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webadm | 投稿日時: 2008-1-9 10:28 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題70:交流格子回路もしくはブリッジ回路 次ぎの問題もインピーダンスのネットワークに関するもの。
格子形回路とか言われるが目新しいものではなく直流回路を学んだ時に出てきたブリッジ回路そのものである。ややこしくなっているのは、子供の頃に憶えのあるあやとりの原理で、ブリッジの中央の2点をつまみ出しただけである。 ブリッジの一端を短絡した場合の合成インピーダンスZs、開放した場合の合成インピーダンスZf、インピーダンスZ=sqrt(Zs*Zf)を接続した場合の合成インピーダンスZ0をそれぞれ求めよというもの。 まずCD端を短絡した状態での合成インピーダンスZsはZ1とZ2が並列接続されたものが2つ直列につながることから Zs=1/(1/Z1+1/Z2)+1/(1/Z1+1/Z2) =Z1*Z2/(Z1+Z2)+Z1*Z2/(Z1+Z2) =2*Z1*Z2/(Z1+Z2) ということになる。 次ぎにCD端を解法した状態での合成インピーダンスZfはZ1とZ2が直列に接続されたものが2つ並列につながることから Zf=1/(1/(Z1+Z2)+1/(Z1+Z2)) =(Z1+Z2)/2 ということになる。 最後CD端にインピーダンスZ=sqrt(Zs*Zf)をつないだ場合の合成インピーダンスZ0はちょっと難しい。回路方程式をたてて合成インピーダンスを求める必要がある。 枝電流法で回路方程式をたてると I1*Z1+I2*Z2=E I1*Z1=I2*Z2+I*Z I1+I=I2 Z0=E/(I1+I2) の4元連立方程式からI,I1,I2,Z0を解くと (%i6) e1: I1*Z1+I2*Z2=E; (%o6) I2*Z2+I1*Z1=E (%i7) e2: I1*Z1=I2*Z2+I*Z; (%o7) I1*Z1=I2*Z2+I*Z (%i8) e3:I1+I=I2; (%o8) I1+I=I2 (%i9) e4:Z0=E/(I1+I2); (%o9) Z0=E/(I2+I1) (%i10) solve([e1,e2,e3,e4],[I,I1,I2,Z0]); (%o10) [[I=-(E*Z2-E*Z1)/((2*Z1+Z)*Z2+Z*Z1),I1=(E*Z2+E*Z)/((2*Z1+Z)*Z2+Z*Z1),I2=(E*Z1+E*Z)/((2*Z1+Z)*Z2+Z*Z1),Z0=((2*Z1+Z)*Z2+Z*Z1)/(Z2+Z1+2*Z)]] (%i11) factor(%); (%o11) [[I=-(E*(Z2-Z1))/(2*Z1*Z2+Z*Z2+Z*Z1),I1=(E*(Z2+Z))/(2*Z1*Z2+Z*Z2+Z*Z1),I2=(E*(Z1+Z))/(2*Z1*Z2+Z*Z2+Z*Z1),Z0=(2*Z1*Z2+Z*Z2+Z*Z1)/(Z2+Z1+2*Z)]] 従って Z0=(2*Z1*Z2+Z*(Z2+Z1))/(Z2+Z1+2*Z) ということになる。ここで Z=sqrt(Zs*Zf) =sqrt((2*Z1*Z2/(Z1+Z2))*(Z1+Z2)/2) =sqrt(Z1*Z2) これをZ0の式に代入すると (%i23) subst(sqrt(Z1*Z2), Z, Z0=(2*Z1*Z2+Z*Z2+Z*Z1)/(Z2+Z1+2*Z)); (%o23) Z0=(Z2*sqrt(Z1*Z2)+Z1*sqrt(Z1*Z2)+2*Z1*Z2)/(2*sqrt(Z1*Z2)+Z2+Z1) (%i24) radcan(%); (%o24) Z0=sqrt(Z1)*sqrt(Z2) すなわち Z0=sqrt(Z1*Z2)=Z ということになる。 この回路は回路方程式を必要とする最も簡単なネットワークなので後々回路網理論等でたびたび引き合いに出される重要なものである。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-9 9:23 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題69:Boucherotの回路 次ぎは何度かこれまでお目にかかっている回路
