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webadm
投稿日時: 2011-11-1 17:19
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
過渡現象演習問題
上巻の最後のひずみ波ではFourie変換を、下巻のフィルタ理論では複素関数解析、それに過渡現象で微分方程式とすでにいくつもの応用数学を操る段階に足を踏み入れている。

数学の本ではもうこうした応用数学の具体的な例を扱うことはせずに、その分類や普遍的な性質や構造を扱うのに終止している。

ここから先はもう自分の手と足で行く手を開くしかないのである。そういったことが苦痛か、面白いかでだいぶ世界が変わる。

数学の本で学んだだけの微積分や微分方程式論はなんのことかさっぱりピンとこないが、電気回路の具体的な問題に臨もうとするとその意味がひとつひとつ体得してくる。

おそらく数学者も実際には具体例を挙げて考えを確かめていた思うが、具体例を出してしまうとその例だけに有効なのかもっと広い範囲で有効なのか曖昧になってしまう。一個たりとも具体例を挙げてはいけないことになってしまう。これがピンとこない理由でもある。木を見ずして森を見るというのが数学の見方で、森の中の数ある木の一つを調べる必要があるのが工学的な見方と対極的である。

物理学とか電磁気学では三次元の世界の現象を記述する必要からベクトル解析が用いられる。これらは連立n階偏微分方程式となるため、ベクトル解析独特の省略記法が多用される。最初にそれを見ると訳がわからないのだが、微分方程式から連立微分方程式、そして線形代数の視点からみた偏微分方程式を考えると大変効果的な方法だと理解できる。しかし通常はそんな予講に割く時間はないのでいきなりベクトル解析をつかってがんがん講義を進めるということになる。結局ベクトル解析がなんなのかわからないうちにすべての講義が終わってしまうという結果に。

ドイツの電気理論の教科書は電気回路理論と電磁気学理論を同時平行形で学んでいくので、最初に簡単な抵抗回路が出てくる一方で最初の静電界のところでベクトル解析での方程式が出てくる。そこでみんなが躓くのではないかと思う。ドイツではきっと別に数学でその辺りをおさらいしているのかもしれない。そうでないとしたら大変な試練である。

学生の時なら教わった内容をそのまま鵜呑みにしようと一生懸命にならざるを得なかったが(若いのに時間的に制約があったというのは変だが)、今は学生ではないので時間に余裕があるため自分で納得のゆく方法で学んでいくことができる。そういいながらもう既に勉強を初めてから3年以上経過している。

上巻の前半までは既に知っていることが大半だったが、有限段数の抵抗ラダー回路が出てきたところで最初の試練があった。今ならたわいもないことなのだが、当時それが何故に双曲線関数で記述されるかがさっぱりわからなかった。双曲線関数が宿敵となったのはその時からである。

次の試練は下巻の一端子対回路で、インピーダンスが双曲線関数で表される回路を示せという問題が出てきたときである。著者は回答を示しているが何故そうなるかはまったく説明していない。これが何故か正直まったくわからなかった。今もまだわからない。答えは有限長のレッヘル線(終端が開放と短絡とでインピーダンス関数かアドミッタンス関数のどちらかになる)だった。

かくして宿敵には2度臨んで二度とも勝ち目がなかった。そうした問題をやはり自分で納得がゆく形で解いてみたいというのが未だにあるから続けてこれたのかもしれない。

話しを過渡現象に戻そう。

既に理論の時に我流でRL直列回路やRC直列回路、それにRLC直列回路の過渡現象を解析したが、すべてのケースについてではなかった。ひとつの解析ですべてのケースを扱うことが難しいというのは既に書いた通り。あるケースを解こうとすると別のケースは目をつぶるしかない。逆も真なり。

またあるケースがうまく簡単に解けても、別のケースで同じやり方が有効とは限らない。別のやり方の方が簡単に解けることもある。解き方もケースバイケースで答えもケースバイケースである。

幸いなことに受動素子から成る線型回路の過渡現象解析には答えが一意的に決まるということが証明されている。逆に能動素子がひとつでも回路に混入すると非線型回路となり、場合によっては解が定まらない場合も出てくる。そのため能動素子を含む電子回路の解析には微分方程式の数値解法が必要とされる。回路シミュレータが不可欠ということになる。だからといって線型回路の微分方程式の解法を学ぶ必要がないかというとそうではない。そこへ踏み込むのに最低でも知っておく必要があるということは確かである。

電子回路に比べると受動素子のみからなる電気回路は簡単すぎるように見えるかもしれない。回路シミュレータを使えば簡単に答えが得られる。その場合でも微分方程式の初期値問題等の知識が無いと誤った解と正しい解の区別がつかなくなる。意図していた正しい解ではなく違うケースの解と取り違えてしまうこともある。回路シミュレータをうまく正しく使いこなすにも基本的な微分方程式の問題の解き方を訓練するのは必要である。

これから登場する問題でも、題意に答えるだけで満足せずに。題意が意図していない別のケースや見落とされた条件などを視点を変えて見抜く訓練も重要である。そうしたいろいろな思考シミュレーションをするのを面白いと思うか、時間の無駄だと思うかは、その人の時間的な余裕度にも依る。時間が無い人は直接利益が還元されないことに時間を費やすよりも、還元されることに時間を割く。面白いことばかりやっていればすぐに時間が過ぎてしまう。皮肉なものである。

さて余談ばかりせずに問題に進もう。
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 » 過渡現象演習問題 webadm 2011-11-1 17:19
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