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webadm | 投稿日時: 2007-5-10 14:34 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3068 |
ロータリースイッチアセンブルを分解した あまり中途半端にばらして放置しても気がかりになるだけなので今夜とうとう禁断のロータリースイッチアセンブルを分解開始。
機構部品数が多いので床に落としたり無くさないように手持ちのステンレス製トレイ(昔もやし栽培用に使っていたもの)を見つけ出してそれの中で分解することに。これまで机の上で細かいパーツを何度床とかに落として行方知れずになった苦い経験からである。すぐ買えるチップ部品とかならいいけど、代替品が無いものに関しては無くしたら最後なので念には念を入れる。 分解方法はサービスマニュアルの鳥瞰図を見てもなかなかわからない。なるべく分解する部分を少なくした方があとで組み立ての手間が少なくてする。なので外す部品やネジは最小限に。 結局ネジはすべて外し、可変抵抗器の軸を止めているロックワッシャーを外し、2つのロータリースイッチの軸に止めてある2つの歯車を外すことで問題の接点部分のついたローターを取り外すことができた。 分解途中でやはり外れかけていたもう一個の接点が脱落した。最終的に円盤部分を取り外してみたら残る1個の接点も虫の息で樹脂の突起が破断して脱落寸前だった。 その次の瞬間残酷にもその接点も脱落してトレイの中に落ちた。 バンド切り替えスイッチがこうも壊れているのだから他の同様のスイッチもやばいのではないだろうかと心配になってルーペで確認してみた。 これが驚愕の新事実に光を当てる結果に。他の2つのロータリースイッチの接点はまったくもって問題なかった。より細部まで様子を見ると壊れてしまったスイッチと様子が異なっていることがわかった。 接点が脱落してしまったスイッチの方は接点の根本部分を水平方向で支えるガイド部分が整形された時のままの状態であるのに対して、接点が今も無事な他のスイッチでは一部溶けたように変形しているのが見える。ルーペで拡大して良くみると、それは意図的に接点の根本の板部分を上から押さえつけるように一部が溶接されているようだ。壊れてしまった方にはそれが無い。これが無いと接点の根本部分には接点の接触部分にかかる応力がてこの原理で増幅され大きな力が根本を引き起こす方向に作用する。 ガイドを一部溶かして接点の根本部分を押さえるようにすることで接点を固定している樹脂突起に引っ張り応力がかかるのを未然に防止していたのである。 ということは壊れてしまったスイッチは製作時にそれらの処置が施されていなかった製造不良ということになる。本来施されていれば今もまったく問題なく機能していたはずが、パーツ製造時に人手によるそれらの重要な処置が忘れられてしまって世界中に沢山の故障したHP8640Bを生み出す結果になったと言える。 誰も明らかにしなかった原因にまでたどりついてしまった。 さて、問題の修理方針だが、ロータリースイッチの円盤部分はちょうど180度反対方向に使用されていない(予備?)同じ形状の突起部分がある。つまり180度まわせばまだ無傷の樹脂突起があり接点を製造時と同じように固定することができる。もともとの部分は突起が破断してしまっているので正確な位置に脱落した接点を固定するのは難しいものがある。 たぶん半田鏝とかで他の正常なスイッチと同じようにガイドを溶かして根本を押さえつけるようにすれば十分なのかもしれないが、顕微鏡的な作業になるのでうまく出来るか自信がない。なのでエポキシ樹脂で念のために固定することにする。 その前にエポキシ樹脂が接着するように汚れを洗浄しておかないといけない。基板洗浄剤を吹き付けて乾燥させた。 次に脱落した接点にまだ破断した樹脂突起の先端がくっついているのでそれをルーペで見ながらカッターナイフの先で引っかけて取り除く。そうしないと新しい方のローターの樹脂突起にはまらない。 そして3つの接点を新しい方のローターの所定の位置の樹脂突起にはめ込む。この段階ではゆるゆるで製造時にはおそらく突起部分をリベットの様に熱で少し変形させて接点を固定していたのだろう。実際接点の突起部分は丸くつぶれた形をしていた。本来は更にとなりにあるガイド部分を熱で変形させてテコの先端部分を押さえ付けるようにするはずだったのだろうけど作業者がずるをしたか忘れたかで非常に弱い部分で接点をローターに固定しているだけの状態で沢山のHP8640Bが出荷されていったと思われる。身から出た錆びをは言え、ほんの些細な怠慢や配慮の欠如が製品の寿命を早めてしまうという典型例である。まったくもって残念なことである。 実はもう片方のスイッチの接点に指で触れるとがたついているのが判明した。こちらはちゃんと根本がガイドで押さえつける処理が施されているが実は不十分でテコの先端が浮いていた。これも時間の問題で突起部分が破断することになるだろう。なので補強としてエポキシ樹脂を塗布して固定することにした。 硬化するまで十分時間をおかないといけないが30分ぐらい経過した時点で接点を指で触れても以前のようながたつきは見られなかった。少しエポキシ樹脂の量が多すぎて余計なところにも流れてしまったが問題ないだろう。 問題の接点が脱落した方のスイッチの方は、ピンセットの先のようなもので接点の根本部分を押さえながらハンダ鏝で樹脂突起部分を溶かしてつぶして仮固定。本当はリベットをつぶすような感じの器具で押しつぶすのだろうけどそんなものは無い。それとガイド部分の樹脂もハンダ鏝で一部溶かして接点の根本部分のテコの先端となるところを押さえるように整形してだいぶ落ち着く。その状態でしっかり固定されるようにエポキシ樹脂を塗布して完成。これを完全に硬化するまで放置した後くみ上げてみることにしよう。 残りもう一つのスイッチも心配ではあるが現状しっかり接点の根本が固定され浮き上がっていないので良しとする。これ以上分解すると元に戻せるかどうか自信が無いのもある。 |
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