繕
エポキシ接着剤を入れた缶が見つかったのでさっそく修繕を開始。

面倒だけど再度フロントパネルのキーボード基板が剥がれた個体を分解。



乖離が生じた部分を良くみると、フロントパネルと基板との間の隙間はシリコンラバー製の押しボタンのシートが1枚はいる程度しかないことが発覚。ネジの頭とか入る余裕はまったく無し。計画が台無しに。先によく見ておこうよ(;´Д`)

とりあえず本体につながったままだと修繕作業が困難なので外すために入力端子にハンダ付けされているケーブルの元を確認しようと初めてINGUARD部分のシールドを除去。



かなりコンパクトな基板が出てきた。ケーブルは幸い圧着コネクタで差し込んであるだけなので抜いて取り外すことができた。最初はハンダ付け部分を外そうとしていたけどその必要はなかった。

フロントパネル自体を交換できたのか。なら病気持ちの別の個体のと交換してもよかったけどいずれ修繕しないといけないし今やっても同じ。



フロントパネル部分全体を見ると、いかにもキーボード基板がぺたりとフロントパネルに貼り付けたような設計。エポキシ基板がもともと歪みがあるせいでねじれていて、ちょうどそこがリベットの数の少ない部分で応力が大きくて破断してしまったのだろう。中央の一部分はちゃんとリベット化されていない樹脂突起が残っている。ここはあまり強度を必要としないので省略されたのだろうか。もっと強度が必要な隅の部分は接合が一カ所しかなかったりあまり良くない設計。一カ所に応力が集中し破断するとこうなってしまう。

元々はネジのタップとかを埋め込む設計だったのかもしれない。そういう名残の穴が基板に残っている。でもフロントパネルは薄いので、そんな金属のタップを埋め込む余裕がなく今のやり方になったのだろう。セルフタップネジとかをねじ込んでもよいのだけれども、フロントパネルの表面にネジの先端が出てきそうで怖い。それに材質が脆いのでしっかり締め付けられるかも疑問である。

いろいろ思案した結果、出来るだけ本来キーボード基板を固定している樹脂突起部分で部分破断して可動する状態になってしまった部分にエポキシ接着剤で固定をし、かつ隅の応力が最もかかる部分はフロントパネルとキーボード基板の間にエポキシ接着剤を流し込んで接着してしまう方法をとることにした。

もうキーボード基板を剥がせなくなってしまうが、もともと剥がれることはあってはならない部分なので良いだろう。

あとは接着剤が固定するまでは割り箸を折ったものを添え木にして万力でキーボード基板とフロントパネルを密着した状態に1日ぐらいしておくことに。



ついでにINGUARDの回路を眺めてみる。リファレンス電圧源基板はHP3456Aに使われているものとほぼ同じもののように見える。



一番上に乗っている孫基板はAC CONVERTER回路でRMS-DC変換をしている回路。ほとんど昔から変わっていない。下がそれ以外のA/Dコンバーターや入力スイッチとカレントソース回路と電源にアイソレーションロジック。

これであとは十分エポキシグルーが固形化した頃合いを見計らって、元に戻して修繕完了。当分はボタンがめり込むことはないはず。



修理したHP3456AとHP3457Aを同じ10Vでチャージした電解コンデンサの電圧を測定しているところ。どちらも入手してから調整していないが(HP3456AはAC CONVERTER回路は再調整したがDCV関連はいじっていない)ほとんど変わらない電圧を示しているのには驚いた。

これで精密デジタルマルチメーターは買い納めにしよう。
webadm
投稿日時: 2008-5-9 0:25
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
デジタルマルチメーターの入力抵抗
HPのデジタルマルチメーターの低電圧DCVレンジの入力抵抗は10GΩ以上と高い。回路的にはA/Dコンバーターの前段の入力アンプと入力スイッチのFETが信号線路にぶら下がっているだけなのでその漏れ電流がいかに少ないかを示す。

実際にその威力を確かめるには、小容量のコンデンサ(1uF〜0.01uF)に電池とか直流電源をつないで電荷を蓄えた状態で電圧を測定し、その後直流電源を取り除く。

普通のテスターや入力抵抗の低い可搬型のデジタルマルチメーターでは急激にコンデンサの電圧は降下して0Vになってしまうが、高精度デジタルマルチメーターではその降下速度が著しく遅い。

