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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2010-11-23 21:29
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3086
続々:ジャイレータ
これでジャイレータに関する問題は最後。

以下の図のようにジャイレータの入力と出力が抵抗でブリッジ接続されたような回路が一方向性であることを示し、伝送行列を求めよというもの。



著者の図だと共通帰線を持たない回路になっているが、実際には共通帰線を持たないと抵抗でブリッジした意味が無い。

著者とは違うアプローチでやってみよう。

考え中...

以前に異なる伝送行列を持つ二端子対回路を並列した時の伝送行列を求める問題の解を利用しよう

引用:

以下の既知の4端子定数を持つ2つの小回路を並列接続した場合

\begin{eqnarray}<br />\left[\begin{array}<br />E^{\'}_1\\<br />I^{\'}_1<br />\end{array}\right]&=&\left[\begin{array}<br />A_1 & B_1\\<br />C_1 & D_1<br />\end{array}\right]\left[\begin{array}<br />E^{\'}_2\\<br />I^{\'}_2<br />\end{array}\right]\\<br />\left[\begin{array}<br />E^{\'\'}_1\\<br />I^{\'\'}_1<br />\end{array}\right]&=&\left[\begin{array}<br />A_2 & B_2\\<br />C_2 & D_2<br />\end{array}\right]\left[\begin{array}<br />E^{\'\'}_2\\<br />I^{\'\'}_2<br />\end{array}\right]<br />\end{eqnarray}

全体の回路の4端子定数は以下の様に一意に定まる。

\begin{eqnarray}<br />\left[\begin{array}<br />E_1\\<br />I_1<br />\end{array}\right]&=&\left[\begin{array}<br />A & B\\<br />C & D<br />\end{array}\right]\left[\begin{array}<br />E_2\\<br />I_2<br />\end{array}\right]\\<br />&=&\left[\begin{array}<br />\frac{A_1 B_2+A_2 B_1}{B_1+B_2} & \frac{B_1 B_2}{B_1+B_2}\\<br />C_1+C_2+\frac{\left(A_2-A_1\right)\left(D_1-D_2\right)}{B_1+B_2} & \frac{D_1 B_2+D_2 B_1}{B_1+B_2}<br />\end{array}\right]\left[\begin{array}<br />E_2\\<br />I_2<br />\end{array}\right]<br />\end{eqnarray}


題意よりジャイレータの伝送行列をF1,シリーズ抵抗Rのみから成る二端子対回路の伝送行列をF2とすると

\begin{eqnarray}<br />F_1&=&\left[\begin{array}A_1&B_1\\C_1&D_1\end{array}\right]=\left[\begin{array}0&R\\\frac{1}{R}&0\end{array}\right]\\<br />F_2&=&\left[\begin{array}A_2&B_2\\C_2&D_2\end{array}\right]=\left[\begin{array}1&R\\0&1\end{array}\right]\\<br />F&=&\left[\begin{array}\frac{A_1 B_2+A_2 B_1}{B_1+B_2} & \frac{B_1 B_2}{B_1+B_2}\\C_1+C_2+\frac{\left(A_2-A_1\right)\left(D_1-D_2\right)}{B_1+B_2} & \frac{D_1 B_2+D_2 B_1}{B_1+B_2}\end{array}\right]\\<br />&=&\left[\begin{array}\frac{1}{2} & \frac{R}{2}\\\frac{1}{2 R} & \frac{1}{2}\end{array}\right]\\<br />&=&\frac{1}{2}\left[\begin{array}1 & R\\\frac{1}{R} & 1\end{array}\right]<br />\end{eqnarray}

おろ、著者の解と違ってしまった。

どうみても著者が導いたadmittance行列を変換表を使って伝送行列に変換してみても上と同じ結果になるので、著者の誤記ということにしよう。

さてこの回路が一方向性であることを示すにはどうすんだ(;´Д`)