Z2,Z3に流れる電流I2,I3をそれぞれ求めるのと、Z2=-Z1の時にI3がZ3に無関係になることを証明せよというもの。 全体を流れる電流をI1とすると I1=I2+I3 E=Z1*I1+Z2*I2 Z2*I2=Z3*I3 が成り立つのでI1,I2,I3について解くと (%i39) e1: I1=I2+I3; (%o39) I1=I3+I2 (%i40) e2: E=Z1*I1+Z2*I2; (%o40) E=I2*Z2+I1*Z1 (%i41) e3: Z2*I2=Z3*I3; (%o41) I2*Z2=I3*Z3 (%i42) solve([e1,e2,e3],[I1,I2,I3]); (%o42) [[I1=(E*Z3+E*Z2)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3),I2=(E*Z3)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3),I3=(E*Z2)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3)]] I2=(E*Z3)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3) I3=(E*Z2)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3) ということになる。またZ2=-Z1を代入すると (%i43) subst(-Z1, Z2, [[I1=(E*Z3+E*Z2)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3),I2=(E*Z3)/(Z2*(Z3+Z1)+Z1*Z3),I3=(E*Z2)/(Z2*(Z3 +Z1)+Z1*Z3)]]); (%o43) [[I1=(E*Z3-E*Z1)/(Z1*Z3-Z1*(Z3+Z1)),I2=(E*Z3)/(Z1*Z3-Z1*(Z3+Z1)),I3=-(E*Z1)/(Z1*Z3-Z1*(Z3+Z1))]] (%i44) factor(%); (%o44) [[I1=-(E*(Z3-Z1))/Z1^2,I2=-(E*Z3)/Z1^2,I3=E/Z1]] I3=E/Z1 となりZ3に無関係になることが証明される。 著者によればこの回路はBoucherotの回路と呼ばれているようだが検索しても国内のサイトではまったく見つからない。かろうじて英語のWikipediaにPaul BoucherotのエントリがあるがそこにはBoucherot cellというのは解説されているがZobel cellとも呼ばれるスピーカーに用いられるネットワーク回路らしい。スピーカーのボイスコイルはインダクタンスそのものなため周波数が高くなるとインピーダンスが増加する。それで無誘導性にするためにネットワーク回路を追加することが良く行われている。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-9 8:32 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題68:RとCによる電流位相調整 次ぎの問題は問題65と似ているが位相差が60°となっている。
基本は誘導性負荷が二つ並列に接続されていて片方にRC直列回路を挿入することによって進相調整をするというもの。 Z2はRL直列回路なので誘導性インピーダンスとなり電流は電圧よりも遅れる。 Z1はRL直列回路に位相調整用にRC直列回路が挿入されていて誘導性から容量性のインピーダンスを取り得る。 従ってベクトル図を描くとZ2はZ1より第二象限により近くZ1はZ2より第4象限により近いことになる。 従ってZ1を反時計方向に60°回転させるとZ2と等しくなることから Z2=Z1∠60° =R2+jX2 =((R1+R)+j(X1-X))*(cos(60°)+j*sin(60°)) =((R1+R)+j(X1-X))*(1/2+j√3/2) =((R1+R)/2+j(X1-X)/2+j(R1+R)√3/2-(X1-X)√3/2) =((R1+R)-(X1-X)√3)/2+j((X1-X)+(R1+R)√3)/2 両辺の実数部と虚数部は等しくなることから R2=((R1+R)-(X1-X)√3)/2 X2=((X1-X)+(R1+R)√3)/2 これをR,Xについて解くと (%i26) e1: R2=(R1+R)/2-(sqrt(3)*(X1-X))/2; (%o26) R2=(R1+R)/2-(sqrt(3)*(X1-X))/2 (%i27) e2: X2=((X1-X)/2+(sqrt(3)*(R1+R))/2); (%o27) X2=(X1-X)/2+(sqrt(3)*(R1+R))/2 (%i28) solve([e1,e2],[R,X]); (%o28) [[R=(sqrt(3)*X2+R2-2*R1)/2,X=(-X2+2*X1+sqrt(3)*R2)/2]] R=(sqrt(3)*X2+R2-2*R1)/2 X=(sqrt(3)*R2-X2+2*X1)/2 ということになる。 ただしR > 0, X > 0でなければならないので sqrt(3)*X2+R2-2*R1 > 0 sqrt(3)*R2-X2+2*X1 > 0 従って R1 < (sqrt(3)*X2+R2)/2 X2 < sqrt(3)*R2+2*X1 という条件付きとなる。 著者の解はI1を60°時計方向に回転するとI2と等しくなることから式をたてて解いている。そちらの方がより自然である。インピーダンスの位相角で解くと流れる電流の位相が進むのは位相角が減る(より容量性になる)方向になるため回転が逆方向になる。意味的には同一である。これを間違えるとまったく異なる結果になってしまうので注意。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-9 6:54 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題67:容量性負荷の位相調整 危うく前問で躓いてお終いかと思ったがなんとか克服。次ぎも似たような位相制御の問題。
