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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-2-10 19:02
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
n重極子
さていよいよ理論の時にサボったn重極子の電位の式の導出

n重極子による電位が以下の形になることを示せ。

p^(n)はn重極子モーメントで





Pn^mは陪Legendre関数でanm,bnmは変位の方向によって定まる定数である。

というもの。

どうすんだこれ(;´Д`)

数学的帰納法でやるしかないのか。

こんなの誰が考えたんだろ。

n=0の単極子(monopole)の場合の電位は



ということで成り立つ。

n=1の双極子(dipole)の場合の電位は



Legendreの陪関数がどうなるか検討もつかず。

n=2の四重極子には二種類あって、一次元直線上に双極子が距離ベクトルI1だけ隔てて置かれたものと、二次元平面状に双極子が距離ベクトルI1だけ隔てて並列に置かれたもの。

前者はI0とI1が同じ方向なので



後者はI0とI1が直交すると安定するので



ということになる。

n=3の八重極子は四重極子で立方体を構成したような感じで



n=4の一六重極子は座標軸が3つでは足らない(吐血)

I0,I1,I2,I3のうち2つは同じ座標軸方向とすると



ということになる。

この一六極子をプロットしてみると



おろ、一六本腕があるわけじゃないのね。座標軸を共用している分だけ四本消えちゃったのかな。

共用する座標軸をx軸にすると向きが変わる



お遊びはこれぐらいにしとかないと(;´Д`)

n=5の三二極子は(吐血吐血)



ということになる。



腕はそんなに増えなくて18本。そのうち二本はちょっと短め。座標軸の取り方の自由度はもっとあって、その他の組み合わせについては読者の課題としよう( ´∀`)

n=6の六四極子の場合(吐血吐血吐血)



ということになる。



さて腕はいったい何本あるのでしょうか、これも読者の課題としよう( ´∀`)

n=7の一二八極子に関してはもう血も吐けないので読者の課題としよう( ´∀`)

なんとなく成立するように予想されるが証明するとなるとこのやり方は筋が悪い気がする。

再考中...

グラフを描いていくと、nが多くなればなるほど全方位に腕が伸びていくのがわかる。これはこれで次の問題の多重極子展開を直感するという意味があるけど、今の問題には必要ない。

著者の解答をこっそり眺めると数学的な抽象化のテクニックを使っている。著者のアプローチをなぞるだけでもテクニックの研究にはなるが、理解に達したとは言えない。やはり辛抱して別解を模索すべきだろう。

(2014/3/8)

数学的帰納法を勉強し直す必要があった。数学的帰納法は実際には演繹法である。この問題の命題の一部についてそれを確かめていこう。





数学的帰納法を用いる場合に最初に明確な数学的な意図が無いと始まらない。それは上の命題が任意の自然数nに関して成り立つということを示すということである。この命題をどうやって思いついたかを示す必要はないわけである。それは思いついた人の極めて人間的な発案によるわけであり、定まった方法や手順があるわけではないということ。

さてここで上の命題を証明するのに、理論の時に描いた以下の図を引っ張り出すことにする。



この図の最も左端のn=0(単電荷)の場合の電位については自明で



が成り立つ。

次にn=1の時に成り立つか確認する必要がある。変位ベクトルIn-1は一般に任意の斜交座標系を取り得るので、以下の図で考える。



負のモーメント-p^(0)の単極子と正のモーメントp^(0)の単極子が変位ベクトルI0隔てて置かれている。

その中心点から距離ベクトルrだけ隔てた点に作り出す電位は



どうすんだこっから(;´Д`)

どうやらこれはdirectional derivative(方向微分)という概念を再発見したくさい。

そもそも一般的な斜交座標系に基づいた時点で危ない領域へ足を踏み込んだ予感がしたがそれは当たっていたようだ。

上の結果は、点Pに単位電荷(1C)を置いた時に単極子(モーメントが-p^(0))から単極子(モーメントがp^(0))の方向(電位が低い方から高い方へ向かうので負の値となる)への電位勾配に電気双極子のモーメント(p^(1))を乗じた形になっている。

題意で提示されている元々のn重多極子の電位の式に出てくる偏微分演算子が斜交座標系を想定すればそもそも通常(normal)の偏微分ではないことは確か。

そうだと判れば



ということになる。意外にも電気双極子の作り出す電位のエレガントな導出方法を見つけてしまったようだ。

変位ベクトルI0の大きさは重要ではなくその方向だけが意味を持つことになる。電気双極子の理論を学んだ時には点Pへの距離ベクトルrが電気双極子の変位ベクトルI0より十分大きいという視点だったが、ここでは逆に変位ベクトルI0を0に極限移行するという視点に立っている。逆転の発想である。

これで少し理解が深まった。

これを分子化学者の卵は初年度で理解しないといけないとなるとどんだけ敷居が高いんだ(;´Д`)

