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webadm | 投稿日時: 2008-11-6 15:45 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
多相交流 ようやく上巻も残すところ2章となった。
今日の電力伝送は三相交流が主で大口需要家には三相のまま、小口の一般家庭には単相に変換されて電力が供給されている。 特に水力発電所などの山岳地帯から都市部への電力電送は長い距離の送電線を敷設しなければならない。いかに電気伝導度の高い送電線を使おうとも抵抗値によって消費される電力は無視できない。 仮に単純な単相交流で長距離を送電した場合には、送電線の行きと戻りで2倍の損失が伴う。 それに対して三相交流では3本の送電線で単相の3倍の電力を供給することが出来るので、同じ電力を単相で送電するよりも送電線による電力損失が格段に少ないという特徴がある。 また単相交流での瞬時値電力には2倍の周波数成分が含まれるが、三相交流ではそれらは互いに位相の異なる3つの成分によって相殺され有効電力成分のみとなる。 これらの利点から自ずと電力送電の主流は直流や単相交流ではなく三相交流となった。 電力供給の主流が交流となった時代に三相交流もスタインメッツが体系化した記号法を用いて解析や計算が行われていた。 古い電気回路の参考書を見ると、基本交流回路に続いて三相交流回路を教えていたらしい。歴史的には記号法のみを用いた三相交流回路解析がスタインメッツの記号法以来25年の長きに続いたらしい。三相交流回路は電源及び負荷が平衡しているような理想的な条件では単相に関して計算すれば残りの相も対称であるが、不平衡の場合には複雑な方程式を解く必要が出てくる。それを打開したのがフォーテクスの対称座標法である。それまでの三相交流の起電力は位相が互いに2π/nだけ違うという記号法的な扱いだったが、対称座標法では各相が零相、正相、逆相の3つからそれぞれ合成されたものとして扱うため、電圧、電流、電力も零相、正相、逆相について扱えば良く今日ではそれが主流である。 本書では記号法の後に回路網理論があって、その後に多相交流理論の中で三相交流が扱われている。他の参考書では回路網理論の次ぎは2端子対回路とか回路網理論の応用展開が入るのだが、本書の著者はそれらを下巻で扱っている。おそらくは下巻の主題であるフィルター理論の前座として2端子対回路を学ぶのが適切としたのだろう。特に近代的な非対称三相交流回路の解析方法は行列表現を用いるため回路網理論で線形代数に慣れてから学ぶという流れに変わったものと思われる。 本書における多相交流の理論説明は極めて手短でわずかなページ数しか割いていない。その代わり演習問題は豊富である。詳しく説明すればページ数がかさみ上巻と下巻のページ数配分がアンバランスになるのを恐れたのかもしれない。しかしいささかはしょり過ぎのような気もする。他の参考書だとかなりの理論説明にページ数を割いている。 理論のうわべを眺めただけではまったく身につかないのは確かなので演習問題で疑問を呈して理論に立ち戻るということが不可欠である。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-7 10:23 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Re: 多相交流 一般的に多相交流とは
・周波数が同一で位相が異なる起電力が複数存在する その中で対称n相交流と呼ばれるものは ・起電力がn個 ・各起電力の大きさが等しい ・位相がそれぞれ2π/n[rad]ずつ異なっている という条件を満たす。 更にその中で平衡多相方式とよばれるものは ・各相の瞬時電力の和が時間に関係なく一定 という条件を満たす。 電力送電には三相交流が用いられている。 歴史上ではニコラ・テスラが4本の送電線を使用する二相交流送電を考案して先にナイヤガラで実用化していたが、ドリヴォ・ドブロウォルスキーが3本の送電線で二相交流よりも多くの電力を供給できる三相交流方式を考案し、それが展示会デモで成功を収めたため三相交流が一気に主流となったいきさつがある。 多相交流に関するニコラ・テスラの先駆性は結果的に現代社会への大きな貢献を生む基礎となった。後にノーベル物理学賞候補としてエジソンと共にノミネートされるも、エジソンとの長年の確執により双方とも同時受賞を拒否したといういきさつもある。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-7 10:53 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
星形結線と環状結線 多相交流には
・星形結線 ・環状結線 の二種類がある。 三相交流の星形結線はY結線、環状結線はΔ結線と呼ばれる。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-7 13:48 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
対称n相電圧、電流 対称n相電圧の瞬時値e1,e2,...,en及び瞬時値電流i1,i2,...,inは記号法で表すと以下の通り
