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webadm | 投稿日時: 2009-9-4 6:37 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
【36】ひずみ波の検波値 次ぎの問題は題意がつかみづらいひずみ波の検波値に関するもの。
「第二高調波を含むひずみ波を二乗特性をもつ整流器で検波しようとした場合に、被測定端子を反転すると、検波値が元の値と異なることを示し、第三高調波のみを含む場合についても考察せよ。」 これだと何を言っているのかピンとこない。だいたい被測定端子ってどこだということすら説明されていない。 よく吟味すると以下の図のような感じだろうと想像する。いわゆる一石ゲルマラジオと一緒である。 ここで題意に従って第二高調波のみを含む場合 Em1≠0 Em2≠0 Em3=0 とすればよい。 wxplot2d([sin(2*x+%pi/6)+sin(x)], [x,-5*%pi,5*%pi])$ このケースではひずみ波は対称波ではなくなる(対称波となるには奇数次の高調波のみでなければならない)。 従ってひずみ波の正と負の波形は異なるため被測定端子を反対にした場合にはいずれにせよ出力波形は同じにならない。 一方第三高調波のみを含む場合は Em1≠0 Em2=0 Em3≠0 wxplot2d([sin(3*x+%pi/6)+sin(x)], [x,-5*%pi,5*%pi])$ ということで、この場合はひずみ波は対称波となり、正と負側の波形は対称であるため、被測定端子を反対にしても検波出力は同じということになる。 これで十分だが、もっと定量的に示すにはどうどうすればいいのだろうか。 著者の解では第二高調波のみの場合に関しては同じような趣旨で非対称波だから同じにならないとしているが第三高調波のみの場合には瞬時値の式を符号反転したものと位相をπだけ進めた式が等しいことから同じ波形になるとしている。しかし同じことを第二高調波のみを含む場合に適用しても同じ結果が導き出されてしまうのだが e=Em1*sin(ωt)+Em2*sin(2ωt+θ2) -e=-Em1*sin(ωt)-Em2*sin(2ωt+θ2) =Em1*sin(ωt+π)+Em2*sin(2ωt+θ2+π) なので著者の説明では不十分である。対称波かどうか調べるには y(t+T/2)=-y(t) を満たすかどうかを調べれば良い。 これを適用すると e(t+T/2)=Em1*sin(ω(t+T/2))+Em2*sin(2ω(t+T/2)+θ2) =Em1*sin(ωt+ωT/2))+Em2*sin(2ωt+θ2+ωT) ここで ωT=2π を代入すると e(t+T/2)=Em1*sin(ωt+π)+Em2*sin(2ωt+θ2+2π) =-Em1*sin(ωt)+Em2*sin(2ωt+θ2) 従って e(t+T/2)≠-e(t) ということになり、非対称波であることが確かめられた。 一方第三高調波のみを含む場合 e(t+T2/)=Em1*sin(ω(t+T/2))+Em3*sin(3ω(t+T/2)+θ3) =Em1*sin(ωt+ωT/2)+Em3*sin(3ωt+θ3+3ωT/2) ここで ωT=2π を代入すると e(t+T/2)=Em1*sin(ωt+π)+Em3*sin(3ωt+θ3+3π) =-Em1*sin(ωt)-Em3*sin(3ωt+θ3) =-e(t) ということになる。従って対称波の条件を満足する。 P.S 著者の解では整流出力が|e|^2に比例するとしているが、これだと題意がかなり違ってしまうことになる。半波整流ではなく全波整流という意味になる。 これだと第二高調波のみを含む場合でも被測定端子を反転しても整流出力は同じになってしまう。 wxplot2d([abs(sin(2*x+%pi/6)+sin(x))], [x,-5*%pi,5*%pi])$ これでは著者の解答と違った結果になってしまうので、おそらく題意としては検波器は半波整流器を意味していると解釈するのが当然だろう。もちろんそうでなければ問題文そのものも変更しなければならなくなる。 P.S 2 もうひとつの考察方法としては、基本波と高調波それぞれの半波整流波形のFourier級数展開を導いて、その合成として整流波形のFourier級数展開を求めて正と負で対称かどうかを調べる方法もあるが、面倒なので読者の課題としよう(´∀` ) |
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