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webadm | 投稿日時: 2007-5-21 0:04 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3068 |
GOULD 465デジタルオシロの修理 もとはと言えばRohde & Schwarz SMLUのAM変調回路の故障原因を探るために1kHzのオーディオ信号をインジェクションするテストの際にファンクションジェネレータとか使わずにオシロの1kHzのキャリブレーション出力を使ってしまったというのが悲劇の発端。
ワニ口クリップが外れて有らぬところにキャリブレーション出力が接触、12Vとかの電圧がかかってしまったぽい。 その直後からキャリブレーション出力電圧が極端に低下し、わずかながら矩形波が観測できる程度になってしまいプローブのキャリブレーションとかには使えない代物になってしまった。 オシロのキャリブレーション端子は内部のキャリブレーション信号発信回路用オペアンプLF353Mに直接接続されているのでオペアンプが損傷した可能性が高い。 ということで交換用のLF353Mをサトー電気から買ってきて本日交換修理を開始。 しかし交換するには中のメインボードを取り出さなければならない。GOULDのオシロで簡単に開くのは上蓋ぐらいなものでそれ以外はどうやって外すのかすら謎。取り扱い説明書はあるがサービスマニュアルなどは無いので正しい分解方法が皆目不明。 とりあえず手探りでやるしかない。最初にオシロの下部についているバッテリーユニットをはずせないかどうか画策。いろいろネジがついているがどうも小さいのは関係なさそう。まずはオシロ本体とバッテリーユニットにまたがって留められている背面のゴム足のネジをゆるめてそれを除去しようとした。しかし片方はとれたが、もう片方の一本のネジの筐体側のナットがネジと一緒に回転してしまってどうしてもはずれない。2本だけは外せたので残っているネジの部分を軸に回転させてなんとかバッテリーユニットは外せる感じ。 それでもしっかりバッテリーユニットはしっかりつながってはずれない。どっかネジが無いか探してみると、外側のケース鋼板を留めているネジがいくつかある。それをはずしてみた。どうやらバッテリーユニットと上のオシロ本体は切り離して使用することを想定していないらしい。本体の側板はバッテリーユニットの側板を兼ねていた。それでもなんとかバッテリーユニットとオシロ本体を分離できた。 底部にあるネジはすべてバッテリーユニット内部のパーツを固定するためのもので外す必要はなかった。一番大きな六角ネジは内部のトロイダルコアトランスを固定していた。隣の大きなネジもダイオードブリッジを固定していただけだった。 割と綺麗である。ニッカド電池パックと思われる部分がこのオシロの重量のほとんどを占めていたりする。ずっしり重い。オシロ本体は紙のように軽く感じられるほど。 バッテリー充電回路基板。電解コンデンサはハーメティックシール型のタンタルコンデンサ、HPと同じ長寿命設計である。 ニッカド電池パック。長い間自己放電状態だったためか、もう充電しても保持力が無い。交換するにはちょっと大変な割にいつかまた寿命が来てしまうに違いない。とりあえずバッテリー動作で使う必要はないのでこのまま。 背面電源入出力部分。大きなトロイダルコアトランスが目立つ。その隣に整流用のブリッジダイオード。バッテリーユニットからはACを入力としてACとDCの両方の電源がケーブルでオシロ本体部分に供給されている。AC入力があればACでAC入力が無ければバッテリーから供給されるDC電源でオシロが動作する。オシロ内部にも電源回路があって特にバッテリーユニットが無くても直接ACを入力すれば使える。なので今のところバッテリーユニットは無用の長物でしかない。 切り離したオシロ本体を底部から撮影したもの。写っているのはメインボード。 このメインボードを取り出すのにまた悩むことに。どうやらフロントの化粧パネルや内部の電源ユニットとCRT部分はそのままでメインボードだけ外せそうな感じ。メインボードを固定する底部の周辺のあるネジを外すと簡単に取り出すことができた。 デジタルオシロの心臓部分はたったこれだけである。まあどこも大抵はこんなもの。サンプリングレートが高速になればなるほど高速動作のために特種な半導体部品や回路構成となる。これは200Ms/sのオシロなので今では自作もできるのではないかという範疇。 ほとんど抜け殻となった本体部分。フロントパネルの化粧板とその裏のスイッチLED基板はフラットケーブルをメインボードからはずせばそのまま。 メインボードのデジタル回路部分。中央がキャプチャ用メモリ。その隣に主要なロジックを収容したゲートアレイ。右側にタイムベース用オシレーター(20MHzの水晶とVCO用と思われる高周波コイルが、PLLシンセサイザーだろうか)、左側はマイクロコントローラー回路。 マイクロコントローラはMC68HC11、比較的当時は妥当な68000系の組み込み用マイコン。 オシロのメインロジックを構成するASIC。当時ポピュラーなNECの比較的大きなゲートアレイが使われている。現在ならさしずめFPGAとかで出来てしまう感じだろう。 設定を保持するためのバックアップ用リチウム電池。まだ生きている。一度交換された後があるのでまだ新しいのかも。 今度はアナログ回路部分。サンプリング用の高速ADコンバーターが中央に放熱板付きで載っている。ECLかそういったテクノロジーを使っているようで周辺にECLとTTLをインターフェイスするためのトランジスタが並んでいる。その回りにCRT偏向用のノコギリ波を出力するDACとや問題のキャリブレーション回路とかが並んでいる。電源デカップリング用のコンデンサはすべてハーメティックシールタンタルである。 アナログ回路の残りはアッテネーターブロック。シールドで隠れて見えないがソリッドステートなプログラマブルアッテネーターが使用されている。 最後が問題のキャリブレーション信号オシレーター。JFETオペアンプを使った矩形波発振回路だと思うが、出力保護回路は無いのだろうかと不思議に思っていた。しかし良くみるとどうやら保護回路が存在するように見える。右上のコネクタはフロントパネルのキャリブレーション信号出力端子用。その下にショットキーバリアダイオードとおぼしき保護回路が見える。この保護ダイオードが壊れている可能性も否定できない。 果たして壊れているのはオペアンプなのか疑わしくなってきた、とういうのもオペアンプが壊れれば発振自身もしなくなるはずが、わずかな振幅だけは出ているのでそうとも言えない。 少しプリント基板上の回路を追ってみて仮組みして動作中のオペアンプの各入出力信号を観測してみたほうがよさそうである。取り替えるのは壊れているのが確定してからで良い。 といっても分解したオシロは居間のテーブルのまな板の上だし。もう一台のオシロは実験室兼書斎の中にずっしり横たわって簡単には運べないHP16500Bだし。自分で自分の信号を観測させるしかないか。 |
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