手元のHP3456Aの10V DCVレンジで0.015uFのフィルムコンデンサに10Vの直流電圧を印可した状態から電源を取り除くと、10mV/秒程度のゆっくりとした速度で電圧が降下していく。蓄えられている電荷が少ないのでちょっとした漏れ電流でも電荷が減って電圧が低下していく。

少し容量の大きな1uFのフィルムコンデンサで同じことをすると、こちらは大きな電荷が蓄えられるので電圧の降下速度は0.2mV/秒と更にゆっくり。

電圧の降下速度から入力抵抗がどのくらいあるのかは求めることはできるはずである。



webadm
投稿日時: 2008-5-6 22:46
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3084
Re: HP3457Aの調整
最近は室温が25℃前後なので絶好の校正日和である。

時々というか大抵self test failerの出る入力端子が折れたHP3457Aもひっぱり出して来て電源を入れself testをしてみるとhardware errorが出る。たまにself test okが表示されるのはどっか内部に接触不良があるのだろうか?

サービスマニュアルを見るとauxerrorレジスタを表示させるとエラー箇所を示す番号が表示されるらしい。

やってみるとauxerror:64と表示された。

64はohm current sourceのチェックらしい。

確かに抵抗測定をしてみると、入力端子に抵抗をつないだり、開放した時にしばらくおかしな値が表示されて更新が止まりその後正しい値が表示されるという挙動を示す。マニュアルレンジではそういうことはないので、オートレンジがスムーズに行っていない何か原因があるに違いない。

もともと3V DCV測定時に+方向へのリークが大きい兆候があるので、明らかに病気持ちらしい。

3台中外観があともな2台は良好。入力端子がへし折れている1台が病気持ちという結論に。へし折れるぐらい衝撃が加わったのだから内部がどっかおかしくなっていても仕方がない。これはいずれ機会を見て診断してみよう。
webadm
投稿日時: 2008-5-6 20:56
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3084
HP3457Aの調整
サービスマニュアルを良く読んだら、基本のオフセット電圧調整は半自動化されているものの中を開けてトリマーを回さないとだめらしい。

それでも対応する診断機能を起動したらトリマーを回していくだけでオフセット電圧はHP3457A自身が内部的に計測して規定範囲内に入ったらその旨液晶にPASSEDと表示してくれるので楽ではある。

トリマーではなく内部のDACで調整する箇所はフロントパネルから値を入力していくことに。これも調整が完了すればPASSEDと表示される。

これらのゼロ点調整が終わった後に各測定モードの各レンジに対して調整を行う。これも半自動化されているので、対応するキャリブレーション機能を起動して予め正確な値が解っている標準器を入力端子につないでその値をキーボードから入力するだけで良い。

実際に調整を行うには室温が25℃近辺の安定した場所で1時間ほどウォームアップしないといけないらしい。

HP3456Aに比べて長いウォームアップ時間が必要である。実際にDCV測定モードで入力端子をショートした状態にしていると、表示電圧が+方向から次第にー側へ振れ、また+側へ戻り、ー側へ振れを繰り返し次第に収束していくのが見える。それでも基準電圧源が不安定なのか下2桁ほど表示がノイジーである。基準電圧源はHP3457Aではブラックボックスなモジュールになっていて回路図がサービスマニュアルには載っていない。+10Vと-10Vが出力として出てくるとしか回路図からはわからない。おそらく内部は温度補償回路付きのチェナーダイオードとOPアンプ回路で出来ていると思われるが、高温になるのでOPアンプとかが劣化しやすい。HP3456AもOPアンプが逝っていたし。

P.S

実際に電池とかの安定した電圧を測定してみるとノイジーではないのでオートレンジで30mVレンジになった時にノイズがどうしても乗るのかもしれない。30mVレンジで6 1/2桁表示だと最小桁は10nVになるのでわずかなノイズでも変化する。仕様上では200〜300カウントは変化するということなので下3桁(1uV以下)はノイジーであっても致し方が無い。

ということで基準電圧の安定度は問題なかった。

PERFORMANCE TESTの結果も90day limitの範囲内に余裕で収まっていた。
webadm
投稿日時: 2008-5-5 23:20
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
Math機能
普段使わないけどHPのデジタルマルチメーターにはMath機能という演算機能がある。

