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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2010-4-15 9:49
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3084
【10】インピーダンス関数とその回路
ふう、やっと正実関数が終わった。次は与えられた零点と極を持つインピーダンス関数と回路を導けというもの。ただしいずれも周波数0におけるインピーダンス値がR[Ω]とする。

(1)零点を-b、極を-aに持つ

駆動点インピーダンス関数は以下の様な形となるはずである

\begin{eqnarray}Z(s)&=&H\frac{\left(s+b\right)}{\left(s+a\right)}\end{eqnarray}

題意よりω=0では定抵抗回路になるのでスケーリングファクターHは

\begin{eqnarray}\left.Z(s)\right|_{s=0}&=&\left.H\frac{\left(s+b\right)}{\left(s+a\right)}\right|_{s=0}\\&=&H\frac{b}{a}\\&=&R\\H&=&\frac{Ra}{b}\end{eqnarray}

ということになる。

したがって駆動点インピーダンス関数は

\begin{eqnarray}Z(s)&=&\frac{Ra\left(s+b\right)}{b\left(s+a\right)}\end{eqnarray}

ということになる。

回路を合成するために展開すると

\begin{eqnarray}Z(s)&=&\frac{Ra\left(s+b\right)}{b\left(s+a\right)}\\&=&\frac{Ras}{bs+ab}+\frac{Rab}{bs+ab}\\&=&\frac{1}{\frac{1}{\Large\frac{b}{Ra}+\frac{b}{Rs}}}+\frac{1}{\Large\frac{s}{Ra}+\frac{1}{R}}\\&=&\frac{1}{\frac{1}{R_1}+\frac{1}{L_1 s}}+\frac{1}{C_1 s+\frac{1}{R_2}}\\R_1&=&\frac{Ra}{b}\,[\Omega]\\L_1&=&\frac{R}{b}\,[H]\\C_1&=&\frac{1}{R a}\,[F]\\R_2&=&R\,[\Omega]\end{eqnarray}

回路図を描くと



ということになる。

著者の解答はa>bという条件付きで誘導性インピーダンスを持つ回路となっているのに対して、こちらのはそういった制約の無い形である点が違う。元々a>bという制約は題意には無いので、a=bやa<bであってもよいはずだ。a=bの場合には零点と極は相殺されて消滅するので定抵抗Rとなる。a<bの場合には、容量性インピーダンスということになる。誘導性か容量性のどちらかに決め打ちした場合には回路素子数はひとつ少なくすることができる。

(2)零点が-2a、極を-a±jbに持つ

零点は実軸上で極は左半面に複素共役対で持つ。

これも典型的な駆動点インピーダンス関数で表すと

\begin{eqnarray}Z(s)&=&H\frac{\left(s+2a\right)}{\left(s+a+jb\right)\left(s+a-jb\right)}\end{eqnarray}

スケールファクタは

\begin{eqnarray}\left.Z(s)\right|_{s=0}&=&\left.H\frac{\left(s+2a\right)}{\left(s+a+jb\right)\left(s+a-jb\right)}\right|_{s=0}\\&=&H\frac{2a}{a^2+b^2}\\&=&R\\H&=&R\frac{a^2+b^2}{2a}\end{eqnarray}

したがって駆動点インピーダンス関数は

\begin{eqnarray}Z(s)&=&R\frac{\left(a^2+b^2\right)\left(s+2a\right)}{2a\left(s+a+jb\right)\left(s+a-jb\right)}\end{eqnarray}

ということになる。

展開すると

begin{eqnarray}Z(s)&=&R\frac{\left(a^2+b^2\right)\left(s+2a\right)}{2a\left(s+a+jb\right)\left(s+a-jb\right)}\\&=&R\frac{\left(a^2+b^2\right)\left(s+2a\right)}{2a\left(s^2+2as+a^2+b^2\right)}\\&=&R\frac{\left(a^2+b^2\right)\left(s+2a\right)}{2a\left(s\left(s+2a\right)+a^2+b^2\right)}\\&=&\frac{1}{\frac{2a}{R\left(a^2+b^2\right)}s+\frac{2a}{R\left(s+2a\right)}}\\&=&\frac{1}{C_1 s+\frac{1}{L_1 s+R_1}}\\C_1&=&\frac{2a}{R\left(a^2+b^2\right)}\,[F]\\L_1&=&\frac{R}{2a}\,[H]\\R_1&=&R\,[\Omega]\end{eqnarray}

ということになる。

回路図で表すと



ということになる。

最後のは分母の式を分子の式と同じ共通項をくくりだすのがみそ。そうしないと展開結果がややこしいことになること請け合い。
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題名 投稿者 日時
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