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webadm | 投稿日時: 2007-2-16 5:37 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3068 |
スペアナアダプタが届いた 今朝期待のスペアナアダプタが届いた。
オークション品に期待は禁物である。 オリジナルの梱包箱に入ったままのそのスペアナアダプタは米国製だ。 回路図を含むマニュアルがついている。しかしマニュアルに書いてある社名と機体に書いてある社名がまったく違う。どういう歴史的経緯かは知らぬ。 マニュアルに書いてある手順でセッティングをしていく。ちょっとマニュアルに誤植があるようだが気にしない。もともとかなり簡易なマニュアルなので回路図が後ろについているだけでも良心的である。 早速手持ちのGOULDのデジタルオシロをX-Yモードでつなぎセッティングをして電源を入れてみた。 なにやらもやもやと波形が出てきた。しかし本来は水平方向全域まで伸びなければならないのがそこまで伸びない。スペアナアダプタのリアパネルにある半固定抵抗を調整することでX軸の振幅を大きくできるはずだがあるところまでいくとそれ以上幅が広がらない。なぜだ? とりあえずこの状態でスペアナアダプタのマーカー信号をONにしてみる。何も変化が無い。 マニュアルを見るとスペアナのセンター周波数のFineチューニングが必要とのこと。つまみを回していくとちょっとこぶのようなものがあるのに気づく。どうやらそれがマーカー信号のスペクトルらしい。Y軸の出力が足らないようなのでリアパネルの半固定抵抗を調整すると高い尖塔のようになってきた。 しかしプロットが離散的なので線がつながっていない。それにえらくドリフトが激しい。 マニュアルに書いてある動作確認手順ではここからスパンを短くしていくと尖塔がだんだんと緩やかな山になっていくと書いてある。確かにそうなるようだが、スパンを変更するとその度に中心周波数がドリフトするようでFineチューニングをしないといけない。 それにどうもFULLスパンであるとは思えないほど山が緩やかなのが気になる。スパンを100MHzにするともう左右に一杯に山がなだらかになる。それよりも狭くするともう山の斜面の一部を見ているという状況に。なんかおかしい。 回路図を見るとマーカー信号発生回路は単純んs50MHzの水晶発振回路で構成されている。それであればかなり鋭いスペクトルなはずだが。最初からかなり幅がある。以下はスパンがFULL(500MHz)設定のマーカー信号を観測した時の波形。 どうみても1桁違うような気がする。 回路図を見ると仕組みがだいたい理解できる。といってもVCOおよびミキサー回路は市販のチューナーモジュールを使っているようでそちらは回路図は無い。回路図にあるのはチューナーモジュールのVCOに与える電圧を与えるスイープジェネレーター回路とX,Y軸信号を生成する回路。 スペアナアダプタのX,Yの出力信号を普通にデジタルオシロで見るとそれなりに直線性の良いスイープ信号が観測される。十分なサンプル長を持ったデジタルオシロを使えばもっと安定して見えるのかもしれない。 10年前に作られたものなのだがスペアナの基本構成は成している。ただ電源が3端子レギュレーターで構成されているのでその辺がドリフトが大きい理由かもしれない。作られてからかなり年数が経過しているので電解コンデンサとかも容量抜けしていると思われる。 しばらく考えたら古いデジタルオシロのX-Yモードを使ったのはよくなかった。出品者の写真にはアナログオシロでくっきりアンテナとかから受信したスペクトルを表示していた。これはかなり良い感じだった。 たまたま手持ちをアナログオシロを事務所に持っていったままになっているので、GOULDのデジタルオシロを代わりにつかったのが敗因だった。よく考えればわかることで、アナログオシロは人間の目の残光効果によってビームのトレースが線になって見えるけどデジタルオシロの場合は離散的にサンプルした数値の列をプロットするしかない。 本来横10グリッド分表示するはずが8グリッド分しか伸びないのは、デジタルオシロの場合、X-Yモードといえども一旦内部に有限個数分サンプルしたものを点でプロットするだけである。 つまりサンプリングメモリによって表示できる範囲が制限されるということである。それでもドリフトが無ければ重ね描画とかで補完することはできるのだが水平ドリフトがかなり大きいので重ね描画するとわけがわからなくなってしまう。 しかたなく1ショットで描いたものをキャプチャーするしかない。 いずれにせよ使用したオシロがサンプルメモリが少ない古いデジタルオシロだったこともあってちょっと見劣りはするがアダプタとしてはちゃんと動作していることだけは確認できた。 アナログオシロにつなげばまだドリフトは少ないのだろうかが疑問である。それとスパン設定の信憑性。なんか狭いような気がする。マーカー信号が一方の縦線ぐらいになってもおかしくはないのだが。実はこれもサンプリングポイント数の制限からくる手持ちのデジタルオシロの限界によるもだと後で理解した。スペアナアダプタがスイープしているノコギリ波の一部分しか一回のサンプルではオシロ側がサンプルできないため実際にはカバーしている範囲の一部しか表示できないだけだった。つまりスペアナが出力している周波数スパンのごく一部しか表示できないということである。アナログオシロならそういうことはないのだが。 X-Y表示よりも普通にY軸信号だけ時間軸で観測したほうが本物のスペアナぽく見やすいという皮肉な結果に。もちろんメモリー容量が沢山あるデジタルオシロなら問題ないはずだが。 回路図を見ると驚くほど単純なつくりである。基本はスイープジェネレータ発信回路で、これでノコギリ波を生成すると同時にX軸の走査出力としてオシロへ供給されている。ほとんどこのスイープジェネレータが命である。 つまりスイープジェネレータで生成したノコギリ波電圧をチューナーのVCOに与えて0から500MHzまでの広範囲の周波数帯を中間周波として部分的に取り出す。それを検波してスペクトルを得ると同時にプロットするという感じ。 最後にMarkerをoffにしてRFになにかアンテナでもつないで外界を観測してみようとしたら、アンテナをつなぐ前に数十MHzぐらいのところに鋭いスペクトルがあることに気づく。なんだろうRFになにもつないでいないのだが。 このスペアナアダプタの致命的にだめなのはセンター周波数もアナログ的で不確かなのもあってスペクトルの正確な周波数を測定出来ない点である。かろうじてセンター周波数を50MHzづつあげていくとそれにつれスペクトルが50MHzづつシフトしていく様子が見える。 しかしそこにも問題があった、50MHzから100MHzに切り替えた時にシフトする量が違うのだ。中心周波数の切り替えは基板上の可変抵抗器でセッティングされた抵抗分圧によってチューナーのVCOの中心電圧をシフトする仕組みである。この調整が狂っているようだ。 ちなみに回路図には検波出力を増幅してスピーカーに出力するようになっている。いわゆるジェネカバ受信機機能もついているようだ。AM変調だけだろうけど。本当にスピーカーがついているかどうか疑問だが中を開けてみればわかるかも。 かなりおもしろいおもちゃではある。 まあ回路図がついているのでスペアナの基本原理を理解するのには十分元はとれた感じ。 |
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