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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2012-1-29 0:45
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
電荷量不変の理
次もCR直列回路の問題だがCが2つ直列に接続されていてそれぞれのCについて解析するというもの。

キャパシタンスC1,C2,を左図のように直列に接続し直流電圧Eで充電する。つぎにこれらのキャパシタンスを右図のように接続するとき、C1,C2の電荷の時間に対する変化を示す式を導出せよ。



というもの。

これはやっかいな問題である。というのも2つのキャパシタを直列につなぐと全体としては2つのCの合成容量をもったひとつのキャパシタとして等価であるが、その中間点についてはフローティングノードと呼ばれ電位が前後のキャパシタの電荷に依存し不確定となるためである。

回路シミュレータとかではこうした回路を解析できないものが多い。シミュレーターはキャパシタの初期状態を短絡かオープンのいずれかであることを前提としているので、いずれの場合でも中間点の電位は計算不能か現実と異なる。すなわちこうしたフローティングノードについてはシミュレーションができない。それでも解析的には厳密解が存在する。

左の回路で以下の関係が成り立つ



これをHeavisideオペレータとベクトルで表すと



ということになる。これを演算子法で解くと



ということになる。過渡解が得られていないが、これは演算子法に限らない。というのも初期条件をq1(0)=q2(0)=0とするとt=0で電流が不定(無限大)となり、瞬時(t=+0)に定常状態になるためである。

従ってC1,C2の電荷はそれぞれ等しいということになる。当たり前のことのように出てきた結論だが容量が違っても蓄えられる電荷は等しいというのは不思議に見える。しかし定常状態では電流が流れないのだからC1とC2の電荷はバランスしていなければならない。という意味ではこれで正しい。

難しいのは右の回路の解析である。典型的な初期値問題だが、未知の関数が3つある点が今までの問題と異なる。

IQが低いので即座には関係式を導くことができない。問題を易しくして考えてみる価値がある。

例えばC1=C2の場合は右の回路ではどうなるか? C1とC2の充電後の電圧v1,v2は



ということで等しくなり、Rには電流が流れないことになる。またC1,C2に蓄えられた電荷も初期状態のまま変化しないことを意味する。

つまりこれは答えの一歩手前を見たことになる。関数q1,q2,i1は共通してC1=C2の条件でゼロとなる項を含んでいることが明らかである。つまりq1,q2,iはそれぞれ以下の形をしていることが予想される



これとは別に右の回路でキルヒホッフの電圧則から以下が成り立つ



あと2つどうすんだこれ(;´Д`)

問題をややこしくしているのはC1とC2の極性が逆向きだから。これがもし充電時と同じ向きであれば、合成容量のCがRに接続された形になるので以前に解いた問題と同じRC直列回路となる。この場合にはCの電荷が尽きるまでRに電流が流れ続けることになる。

ところがC1とC2の極性が向かい合わせになっていると話しは違ってくる。どちらか電圧の高い方が低い方を充電する形で電流が流れる、そして電圧の低い方が充電されて電圧が等しくなるまで電流が流れ続ける。この場合は電荷が尽きるまで電流が流れるということはない。ここが大きな違いだ。

もはや単純な微分方程式の立式ではなく物理現象のモデル化という難問である。数学の本をいくら調べても参考になる答えは得られないだろう。自分で考えるしかない。

ややこしいことに片方のキャパシタは放電し、もう片方は充電されるということで互いの電圧が等しくなるまで電荷量が変化していく。更にややこしいことに、間に抵抗Rが入っているのでそこで電力が消費される。それは2つの電荷量の変化にどんな影響を与えるのだろうか?

難しい事を憶えてしまうと知識が邪魔をして簡単な問いに答えられない典型例である。

電気理論の初歩に立ち返ると、電流iは電圧の高い方のキャパシタC2が低い方のキャパシタC1を充電するために電荷を放出する速度に比例する。元来はC1とC2は直列に接続され電池で充電されたのだが、その際も同じ電流が流れて同じ量の電荷が充電されたことになる。これで最初にC1とC2が同じ電荷を持つという疑問は解消する。

良く考えると、キャパシタを直列に接続して充電した場合、電荷量は同じだが、電圧はキャパシタの容量に反比例する。より容量の大きいキャパシタは電圧が低くなり、容量の少ないキャパシタは電圧が高くなる。

ううむ今ひとつわからない。小学生だった頃に掛け算の99を全部言えないと下校させてもらえなかった時のことを思い出した(;´Д`)出来た子はさっさと帰るのに最後に残った落ちこぼれ組の一人だった。99はその後そろばん教室に通って自然に身に付いたけどね。無理矢理暗記というのがあの頃から苦手だった。

なんの話しだったっけ、ああ、残る2つの方程式ね。さながら電荷量と電流に関する式をたてればいいのだけれども、さっさとできない自分がここに居る。

(2012/2/2)

思考錯誤の上にようやくたどり着いたのは以下の関係式



C1に充電された電荷をC1の電荷から差し引けばC1の初期電荷となり、C2から放電された電荷をC2の電荷に加えればC2の初期電荷になるという簡単な理屈である。当たり前と言えば当たり前過ぎて思いつかなかっただけだった。

上の式から電流iを消去することも可能だろうけど、うまくいかなかったのでそれは読者の課題としよう(´∀` )

上の関係式をHeavisideオペレーターとベクトルで書き直すと



これを演算子法で解くと



ということになる。

これは最初に予想した通りの関数の形になっている。

この問題は以下の図の様にC1とC2を口径の異なるが同量の水を蓄えたタンクに置き換えて、2つのタンクの底を水車をのあるパイプでつないだと考えるとわかりやすい。



q1,q2がそれぞれのタンクに蓄えられた水の体積(電荷量)とすれば、それをタンクの断面積(静電容量)C1,C2で割れば水位(電圧)が得られ、その差があるためタンクからタンクへ水(電荷)が移動する。C1から流れ出した水はC2に移動するだけで失われない。移動する際に途中にある水車を回転させる仕事をする(電力を消費する)。抵抗Rは水の移動に必要な時間を引き延ばす効果を与える。R=0だと瞬時に水が移動してしまうからである(理想流体の場合)。現実には流体は粘性がありそれ自身で移動抵抗を発生する。

なんだ簡単じゃないか(´∀` )

ふうこれでやっとぐっすり眠れる。

P.S

別解のアプローチとして他にも検討したのが、重ね合わせの理を用いるものと、C1,C2から合成される単一のCがRと並列に接続されるように回路を簡単にして、移動する電荷の量だけを考えるというもの。どれも途中までやって諦めたので、後は読者の課題としよう(´∀` )

P.S

水タンクのモデルは判りやすいが、新たな疑問を生み出すことになる。実際に実験してみると、水位が同じになった後もゆっくりと振動したり水が逆流したりすることが観測されるかもしれない。電気回路でも現実のキャパシタで容量の大きな電解コンデンサや電気二重層コンデンサなどの場合、同様に電圧が一緒になってもわずかな揺り戻しが観測できるかもしれない。水は理想流体ではなく均一に移動するわけではない、同様に現実のキャパシタも高誘電体になればなるほど、電荷が均一に蓄えられているわけではない。電荷の移動の速度が速いと移動速度が場所によって異なる。それが後で揺り戻しが起きる原因となる。キャパシタでは誘電回復とか呼ばれている特性である。現実の受動素子は実は皆非線形素子なのである。

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題名 投稿者 日時
   過渡現象演習問題 webadm 2011-11-1 17:19
     RL直列回路 webadm 2011-11-1 17:32
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