今度は容量性負荷の電圧降下をRC直列回路を挿入して電源の半分かつ位相が45°進むようにせよというもの。 前問では誘導性負荷にRL直列回路を挿入していたが今度は容量性。 念のためにベクトル図を描いてみよう。 前問の場合は電源電圧の方が負荷電圧よりも位相が進んでいたが今度は逆の関係。また電圧の比も1/2になっている。 回路全体のインピーダンスはRとC直列回路のため容量性となるのは明らか。実際に与えられた条件に合致するベクトル図を描くのは非常に難しい。かなり条件が限られるのがわかる。位相差が45°というと2等辺直角三角形がすぐ思いつくがそれだと短辺と長辺の長さの比が1:√2となる少し長辺が足らない。従って実際には少し歪な三角形を構成することになる。更にもう一片の傾きも容量性であるために第4象限内になければならない。そんなことを考慮しながらたどり着いた図。 結局これがイメージできれば、あとは前問と同じように式を立てればよい。 Z1=(Z/2)∠45° =R1-jX1 =(((R0+R1)-j(X0+X1))/2)*(cos(45°)+j*sin(45°)) =((R0+R1)/2-j(X0+X1)/2)*(1/√2+j/√2) =((R0+R1)/2√2+j(R0+R1)/2√2-j(X0+X1)/2√2+(X0+X1)/2√2 =((R0+R1)+(X0+X1)-j((X0+X1)-(R0+R1))/2√2 実数部と虚数部はそれぞれ両辺で等しいので R1=((R0+R1)+(X0+X1))/2√2 X1=((X0+X1)-(R0+R1)/2√2 なる関係が成り立つR0,X0を解けば良い (%i11) e1:R1=((R0+R1)+(X0+X1))/(2*sqrt(2)); (%o11) R1=(X1+X0+R1+R0)/(2*sqrt(2)) (%i12) e2:X1=((X0+X1)-(R0+R1))/(2*sqrt(2)); (%o12) X1=(X1+X0-R1-R0)/(2*sqrt(2)) (%i13) solve([e1,e2],[R0,X0]); (%o13) [[R0=(sqrt(2)-1)*R1-sqrt(2)*X1,X0=(sqrt(2)-1)*X1+sqrt(2)*R1]] R0=(√2-1)*R1-√2*X1 X0=(√2-1)*X1+√2*R1 ということになる。この結果が図から直感的にわかったら天才だ。 ただしR0 > 0, X0 > 0でなければならないので (√2-1)*R1-√2*X1 > 0 すなわち R1 > √2*X1/(√2-1) = √2*(√2+1)*X1/((√2-1)*(√2+1)) = (2+√2)*X1 R1 > (2+√2)*X1 という条件付きになる。 著者の解では逆にE1を時計方向に回転して2倍すればE0と等しくなるという関係を利用して式を立てている。 回路は見た目簡単なのだが、少しでも式を間違えるだけでも正しい結果は得られない。今回はイメージはつかんだが式を立てた時点でいくつかミスを犯し著者と同じ結果が得られなくて悩んだ。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 21:28 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題66:RLC混成回路の位相差(その2) 次ぎの問題もふたひねりぐらいしてある。
RC直列回路で構成される容量性負荷と直列にRL直列回路を接続し電源と負荷の電圧が同一かつ位相差が60°となるようにするRL直列回路の条件を導けというもの。 電圧を求めるのは簡単なのだが、その位相差を扱う問題ははじめてである。イメージが良くつかめない。 電源電圧を基準にするとどうしても実軸を中心に上下対象な菱形になってしまう。それもありかもしれないがそれは合成インピーダンスが無誘導性の場合でしかない。一般的には合成インピーダンスは誘導性か容量性のどちらかになると考える方が自然だ。そうすると電源電圧を基準にというより、電流を基準に考えた方が良い。 この図に行き着くまで丸2日かかった。結局座標の回転についてよく解っていなかったというのが真相だった。 虚軸を基準にαの正の傾きを持つZ1の座標とβだけ反時計方向に回転した時の新しい座標が解っているので|Z|=|Z1|かつβ=60°=π/3と与えられていれば X1*cos(π/3)-R1*sin(π/3)=-(X0-X1) R1*cos(π/3)+X1*sin(π/3)=(R0+R1) という関係が成り立つ。