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webadm | 投稿日時: 2012-4-17 9:05 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
続:断続部のあるLC並列回路 次も断続部のあるLC並列回路の問題。
図の回路は静止状態にあるものとする。いまt=0でスイッチS1を閉じ、ついでT秒後にスイッチS2を閉じるときインダクタンスLに流れる電流を求めよ。 というもの。 これも以前の問題の様に見通しを良くするために、電源とS1をステップ電圧源とし、S2を時間t<Tで0、t>Tで∞の値を取るスイッチ関数R∞(1-U(t-T))で置き換えると ということになる。 これで2つの閉回路に関してキルヒホッフの法則で立式が可能になる。 以下の関係が成り立つ これをHeaviside演算子とベクトルで書き直すと ということになる。 これを演算子法で解くと ここまで来たところで、行き詰まってしまったのには訳がある。昼休みに職場の休憩所でソファーに座りながら、手にはペンとレポーお用紙を携えて毎日上の式の計算を立式からやり直した。そこでようやくわかったのだが、上の立式では解けないばかりか目的の解が得られないということだった。 どこに問題があるかは判ってしまえば当たり前である。最初の回路の電流iとiLの定義に問題があった。どちらもR∞を通るように閉回路内を流れる電流として定義している。これがまずかった。最終的に積分を計算する際にR∞→∞に移行すると0≦t≦Tの区間ではi=iL=0という解しか得られないのだ。どちらもR∞を流れるため、R∞→∞に移行するとi→0,iL→0となってしまうからだ。これは明らかに間違いである。0≦t≦Tではi=iL≠0でなければならないのだが、先の立式ではこの条件は成り立たない。 (2012/5/4) 上の見解は誤っていた。ここまでの結果でも十分R∞に関して極限操作可能であるため訂正した。 同じ結果は以下の様に定義された閉回路電流を解くことよっても得られる。 以下の関係が成り立つ これをHeaviside演算子とベクトルで書き直すと ということになる。 これを演算子法で解くと これ以上の展開はmimetexで扱い切れない程長くなってしまうことが判明...orz。それだけでなくR∞(t)→∞での極限移行も困難になりそうなのでアプローチを変更(´Д`;) よく考えれば、0≦t≦TでiC=0であることは自明なので、最初に0≦t≦Tの区間とT≦tの区間とで極限移行すればよいのだった。 すなわち あとはこの積分を計算するだけということになる。計算自体は簡単だが、結果得られた式を整理するのが面倒そうだ。 (2012/5/3) 職場の昼休みに毎日この問題を最初から手計算していたのだが毎回結果が違っているように見えた。その理由が今わかった。逆行列の手計算を間違えていた...orz 逆行列を手計算で求めるには、元の行列の行列式の値を計算し、元の行列の余因子行列(Adjoint matrix)を行列式の値で割ればよいというのはもうみんな知っているよね。問題は具体的な計算方法までは数学の教科書には書いてないので自分でやってみないとわからないというのがネック。余因子行列は行列の行と列にそれぞれ直線を引いて線が引かれていないそれ以外の余った行列要素で構成される行列の行列式の値を行列要素とする行列だ(二次元行列の場合には余った行列要素は1つしかないのでそれが対応する余因子行列の行と列の要素となる。慣れればこれは暗算で出来る。問題はその前に元の行列を転置行列に変換するのだがすっかりそれを忘れていたのである。なのでMaximaで求めたのとまったく異なる結果になるのは当然。 (2012/5/4) 毎日手計算した結果、式全体が頭の中に入ってしまうとようやく見えてきた( ̄ー ̄)ニヤリ。ここまでの流れを全体的に見ると、最初の立式でも問題ないように見える。ただストレートに演算子法で解くにはi(t)の式が複雑で長くなってしまっているに過ぎない。立式を改め先にR∞の極限移行をしてしまう方法でもiL(t)の式は同じなので題意の結果を得るのが簡単になるわけではなかった。0≦t≦Tの区間ではiC=0なのでT≦tの区間について計算すれば済むが、iLに関しては0≦t≦Tの区間で0ではないのでT≦tの区間と解析接続する必要がある。これは面倒な積分式となるのは、以前に経験した通り。そこで最終的には見通しをストレートにするために、Duhamel積分の形で表して計算するというのが王道ということになる。 先のDuhamel積分を計算すると ということになる。これは非振動的なケースの場合。式が長いので途中の過程は割愛した。実際に間違いないか確かめるのは読者の課題としよう( ´∀`) 以下の条件で電流は振動的となる この場合T≦t区間の電流は ということになる。 C=R=L=T=E=1でプロットすると ということになる。 Tでスイッチが閉じてCに電流が流れ出しても鎖交磁束不変の理で電流iLに不連続点は生じない。Cが充電するにつれiCは減少し少しアンダーシュートしてやがて定常状態の0に近づいていく様子が見てとれる。iLは少しオーバーシュートするがやがて定常電流E/Rに近づいていく様子が見てとれる。全体を流れる電流iはt=Tで不連続点を持つ。 P.S たった3素子とスイッチング素子があるだけの回路だが解析しようとすると複雑でその挙動は即座には予想し難いものとなる。演算子法でこれも解析できたのは嬉しい。つまり19世紀のHeavisideが生きた時代でもこの種の回路は解析可能だったわけである。歴史的には一般の技術者が演算子法を回路解析に使用し始めたのは20世紀に入ってからである。日本でも戦後すぐに演算子法を使ってリレー論理回路の解析を行う試みがなされたがうまくいかなかったようだ。今日ほとんどの電気回路や電子回路、デジタル論理回路の解析はコンピューターを使って行われるのはもっともである。コンピュータが無かった時代にこの分野は数学の光が入り込めない暗黒世界であったことは容易に想像できる。それだから演算子法が厳密解を指し示す唯一の光だったわけである。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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過渡現象演習問題 | webadm | 2011-11-1 17:19 |
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