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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2007-9-6 12:26
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
フロントパネルは上下に2つづつある平ネジ(樹脂プレートを剥がさないと見えない)を外すと簡単に取り出すことができた。



こちらは抜け殻のアルミ合金ダイキャストの筐体。



高級乗用車を思わせる重厚なダイキャスト筐体はさすがだ。

ディスプレイアセンブリ基板は表面化粧板に溶着されたスタッドに固定しているネジを取り除くことによって簡単に分解できた。



幸いにしてこれは無傷である。次ぎにフロント化粧板に一番近いキーボードアセンブリ基板を同様にスタッド固定ナットを外すことで簡単にとれた。といっても表面化粧板の損傷が激しくそれに溶着してあるはずのスタッドネジがほとんど溶着部分が破断して遊離している。なのでまた着いているスタッドだけ外してようやくめり込んでしまっている押しボタンを取り除くことができた。



基板そのものには損傷は見られない。面のキートップ側を見ると、



痛々しい状況が目の当たりに。ここが一番被害の大きい部分である。大部分のキースイッチは損傷を免れているが、一部固定部分が破断して固定されていないものとかもある。電源スイッチがかなり接触不良でちょっと触れただけでもすぐOFF/ONを繰り返してしまう。



完全に破損したスイッチ部分は基板上の接点が金メッキしてある様子が見える。



損傷が激しくて使えなさそうなスイッチ部分は強制的に基板から取り除いて電源を入れてみた。



すると表示が正常な状態になった。おそらくスイッチが損傷した状態で接点がONになりっぱなしのものがあったので自己診断が完了しなかったのだろう。

一応周波数設定やレベル設定は可能で、レベル表示単位の切り替えも正常に機能しているように見える。レベルを変更すると本体からリレーの接点がON/OFFする音が聞こえるので動作はしているらしい。

変調関係のキー操作も機能している。一旦変調をONにするとOFFにするにはキーを押すシーケンスが必要ならしい。AMとFMの同時変調や外部と内部の組み合わせが自在に可能。

RF OUTPUTにカウンターを接続してみるとちゃんと990MHz〜10kHzまで出力が出ることが確認できた。まだ使えるじゃないか。キーがダメなだけのようだ。周波数安定度も十分高い。あとは信号純度がどうかは後日スペアナアダプタで確認してみよう。
webadm
投稿日時: 2007-9-6 18:52
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
AM変調動作をテストしてみた。変調度をup/downするキースイッチがいずれも破損して取り除かれているので、取り外されたキースイッチでまだ接点が着いているものを基板に載せて押しながら変調度を設定。0〜99%の変調度が設定できることを確認。写真は内部1kHz変調度60%のRF OUTPUTをオシロで観測したもの。



かなり綺麗である。
webadm
投稿日時: 2007-9-6 20:18
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
ジッターを計測してみた。

100MHzでrangeが1ns前後、sigmaが100ps前後

おおよそ1%内に収まっているのでカタログスペック通り。

裾野が広いのはPLL方式だからだろうか。
webadm
投稿日時: 2007-9-8 8:41
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
スペアナアダプタを使って信号純度を見てみた。といっても正確さには欠けるが以前行ったHP8640BやR&S SMLUの結果と見比べてみることができる。



まず電源投入時デフォルトの100MHz設定での高調波の様子。まんざら悪くはない。

比較のために25MHz設定で同様に測定。



4次の高調波まではっきり見える。それでもスペック内には収まっていると思われる。

メインスペクトルの裾野を拡大して観測。これで源発振器の純度がわかる。



ほとんどHP8640BのキャビティオシレーターやR&S SMLUのLCオシレーターと遜色無い。優れた信号純度のVCOが使用されているのがわかる。上蓋の下にシールドケースで囲まれていたあれである。ちょっとした外来ノイズとかで純度は簡単に下がってしまうので設計者の腕の見せ所である。これはすばらしい。

