フラット表示 | 前のトピック | 次のトピック |
投稿者 | スレッド |
---|---|
webadm | 投稿日時: 2009-10-4 1:11 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
【75】理想低域フィルタのステップ応答 次ぎの問題は前問のフィルタに単位ステップ入力を与えた場合の時間領域応答を求めよというもの。
これも著者の解とは違った方法で解いてみよう。 既に前問で理想低域フィルタの周波数領域伝達関数が与えられているので、単位ステップ関数のFourier変換とその伝達関数の積が出力のFourier変換になるので、それを逆Fourier変換すれば時間領域でのステップ応答が得られるはず。 単位ステップ関数のFourier変換は以前の問題ですでにやった通り F(ω)=πδ(ω)+1/jω また理想低域フィルタの伝達関数は H(ω)=exp(-jω*t0) |ω|<πB =0 |ω|>πB 従ってステップ入力に対する時間軸応答は y(t)=(1/2π)∫H(ω)F(ω)*exp(jωt)dω (ω=-∞,+∞) =(1/2π)∫exp(-jω*t0)*(πδ(ω)+1/jω)*exp(jωt)dω (ω=-πB,+πB) =(1/2π)∫(πδ(ω)+1/jω)*exp(jω(t-t0))dω =(1/2π)(∫πδ(ω)*exp(jω(t-t0))dω+∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω) =(1/2π)(π*exp(0)+∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω) =1/2+(1/2π)∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω こっからどうすんだこれ? 第二項目の積分式を変形すると y(t)=1/2+(1/2π)∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω (ω=-πB,πB) =1/2+(1/2π)∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω (ω=-πB,0) +(1/2π)∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω (ω=0,πB) =1/2+(1/2π)∫(1/-jω)*exp(-jω(t-t0))dω (ω=0,πB) +(1/2π)∫(1/jω)*exp(jω(t-t0))dω (ω=0,πB) =1/2+(1/2π)∫(1/jω)(exp(jω(t-t0))-exp(-jω(t-t0)))dω (ω=0,πB) =1/2+(1/2π)∫(2*sin(ω(t-t0))/ω)dω (ω=0,πB) =1/2+(1/π)∫(sin(ω(t-t0))/ω)dω (ω=0,πB) ここで ω=x/(t-t0) と積分変数変換すると dω/dx=1/(t-t0) ∴dω=(1/(t-t0))dx これを代入すると y(t)=1/2+(1/π)∫(sin(x)/x)dx (x=0,πB(t-t0)) ということになる。ふう、やっと形になった。 しかしこれどうやってプロットするんだ、このままの式でMaximaに食わせたら永遠と応答が返ってこないんだが(;´Д`) 積分式を展開していっても永遠に最後の積分項が無くならないし(;´Д`) どうやらこれは正弦積分関数といって初等関数で表すことのできない特殊関数になるらしい。 いろいろな本には波形が描いてあるが、どうやってプロットしたのだろう。昔の人は手で計算したのか? この数値計算方法だけで論文が書けるらしい。 ようやくみつけた級数の近似式でB=1,t0=1としてプロットしてみた wxplot2d([1/2+(1/%pi)*sum(((-1)^(k))*((%pi*(t-1))^(2*k+1))/((2*k+1)*(2*k+1)!), k, 0, 100), simpsum], [t,-5,5])$ 入力はt=0から立ち上がる単位ステップ関数だが、t=0で既に出力が出ていてそれ以前からも変化しているのは因果律に反する。これだけ労力(かなり高次項まで計算しないと|t|が大きくなるにつれ誤差が急拡大する)をかけてプロットしても現実にはあり得ない波形ということになる。不連続点(t0=1)前後にはGibbs現象によるアンダーシュートとオーバーシュートが見られる。それでも畳み込み積分、伝達関数、フィルタリングなどの共通概念を理解するのに役立つ。 このため連続時間系システムの過渡応答解析に用いられるのはもっぱらFourier変換ではなくラプラス変換になっている。ラプラス変換はt<0を扱わないため因果律を満たすためである。後にラプラス変換で同じようなことを勉強するはめになる。 |
フラット表示 | 前のトピック | 次のトピック |
投稿するにはまず登録を | |