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webadm | 投稿日時: 2009-9-6 1:04 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3068 |
【39】ひずみ波とデカップリング回路 次ぎは興味深いデカップリング回路に関する問題。ただし問題文から題意を理解するのに骨が折れる。
「内部インピーダンスZ=R+jωLでつぎの脈流電圧eを発生する電源に図のようにキャパシタンスCを接続し、直流電圧Eを一定に保ちながら交流電圧の最大値をEm/2にへらしたい。キャパシタンスの大きさをどのようにすればよいか。」 一瞬問題文だけ読んでもなんのことかわからなかったが、昔の真空管回路には必ずつきもののB電圧の平滑回路のことである。 交流の整流波形には直流成分と交流成分(高調波)が含まれる歪み波であるが、そのままでは直流電源としては使えないので、チョークコイルと平滑コンデンサによるフィルターを通してリップルを低減したものを供給する。この問題はその原理に関するもの。 実際の平滑回路では有る程度電流を流すことを前提に設計されるが、これは原理ということで無負荷時の出力電圧のみ扱っている。 これも重ね合わせの理を利用すれば出力に含まれるリップルの振幅を求めることは容易である。 リップルの振幅は交流電源によって生じるキャパシタンスCの電圧降下そのものである。 従ってリップル電圧をErとすると Er=I1/jωC =(Em/(R+jωL+1/jωC))/jωC =Em/(1-ω^2LC+jωCR) =Em*(1-ω^2LC-jωCR)/((1-ω^2LC)^2+(ωCR)^2) |Er|=|Em|*sqrt((1-ω^2LC)^2/((1-ω^2LC)^2+(ωCR)^2)^2+(ωCR)^2/((1-ω^2LC)^2+(ωCR)^2)^2) =|Em|*sqrt((1-ω^2LC)^2+(ωCR)^2)/((1-ω^2LC)^2+(ωCR)^2) 従って|Er|=|Em|/2と置いてCについて解くと (%i30) Em/2=Em*sqrt((1-o^2*L*C)^2+(o*C*R)^2)/((1-o^2*L*C)^2+(o*C*R)^2); (%o30) Em/2=Em/sqrt(o^2*C^2*R^2+(1-o^2*C*L)^2) (%i31) solve([Em/2=Em/sqrt(o^2*C^2*R^2+(1-o^2*C*L)^2)], [C]); (%o31) [C=-(sqrt(3*R^2+4*o^2*L^2)-o*L)/(o*R^2+o^3*L^2),C=(sqrt(3*R^2+4*o^2*L^2)+o*L)/(o*R^2+o^3*L^2)] Cは正の値のみをとるため C=(sqrt(3R^2+4ω^2L^2)+ωL)/(ωR^2+ω^3L^2) =(ωL+sqrt(3R^2+4ω^2L^2))/ω(R^2+ω^2L^2) ということになる。 瞬時値の複素形式のままで解くとCも複素形式として出てしまうので困ったことになる。絶対値の式から解く必要があった。 P.S 今日ではトランジスタなどの能動素子による安定化電源回路が主流になりチョークコイルと平滑コンデンサによる単純な電源回路はみられなくなってしまった。それでもこの考え方は動作時にのみ高速なスイッチング電流を伴う現代のデジタルシステムの電源回路に応用できる。 ちょうど問題の等価電源回路とは逆にロジック回路内に動作時に発生する高速なスイッチング動作によるパルス状のひずみ波電流をFourier級数展開した等価電流源にプリント基板の電源パターンのインダクタンスLと抵抗RのインピーダンスとデカップリングキャパシタCが並列に接続された回路として捉えることができる。これによって等価電流源の電圧降下変動を許容範囲内に抑えるのに必要なC(デカップリングC)の値を計算する必要がある。これは今後もデジタル回路設計では避けて通ることができない。 |
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