スイープ機能を備えたオシレーターとかだとどうしても周波数制御用の回路起因の定常ノイズでVCOの信号純度は悪化してしまう。手元のHP87510Aゲインフェーズアナライザのスペクトルは明らかにフェーズノイズが大きいとわかる。

周波数精度もスペック内に収まっているし、レベルもパワーメーターが無いのでオシロで観測する限り100kHzからオシロの帯域上限まではフラットな出力が出ているのを確認。実際には100kHz〜10kHzまでの周波数も設定できるがレベルがフラットではなく周波数が低くなるにつれ減衰してしまう。なのでカタログスペック上では990MHz〜100kHzとあるわけであった。

これは大変良い買い物だった。あとは壊れたキースイッチをどう修繕するかが課題。キートップは一個を除いてはあるものの、一個は足が衝撃で座屈して使えない。スイッチをどうするかというのも問題だ。適当なタクトスイッチをつけてしまえれば良いのだが。一部はどうしても必要なキーもあるので(AM変調度up/down)それだけでもいずれなんとか修復しよう。

おまけ、1kHz FM変調時(Deviation 99kHz)のスペクトル



変調度を最大にしないとなかなか荒いスペアナアダプタの周波数分解能では変調がかかっている様子が見えない。実際にはゆらゆら揺れているだけなので蓄積表示にすると台形のスペクトルが映し出される。

1kHz AM変調時(変調度90%)のスペクトル



これも通常のフィルター帯域では荒すぎて山がくっついて見えるので普段使わない狭帯域フィルターで観測したもの、両サイドに側帯波が出ているのが見える。
webadm
投稿日時: 2007-9-8 15:30
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
このHP8656BはHP8640Bのような古い時代のシグナルジェネレーターよりも進化している点がある。

HP8640Bはキャビティチューンオシレーターの出力を分周しLPFを通すことによって低い周波数帯域までの出力を得ているが、これだと周波数レンジが低くなるにつれ分周段数が多くなるのでその遅延段数に比例してジッターが増加するという欠点があった。

HP8656Bはキャビティチューンオシレーターの代わりに同等の信号純度を持つVCOを使い一番高い周波数レンジはその出力をそのまま使用し、更に低い周波数レンジはそれを2分周、次ぎに低いレンジは4分周というのはHP8640Bと同じだが、それ以下は分周ではなく周波数変換(ヘテロダイン)方式で得ているのが改良されている点である。これによって低い周波数レンジでも分周によるジッターを押さえることができる。

そのためHP8640Bよりは少し複雑な作りとなっている。反面HP8640Bではディスクリートで組まれていたカウンターやディジタル表示回路がHP8656Bではマイクロプロセッサーとソフトウェアによって大幅に実装密度が高くなり小さな基板一枚とフロントパネル基板だけで済んでしまっている。まさにマイコンとソフトウェアが大きく実装面積を縮小するのに貢献している。この傾向はその後のHPのシグナルジェネレーターに受け継がれている。

逆にHP8640BとHP8656Bで共通の臭いが感じられるのは樹脂を使ったパーツの実装方法である。以前HP8640Bのレンジロータリースイッチの接点が樹脂固定部が破断して脱落しだしたのを修理したことがあるが、それに用いられているスイッチ接点の固定方法がHP8656Bでも似たような形で受け継がれている。キースイッチパーツを基板に固定する際にやはり樹脂の突起部を基板の穴に通して基板の裏側でコテで熱して樹脂突起の先端をリベットの様に潰して固定するという方法がとられている。これが衝撃や経年変化によって容易にスイッチが基板から脱落するという欠点も受け継いでしまっている。現在のタクトスイッチのようにしっかりとした金属リード足を基板に半田付けする方法をとっていれば多少の衝撃や経年変化によってスイッチが剥がれ落ちるということは無かったと思われる。その後のHPのシグナルジェネレーターでも同じ設計がされているかは知らない。
webadm
投稿日時: 2007-9-8 16:39
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
HP8656Bのサービスマニュアルを見ながら基本的な動作チェックをしていたところおもしろいものを見つけた。