交流回路の測定実験とかで表示値がノイジーに変化するような場合には、複数回測定してその平均値を得たいところ。これを自動的にやってくれる。

同様に増幅回路やアッテネーターなどの交流回路でdB値やdBm値を得たい場合にも自動的にそれを計算して表示してくれる。

あとは工場の製造ラインで良く使われる合否判定。上下限のリミット値を設定すると自動的に合否判定をしてくれる。このため製造ラインでは沢山のデッキトップ型デジタルマルチメーターが検査装置として組み入れられている。

そのほか規定値との誤差の計算とか比率の計算とかもHP3455A以降からできるようになっている。マイコンを搭載してこれらが可能になった。

古いHP3455Aのサービスマニュアルも要望が多かったのかAgilentのHPで公開されるようになった。機能的にはHP3456Aと同じだけどもマイクロコントローラーはALUを内蔵しないAMD製の謎のビットスライスシーケンサーだし、ALUは外付け回路になっていた。SRAMは初期の4ビット幅1Kbit RAMが2つ、コントローラーにはメモリバスは無くペリフェラルとしてSRAMをアクセスするための回路が外部に用意されていた。シーケンサーなのでしかたがない。これでは将来の拡張性に不安があるし、部品数も減らないのでHP3456AからMC6800系に大幅変更になっている。アナログ回路はだいたい仕組みは同じ。回路図とかが圧縮率が高すぎて不鮮明なのが残念。HP3456AのものもAglientで公開されているものはやはり不鮮明で、BAMAに高解像度版があったおかげで助かった。

HP3457Aについても昔はAgilentのサイトに無かったが、後に要望が多くて掲載されていた。しかしサービスマニュアルの前半部しかなく、回路図が含まれていない。それを知る前に完全な状態のオリジナルのサービスマニュアルを入手したので助かっている。これもいずれスキャナーにとってBAMAに寄贈しようかな。

HP3457AはHP3456Aの進化版でメインコントローラーはポピュラーな6809を採用しぐっとコンパクトに。アナログ回路は主要ブロックがハイブリットIC化されこちらもコンパクト化に多いに貢献。更にそれまで熟練と時間を要していた調整作業が半自動化され、基準器をとっかえひっかえつなぐだけで、最終的なオフセットや直線性補間は数値がバッテリバックアップされたSRAMに記憶される。OPアンプとかのオフセット電圧調整はDAC回路に置き換えられソフトウェアによって調整時に決定した電圧に設定されるようになっている。いわゆる基板から調整箇所を無くした最初のタイプ。各測定レンジ毎に予め正しい値がわかっている標準器を用意しておけばサービスマニュアルにある手順通りにやれば調整が短時間で終わる。

測定部のA/D変換回路とメインコントローラーはノイズが伝搬しないように電源とグランドが完全に分離されているものの、互いに信号をやりとりしている。HP3456Aの場合、パルストランスによるカップリングを介してHP-ILのようなシリアル伝送技術が使用されており回路的にも興味深いものがある。HP3457Aからはシリアル伝送だがカップリングがフォトカプラによるアイソレーションに置き換わっている。

今回修理したHP3457Aは電圧測定は問題無いが、抵抗測定に難があることが判明。入力端子をショートした状態で0Ωではなくマイナスの値が表示される。マイナス側にオフセットがあるのは確か。下2桁ぐらいのわずかな値だけどプラスの値なら許せるもののマイナスだとちょっと気にくわないかも。それ以外は値が狂っているわけではなさそう。

P.S

HP3456Aの頃までは電流測定機能は備わっていませんが測定対象回路に電流測定用抵抗を挿入しその電圧降下を測定し挿入抵抗値と測定電圧の比をMath機能で演算して表示することによって立派に電流計として機能します。ただ面倒なのでHP3457Aからは電流測定用抵抗を内蔵して電流測定機能も追加されました。

それとHP3457Aにはデータ収集機能も付いていてオプションのリレーユニットを内蔵させると複数のチャネルを自動的にスキャンして測定することもできる。これは同時に発売されていたシリーズもののHP3488Aスイッチコントローラーの一部を取り入れたようなもの。当時からこうしたシステム計測需用が多かったことがうかがわれる。ほとんどは19インチラックとかに収納されて高精度な自動計測システムに使われていたのだろう。
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