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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2010-4-20 9:55
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
【19】またまた:リアクタンス回路
これでリアクタンス回路の問題は最後。

以下の回路図で示されているリアクタンス回路と等価な回路をそれぞれ3つずつ示せというもの。



与えられているのは第一Foster展開形のリアクタンス回路。したがって第二Foster展開形と第一と第二のCauer展開形の3つに展開し直せば良いことになる。

回路から関数式を起こして展開し直してもよいが、回路素子の定数は問われていないのでその必要はない。第一Foster展開形と第二Foster展開形は互いに双対回路なので、並列と直列、インダクタンスとキャパシタンスが一対一で対応するのでそれでもよい。

また第一Foster展開形と第二Foster我々は既に理論でFoster展開に関してω=0,∞が零点か極かの組み合わせによって回路の形が決まることを学んでいる。

引用:
これらのことから、Foster第一形式は以下の4ケースに分類される。

\begin{array}<br />Case & \omega=0 & \omega=\infty & C_0 & L_\infty\\<br /> 1 & pole & pole & present & present\\<br /> 2 & zero & zero & short-circuited & short-circuited\\<br /> 3 & pole & zero & preset & short-circuited\\<br /> 4 & zero & pole & short-circuited & presetnt<br />\end{array}

同様のことがFoster第二形式についてもあてはまる。

\begin{array}<br />Case & \omega=0 & \omega=\infty & L_0 & C_\infty\\<br /> 1 & pole & pole & present & present\\<br /> 2 & zero & zero & absent & absent\\<br /> 3 & pole & zero & preset & absent\\<br /> 4 & zero & pole & absent & presetnt<br />\end{array}

また、Foster第一形式と第二形式は互いに逆の関係にあるので、同じ等価回路で一方が極をとるときその逆数は零点となり、その逆も真なりで、以下の対応関係が存在する。

\begin{array}<br />first Foster form & second Foster form\\ 1 & 2\\ 2 & 1\\ 3 & 4\\ 4 & 3\end{array}



問題の回路はω=0に零点、ω=∞に極を持つので、第一Foster形のcase 4に該当する。第二Foster形では零点と極が逆になるcase 3が等価対応する形となる。従って回路図に描くと



ということになる。

一方Cauer展開に関しても同様に以下のことを既に知っている。

引用:

第一Cauer形の場合

\begin{array}<br />Case & \omega=0 & \omega=\infty & First element & Last element\\ 1 & pole & pole & L & C\\<br /> 2 & zero & zero & C & L\\<br /> 3 & pole & zero & C & C\\<br /> 4 & zero & pole & L & L<br />\end{array}

第二Cauer形の場合

\begin{array}<br />Case & \omega=0 & \omega=\infty & First element & Last element\\<br /> 1 & pole & pole & L & C\\<br /> 2 & zero & zero & C & L\\<br /> 3 & pole & zero & C & C\\<br /> 4 & zero & pole & L & L<br />\end{array}

ということになる。


従って与えられた回路からω=0が零点、ω=∞が極である等価な第一Cauer展開形はLが直列、Cが並列接続され最初の素子と最後の素子が共にLとなり



ということになる。

同様に第二Cauer展開形はLが並列、Cが直列で最初の素子と最後の素子が共にLとなり



ということになる。

次ぎの回路は少々ひねってある。一見すると第二Cauer形に見えるが最後の素子が2つのCの直列になっている。



これはブービートラップみたいなひっかけで、教科書暗記式で問題に臨もうとするやからを排除するための問題である。

賢明な読者ならもうお分かりの通り、最後のC4とC5はキャパシタンスを直列に接続した合成キャパシタンスとして一個の等価Cと見なすことができる。従って第一素子がLで最終素子がCなので、第二Cauer形のcase 2に該当する。ω=0,∞が共に零点であることからもそれとわかる。

従って第一Cauer形ではLが直列接続、Cが並列接続となり第一素子がCで最終素子がLなので



ということになる。

同様に第一Foster展開でω=0,∞が共に零点であるcaseではC0,L∞が存在しないのでLC並列回路の直列接続のみとなり



ということになる。

第二Foster展開ではω=0,∞あ共に極となるcaseが対応するのでL0,C∞が共に存在し



ということになる。

ちょっと気になるのが、第一Foster形ではLC並列回路が2つあったのに、第二Foster形ではLC直列回路がひとつしか現れない点である。疑問に思われるのは当然であるので、確かめてみよう。

第一Foster形の回路からリアクタンス関数の式を起こすと

\begin{array}<br />Z(s)&=&\frac{1}{\frac{1}{s\,L_2}+s\,C_2}+\frac{1}{\frac{1}{s\,L_1}+s\,C_1}\\<br />&=&\left(\frac{C_1+C_2}{C_1 C_2}\right)\frac{s\,\left( {s}^{2}+\frac{L_1+L_2}{\left(C_1+C_2\right)L_1 L_2}\right) }{\left(s^2+\frac{1}{C_1 L_1}\right)\left(s^2+\frac{1}{C_2 L_2}\right)}<br />\end{eqnarray}

これを第二Foster形に展開するためにアドミッタンスの総和に部分分数展開すると

\begin{array}<br />Y(s)&=&\frac{1}{Z(s)}\\<br />&=&\left(\frac{C_1 C_2}{C_1+C_2}\right)\frac{\left(s^2+\frac{1}{C_1 L_1}\right)\left(s^2+\frac{1}{C_2 L_2}\right)}{s\,\left( {s}^{2}+\frac{L_1+L_2}{\left(C_1+C_2\right)L_1 L_2}\right) }\\<br />&=&\left(\frac{C_1 C_2}{C_1+C_2}\right)\left(s+\frac{C_1+C_2}{s\,C_1 C_2\left( L1+L2\right)\left(\right)}+\frac{s\,\left( {C2}\,{L2}-{C1}^\,{L1}\right)^2 }{C_1 C_2 L_1 L_2\left( L_1+L_2\right)\left(C_1+C_2\right)\,\left( {s}^{2}+\frac{L_1+L_2}{L_1 L_2\left(C_1+C_2\right)}\right) }\right)\\<br />&=&L_0 s+\frac{1}{C_\infty s}+\frac{1}{C_1 s+\frac{1}{L_1 s}}<br />\end{eqnarray}

ということで間違いではない。

良く考えれば当然だが、第三項は誘導性か容量性かどちらかのアドミッタンス値(正か負のいずれか)をとる。一方L0とC∞のアドミッタンスの総和も誘導性か容量性のいずれかのアドミッタンス値をとり、全部を足すとゼロになる条件が第三項が誘導性か容量性かによって2ケース存在することになる。これが第一Foster形が持つ2つの極の双対となる零点となるのだった。
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題名 投稿者 日時
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