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webadm
投稿日時: 2007-11-13 5:37
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
交流回路理論ことはじめ
電気回路の学習カリキュラムはどこもだいたい

・直流回路
・正弦波交流回路
・回路網解析
・三相交流回路
・非正弦波交流
・分布定数回路
・過渡現象

というような順番で、現実問題を扱う難易度の高い最後の3つは最後に教わることになる。それ以前のものは電気回路理論発展の歴史を追体験するのと現実の回路を近似的な数学モデルとして扱うスキルを身につけることを主としている。

そもそも電気が人類に発見されたのは大変古く。琥珀を毛皮とかでこすると静電気が発生し毛とかが吸い寄せられる現象が古くから知られていた。しかし電気は電気でも静電気なので雷とかと一緒で実用にはならず、注目されたのはボルタが電池という最初の人工的な電源を発明してからになる。電気の原理についての解明は後の物理学や電磁気学、量子力学の発展を待つしかなかった。

それ以降は電池が唯一の電源の時代が長く続き、様々な電気、電磁気現象が発見されていくと、遂に動力を電気に変換する発電機が発明された。同時期に電磁誘導で電気を動力に変換する発見もあったが、もっぱら水力や火力による蒸気機関の回転エネルギーを電力に変換する技術が開発されるに居たり、ようやく大容量の電源が得られ、電気動力装置も発展していった。

長らく電池の時代が続いたので、最初に実用化された発電機はやはり直流発電機であった。直流といっても電磁石の中を鉄心コイルを回転させると正弦波交流が発生するが、整流子という円筒を180度でまっぷたつに切ったような接点に両端から黒鉛ブラシを押しつけて180度回るたびにコイルの接続をひっくり返す仕組みを使って正極性のみの電流(脈流)を取り出すという方法がとられていた。直流発電機は今の模型用モーターとかと原理は同じで、回転をしていない状態でブラシに直流電源をつなぐと回転することからそのまま動力源としても使えた。

初期の時代には直流発電機による電力供給だった。しかし次第に交流を利用する技術が次々と開発されるにつれて商用電源や動力源は交流が主流となっていった。日本でも最初に開始された電力供給は直流だった。産業の発展と共に電力需要は鰻登りとなり、交流から直流へ整流する整流管や半導体素子が登場するに居たり直流は電力供給の脇役となっていった。

電気の発展の歴史の中で真空管の発明や半導体の発明をきっかけに電子デバイス技術が急速に発展していった。ここでも電気回路の理論が基礎となり、電子デバイスを使用した回路は電子回路と区別されるようになった。

電気回路理論は直流や交流を利用するための実学であり、電子回路は電子デバイスを利用するための実学である。

どちらも電気が何かとかに関しての原理的な部分は扱わない。これらは量子力学や物理学、電磁気学という範疇になる。

電気回路理論と電子回路理論は量子力学や電磁気学と数学によって支えられていると言ってもよい。従って真に電気や電子を極めようと思ったら支えている方についても勉強する必要がある。

電気というと現代では交流回路を意味する程。実際に普段生活でも商用電源は交流電源だ。電気工事士とかの試験に出る問題もほとんど交流回路だ。普段扱うのが交流だから仕方がない。

最初から交流から勉強すればいいのかもしれないが、ハードルがやや高すぎるので歴史にそって直流をかじってから交流に進むのが良いとされているように見える。

交流回路というのは時間によって電圧や電流が変化する回路という広い意味であるが、任意の波形の交流を扱うのはハードルが高いので後回しにして、最初は理想的な正弦波交流だけを扱う。

正弦波というと数学のsin,cosとか三角関数で表すことが出来るので数学的に扱うことが可能である。またしても数学の壁が。

昔学生時代に寮に入れられた時に寮の先輩から最初の夏にある怪談話を聞かされた。それは今は利用されていないある部屋から時々「sin, cos...わかんねー」という声が聞こえてくるというもの。それはかつて三角関数が理解できなくて悩んで自殺した寮生の幽霊だという話。

そんな怪談話のネタになるほど三角関数は工学系学生には避けて通れない数学。簡単に見えて、結構面倒だったり、いろいろな公式があってどれも自分で導きだせないと身につかない。それに三角関数は数値的に扱うのが大変面倒である。数学的にも微分や積分を扱うとなるとまたやっかい。

電気の歴史では数学的な三角関数で交流電圧や電流をモデル化するよりも、複素平面上の回転するベクトル(フェーザー)で表した方が演算が楽だということですぐにベクトル表記が主流になった。なので最初は歴史的に三角関数で学び、面倒くささがわかったらベクトル記法を使った本格的な理論を学ぶという順番になる。ベクトル記法だと掛け算や割り算は極座標上での座標変換になるので演算が容易である。だが数学的な意味を知らないとちんぷんかんぷんな式を目にすることになるので、数学のバックグランドは不可欠。

さて始めることにしよう。

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題名 投稿者 日時
 » 交流回路理論ことはじめ webadm 2007-11-13 5:37

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