e1=Em*sin(ωt) e2=Em*sin(ωt-2π/n) e3=Em*sin(ωt-4π/n) . . . en=Em*sin(ωt-(n-1)*2π/n) i1=Im*sin(ωt+φ) i2=Im*sin(ωt+φ-2π/n) i3=Im*sin(ωt+φ-4π/n) . . . in=Im*sin(ωt+φ-(n-1)*2π/n) 星形結線の場合には星形起電力と星形電流、環状結線の場合には環状起電力と環状電流をしめす。 これらの電圧、電流には以下の関係が成り立つ。 e1+e2+e3+...+en=0 i1+i2+i3+...+in=0 これは電圧及び電流のベクトルを全相分を加えていくと最終的に0になることから明らかである。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-11 9:54 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
三相交流 多相交流の中で商用電力の送電に用いられているのが三相交流である。
3つの起電力があり、その大きさが等しく、各起電力間の位相差が2π/3である場合、これを対称三相交流と呼ぶ。 対称三相交流の起電力及び電流はそれぞれ ea=Em*sin(ωt) eb=Em*sin(ωt-2π/3) ec=Em*sin(ωt-4π/3) ia=Im*sin(ωt+φ) ib=Im*sin(ωt+φ-2π/3) ic=Im*sin(ωt+φ-4π/3) と表すことができる。 ベクトル図で表すと 対称三相交流電圧を記号法で表すと Ea=|E| Eb=|E|*exp(-j2π/3)=|E|*(cos(2π/3)-jsin(2π/3))=a^-1*|E|=a2*|E| Ec=|E|*exp(-j4π/3)=|E|*(cos(4π/3)-jsin(4π/3))=a^-2*|E|=a*|E| 対称三相交流電流を記号法で表すと Ia=|I| Ib=|I|*exp(-j2π/3)=|I|*(cos(2π/3)-jsin(2π/3))=a^-1*|I|=a2*|I| Ic=|I|*exp(-j4π/3)=|I|*(cos(4π/3)-jsin(4π/3))=a^-2*|I|=a*|I| ここで a=exp(j2π/3)=cos(2π/3)+jsin(2π/3)=-1/2+j√3/2=a^-2 aは基準ベクトル(原点と実軸の+1を結ぶベクトル)と2π/3の位相差を持つ単位ベクトル。従ってaを任意のベクトルに乗じると原点を中心に2π/3だけ半時計方向に回転する。 aについては以下のことが成り立つ a^2=exp(j4π/3)=-1/2-j√3/2 a^-1=a^2 a^-2=a a^-3=a^3=1 1+a+a^2=1+a^-2+a^-1=0 従って先の対称三相交流電圧及び電流の式から Ea+Eb+Ec=(1+a^-1+a^-2)*|E|=0 Ia+Ib+Ic=(1+a^-1+a^-2)*|I|=0 ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-11 10:24 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Y結線の電圧と電流 対称三相交流の3つの起電力Ea,Eb,Ecを以下の図のように結線したものをY結線と呼ぶ。
基準相Eaに対してEb,Ecは時計方向に2π/3,4π/3と位相が遅れている。こうした回転方向を相回転または相順とよぶ。各端子間の電圧Eab,Ebc,Ecaを相間電圧と呼ぶ。線間電圧と相電圧の関係は以下の通り。 Eab=Ea-Eb=(1-a^2)*Ea Ebc=Eb-Ec=(1-a^2)*Eb Eca=Ec-Ea=(1-a^2)*Ec ここで 1-a^2=1-(-1/2+j√3/2)^2=1-(1/4-3/4+j*(-√3/4-√3/4))=1+1/2+j√3/2 =3/2+j√3/2 =√3*(√3/2+j/2) =√3*exp(jπ/6) なので Eab=√3*Ea*exp(jπ/6) Ebc=√3*Eb*exp(jπ/6) Eca=√3*Ec*exp(jπ/6) 従って線間電圧はY型起電力の√3倍の実効値を持ち、位相がπ/6だけ進むことになる。 線間電圧=√3*(Y型起電力)*exp(jπ/6) 各線を流れる電流を線電流と呼び、Y結線の場合は相電流と一致する。 線電流=Y型相電流 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-11 10:49 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Δ結線の電圧と電流 対称三相交流の各起電力Eab,Ebc,EcaがΔ結線された場合、線間電圧は相電圧そのものとなる。
線間電圧=Δ型起電力 端子a,b,cについてキルヒホッフの電流則により Iab-Ica-Ia=0 Ibc-Iab-Ib=0 Ica-Ibc-Ic=0 が成り立つので 従って線電流Ia,Ib,Icと相電流Iab,Ibc,Icaの間には Ia=Iab-Ica=Iab-Iab*a^2=(1-a)*Iab=√3*Iab*exp(-jπ/6) Ib=Ibc-Iab=Ibc-Ibc*a^2=(1-a)*Ibc=√3*Ibc*exp(-jπ/6) Ic=Ica-Ibc=Ica-Ica*a^2=(1-a)*Ica=√3*Ica*exp(-jπ/6) という関係が成り立つ。 ここで 1-a=1-(-1/2+j√3/2)=3/2-j√3/2=√3*(√3/2-j/2)=√3*exp(-jπ/6) 線電流はΔ型相電流の√3倍の実効値を持ち、位相がπ/6だけ遅れる。 線電流=√3*(Δ型相電流)*exp(-jπ/6) |
webadm | 投稿日時: 2008-11-12 9:41 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Y型起電力とΔ型起電力の等価変換 Y型起電力とΔ型起電力が外部から見て等価であるためには以下の条件を満たす必要がある。
