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webadm | 投稿日時: 2010-5-16 3:48 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3084 |
理想変成器 変成器は上巻の交流回路理論で相互誘導回路のときに基本を学んでいる。大抵の本はその時に一緒に理想変成器にも触れているのだが、著者はあえて交流回路の基礎では触れずに、フィルタ理論の準備である二端子対回路で登場させたのは理由がある。
著者は書いていなかったが、二端子対の並列接続の際に、完全4端子回路と実質3端子対回路同士だと端子対条件を満たさなくなるためアドミッタンス行列の重ね合わせが成り立たない。それを回避するにはいずれかの端子対に理想変成器を挿入する必要があった。 戦前のフィルタ設計ではどうしても完全4端子回路と3端子回路を並列接続する際には端子対条件を満たすために理想変成器を含めた回路で実現しなければならなかった。理想と名前がついているぐらいだから、現実の変成器とは違うのだろう。 ところで、どこが違うのだろうか? 著者は詳しく理想変成器の特徴を述べていないが、手元の電気学会編「電気工学ハンドブック」には詳しく説明されている。 "[2]理想変成器 密結合変成器においてインダクタンスを無限大にした(磁心の透磁率を無限大にしたと考えてもよい)極限は理想変成器と呼ばれ..." とある。なるほど現実にはありそうもない。 ここで密結合変成器というのは、結合係数kが1である変成器のことである。結合係数kの定義から、 という関係が成り立つことを意味する。あれ、著者の言う変成比:nがどこにも出てこないな。上巻を見ても変成器のところには出てこない。だめじゃん(;´Д`) ということで変成比:nでいきなり躓く。 著者から詳しく触れない理由は、電磁気学理論に足を踏み入れないと説明できないのと、かなり式が出てくるので紙面を食ってしまうという判断からだろう。 ここではとりあえず、前出の「電気工学ハンドブック」にある理想変成器の巻数比:nの関係式を挙げるにとどめよう。 理想変成器の一次側端子対1-1'の電圧をV1,端子対2-2'の電圧をV2とし、端子対1-1'に流れる電流をI1,端子対2-2'に流れる電流をI2とすると以下の関係が成り立つ 一次側の電圧の巻線比:n倍が二次側の電圧となる。逆に二次側の電流は一次側の1/nになるというもの。 I2の電流の方向が逆だが、4端子対パラメータで表すと ということになる。 それと著者は触れていないが、「電気工学ハンドブック」には理想変成器のインピーダンス変換機能について記述がある。 理想変成器の二次側にインピーダンスZを接続した場合、一次側からみた駆動点インピーダンスZinは ということで巻線比の二乗分の1に変換される。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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二端子対回路 | webadm | 2010-5-4 1:49 |
インピーダンス行列(Z行列) | webadm | 2010-5-4 2:58 |
アドミッタンス行列(Y行列) | webadm | 2010-5-7 10:21 |
ハイブリッド行列(H行列) | webadm | 2010-5-7 10:56 |
伝送行列(F行列) | webadm | 2010-5-8 0:56 |
二端子対回路の接続 | webadm | 2010-5-9 11:00 |
影像パラメータ | webadm | 2010-5-10 12:46 |
反復パラメータ | webadm | 2010-5-14 12:08 |
» 理想変成器 | webadm | 2010-5-16 3:48 |
理想ジャイレータ | webadm | 2010-5-16 5:27 |
2等分定理 | webadm | 2010-5-17 12:55 |
伝達イミッタンス | webadm | 2010-5-19 17:08 |
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