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webadm | 投稿日時: 2008-5-10 10:38 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3083 |
交流回路 ベクトル記号法に続いていよいよ交流回路の初歩へ。
これまでは正弦波交流とR,L,Cの3つの素子を伴った回路を扱ってきたけれども、現実の電子回路で不可欠な共振回路や相互誘導回路(トランス)を学ぶことに。 共振回路はR,L,Cを組み合わせたもので既に扱っていたが、共振回路特有の性質についてまでは踏み込んでいなかった。 おさらいすると、直列共振回路のインピーダンスは Z=R+jωL+1/(jωC) =R+j*(ωL-1/(ωC)) 流れる複素電流は I=|E|/Z =|E|/(R+j*(ωL-1/(ωC))) =|E|*(R-j*(ωL-1/(ωC)))/((R+j*(ωL-1/(ωC)))*(R-j*(ωL-1/(ωC)))) =|E|*(R-j*(ωL-1/(ωC)))/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2) =|E|*R/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)-j*|E|*(ωL-1/(ωC))/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2) 実効値は |I|=sqrt(|E|^2*R^2/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)^2+|E|^2*(ωL-1/(ωC))^2/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)^2) =|E|*sqrt(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2) =|E|/sqrt(R^2+(ωL-1/(ωC))^2) この時 ωL-1/(ωC)=0 なるωの時にインピーダンスは最小となり最大の電流が流れるのは既に学んだ。 この時のωを共振周波数ω0とすると、それぞれの素子の電圧降下は ER=R*|I|=R*|E|/sqrt(R^2)=|E| EL=jω0L*|I|=jω0L*|E|/sqrt(R^2)=jω0L*|E|/R EC=(1/jω0C)*|E|/sqrt(R^2)=-j*|E|/(ω0CR) ここで Q=ω0L/R=1/ω0CR とすると EL=jQ*|E| EC=-j*Q*|E| と表すことができる。Qは共振の鋭さと言われる。 QはもともとはQualityの頭文字からとったのだと思われるが、著者はそれについては触れていない。このあたりは第二次世界大戦とかの時代と歴史が重なるので振れたくない部分かもしれない。 戦前日本ではどのようにこの概念が認識され教えられていたのかについては興味深い。 電子回路の世界ではQも良く使われるが、その逆数であるtanδのほうが良く見かける。 ベクトル図で表すとRLC直列共振回路のQとtanδは という関係になる。直列回路ではtanδは抵抗をリアクタンスで割ったものである。 著者はまたQの別定義も与えている。 Q=f0/(f2-f1) 電流が共振時の1/√2(3dB低下)となるときの周波数を上下f1,f2とした場合に共振点の周波数f0とからQがこのように表されるとしている。 これはアドミッタンスのグラフで見た場合の山の高さの鋭さと直感的に一致する。 次ぎにRLC並列共振回路について同様にQの定義を考えてみる。 並列回路の場合はアドミッタンスを計算すると簡単なので Y=G+1/jωL+jωC =G+j*(ωC-1/ωL) 従って ωC-1/ωL=0 なるωではアドミッタンスが最小(G)になり、これを並列共振点という。直列共振とは逆にインピーダンスが最大になるので反共振点と区別することもある。 直列共振回路と同様にベクトル図でQとtanδを表すと。 tanδは並列回路では常にコンダクタンスをサセプタンスで割ったものである。並列共振回路ではサセプタンスとコンダクタンスのほうが表し易いので、抵抗で割るということはコンダクタンスを乗じる表現となる。従ってリアクタンスにコンダクタンスを乗じたのがtanδということになる。Qは常にその逆数である。 ω0は ω0C-1/ω0L=0 から ω0^2=1/LC ∴ω0=1/√LC 従ってQの式に代入すると Q=f0/(f2-f1)=ω0C/G=1/ω0LG =C/(G*√LC)=√LC/LG =(1/G)*√(C/L) ということになる。 tanδは損失正接、誘電正接、誘電損失、損失係数とかいろいろな名前で呼ばれているが、LCRメーターでtanδを意味するDやその逆数であるQとして計測することができる。一般にコンデンサではtanδをインダクタではQを測定する。 |
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