・双方の線間電圧が等しい 既にY型起電力とΔ型起電力の線間電圧については学んだ通り Δ型線間電圧=Δ型起電力 Y型線間電圧=√3*Y型起電力*exp(jπ/6) 従って Δ型起電力=√3*Y型起電力*exp(jπ/6) もしくは Y型起電力=(1/√3)*Δ型起電力*exp(-jπ/6) ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-12 12:12 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
非対称三相起電力のY-Δ変換 非対称Y結線と非対称Δ結線の電源が等価であるためには各線間電圧と線電流がそれぞれ等しくなければならない。
左のY結線電源では Eab=Ea-Za*Ia-(Eb-Zb*Ib) Ebc=Eb-Zb*Ib-(Ec-Zc*Ic) Eca=Ec-Zc*Ic-(Ea-Za*Ia) Ia+Ib+Ic=0 Eab+Ebc+Eca=0 が成り立つ。 一方右のΔ結線電源では Eab=E1-Zab*(I1-I0) Ebc=E2-Zbc*(I2-I0) Eca=E3-Zca*(I3-I0) Eab+Ebc+Eca=E1+E2+E3-(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3)+(Zab+Zbc+Zca)*I0=0 ∴I0=(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca) これをEab,Ebc,Ecaの式に代入すると ∴Eab=E1-Zab*(I1-(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca)) =E1-Zab*I1+Zab*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca) =(E1*(Zab+Zbc+Zca)-Zab*(Zab+Zbc+Zca)*I1+Zab*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E1*(Zbc+Zca)-Zab*(Zbc+Zca)*I1+Zab*(Zbc*I2+Zca*I3)-(E2+E3)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E1*Zbc-E2*Zab+E1*Zca-E3*Zab+Zab*Zbc*(I2-I1)-Zab*Zca*(I1-I3))/(Zab+Zbc+Zca) ∴Ebc=E2-Zbc*(I2-(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca)) =E2-Zbc*I2+Zbc*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca)) =(E2*(Zab+Zbc+Zca)-Zbc*(Zab+Zbc+Zca)*I2+Zbc*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E2*(Zab+Zca)-Zbc*(Zab+Zca)*I2+Zbc*(Zab*I1+Zca*I3-(E1+E3)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E2*Zab-E1*Zbc+E2*Zca-E3*Zbc-Zbc*Zab*(I2-I1)+Zbc*Zca*(I3-I2))/(Zab+Zbc+Zca) ∴Eca=E3-Zca*(I3-(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca)) =E3-Zca*I3+Zca*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3))/(Zab+Zbc+Zca) =(E3*(Zab+Zbc+Zca)-Zca*(Zab+Zbc+Zca)*I3+Zca*(Zab*I1+Zbc*I2+Zca*I3-(E1+E2+E3)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E3*(Zab+Zbc)-Zca*(Zab+Zbc)*I3+Zca*(Zab*I1+Zbc*I2-(E1+E2)))/(Zab+Zbc+Zca) =(E3*Zab-E1*Zca+E3*Zbc-E2*Zca+Zca*Zab*(I1-I3)-Zca*Zbc*(I3-I2))/(Zab+Zbc+Zca) 従って2つの電源回路が等価であるためには Ia=I1-I3 Ib=I2-I1 Ic=I3-I2 Eab=Ea-Za*Ia-(Eb-Zb*Ib) =Ea-Za*(I1-I3)-(Eb-Zb*(I2-I1)) =(E1*Zbc-E2*Zab+E1*Zca-E3*Zab+Zab*Zbc*(I2-I1)-Zab*Zca*(I1-I3))/(Zab+Zbc+Zca) Ebc=Eb-Zb*Ib-(Ec-Zc*Ic) =Eb-Zb*(I2-I1)-(Ec-Zc*(I3-I2)) =(E2*Zab-E1*Zbc+E2*Zca-E3*Zbc-Zbc*Zab*(I2-I1)+Zbc*Zca*(I3-I2))/(Zab+Zbc+Zca) Eca=Ec-Zc*Ic-(Ea-Za*Ia) =Ec-Zc*(I3-I2)-(Ea-Za*(I1-I3)) =(E3*Zab-E1*Zca+E3*Zbc-E2*Zca+Zca*Zab*(I1-I3)-Zca*Zbc*(I3-I2))/(Zab+Zbc+Zca) が成り立つ必要がある。 