HP8656BはPLLがロックしているかどうかの表示が特にないが異常な表示(ブリンク表示)がなければ意図した通り動作していると考えて良いが、Low frequency phase lockがONかOFFかはキーボードから起動できるサービス用のテスト機能によって確認することができる。

キーボード起動テストモードにはshiftキーを押した後にINCR SETキーを押すことで入ることが出来る。すると変調度表示に1が表示され周波数表示に0が表示される。これは初期状態がアッテネーターのテストモードであるため。AMPTDのupキーを押すことで他のテストモードに切り替えることができる。Low frequency phase lock状態の表示は6なので変調度表示が6になるまでAMPTD up arrowキーを押す。

そしたらINCR SETキーを押すと実行されPLLのlock状態が周波数表示に現れる。1がlocked状態を示す。正常である。



他にも5がROMチェック、4がキーボードチェックらしい。2と3は不明。

テストモードを脱出するにはAMPTD up arrowキーを押して変調度表示に7が表示されたらexitメニューなのでINCR SETを押すとテストモードから脱出してシステムがリセットスタートする。

マイクロプロセッサを使用しているから容易に実現できる機能ではある。
webadm
投稿日時: 2007-9-8 16:49
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
AM変調のテスト。

HP8640BやR&S SMLUではAM変調はオシロでエンベローブを確認するだけで実際に受信機で復調してオーディオ信号を確認したことはなかった。

HP8656BはAMラジオバンドもカバーしているので手元のラジカセで受信してみることにした。

周波数を設定して変調度を60%、RF出力は0dB。

ラジオのダイヤルを設定した周波数に合わせたが外来電波やノイズ以外何も聞こえない。

おかしい、周波数設定とかをいろいろ変えてみたが同じ。

ふと思ってRF出力につないである同軸ケーブルの終端にあるBNCコネクタの芯線がつながっているピンをラジオのアンテナに接触させたら1kHzのポーという音が初めて聞こえた。

FMの周波数帯だと特に同軸ケーブルをRF OUTPUTにつないでぶら下げておくだけでFMラジオで受信できたが、AMの周波数帯になるとそれではまったく受信できる電界強度が得られないということを知った。しかもケーブルの外周のシールド部をアンテナにつないでもまったくだめで、中の芯線をつながないとだめだった。

昔中学生の頃にAM周波数帯のワイヤレスマイクを作ったけどまったくラジオで受信できなかった理由が今ようやくわかった気がする。
webadm
投稿日時: 2007-9-9 18:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2960
Re: おジャンクなHP8656B
フロントパネルの打痕部分は、万力を台にしてたがねのような先端が強靱なものを凹んだ部分の山に当てて叩き潰すような感じでゴムハンマーで平らにした。昔とった杵柄で何十年と機械加工はやってないのに職人のようにうまかったりするのが不思議。

凹んでゆがんだフロントの化粧板は平坦になり一見打痕は見えなくなった。

スタッドの溶接部分が断裂したのをエポキシグルーで接着しようかと思ったけどいくつかまだつながっているものもあるので良しとした。

変調入出力用のBNCコネクタのガイド部が凹んでしまってどうにも元に戻せないので、秋葉原にいって同じ形状のBNCコネクタの新品を購入。秋月で100円だった。こちらは新品なのでピカピカ。このシグナルジェネレーターも最初ピカピカだった頃があったはず、それが蘇った感じがする。



ピカピカの側に埃で薄汚れたキートップがあったりすると目立つので、これも中性洗剤を1/100に希釈した溶液に綿棒を浸しそれでこするようにすると必要なところだけ汚れが綺麗に落ちる。

フロントパネル部分を本体に取り付けて当座のレストアは完了。修理らしき修理はしてないが、手持ちのシグナルジェネレーターでは最も最新式で性能もしっかりしている。
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