フラット表示 | 前のトピック | 次のトピック |
投稿者 | スレッド |
---|---|
webadm | 投稿日時: 2009-8-19 2:40 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3082 |
【9】ノコギリ波のFourier級数展開(その2) 以前にも出てきたノコギリ波のFourier級数展開問題。こんどのはどちらかというとデューティ比が100%の三角波ともいうべきもので、これを半波整流すると前に出てきたノコギリ波になる。
通常通りFourier級数を解析的に求めるだけだと著者の解法とまったく変わりないので、違う方法でやってみよう。 Fourier級数もFourier変換と同様に重ね合わせ(Superosition)が適用できる。すなわち y(t)=f(t)+g(t) の場合そのFourier級数とFourier係数は y(t)=(1/2)b0+Σ(an*sin(nωt)+bn*cos(nωt)) an=(2/T)∫y(t)*cos(nωt)dt =(2/T)∫(f(t)+g(t))*cos(nωt)dt =(2/T)∫f(t)*cos(nωt)dt+(2/T)∫g(t)*cos(nωt)dt bn=(2/T)∫y(t)*cos(nωt)dt =(2/T)∫(f(t)+g(t))*cos(nωt)dt =(2/T)∫f(t)*cos(nωt)dt+(2/T)∫g(t)*cos(nωt)dt と表されるので、Fourier係数はそれぞれの関数のFourier係数の和となる。 前のノコギリ波の場合は f(t)=(2/T)*A*t (0≦t≦T/2) =0 (T/2≦t≦T) これは半波整流された正極性の部分だけだが、逆極性の分は g(t)=0 (0≦t≦T/2) =-(2/T)*A*(T-t) =-f(T-t) と表すことができる。題意のノコギリ波はこの2つの関数の合成として表すことができるので y(t)=f(t)+g(t) 既にf(t)に関するFourier係数は前の問題で求めているので、g(t)に関するFourier係数を求めて合成すれば良いことになる。 a'n=(2/T)∫g(t)*sin(nωt)dt (T/2≦t≦T) =(2/T)∫(-(2/T)*A*(T-t))*sin(nωt)dt =(2/T)∫(-2A+(2/T)*A*t)*sin(nωt)dt =-(4*A/T)∫sin(nωt)dt+(2/T)∫(2/T)*A*t*sin(nωt)dt (T/2≦t≦T) =-(4*A/T)*(cos(nωT/2)/nω-cos(nωT)/nω)+(2*A/T)*((sin(nωt)-nωT*cos(nωt)/n^2ω^2-(2*sin(nωT/2)-nωT*cos(nωT/2))/2*n^2*ω^2)) ここで ω=2π/T を代入すると a'n=-(2*A/πn)*(cos(πn)-cos(2πn))+(A*T/2π^2*n^2)*(sin(2πn)-sin(πn)+πn*(cos(πn)-2*cos(2πn))) =(2*A/πn)*(1-(-1)^n)+(A/π*n)*((-1)^n-2) =(A/πn)*(2-2*(-1)^n+(-1)^n-2) =-(A/πn)*(-1)^n (n=1,∞) また b'0=(2/T)∫g(t)dt (T/2≦t≦T) =(2/T)∫(-(2/T)*A*(T-t))dt =(2/T)∫(-2A+(2/T)*A*t)dt =-(4*A/T)∫dt+(4*A/T^2)∫tdt =-2*A+3*A/2 =-A/2 同様に b'n=(2/T)∫g(t)*cos(nωt)dt (T/2≦t≦T) =(2/T)∫(-(2/T)*A*(T-t))*cos(nωt)dt =(2/T)∫(-2A+(2/T)*A*t)*cos(nωt)dt =-(4*A/T)∫cos(nωt)dt+(4*A/T^2)∫t*cos(nωt)dt =-(4*A/nωt)*(sin(nωT)-sin(nωT/2))+(2*A/n^2*ω^2*T^2)*(2*nωT*sin(nωT)+2*cos(nωT)-nωT*sin(nωT/2)-2*cos(nωT/2)) ここで ω=2π/T を代入すると b'n=(2*A/πn)*(sin(πn)-sin(2πn))+(A/π^2*n^2)*(2πn*sin(2πn)+cos(2πn)-πn*sin(πn)-cos(πn)) =(A/π^2*n^2)*(cos(2πn)-cos(πn)) =(A/π^2*n^2)*(1-(-1)^n) =2*A/π^2*n^2 (n=1,3,5,...) =0 (n=2,4,6,...) 従ってg(t)のFourier級数展開は g(t)=-A/4+(A/π)*(sin(ωt)-sin(2ωt)/2+sin(3ωt)/3+...)+(2*A/π^2)*(cos(ωt)+cos(3ωt)/3^2+...) それに対して前の問題で求めた正極性側のFourier級数展開は f(t)=A/4+(A/π)*(sin(ωt)-sin(2ωt)/2+sin(3ωt)/3+...)-(2*A/π^2)*(cos(ωt)+cos(3ωt)/3^2+...) 従ってこの2つの合成波のFourier級数展開は y(t)=f(t)+g(t) =(2*A/π)*(sin(ωt)-sin(2ωt)/2+sin(3ωt)/3+...) ということになる。 Fourier係数をプロットすると wxplot2d([-(2*(-1)^n)/(%pi*n)], [n,1,5], [nticks,1])$ ということになる。 これは普通のスペクトルアナライザで表示されるものとは異なって極性が正と負がある。通常の測定器ではパワースペクトルを測定しRMS値で表示するためスペクトルはすべて正の値になる点に注意。その場合はすべての線スペクトルが2*A/πnの漸近線上にプロットされることになる。 P.S いつものことながら面倒な定積分はMaximaを用いて求めた。 重ね合わせを用いれば結構面倒な波形のFourier級数展開も容易に出来ることになる。 |
フラット表示 | 前のトピック | 次のトピック |
投稿するにはまず登録を | |