便宜上虚軸の負の方向を座標軸の正の方向としている。そうでないと反時計回りの回転でなくなってしまう。 これをR0,X0について解くと (%i14) e1: X1*cos(%pi/3)-R1*sin(%pi/3)=-(X0-X1); (%o14) X1/2-(sqrt(3)*R1)/2=X1-X0 (%i15) e2: R1*cos(%pi/3)+X1*sin(%pi/3)=(R0+R1); (%o15) (sqrt(3)*X1)/2+R1/2=R1+R0 (%i16) solve([e1,e2],[R0,X0]); (%o16) [[R0=(sqrt(3)*X1-R1)/2,X0=(X1+sqrt(3)*R1)/2]] R0=(sqrt(3)*X1-R1)/2 X0=(X1+sqrt(3)*R1)/2 ということになる。 これは幾何学的に解いたのでベクトル記号法で解いたわけではないが、これがイメージできれば複素平面上での座標の回転ということになるので以下と等価になる |Z|=|Z1|∠60° (R0+R1)+j(X0-X1)=(R1-jX1)*exp(jπ/3) =(R1-jX1)*(cos(π/3)+j*sin(π/3)) =R1*cos(π/3)+X1*sin(π/3)+j(R1*sin(π/3)-X1*cos(π/3)) 実数部と虚数部がそれぞれ等しいので R1*cos(π/3)+X1*sin(π/3)=(R0+R1) R1*sin(π/3)-X1*cos(π/3)=(X0-X1) ということになり幾何学的に導いたのと等価な式が得られる。 なんだ簡単じゃないか。 座標の回転を良く理解していないという盲点を突かれた問題だった。 著者の解は回路から連立方程式をたてる結局電流は共通のため式から削除されインピーダンス間の位相差の式に結論づけられてやはり上の方法で解いている。 別の解き方としてZ0を時計方向に回転してもZと等しくなるという条件からもう一つの方程式をたててZ1とZの関係から求めた式とあわせて連立方程式としてR0,X0を解くというのが思いつくが、Maximaでやってみるとこれが解けないんだな。実は両方同じ式になってしまうのだ。ちゃんちゃん。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 5:36 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題65:RLC混成回路の位相角(難問) 次ぎの問題はふたひねりぐらいしてあるRLC混成回路の位相角の問題。
同じ容量のインダクタンスXと抵抗Rの直列回路を並列に接続した回路で一方の回路にR0とキャパシタンスXcを直列に挿入し2つのRL直列回路に流れる電流の大きさを等しくかつ位相差が90°になるなるR0とXcの値を求めよというもの。 今度は電源電圧との位相差ではなく、回路内の2つの電流の間の位相差である点に注意。 もともと同じような回路を並列に並べたものなのでR0とXcがなければ二つの電流は位相差は0である。R0を加えることで若干位相が進むがそれだけでは90°の差は生じない。Xcを入れることでインピーダンスを容量性に転じることで誘導性のままの方とで90°の位相差を作り出すことができる。この関係をベクトル図で表すと なんとなくヒントが見えてくる。ちょうどI2を時計方向に90°回転させた形になる。 つまりI2の実数部がI1の虚数部にI2の虚数部がI1の実数部と等しくなる。 すなわち R+R0=X -(X-Xc)=R なる関係が成立する。 この2つをR0とXcに関する連立方程式として解くと (%i21) solve([R+R0=X,-(X-Xc)=R],[R0,Xc]); (%o21) [[R0=X-R,Xc=X+R]] 従って R0=X-R Xc=X+R とすれば良い。 またR0は正の値でなければならないので R0=X-R > 0でなければならない すなわち X > R であることが条件である。 最初ベクトル図を描く際にXをRよりも小さくとっていてどうにも描けなかったのはこのためである。 著者の解はI2と90°の位相差のある二つの解を検討しそのうちひとつのみ適切な解としている。不適切な解は、ベクトルが直交座標の原点から左半分に存在する。これは実効抵抗が負であることを意味しており題意と異なり不適切である。実効抵抗が負であるのは受動素子ではなく電源や真空管、トランジスタのような能動素子となってしまう。このことを更に研究するとおもしろいかもしれない。 P.S ちなみにキャパシタを挿入してもう片方の回路と電流の位相を90°変える回路は単相誘導モーターで使われている。古い洗濯機に使われているものとかがそうである。子供の頃に古い洗濯機を分解して出てきたモーターを調べたことがある。コンデンサが片方の巻き線に直列に入っていたのを憶えている。ただそれだけで鉄の回転子が回りだすのである。実際にはキャパシタを挿入した方の巻き線は挿入していない方の巻き線よりも内部抵抗が高くなるようになっている。それによって90°の位相差を作り出している。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 4:43 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題64:RL混成回路の位相角 次ぎも前問と似たような問題。今度はRL混成回路である。
