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webadm | 投稿日時: 2010-5-9 11:00 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3082 |
二端子対回路の接続 任意の二端子対回路の組み合わせることによって、より大きな二端子対回路を構成することが可能である。
(1)縦続接続 アナログ電話網は2つの接続中の電話器から見ると一種の二端子対回路に見える。更に電話網は伝送路である回線で増幅器や等価器、フィルター、ハイブリッド回路が縦続接続されたものである。こうした縦続接続を取り扱うためには伝送行列が都合が良い。 例えば、以下の様に2つの異なる二端子対回路を縦続接続して一個の大きな二端子対回路にする場合、 以下の関係が成り立つとする 第一の式に第二の式を代入すると 従って全体の二端子対回路の伝送行列は ということになる。 (2)直列接続 複数の二端子対回路の各端子対が直列に接続されて全体でひとつの二端子対回路を構成することが出来る。その場合には、インピーダンス行列が都合が良い。 以下の関係が成り立つとする ここで であるので 従って全体の二端子対回路のインピーダンス行列は ということになる。 (3)並列接続 同様に複数の二端子対回路の端子対を並列接続することによって多きな二端子対回路を構成することができる。この場合にはアドミッタンス行列を使うと都合がよい。 以下の関係が成り立つとする ここで であるので 従って全体の二端子対回路のアドミッタンス行列は ということになる。 なんだ簡単じゃないか(´∀` ) アドミッタンス行列表現による並列接続は重ね合わせ効くので最も有用である。フィルタ、高周波回路やマイクロ波の導波管理論でも頻繁に登場する。 ところが、著者は特に書いていないがすべての二端子対回路で直列接続や並列接続が成り立つわけではない。共通帰還線(共通GND)を持たない二端子対回路と、共通帰還線を持つ二端子回路を並列接続や直列接続すると端子対条件を満たさなくなるためである。 接続することによって端子対条件が満たさなくなってしまう簡単な例でそれを確かめることができる。 個々の二端子対回路のアドミッタンス行列表現は 最初の小回路は端子対の間で共通帰還線をもつが、二番目の小回路は共通帰還線をもたない。この2つの小回路を並列接続すると最初の小回路の共通帰還線で二番目の小回路のY4が短絡されてしまって回路上消滅してしまい、各小回路のアドミッタンス行列の和 と全体の回路のアドミッタンス行列 は異なるものとなってしまう。 共通帰還線を持たない回路と持つ回路を並列接続もしくは直列接続する際には、以下の様にいずれかの端子対に1:1の理想変成器(絶縁トランス)を挿入すれば上記の問題は回避できるが、トランスを入れるのはやっかいである。このトランスは等価回路で置き換えるわけにはいかない。 幸いにして、実際の回路は共通帰還線を持っており、共通帰還線同士を接続する分には問題ない。ただし端子対を逆接続して共通帰還線でない端子を他の回路の共通帰還線端子に接続してしまうと問題が発生する。従って回路の共通帰還線(共通GND)が端子対のどちらの端子に出てきているのか他の回路や機器と接続する前に確認することは実務上不可欠である。 昔老舗の電子顕微鏡メーカーに別の製品(磁気テープ装置)の納品に付き合った時に、受け入れ検査担当の購買部のおじさんが、コンピュータにつないで動作確認する際に、アナログテスターでグランドが共通になっているか念入りに指先確認してから電源を入れていたのが印象に残っている。さすが昔からの技術者は基本に忠実である。それだから会社が大きくなれたのだろう。 P.S 行列の掛け算について良くわかってなかったことに気づいたのは内緒だ。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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