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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-14 13:30
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
線電荷
前問で点電荷は終わって、次は線電荷の問題

一様な線密度λの電荷が線分上に分布しているとき直線外のP点に生じる電位または電界の強さを求めよ。(1)Pから線分に下した垂線の足をOとするとOP=aで、Oを原点として線分にそって座標をとると線分の両端の座標がI1,I2の場合、(2)Oが線分の中点の場合、および(3)無限に長い直線の場合について。

というもの。

なにがなんだか問題の意味がよく判らない長い文章だ。



図で表すと問題は上の2つに分類される。左は線分が有限長の場合で(1),(2)が該当する、右は線分が無限長の場合で(3)が該当。

いずれの場合でも無限小の線分ds当たりの電荷が点Pに作り出す電位または電界を線分区間で積分すればよいことになる。

無限小の線分ds上の電荷dqは



従って線分上の電荷が周囲に作り出す電位は



ということになる。

従って、線分区間[I1,I2]上の電荷が座標(x,y)に作り出す電位は



ということになる。

実は上の積分計算は手元のMaximaではバグがあって計算できないため、Wolfram Mathematica ONLINE INTEGRATORを利用させて頂いた。Mathematicがバンドルされたrasberry piが売られているらしいので買おうかな。PC版を奮発して買ってもいいけど、いくらするんだ。

題意では全然必要とされていないが電位図をプロットしてみると
plot3d(log(sqrt(y^2+(x+2)^2)+x+2)-log(sqrt(y^2+(x-1)^2)+x-1), [x,-3,2], [y,-3,3],[z,0,5],[grid,100,100],[gnuplot_preamble,"set contour both;set cntrparam levels incremental 0,0.5,5"])$


楕円型の等電位線が特徴的である。ドイツの理論電気学の本には回転楕円体(Rotationsellipsoide)と書いてある。上のプロットは接平面の電位図なので、立体電位図にするとラグビーボールみたいな形状になると思われる。それをプロットしてみるのは読者の課題としよう( ´∀`)

題意の点Pではx=0,y=aなので代入すると



ということになる。

おろ著者の解とは微妙に違う。どうやら著者の場合、暗黙にl2<l1<0という関係を前提としているらしい。解答に添えられている図からもそのことが伺われる。そうだとすると積分順序が逆だと思われる。どうやら怪しい雰囲気がぷんぷんする。こちらはドイツの理論電気学に書いてある内容を参考にしてMathematicaで確認しているので、たぶん間違いはないはず。著者が執筆した当時は計算機もないし(でもMathematicaやMaximaは無かっただろう)、この種の積分計算は難しい部類に入ったと思われる。



また電界は

('A`)マンドクセ

著者も完全にスルーしているぐらいだから難しいのだろう。そもそも積分の段階で間違ってたし。これは読者の課題としよう( ´∀`)

(2)の設問に臨もう

Oが中点の場合には、中点から両端への距離は等しいので、l1=-l,l2=lと置くと電位は



おろこれも著者の解とまるで違う。著者の解は分母が何故かaになってるし、意味わがんね(´Д`;)

どうやら著者は解答に書いてあるのとは別のアプローチをとって求めたみたいだ。中点Oと点Pへの垂線を中心に対称であることに着目して、0からlまでの線分についてだけ計算してそれを二倍するという作戦らしい。いいのかこれで



やっぱりちがうじゃん(´Д`;)

座標軸の原点Oからそれぞれの線分単に向けて互いに積分の向きを逆向きにしない限り積分結果は同じにならない。

先に紹介したドイツの理論電気学の本のページの最後に同じ結果が載っている。流石にドイツの教科書だけに間違いは書いてないだろう(今まで間違いを見つけたことがない)。



ドイツの理論電気学の式ではI/2lをλにd/2をaに読み替えれば同じ式だというのが判る。

もはや著者の解答は信用できないことになった。

点Pにおける電界は



おろ何故か電界の式だけは著者の解と一致している。

何故なんだ、わがんね(´Д`;)

(3)の無限長の線分の場合

lを無限大に極限移行すればよくね?



