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webadm
投稿日時: 2012-5-5 18:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
断続部のあるブリッジ回路
今度は断続部のあるブリッジ回路の問題

図のブリッジの平衡条件と検流計Gを流れる電流の波形を示せ。ただし、スイッチは毎秒n回の周期で切り替えるものとし、抵抗R3はスイッチがb側に接続されている間にキャパシタンスCの電荷が総て放電されるとみなせるぐらいに小さいものとする。また検流計の内部抵抗は無視できるものとする。



というもの。

これまでも断続部のある回路は難しかったが、これは更に難しそうである。

これも演算子法で挑戦してみよう。

これまでブリッジ回路というと上巻で直流ブリッジと交流ブリッジが登場したが、これはそのどちらでもない。

そもそも断続部が毎秒繰り返しn回スイッチングしているので平衡の概念も今まで学んできたブリッジ回路とは異なる。反応の速い検流計ならスイッチが切り替わるたびに電流が変化するので、指示値が刻々と変わることになる。

しかし題意ではそれほど応答の速い検流計を想定しているのではないようである。昔のアナログ指針のテスターを直流電圧レンジにして商用交流100Vのコンセントの電圧を測定してみれば判る通り、50か60Hzの交流には応答仕切れず指示値は0近辺で小刻みに振動する程度。針はほとんど振れないのだ。問題文では特に触れていないが、学校の実験室にあるようなアナログ式の電流計を想像すればよいのかもしれない。

そうだとすると交流と同様にその平均値が0であれば平衡とみなせると考えてよいだろう。

次に気になるのが、R3がCに充電された電荷をスイッチが離れるまでの間に放電させるのに十分小さいとはどういうことだろうか。放電の特性はCとR3の値を乗じた時定数によって定まる。時定数がより小さければより短い時間で定常状態に近づくことになる。例えばスイッチが毎秒n回切り替わるとすると、b側に接続している時間は1/n秒ということになる。もし時定数T=C*R3が1/nの更に1/5より小さければスイッチがaに切り替わるタイミングではCの電荷はほとんど0ということが期待できる。これは以前学んだ通り、時定数の5倍経過すれば定常状態に99%達するからである。

問題は検流計を流れる電流の解を解くことにある。R3に流れる電流は問われていないので、放電しきったキャパシタンスCを2/n秒毎に1/n秒間ブリッジ接続し、1/n秒後に開放するという動作を繰り返すのをどうやって式で表せばよいだろうか。

前問で断続部のある回路の演算子法での立式のやり方が少し手際良くできる道があることを発見した。時間軸上で回路が断続部によって変化する場合、その区間毎の回路構成で立式し、各区間を解析接続すればよいのである。

それでは時間軸上で回路の断続部が変化するとしてどのような順番が良いだろうか。順序は問われていないので、t=0で電荷が空のキャパシタンスCが接続された状態から初めてもよいし、開放されている状態から初めてもよいことになる。後者だと回路は完全な直流回路となり定常状態なので、やはりCが接続されたところから始めるのがよさそうである。1/n秒後にはCはブリッジから離れブリッジは不平衡状態のまま定常状態になり検流計には一定電流が1/n秒間流れ、再び放電しきったCがブリッジに接続するということを繰り返すと考えればよい。

そう考えるとこの問題はこれまでのような断続部のある回路よりは少し易しいことがわかる。キャパシタンスCがブリッジしていない状態は定常状態でGには不平衡時の定常電流が流れると考えると、キャパシタンスCを接続してから1/n秒間だけを解析すれば以降はその繰り返しということになる。

なんだ簡単じゃないか(´∀` )



t=0で電荷0のキャパシタンスCがブリッジに接続されると1/n秒後にブリッジから切り離されるまで上の回路で以下の関係式が成り立つ



これをHeaviside演算子とベクトルで書き直すと



ということになる。

これを演算子法で解くと



ということになる。

一方キャパシタンスが切り離された不平衡状態で検流計に流れる定常電流は上の解でt→∞と極限移行しiC→0となる定常状態でのiGの値と同じであることから



ということになる。

従ってキャパシタンスが接続されている1/n秒間は先に求めたiGの解に従って電流が流れ、キャパシタンスが切り離された1/n秒間は上のiGの電流が流れるというのを繰り返すことになる。

C=R1=R2=R4=E=1として2サイクルをプロットすると



ということになる。

従って題意の平衡状態とは、電流の1サイクルの平均値が0になることであるから、キャパシタンスが接続されている1/n秒間のiGの平均値がキャパシタンスが接続されていない1/n秒間のiGの平均値を打ち消す値となる条件を見いだせばよいことになる。

キャパシタンスが接続されている区間のiGの平均値は



ということになる。

一方キャパシタンスが切り離されている1/n秒間のiGの平均値は



であるからして、平衡条件は



ということになる。これを満足するには括弧内の式が0となる必要から



ということになる。

ちなみに著者の解は最後にR2Tを左辺に移動した際に負号が付くのを忘れたのか間違った結果となっている。
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