R1に流れる(X1に流れる)電流が電源電圧より位相が90°遅れるには可変抵抗Rをいくらにすればよいかという問い。 これも全体を流れる電流とR1に流れる電流をそれぞれI,I1とすると E=I1*(R1+jX1)+I*(R2+jX2) I1*(R1+jX1)=(I-I1)*R が成り立つのでI,I1についてこの連立方程式を解くと (%i13) e1:E=I1*(R1+%i*X1)+I*(R2+%i*X2); (%o13) E=I*(%i*X2+R2)+I1*(%i*X1+R1) (%i14) e2:I1*(R1+%i*X1)=(I-I1)*R; (%o14) I1*(%i*X1+R1)=(I-I1)*R (%i15) solve([e1,e2],[I,I1]); (%o15) [[I=-(%i*E*X1+E*R1+E*R)/((X1-%i*R1-%i*R)*X2+(-%i*R2-%i*R)*X1+(-R1-R)*R2-R*R1),I1=-(E*R)/((X1-%i*R1-%i*R)*X2+(-%i*R2-%i*R)*X1+(-R1-R)*R2-R*R1)]] (%i16) rectform(%); (%o16) [[I=-(%i*(E*X1*(X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)+(E*R1+E*R)*(-(-R1-R)*X2-(-R2-R)*X1)))/((X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)^2+((-R1-R)*X2+(-R2-R)*X1)^2)-((E*R1+E*R)*(X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)-E*X1*(-(-R1-R)*X2-(-R2-R)*X1))/((X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)^2+((-R1-R)*X2+(-R2-R)*X1)^2),I1=- (E*R*(X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1))/((X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)^2+((-R1-R)*X2+(-R2-R)*X1)^2)-(%i*E*R*(-(-R1-R)*X2-(-R2-R)*X1))/((X1*X2+(-R1-R)*R2-R*R1)^2+((-R1-R)*X2+(-R2-R)*X1)^2)]] 整理すると I1=(E*R*(R*R1+(R1+R)*R2-X1*X2))/((X1*X2-(R1+R)*R2-R*R1)^2+(-(R1+R)*X2-(R2+R)*X1)^2)-j(E*R((R1+R)*X2+(R2+R)*X1))/((X1*X2-(R1+R)*R2-R*R1)^2+(-(R1+R)*X2-(R2+R)*X1)^2) 従って実数部が0となる時に位相差が90°になるので R*R1+(R1+R)*R2-X1*X2=0 をRに関して解くと R=(X1*X2-R1*R2)/(R1+R2) ということになる。 著者の解は例によって因数分解した後の分母の実数部が0となる条件から導いている。そちらの方が簡単である。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 3:40 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題63:RC混成回路の位相角 次ぎの問題はうってかわってRC混成回路の位相角に関する問題。
抵抗R1に流れる電流が電源電圧よりも90°位相が進むωに関する条件を導けというもの。 全体を流れる電流ではなく抵抗R1を流れる電流についてのものであることに注意。 