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webadm | 投稿日時: 2008-6-3 10:57 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
【11】RLC直列回路の出力電圧 一問一問立ち止まって足踏みしている状態が続いている。なかなか100問近くが終わるまで時間がかかりそうである。まったり行こう。
Cのみを可変して一定の周波数と電源電圧を加えてCの両端の電圧ECが最大値を求めよというもの。 一瞬電流が最大値になればいいのではと思って共振点の問題かと思ったが、実はそう簡単ではなかった。 回路に流れる電流は I=|E|/(R+j(ωL-1/(ωC))) =|E|*(R-j(ωL-1/(ωC)))/((R+j(ωL-1/(ωC)))*(R-j(ωL-1/(ωC)))) =|E|*(R-j(ωL-1/(ωC)))/(R^2+(ωL-1/(ωC))^2) 従ってECは EC=I*(1/(ωC)) =|E|*(R-j(ωL-1/(ωC)))/((ωC)*(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)) 実効値では |EC|=|E|*sqrt(R^2/((ωC)*(R^2+(ωL-1/(ωC))^2))^2+(ωL-1/(ωC))^2/((ωC)*(R^2+(ωL-1/(ωC))^2))^2) =|E|*sqrt((R^2+(ωL-1/(ωC))^2)/((ωC)*(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)) =|E|/((ωC)*sqrt(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)) ということになる。これはどういう式なのだろう? 二次曲線であることは確かだがインピーダンスとの関係はどうなるのだろう? 実際にCを可変した時のECと回路に流れる電流(アドミッタンス)をプロットしてみた。電源電圧は1Vで正規化してあるが、電流はスケールを合わせるために100倍している。 するとECには顕著なピークが存在する。電流にも共振点でのピークが存在するがそれとは一致していないことが明らかである。 興味深いことにECの最大値は電源電圧よりも大きい。 複素電圧ECの軌跡を最初図に描こうとしたが以下の理由で挫折した。 ・ECのベクトルは回路のインピーダンスの逆数に容量性リアクタンスのベクトルを乗じて電源電圧でスケール倍したものとなる ・容量性リアクタンスはCを0から増加するにつれ負の∞から0へと向かうベクトル軌跡を描く。 ・ベクトルの乗算は座標軸の回転とスケーリングであるが、掛け合わせるベクトルの長さが変化するのでスケールも変化する ・従ってRLC回路のCのみを変化させたインピーダンスの逆数の軌跡は円弧を描くが、それにCを変化させた容量性リアクタンスのベクトルを乗じたベクトルの軌跡は90度座標軸を回転しなおかつCの変化に応じてスケーリングが変化する ・ちょっと短時間では作図できそうもない 従って、素直にECの実効値が最大となる点を極値解析によって求めることにする。 |EC|=|E|/((ωC)*sqrt(R^2+(ωL-1/(ωC))^2)) これをCで微分すると、 (%i1) E/((o*C)*sqrt(R^2+(o*L-1/(o*C))^2)); (%o1) E/(o*C*sqrt(R^2+(o*L-1/(o*C))^2)) (%i2) diff(%,C); (%o2) -E/(o*C^2*sqrt(R^2+(o*L-1/(o*C))^2))-(E*(o*L-1/(o*C)))/(o^2*C^3*(R^2+(o*L-1/(o*C))^2)^(3/2)) (%i3) factor(%); (%o3) -(o*abs(o)*abs(C)*E*(C*R^2+o^2*C*L^2-L))/(C*(o^2*C^2*R^2+o^4*C^2*L^2-2*o^2*C*L+1)^(3/2)) d|EC|/dC=-ω^2*C*|E|*(C*R^2+ω^2*C*L^2-L)/(C*(ω^2*C^2*R^2+ω^4*C^2*L^2-2*ω^2*C*L+1)^(3/2)) ということになり、|EC|の最大値を取るは分子が0となる条件 C*R^2+ω^2*C*L^2-L=0 を満たす時であるので、この式をCに付いて解くと (%i4) solve([C*R^2+o^2*C*L^2-L], [C]); (%o4) [C=L/(R^2+o^2*L^2)] 従って C=L/(R^2+(ωL)^2) ということになる。 これを先の|EC|の式に代入すると最大値が得られることになる。 (%i5) subst(L/(R^2+o^2*L^2), C, E/(o*C*sqrt(R^2+(o*L-1/(o*C))^2))); (%o5) (E*(R^2+o^2*L^2))/(o*L*sqrt((o*L-(R^2+o^2*L^2)/(o*L))^2+R^2)) (%i6) factor(%); (%o6) (abs(o)*E*abs(L)*sqrt(R^2+o^2*L^2))/(o*L*abs(R)) 従って |ECmax|=ω*|E|*L*sqrt(R^2+ω^2*L^2)/(ω*L*R) =|E|*sqrt(R^2+ω^2*L^2)/R =|E|*sqrt(1+(ωL/R)^2) ということになる。この式からも|ECmax|が電源電圧|E|を超えることが明らか。 これらの式を先のグラフを描いた時の回路に適用してみると、 C=L/(R^2+(ωL)^2) =(10*10^-3)/(100^2+(2π*1000*10*10^-3)^2) =7.169*10^-7 [F] =0.7169 [uF] |ECmax|=1*sqrt(1+(2π*1000*10*10^-3/100)^2) =1.18 [V] ということになりどちらもグラフと良く一致している。 |
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