なお斜交座標系と方向微分は実は後々に登場することになるTensor解析につながっていく。

n=2の場合も同じ様にやってみると

モーメント-p^(1)の電気双極子とモーメントp^(1)の電気双極子が変位ベクトルI1だけ隔てて空間に置かれている時に、その中点からの距離ベクトルrだけ離れた点に作り出す電位は



ということになる。

n=2になると分母に8πε0が現れるのは、以下のモーメントの定義から





となるためである。

さてn=0,1,2で命題は成り立つことが判ったので、ここでいよいよ数学的帰納法のクライマックス

任意の自然数をmとしてn=mとした場合のn多重極子が中心からの距離ベクトルr離れた点に作り出す電位が以下であると仮定する



次にn=m+1のn重多極子の場合に成り立つことを示す。

モーメント-p^(m)の多重極子とモーメントp^(m)の多重極子が変位ベクトルImだけ隔てて置かれた場合に中心からの距離ベクトルr離れた点に作り出す電位は



ということになる。

従ってn=0,1,2で成り立ち、任意のn=m,m+1で成り立つので証明された。

(2014/3/20)
たまたま著者名で検索したら「理論電磁気学」砂川重信に上の証明に使ったのと同じ電気双極子の電位の導出方法が示されていることが判明。
それと手元にある「場の理論」ランダウ・リフシッツの後半に登場する不変電磁場の章で多極子モーメントを用いた電位導出のところで同じ切り口は異なるが同じアプローチが用いられているのを再発見。
まあ既に誰かが書いたのを読む前に自分で見つけたのだから良しとしよう。そうやって身についていくのね。本当は方向微分のところが厳密ではないけど、それを示すには多次元のTailor展開式を導く必要がある。大変なので書いてある本があっても二次元止まりで、それでもかなり面倒。普通に教わる偏微分は方向微分の特殊なケース(微分方向が直交座標軸と平行な場合)。そのとき数学的に近似のテクニックが使われていることにちゃんと触れている本は信用できる。今度本屋で見つけたら購入しておこう。

命題の半分はこれで証明できたが、残り半分の命題が残っている。まだ100点中50点というところだ。

陪Legendre関数がなんなんだかさっぱり判らないし。

考え中...

日本語だとLegendre陪関数とか随伴Legendre関数とか言われるものは、英語ではAssociated Legendre functionと称される。
元々はLegendre関数というものがあり、Associated Legendre functionはLegendre関数を含む形で定式化されるということが判った。それでAssociatedなのね。日本語で言えば、準Legendre関数みたいな感じ。

Legendre関数はLegendre微分方程式の解で、Associated Legendre functionはAssociated Legendre equationの解ということみたい。

なんだそうだったのね( ´∀`)

Legendre微分方程式は



Associated Legendre equationは



m=0の場合、Associated Legendre equationはLegendre微分方程式と同値だよね。

Legendreというフランス人数学者は一八世紀から一九世紀にかけて数論や解析学において先駆的な業績を多数残した数学者で、大事な芽は一九世紀を代表するGaussなど当時を代表する数学者によって大きく開花し彼らを一躍大数学者にしたてあげた縁の下の力持ち的な存在だった。老後は年金を没収されるとか不運な人生だった。先見性のあるテーマに関する研究成果を小出しに沢山発表したことが、後の数学者の格好の研究題材になたことは言うまでもない。Gaussもその恩恵を受けた一人だが、Legendreの最後を知ってかGaussは自分の研究成果を小出しにすることを一切せず日記だけ残して残りは墓場に持っていってしまった。

なんの話だったっけ、ああLegendre関数ね。

手元にある電磁気学のテキストでLegendre関数が現れる多重極子が作り出す電位の式の導出について触れているものは少ないが、ないことはない。

「電磁気学演習」砂川重信 物理テキストシリーズ(岩波書店)

に変位ベクトルを三次元のz軸と平行にとりz軸を中心に軸対称な平面極座標系の易しい場合について多重極子の作る電位の式にLegendre多項式が現れることをLegendre多項式の結果を用いて駆け足で紹介している。それでも数ページに渡る難解な部分である。解らなければ飛ばしても後の内容の理解に影響はない。

この本は姉妹本「電磁気学」もあって、前者の内容には頻繁に後者の内容を参考にせよという記述が現れるので、実は二冊で一冊ということになる。

書店で購入する際には両方を合わせて購入することをお勧めする。さすがにLegendre多項式の導出に関しては理論物理のテキストを参考せよとしか書いていない。

きっとそこまで立ち入ってしまうと大変なのだろう。

さて残り半分の命題の証明だが、著者の解答をちらりと覗き見ると、かなり面倒そうな手順の要点をかいつまんでさらりと導いているように見える。それをなぞるだけでもある程度の知識と訓練が必要に思える。

命題では三次元極座標のθとψを変数とする関数が出てくるので、少なくとも二次元平面極座標で済む話ではない。

既に証明した部分を三次元極座標表現に座標変換する必要がある、この種の変数変換はどの教科書にも一生に一度は自分でやっておくべきと必ず書いてある。昔は結果だけ暗記していたのだが、それだといつまでも苦手意識が残ったままで禍根を残すということだろう。