電位は発散する

電界はどうだ



ということになる。

電位ポテンシャルは発散して無限大になるのに対して勾配だけは極限値が存在するのね。

P.S

早くも怪しい解答内容に遭遇してしまったが、果たして間違いなのかどうかは今回は自信が無い。微分した結果は著者の電位の式でもこちらの電位の式でも同じである。だからといって著者の電位の式とこちらの電位の式が同値であるということにはならない。

P.S

やはり気になって眠れないので、確かめてみることにした。

著者の(2)の解ではOが長さ2lの線分の中点である場合、中点からの垂線上の距離aの電界は



と主張している。

こちらの答えは



とまったく違っている。

この2式が同値であるためには以下の関係が成り立つ必要がある



果たしてそうだろうか。

真偽を確かめるために、上の左辺と辺をl=1としてaを変化させてプロットしてみよう

plot2d([2*log((sqrt(a^2+1)+1)/a),log((sqrt(a^2+1)+1)/(sqrt(a^2+1)-1))], [a,-5,5], [plot_format, gnuplot])$


なんとぴったり一致するではないか。驚愕の事実が明らかに。

Σ (゚Д゚;)

意図的に1を乗じるテクニックを使うと



そうだったのね( ´∀`)

著者の方が一枚上手だったようで...orz

実はこの問題で出てくる積分は数学の歴史では重要な楕円積分というもので、積分すると楕円曲線になるという、楕円曲線の逆関数だったという話し。かつてAbelがそのことを見いだしたので有名。かのGaussも密かに研究していて将来の著書の1/3を占める予定だったが、Abelが全部先に発表してしまったのでお蔵入りになったと手紙で嘆いていた程である。戦後に楕円関数論は更に発展し、有名な谷村・志村予想につながっている。これを機会に楕円関数論を学ぶのも良いかもしれない。

楕円というと実は歴史的にMaxwellとも無縁ではない。Maxwellは子供の頃にピンと紐だけで楕円曲線を描く方法を発案している。たぶん今でもどっかの教科書に載っているかもしれない。後に同じ曲線が現れる電磁気学の研究をして本を書いたというのもまた歴史上の偶然性である。Maxwellの著書には以前紹介したように、どうやって描いたか謎だけど正確な電位図が多数描かれている。それもそのはず子供の頃にそれが得意だったからかもしれない。一種のおもちゃのような世界だったのかもしれない。

P.S

あとこの問題に限れば、無限小電位dφを積分して電位を求めるより先に垂線方向yでdφを微分してから後で線分方向sで積分しても同じ結果が難しい積分なしに導くことが出来る。但しこれは定積分によって一変数関数に縮退する幸運な例で、一般には2変数以上の関数の微分と積分の順序を闇雲に交換すると誤った結果になるので注意が必要。

P.S

同じPCにインストールしてあった少し古いバージョン(5.13.0)のMaximaだとバグらずに結果を出してくれるがcanonicalな形式に変換するとどうも変わった形に変換してくれる、定積分すれば似たような結果が得られるので間違いではないと思うが、ちょっと気になる。やはり複素積分するのがよいのか、それともMaximaの楕円関数機能を使うべきなのか。

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題名 投稿者 日時
   真空中の電荷分布による静電界演習問題 webadm 2014-1-9 0:00
     一直線上の複数の点電荷 webadm 2014-1-9 0:04
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     続:振り子検電器 webadm 2014-1-12 4:10
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     電気双極子 webadm 2014-1-12 21:28
     続:電気双極子 webadm 2014-1-13 22:09
     点電荷による電界 webadm 2014-1-13 23:45
     続:点電荷による電界 webadm 2014-1-14 0:34
     続々:点電荷による電界 webadm 2014-1-14 12:28
   » 線電荷 webadm 2014-1-14 13:30
     続:線電荷 webadm 2014-1-16 4:04
     続々:線電荷 webadm 2014-1-19 18:08
     もうひとつの:線電荷 webadm 2014-1-20 12:44
     面電荷 webadm 2014-1-20 16:30
     続:面電荷 webadm 2014-1-20 18:11
     どちらかというと:線電荷 webadm 2014-1-20 21:51
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       Re: n重極子 webadm 2014-3-24 13:28
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           Re: n重極子 webadm 2014-12-22 4:09
     多重極展開 webadm 2024-1-30 18:55

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