上記のEab,Ebc,Ecaの左辺と右辺を比較して共通項を整理すると Za=Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca) Zb=Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca) Zc=Zbc*Zca/(Zab+Zbc+Zca) でなければならず。 かつ Ea-Eb=(E1*Zbc-E2*Zab+E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca) Eb-Ec=(E2*Zab-E1*Zbc+E2*Zca-E3*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca) Ec-Ea=(E3*Zab-E1*Zca+E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca) でなければならないことから更に左辺と右辺を比較して共通項を整理すると Ea=(E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca) Eb=(E2*Zab-E1*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca) Ec=(E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca) でなければならないことになる。 P.S これとは別にY結線及びΔ結線の各端子間を短絡した場合に流れる短絡電流が等しくならなければならないことから同様に同じ条件式を導く方法がある。 本来は線間電圧の式を行列で表し、線間電圧が等しくなるためにはインピーダンス行列が等しくなければならないことから導くのがストラテジーとしては適切だろう。 すなわち Y結線での線間電圧をマトリックスで表すと [E]=([Eab],[Ebc],[Eca]) [I]=([I1-I3],[I2-I1],[I3-I2]) [Z]=([Za,-Zb,0],[0,Zb,-Zc],[-Za,0,Zc]) =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])([Za],[Zb],[Zc]) [E]=([Ea-Eb],[Eb-Ec],[Ec-Ea])-[Z][I] =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])([Ea],[Eb],[Ec])-([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])([Za],[Zb],[Zc])[I] =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])(([Ea],[Eb],[Ec])-([Za],[Zb],[Zc])[I]) Δ結線での線間電圧をマトリックスで表すと [Z']=(1/(Zab+Zbc+Zca))([Zab*Zca,-Zab*Zbc,0],[0,Zbc*Zab,-Zbc*Zca],[-Zca*Zab,0,Zca*Zbc]) =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])([Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca)],[Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)],[Zca*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)]) と置くと [E]=(1/(Zab+Zbc+Zca))([E1*Zbc-E2*Zab+E1*Zca-E3*Zab],[E2*Zab-E1*Zbc+E2*Zca-E3*Zbc],[E3*Zab-E1*Zca+E3*Zbc-E2*Zca])-[Z'][I] =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])(1/(Zab+Zbc+Zca))([E1*Zca-E3*Zab],[E2*Zab-E1*Zbc],[E3*Zbc-E2*Zca])-([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])(1/(Zab+Zbc+Zca))([Zab*Zca],[Zab*Zbc],[Zca*Zbc])[I] =([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1])(([(E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E2*Zab-E1*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca)])-([Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca)],[Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)],[Zca*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)])[I]) ここで [Q]=([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1]) と置くと [E]=[Q](([Ea],[Eb],[Ec])-([Za],[Zb],[Zc])[I]) =[Q]([(E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E2*Zab-E1*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca)])-([Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca)],[Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)],[Zca*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)])[I]) 従って両辺が等しいためには両辺の各係数行列が等しくなければならず、対応する要素が等しくなければならないことから ([Ea],[Eb],[Ec])=[(E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E2*Zab-E1*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca)],[(E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca)]) ([Za],[Zb],[Zc])=([Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca)],[Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)],[Zca*Zbc/(Zab+Zbc+Zca)]) 従って Ea=(E1*Zca-E3*Zab)/(Zab+Zbc+Zca) Eb=(E2*Zab-E1*Zbc)/(Zab+Zbc+Zca) Ec=(E3*Zbc-E2*Zca)/(Zab+Zbc+Zca) Za=Zab*Zca/(Zab+Zbc+Zca) Zb=Zab*Zbc/(Zab+Zbc+Zca) Zc=Zca*Zbc/(Zab+Zbc+Zca) ということになる。これは先の方法で導いた結果と同じである。 こちらの方が導出方法としてはエレガントに見える。 更に研究すれば、既に学んだ回路網理論を応用してn端子を持つ等価電源回路としてY及びΔ接続が回路的に等価であることから導くこともできそうである。これは多くの参考書が2端子対回路を学んだ後に多相交流理論を解いている理由かもしれない。ストラテジーとしては各線間でみた内部インピーダンスと開放電圧を求めてそれらが双方で等しくなる条件を導けば良いように見える。これは読者の課題としよう。 |
webadm | 投稿日時: 2008-11-13 11:01 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
多相交流の電力 対称n相交流の全電力Pnは、各相の電力の和である。各相の電圧と電流の位相角をφとすると
Pa=p1+p2+...+pn=e1*i1+e2*i2+...+en*in ここで e1=√2*E*sin(ωt) e2=√2*E*sin(ωt-2π/n) e3=√2*E*sin(ωt-4π/n) ... en=√2*E*sin(ωt-(n-1)*2π/n) i1=√2*I*sin(ωt-φ) i2=√2*I*sin(ωt-φ-2π/n) i3=√2*I*sin(ωt-φ-4π/n) ... in=√2*I*sin(ωt-φ-(n-1)*2π/n) と表されるので、各相の電力の瞬時値は p1=e1*i1=2*E*I*sin(ωt)*sin(ωt)=E*I*(cos(φ)-cos(2ωt-φ)) P2=e2*i2=2*E*I*sin(ωt-2π/n)*sin(ωt-φ-2π/n)=E*I*(cos(φ)-cos(2ωt-φ-4π/n)) p3=e3*i3=2*E*I*sin(ωt-4π/n)*sin(ωt-φ-4π/n)=E*I*(cos(φ)-cos(2ωt-φ-8π/n)) ... pn=en*in=2*E*I*sin(ωt-(n-1)*2π/n)*sin(ωt-φ-(n-1)*2π/n)=E*I*(cos(φ)-cos(2ωt-φ-(n-1)*4π/n)) Pa=p1+p2+...+pn =ΣE*I*(cos(φ)-cos(2ωt-φ-(m-1)*4π/n)) (m=1〜n) =nEI*cos(φ) ということになる。 対称三相交流の場合には Pa=3EIcos(φ) 線間電圧Vで表すと Pa=3EIcos(φ)=√3VIcos(φ) ということになる。 n相交流において星形接続の中性点からの各線複素電圧をV1,V2,...,Vnとし線複素電流をI1,I2,...,Inとすると Pa=V1*I1+V2*I2+...+Vn*In ここで I1+I2+...+In=0 であることから In=-(I1+I2+...+In-1) を代入すると Pa=V1*I1+V2*I2+...-Vn*(I1+I2+...+In-1) =(V1-Vn)*I1+(V2-Vn)*I2+...+(Vn-1-Vn)*In-1 従ってn本の線のうち一本を基準にして残りの(n-1)本の線との線間電圧と線電流から求めた電力の総和が総電力と等しくなる。 これをBlondelの定理という。 |
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