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webadm | 投稿日時: 2009-8-22 7:06 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3082 |
【13】ひずみ波の電流 次ぎの問題は図にあるようなひずみ波の電源をLC並列回路につないだ場合に流れる電流を求めよというもの。
理論の時に導いたはずのひずみ波の実効電流の公式などすっかり忘れてしまっているので、おさらいしてみよう。 基本的にひずみ波の回路解析は重ね合わせの理を使用する。 題意では以下の起電力を持つ電源 e(t)=E1*sin(ωt)+E3*sin(3ωt+θ) をLC並列回路につないだ場合に、流れる電流を求めよというもの。 異なる周波数の交流電源が直列につながっていると考えればそれぞれの電源だけがつながった回路を重ね合わせればよいことになる。 基本波のみの場合に流れる電流の瞬時値は e1=E1*sin(ωt) i1L=∫(e1/L)dt =∫(E1*sin(ωt)/L)dt =(E1/L)∫sin(ωt)dt =(E1/L)*(-cos(ωt)/ω) =-E1*cos(ωt)/ωL i1C=C*de/dt =C*d(E1*sin(ωt))/dt =ωC*E1*cos(ωt) 従って基本波のみの場合に全体を流れる電流は i1=i1L+i2C =E1*cos(ωt)*(ωC-1/ωL) 一方第三高調波のみで流れる電流の瞬時値は e3=E3*sin(3ωt+θ) i3L=∫(e3/L)dt =∫(E3*sin(3ωt+θ)/L)dt =(E3/L)∫sin(3ωt+θ)dt =(E3/L)*(-cos(3ωt+θ)/3ω) =-E3*cos(3ωt+θ)/3ωL i3C=C*de/dt =C*d(E3*sin(3ωt+θ)/dt =C*E3*d(sin(3ωt+θ)dt =C*E3*(3ω*cos(3ωt+θ) =3ωC*E3*cos(3ωt+θ) 従ってLとCを流れる電流の瞬時値はそれぞれ iL=i1L+i3L =-E1*cos(ωt)/ωL-E3*cos(3ωt+θ)/3ωL =-(E1*cos(ωt)/ωL+E3*cos(3ωt+θ)/3ωL) iC=i1C+i3C =ωC*E1*cos(ωt)+3ωC*E3*cos(3ωt+θ) =ωC*(E1*cos(ωt)+3*E3*cos(3ωt+θ)) 従ってLとCを流れるそれぞれの電流の実効値は |iL|=sqrt((1/T)∫iL^2dt) =sqrt((1/T)∫(-(E1*cos(ωt)/ωL+E3*cos(3ωt+θ)/3ωL))^2dt) =sqrt((1/T)∫(E1^2*cos(ωt)^2/ω^2L^2+E3^2*cos(3ωt+θ)^2/9ω^2L^2+2*E1*E3*cos(ωt)*cos(3ωt+θ)/3ω^2L^2)dt) =sqrt((1/T)*((E1^2/ω^2L^2)∫cos(ωt)^2dt+(E3^2/9ω^2L^2)∫cos(3ωt+θ)^2dt+(2*E1*E3/3ω^2L^2)∫cos(ωt)*cos(3ωt+θ)dt)) =sqrt((1/T)*((E1^2/ω^2L^2)∫(cos(0)/2+cos(2ωt)/2)dt+(E3^2/9ω^2L^2)∫(cos(0)/2+cos(6ωt+2θ)/2)dt+(2*E1*E3/3ω^2L^2)∫(cos(-2ωt-θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =sqrt((1/T)*((E1^2/ω^2L^2)∫(1/2+cos(2ωt)/2)dt+(E3^2/9ω^2L^2)∫(1/2+cos(6ωt+θ)/2)dt+(2*E1*E3/3ω^2L^2)∫(cos(2ωt+θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =sqrt(E1^2/2ω^2L^2+E3^2/18ω^2L^2) =(1/√2)*sqrt(E1^2/ω^2L^2+E3^2/9ω^2L^2) =(1/√2ωL)*sqrt(E1^2+E3^2/9) |iC|=sqrt((1/T)∫iC^2dt) =sqrt((1/T)∫(ωC*(E1*cos(ωt)+3*E3*cos(3ωt+θ)))^2dt) =sqrt((1/T)∫(ω^2C^2*(E1^2*cos(ωt)^2+9*E3^2*