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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2012-4-11 15:26
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:LC直列回路
次もLC直列回路の問題

ちょっと捻ってある。

インダクタンスL=25[mH]に直流電流I=40[A]を流しておき、急にキャパシタンスC=10[μF]に接続するとき、各要素に生じる電圧および電流の最大値ならびに固有周波数を求めよ。



というもの。

スイッチを切り替える前にはすでにインダクタンスLにはエネルギーが蓄えられていて、スイッチを切り替えるとそれがキャパシタンスに側に放出される。あるいは、鎖交磁束不変の理により、インダクタンスLは電流Iを流そうとする。従ってt=0においてi(-0)=i(+0)=Iであることが予想される。またキャパシタンスCには初期状態として電荷が0であると仮定すると、t=0でv2(-0)=v2(+0)=0ということになる。従ってv1(-0)=v1(+0)=0と予想される。

LとCが直列に接続された際の閉回路には以下の関係が成り立つ



これをHeaviside演算子とベクトルで書き直すと



これを演算子法で解くと



ということになる。

電圧と電流の最大値それに固有周波数はそれぞれ



ということになる。

P.S

演算子法を用いる場合には、以下の様に右辺が全て0となるような立式だと都合が悪い。



Heaviside演算子とベクトルを用いて上の式を書き直すと




という形になり。これは同次作用素方程式と呼ぶべきだろうか。Fが可逆(逆演算子が存在し)かつF≠0である場合、方程式を満足する関数ベクトルuはただひとつu=0である。これは自明な解であって求めようとする非自明な解ではない。もちろん上の立式でもv1,v2を消去すると変数分離型の定係数二階線型同次微分方程式になるので初期値問題として解くことができる。しかし演算子法では初期値を与えるステップが最初を除いて存在しないので予め非同次作用素方程式の右辺に非零な不変関数か定数ベクトルとして含める必要がある。

そのため、この問題を演算子法で解くために立式時に初期条件を予め含み入れたものにする必要があった。インダクタンスLに蓄えられたエネルギー保存則を用いるアイデアもあるが、エネルギーは双線型(bi-linear)形式であるので面倒である。そこで鎖交磁束不変の理を用いることにした。t=-0で回路の鎖交磁束の総和はL*Iであるから、それを右辺に置き非同次作用素方程式ができるので演算子法で解くことができる。

この問題の回路も現実には存在しない。強いて作ろうとすれば、真空中に超伝導材料で回路を構成するしかない。そうすれば電界と磁界の変化によって微量のエネルギーが周囲の自由空間に放射される点を無視すればほぼ永続的にキャパシタとインダクタの間でエネルギーの交換が(まるで心臓の鼓動のように)繰り返される。

現実の素子で回路を組むとRLC直列回路になってしまうので、比較的短い時間でエネルギーは抵抗で熱となって消費され、インダクタンスとキャパシタンスとの間で交換されるエネルギー量が時間とともに減少し最後には0になってしまう。

この回路の解をグラフでプロットすると、すぐには予想もつかないような形になる。v1とv2は実際には常に相殺しあってキルヒホッフの電圧則を満足する。電流は最初初期条件の向きで流れるがキャパシタンスにエネルギーが移動するにつれ減少し遂には0に到る。今度は逆にキャパシタンスに蓄えられたエネルギーがインダクタンス側に放出され、逆向きに電流が流れる、電流が変化するとLに電圧が生じ、流れる電流が減少していき、遂には0に到る、今度はインダクタンスに蓄えられたエネルギーがキャパシタンス側に放出され...これが延々と繰り返される。

C=L=I=1としてプロットすると



ということになる。

力学系で例えると、インダクタンスはフライホイールで、予め速度Iで回転した状態で、キャパシタンスである渦巻きゼンマイに回転軸が連結される。フライホイールは慣性で渦巻きゼンマイを巻き上げる方向にしばらく回転するが、渦巻きゼンマイにエネルギーが移動するにつれ反発力が増すと同時にフライホイールの回転速度は次第に減少し0に到る(フライホイール側のエネルギーが0)、今度は逆に渦巻きゼンマイが巻き戻り始めフライホイールを逆回転させ、エネルギーが再びフライホイール側に移動する。というぐあい。



P.S

回路図中のv1,v2の極性に対して立式が一致していなかったので訂正した。最初の段階でどちらの極性の電圧が発生するかはなかなか予想が難しい。Cの電荷は電流が流れるのと逆らう極性になることは容易に予想されるが、Lの電圧降下はどうだろう。キルヒホッフの電圧則に従えば、Cの電荷を相殺する極性を持つことになる。立式ではとりあえず、v1,v2の電圧は共通のノードからの相対電圧として定義し、それに対して電流の流れを定めれば自ずと可能なのだが、負号の付け方には二通りあり(両辺に-1を掛けても式の意味は変わらない)、いろいろ心惑わされるのであった。

結果的に最初に定義した極性とは最初逆極性の電圧が発生し、次のサイクルではそれが逆転へ向かうということがわかる。
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