この回路の伝送行列の行列式は0になるので可逆行列ではないことだけは確かだ。

しかもこの伝送行列の映像パラメータと反復パラメータは同じであるという変わった性質を持つ。以前の問題にでてきたあれである。

引用:
Fが非可逆行列である必要十分条件は

\begin{eqnarray} \left|F\right|&=&A D-B C=0\\ A D&=&B C\\ A:B&=&C:D\\ A:C&=&B:D \end{eqnarray}

ということになる。


まさのこの条件を満たすことがわかる。

それでは映像パラメータを求めてみよう。

\begin{eqnarray}<br />\left|\lambda I-F F_i\right|&=&\left|\lambda I-\frac{1}{4}\left[\begin{array}1 & R\\\frac{1}{R} & 1\end{array}\right]\left[\begin{array}1 & R\\\frac{1}{R} & 1\end{array}\right]\right|\\<br />&=&\left|\left[\begin{array}\lambda & 0\\0 & \lambda\end{array}\right]-\frac{1}{4}\left[\begin{array}2 & 2R\\\frac{2}{R} & 2\end{array}\right]\right|\\<br />&=&\left|\begin{array}\lambda-\frac{1}{2} & -\frac{R}{2}\\-\frac{1}{2 R} &\lambda-\frac{1}{2}\end{array}\right|\\<br />&=&\left(\lambda-\frac{1}{2}\right)^2-\frac{1}{4}\\<br />\lambda&=&0,\,1\\<br />\theta&=&\frac{\lambda}{2}=0,\,\frac{1}{2}\\<br />\left(\lambda I-F F_i\right)x&=&\left[\begin{array}\frac{1}{2} & -\frac{R}{2}\\-\frac{1}{2 R} &\frac{1}{2}\end{array}\right]x\\<br />&=&\frac{1}{2}\left[\begin{array}1 & -R\\-\frac{1}{R^2} &1\end{array}\right]\left[\begin{array}Z_{01}\\1\end{array}\right]\\<br />&=&\frac{1}{2}\left[\begin{array}Z_{01}-R\\-\frac{1}{R} Z_{01}+1\end{array}\right]=\left[\begin{array}0\\0\end{array}\right]\\<br />Z_{01}&=&R<br />\end{eqnarray}

ふうだいぶ計算を間違えてやり直した(;´Д`)

2つある影像インピーダンスの片方Z01はRと等しい時に伝達定数θは1/2となる。しかしもう片方のZ02も同じ値になってしまう。どうすんだこれ(;´Д`)

よく考えたらこれは対称回路だから2つの影像インピーダンスは合い等しいことになる。だめだこりゃ。

あとはオーソドックスに回路方程式をたてるという方法がある。ブリッジ抵抗Rとジャイレータを含む閉回路を流れる電流をI3とすると



以下の関係が成り立つ

\begin{eqnarray}<br />\left(I_1-I_3\right)R&=&E_2\\<br />E_1&=&\left(I_2-I_3\right)R\\<br />E_1&=&I_3 R+E_2<br />\end{eqnarray}

第三の式からI3を求めて、それを第一と第二の式に代入して整理すると

\begin{eqnarray}<br />I_3&=&\frac{E_1-E_2}{R}\\<br />\left(I_1-\frac{E_1-\cancel{E_2}}{R}\right)R&=&\cancel{E_2}\\<br />I_1&=&\frac{E_1}{R}\\<br />E_1&=&\left(I_2-\frac{E_1-E_2}{R}\right)R\\<br />I_2&=&\frac{2 E_1-E_2}{R}<br />\end{eqnarray}

従ってI2はE1,E2それにRに依存して定まるが、I1はE1とRのみで一意的に定まるので出力側の条件E2,I2にまったく依存しない。これはすなわち一方向性を持つということになる。

ふう、やっと終わったよママン(ノД`)

実はこうした一方向伝送回路は身近な無線機器には必ずといってよいほど使われている。

高周波増幅回路では増幅素子(特にトランジスタ)そのものが出力から入力方向への電力拡散があるため、複数の増幅段を縦続接続する場合には入力方向に出力電力が逆流していかないように一方向結合回路で接続する必要がある。