cos(3ωt+θ)^2+6*E1*E3*cos(ωt)*cos(3ωt+θ))dt) =ωC*sqrt((1/T)*(E1^2∫cos(ωt)^2dt+9*E3^2∫cos(3ωt+θ)^2dt+6*E1*E3∫cos(ωt)*cos(3ωt+θ)dt)) =ωC*sqrt((1/T)*(E1^2∫(cos(0)/2+cos(2ωt)/2)dt+9*E3^2∫(cos(0)/2+cos(6ωt+2θ)/2)dt+6*E1*E3∫(cos(-2ωt-θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =ωC*sqrt((1/T)*(E1^2∫(1/2+cos(2ωt)/2)dt+9*E3^2∫(1/2+cos(6ωt+2θ)/2)dt+6*E1*E3∫(cos(2ωt+θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =ωC*sqrt(E1^2/2+9*E3^2/2) =(ωC/√2)*sqrt(E1^2+9*E3^2) ということになる。 また第三高調波のみで全体を流れる電流は i3=i3L+i3C =-E3*cos(3ωt+θ)/3ωL+3ωC*E3*cos(3ωt+θ) =E3*cos(3ωt+θ)*(3ωC-1/3ωL) 従って全体を流れる電流の瞬時値は上記の重ね合わせで i=i1+i3 =E1*cos(ωt)*(ωC-1/ωL)+E3*cos(3ωt+θ)*(3ωC-1/3ωL) ということになる。 全体を流れる電流の実効値は |i|=sqrt((1/T)∫i^2dt) =sqrt((1/T)∫(E1*cos(ωt)*(ωC-1/ωL)+E3*cos(3ωt+θ)*(3ωC-1/3ωL))^2dt) =sqrt((1/T)∫(E1^2*cos(ωt)^2*(ωC-1/ωL)^2+E3^3*cos(3ωt+θ)^2*(3ωC-1/3ωL)^2+2*E1*cos(ωt)*(ωC-1/ωL)*E3*cos(3ωt+θ)*(3ωC-1/3ωL))dt) =sqrt((1/T)*(E1^2*(ωC-1/ωL)^2∫cos(ωt)^2dt+E3^2*(3ωC-1/3ωL)^2∫cos(3ωt+θ)^2dt+2*E1*E3*(ωC-1/ωL)*(3ωC-1/3ωL)∫cos(ωt)*cos(3ωt+θ)dt)) =sqrt((1/T)*(E1^2*(ωC-1/ωL)^2∫(cos(0)/2+cos(2ωt)/2)dt+E3^2*(3ωC-1/3ωL)^2∫(cos(0)/2+cos(6ωt+2θ)/2)dt+2*E1*E3*(ωC-1/ωL)*(3ωC-1/3ωL)∫(cos(-2ωt-θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =sqrt((1/T)*(E1^2*(ωC-1/ωL)^2∫(1/2+cos(2ωt)/2)dt+E3^2*(3ωC-1/3ωL)^2∫(1/2+cos(6ωt+2θ)/2)dt+2*E1*E3*(ωC-1/ωL)*(3ωC-1/3ωL)*∫(cos(2ωt+θ)/2+cos(4ωt+θ)/2)dt)) =sqrt(E1^2*(ωC-1/ωL)^2/2+E3^2*(3ωC-1/3ωL)^2/2) =(1/√2)*sqrt(E1^2*(ωC-1/ωL)^2+E3^2*(3ωC-1/3ωL)^2) ということになる。 間違いを犯し易いのはLとCに流れる電流の実効値の合計が全体を流れる電流の実効値と考えてしまいがちな点。実効値は定義上あくまで瞬時値から二乗平均として求めなければならない。重ね合わせの理が有効なのは瞬時値だけである。 著者の解では最初に個々の電源単独での電流の実効値を求めたものの、それをひずみ波の実効値の式に適用すると誤った解になってしまうのに気づいて、途中でLとCを流れる電流は位相が180°異なるというもっともらしい理由から別の電流の実効値の式を持ち出してきてそれに基づいてひずみ波の実効値の公式にあてはめて最終的な結果を得ている。いささか結論が先にあって、それに合うような個々の電源に関する電流実効値の式をでっち上げたとも見える。 それに第三高調波の電圧の式に誤記がある。本来は e3=E3*sin(3ωt+θ) とあるべきところが e3=E3*sin(ωt+θ) となっている。 |
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