ちょっとあらかじめ覚悟が必要である

(2014/3/21)
手元の古書「A COURCE OF MODERN ANALYSIS」WHITTAKER & WATSON を見るとLegedre多項式はLegendreによって以下の二項展開で現れる係数としてLegendreによってもたらされたとある。

|2zh-h^2|<1とすると



と二項展開される。

ここでPx(z)は以下の様に定義される



従って一般に



ここでmは(1/2)nもしくは(1/2)(n-1)のいずれかの非負整数に限る。

証明は数学的帰納法で出来ると思われるので読者の課題としよう( ´∀`)

WHITTAKER & WATSON本では更にz=cosθと置き換えると



と展開されLegendre多項式は



と表すことができる。

θを実数に限れば



が常に成り立つので



となることをLegendreが示したとある。

これを見ると、多重極子の変位ベクトルInを常に直交座標系のz軸に平行にとった場合、z軸を中心に軸対称となるケースで問題の命題の後半の式が成り立つことがわかる。

n=2以上になると自由度が増して、異なる変位ベクトルは任意の直交軸や斜交座標軸に平行にとることができるためLegendre多項式では成り立たないことが明らか。

そこでLegendre陪関数の登場ということになるのだろうか。

再びWHITTAKER & WATSON本のLEGENDRE FUNCTIONの章を読み進めるとLegendre方程式の解として2つのLegendre関数(第一形式と第二形式)が登場し、終わりの方に様々な形のLegendre陪関数が登場する。

実はLegendre陪関数だけ調べてもこの問題の証明につなげるにはほど遠いことが解る。

WHITTAKER & WATSON本の"THE EQUATIONS OF MATHEMATICAL PHYSICS"の章に問題の命題の式と良く似た式を見つけることができる。
それは球面での境界条件を満たす極座標系でのLaplace方程式の解



である。

Laplace方程式については静電場の場合に後で必ず学ぶことになるが、それを分子化学専攻の人は優先して学ぶ必要があるだけのことのようだ。分子化学専攻の人はこれだけ知っていれば、それ以外の電磁気学の事はほとんど知らなくても良いらしい。

WHITTAKER & WATSON本では上の解を導く際に、Legendre関数の章で紹介されているFerrersのLegendre陪関数の定義を利用している。
Legendre方程式の解とLaplace方程式の解の二つの合わせ技でようやく答の一歩手前まで辿りつけるということが解った。

{}内の式はnが非負整数の場合のn次のsurface harmonicsと呼ばれる。それにr^nを乗じたものは、n次のsolid harmonics(もしくはspherical harmonic)と呼ばれる。

surface harmonicsで検索すると沢山ヒットし、英語版のWikipediaのspherical harmonicsのページに詳しい解説を見いだすことができる。

spherical harmonicsは19世紀にThomsonとTaitによって直交座標系において明らかにされ、Clebschと同時期にそれが座標変換によっても不変であることが見いだされたとある。
Taitは結び目理論においてTopologyの祖でも有る。

ここまでの独自の調査によって得られた公式と問題の命題の式とは微妙に違いがあることに気づいた。数学のテキストにはr^nを乗じた形のspherical harmonicsしか示されていないのだ。しかし問題の命題はr^(n-1)で割られているのだ。

こっそり著者の解答を見てみると、大筋では間違っていないが、Laplace方程式を解く際の境界条件が数学のテキストとは異なっているらしい。著者は解答だけでなく、その境界条件での解(B.20)の証明も付録「数学と公式」に付記していたのだった。

Laplace方程式を解く際の境界条件として、電位がr=∞で0になるケースを考える必要があったのだった。数学のテキストではr=0で0となるケースしか示していないのだった。

いやはや奥が深い。

このspherical harmonicsの議論は手元の「量子力学」ランダウ&リフシッツの最初の方にも出てきていて、やはり距離が∞で0となる解だけを扱っている。数学者と物理学者とでは嗜好がまったく異なるのね。

あとちょっとだけど新たな疑問が湧いてきた

付録(B.20)にあるLaplace方程式の解は



とあるが、これは微妙に著者の命題の式とは違っている。命題の式ではspherical harmonicsがmの次数による級数になっているが、付録ではnとmの二重級数になっている点が決定的に異なる。しかも1/r^(n+1)が級数の外に出ているし。

付録(B.20)に関する著者の付記した証明手順の最後にもやはり二重級数の式で1/r^(n+1)が級数の中にある。

どうすんだこれ(;´Д`)

これ以上はどうやらフォーラム記事の行数制限で書けないらしい。

続きはフォロー記事で。
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題名 投稿者 日時
   真空中の電荷分布による静電界演習問題 webadm 2014-1-9 0:00
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       Re: n重極子 webadm 2014-3-24 13:28
         Re: n重極子 webadm 2014-8-21 10:22
           Re: n重極子 webadm 2014-12-22 4:09
     多重極展開 webadm 2024-1-30 18:55

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