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webadm | 投稿日時: 2009-9-8 10:37 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3068 |
【43】半波整流波電流 次ぎの問題も少しひねった半波整流波電流に関するもの。
最大電圧Emで角周波数ωの正弦波電圧源にダイオードと電流計(可動コイル形)に抵抗が直列に接続されている場合に以下のケースそれぞれの電流計の指示を求めよというもの。 (1)ダイオードの電圧降下が0のとき (2)正方向の電流iとダイオードの電圧降下vとの関係式が次式で表されるとき v=V0+i*R0 (Vo,R0:定数) この問題のミソは、電源は正弦波だが、流れる電流は半波整流波でひずみ波である点。また電流計は可動コイル形なので指示値は平均値を意味する点。 第一の設問ではダイオードの電圧降下は無視できるので以前にあったFourier級数展開の問題のように半波整流波電流の平均値を求めればよいことになる。 第二の設問ではダイオードの電圧降下を考慮して回路に流れる半波整流波形から電流の平均値を求める必要がある。 第一のケースで流れる電流の瞬時値は i=Em*sin(ωt)/R (0≦t≦T/2) =0 (T/2≦t≦T) で表される。従って流れる電流の平均値は Iave=(1/T)∫idt (0≦t≦T) =(1/T)∫(Em*sin(ωt)/R)dt (0≦t≦T/2) =(1/T)*(Em*(1/ω-cos((ωT)/2)/ω))/R ここで ω=2π/T を代入すると Iave=(1/T)*(Em*(T/2π-cos(π)*T/2π))/R =Em/πR ということになる。 一方ダイオードの電圧降下を考慮した場合、電源電圧がV0以下の場合には電流は流れず、V0以上の場合、R0がRと直列につながった回路にV0を超えた分の電圧が加わることになる。少々やっかいである。 平均値を求めるためには黒塗りの領域の面積(積分)を求める必要がある。 ストラテジーとしては、ダイオードの順方向閾値電圧(V0)を0とした場合に回路に流れる電流の平均値を求め、それからV0を0以外とした場合に流れなくなる部分の電流の平均値を求めたものを差し引けばよいことになる。 最初にV0=0とした場合の電流は i=Em*sin(ωt)/(R0+R) (0≦t≦T/2) =0 (T/2≦t≦T) で表されその平均値は Iave0=(1/T)∫(Em*sin(ωt)/(R0+R))dt (0≦t≦T) =(1/T)∫(Em*sin(ωt)/(R0+R))dt (0≦t≦T/2) =(1/T)*(Em*(1/ω-cos((ωT)/2)/ω))/(R0+R) ここで ω=2π/T を代入すると Iave0=(1/T)*(Em*(T/2π-cos(π)*T/2π))/(R0+R) =Em/π(R0+R) ということになる。 一方V0≠0とした場合に流れなくなる電流は i=Em*sin(ωt)/(R0+R) (0≦ωt≦θ) =V0/(R0+R) (θ≦ωt≦π-θ) =Em*sin(ωt)/(R0+R) (π-θ≦ωt≦π) =0 (π≦ωt≦2π) 従ってその平均値は Iave1=(1/2π)∫(Em*sin(ωt)/(R0+R))dωt (0≦ωt≦θ) +(1/2π)∫(V0/(R0+R))dωt (θ≦ωt≦π-θ) +(1/2π)∫(Em*sin(ωt)/(R0+R))dωt (π-θ≦ωt≦π) =(1/π)*(∫(Em*sin(ωt)/(R0+R))dωt (0≦ωt≦θ) +∫(V0/(R0+R))dωt) (θ≦ωt≦π/2) =(1/π)*((Em*(1-cos(θ)))/(R0+R)+((π/2-θ)*V0)/(R0+R)) ここでθに関して以下の関係が成り立つ Em*sin(θ)=V0 従って sin(θ)=V0/Em ∴θ=asin(V0/Em) また sin(θ)^2+cos(θ)^2=1 なので (V0/Em)^2+cos(θ)^2=1 ∴cos(θ)^2=1-(V0/Em)^2 従って cos(θ)=sqrt(1-(V0/Em)^2) ということになる。 これらをそれぞれ代入すると Iave1=(1/π)*((Em*(1-sqrt(1-(V0/Em)^2)))/(R0+R)+((π/2-asin(V0/Em)*V0)/(R0+R)) =(1/π(R0+R))*((Em-sqrt(Em^2-V0^2))+(π/2-asin(V0/Em))*V0) ということになる。これをV0=0とした平均値から差し引くと Iave=Iave0-Iave1 =Em/π(R0+R)-(1/π(R0+R))*((Em-sqrt(Em^2-V0^2))+(π/2-asin(V0/Em))*V0) =(1/π(R0+R))*(sqrt(Em^2-V0^2)-(π/2-asin(V0/Em))*V0) ということになる。 著者の解は黒く塗りつぶした部分の積分だけを求めているが、結果は同じである。最終的な式は引き算の形をしているのでこちらの解法のほうが直感的かつ自然であるように思える。 |
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