理想的な一方向結合回路はジャイレーターや理想変成器を必要とするため実現できないが、現実の素子を使って逆方向の伝播係数を順方向の伝播係数より低くする回路が実用化されている。

こうした一方向結合回路は後の問題で扱う。

P.S

実はたまたま故障したFRG-7000の回路図を眺めていて、中間周波トランスに問題とよく似たブリッジコンデンサが付いているのに気づいた。



複数のミキサー回路を有する通信型受信機の第一中間周波増幅回路の前後の中間周波トランスには一般のスーパーヘテロダイン受信機の中間周波トランス回路には無いブリッジコンデンサがついているのは何のためか長らく疑問だったがこれで明らかになった。トランスだけだと相反回路なので、後段のミキサー回路に注入されたローカルオシレータ信号が前段にあるミキサー回路へ拡散して不必要なイメージ混信を引き起こすことになる。それを防ぐには一方向結合回路が必要となる。理論を学べば「ああ、なんだ」ということになる。

P.S

この回路は見方を変えると4端子対回路と解釈することもできる。4端子対のうち上下を終端と短絡処理したものと考えるのである。こうした回路は2端子4端子変換(ハイブリッド)回路と呼ばれている。共通点は伝送回路に一方向性が伴うというものである。代表的なのはアナログ電話網内で送話と受話信号をそれぞれ増幅するために網内で二線式の加入者回線を送話と受話の4線に信号分離する回路や、RF回路ではひとつのアンテナを送信用と受信用で同時使用するサーキュレーター回路などである。


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題名 投稿者 日時
   2端子対回路演習問題 webadm 2010-5-20 4:53
     インピーダンスパラメータ webadm 2010-5-20 5:54
     インピーダンスパラメータとアドミッタンスパラメータ webadm 2010-5-22 23:43
     インピーダンスパラメータとハイブリッドパラメータ webadm 2010-5-23 1:32
     インピーダンス行列とアドミッタンス行列 webadm 2010-5-23 10:12
     T形回路 webadm 2010-5-23 16:25
     続:T形回路 webadm 2010-5-23 16:33
     π形回路 webadm 2010-5-23 17:20
     Zobel変換 webadm 2010-5-23 17:58
     ハイブリッドパラメータ webadm 2010-5-24 17:53
     アドミッタンスパラメータと4端子定数 webadm 2010-5-26 11:41
     伝送行列 webadm 2010-5-26 14:34
     T形回路の伝送行列 webadm 2010-5-26 15:14
     4端子定数 webadm 2010-5-27 3:18
     続:伝送行列 webadm 2010-5-27 13:50
     続:4端子定数 webadm 2010-5-27 22:14
     続々:4端子定数 webadm 2010-5-29 3:39
     インピーダンス行列 webadm 2010-5-29 11:27
     アドミッタンス行列 webadm 2010-5-29 11:57
     またまた:4端子定数 webadm 2010-5-30 11:15
     二端子対回路の並列接続 webadm 2010-5-30 12:37
     もうひとつの:4端子定数 webadm 2010-5-30 12:45
     アドミッタンスパラメータ webadm 2010-6-3 12:42
     まだまだ:4端子定数 webadm 2010-6-5 13:04
     影像パラメータと4端子定数 webadm 2010-6-5 13:44
     影像パラメータ webadm 2010-6-12 22:30
     続:影像パラメータ webadm 2010-6-13 5:07
     続々:影像パラメータ webadm 2010-6-17 5:13
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   » 続々:ジャイレータ webadm 2010-11-23 21:29
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     続々:対称回路 webadm 2010-11-30 9:27
     またまた:対称回路 webadm 2010-11-30 23:28
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     続々:Zパラメータ webadm 2010-12-20 10:10
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     続々:最小位相推移回路 webadm 2011-4-22 9:38

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