全体を流れる電流と抵抗R1に流れる電流をそれぞれI,I1とすると E=I1*(1/jωC1+R1)+I/jωC2 I1*(1/jωC1+R1)=(I-I1)*R2 これをI,I1に関する連立方程式として解くと (%i70) e1: E=I1*(1/(%i*o*C1)+R1)+I/(%i*o*C2); (%o70) E=I1*(R1-%i/(o*C1))-(%i*I)/(o*C2) (%i71) e2: I1*(1/(%i*o*C1)+R1)=(I-I1)*R2; (%o71) I1*(R1-%i/(o*C1))=(I-I1)*R2 (%i72) solve([e1,e2],[I,I1]); (%o72) [[I=(C2*E*(o^2*C1*R2-%i*o)+o^2*C1*C2*E*R1)/(R1*(o^2*C1*C2*R2-%i*o*C1)-%i*o*C2*R2-%i*o*C1*R2-1),I1=(o^2*C1*C2*E*R2)/(R1*(o^2*C1*C2*R2-%i*o*C1)-%i*o*C2*R2-%i*o*C1*R2-1)]] (%i73) rectform(%); (%o73) [[I=((o^2*C1*C2*E*R2+o^2*C1*C2*E*R1)*(o^2*C1*C2*R1*R2-1)+o*C2*E*(o*C2*R2+o*C1*R2+o*C1*R1))/((o^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-o*C2*R2-o*C1*R2-o*C1*R1)^2)+ (%i*((o*C2*R2+o*C1*R2+o*C1*R1)*(o^2*C1*C2*E*R2+o^2*C1*C2*E*R1)-o*C2*E*(o^2*C1*C2*R1*R2-1)))/((o^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-o*C2*R2-o*C1*R2-o*C1*R1)^2),I1=(o^2*C1*C2*E*R2*(o^2*C1*C2*R1*R2-1))/((o^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-o*C2*R2-o*C1*R2-o*C1*R1)^2)+ (%i*o^2*C1*C2*E*R2*(o*C2*R2+o*C1*R2+o*C1*R1))/((o^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-o*C2*R2-o*C1*R2-o*C1*R1)^2)]] 整理すると I1=(ω^2*C1*C2*E*R2*(ω^2*C1*C2*R1*R2-1))/((ω^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-ω*C2*R2-ω*C1*R2-ω*C1*R1)^2)+j(ω^2*C1*C2*E*R2*(ω*C2*R2+ω*C1*R2+ω*C1*R1))/((ω^2*C1*C2*R1*R2-1)^2+(-ω*C2*R2-ω*C1*R2-ω*C1*R1)^2) 従って電流の実数部が0となる時に電圧よりも位相が90°進むので ω^2*C1*C2*R1*R2-1=0 でなければならない。 従って ω=sqrt(1/C1*C2*R1*R2) ということになる。 著者の解では無理に電流を直交形式にせずに分母の実数部が0となる条件から導いている。そちらのほうが簡単である。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 1:33 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題62:RL直列回路の力率調整 次ぎは前問の補足問題で力率を100%ではなく1/√2にするためのCとRとXの関係を導けというもの。
無誘導化ではなく誘導性のまま1/√2にせよということなので前問で求めた合成インピーダンス Z=(1/R)/((1/R)^2+(ωC)^2)+j(X-ωC/((1/R)^2+(ωC)^2)) にて cosφ=((1/R)/((1/R)^2+(ωC)^2)/sqrt((((1/R)/((1/R)^2+(ωC)^2)^2+(X-ωC/((1/R)^2+(ωC)^2))^2) =1/sqrt(2) を満たすCを求めればよいことになる。 このままではMaximaでは解けないので式を二乗して処理する (%i48) (1/((1/R^2+o^2*C^2)*R))/(sqrt((o^2*C^2*R^2+1)*X^2-2*o*C*R^2*X+R^2)/sqrt(o^2*C^2*R^2 +1))=1/sqrt(2); (%o48) sqrt(o^2*C^2*R^2+1)/((1/R^2+o^2*C^2)*R*sqrt((o^2*C^2*R^2+1)*X^2-2*o*C*R^2*X+R^2))=1/sqrt(2) (%i49) factor(%); (%o49) R/(sqrt(o^2*C^2*R^2+1)*sqrt((o^2*C^2*R^2+1)*X^2-2*o*C*R^2*X+R^2))=1/sqrt(2) (%i50) (%)^2; (%o50) R^2/((o^2*C^2*R^2+1)*((o^2*C^2*R^2+1)*X^2-2*o*C*R^2*X+R^2))=1/2 (%i51) solve(%,C); (%o51) [C=-(sqrt(-4*X^2-4*R*X+R^2)-R)/(2*o*R*X),C=(sqrt(-4*X^2-4*R*X+R^2)+R)/(2*o*R*X),C=-(sqrt(-4*X^2+4*R*X+R^2)-R)/(2*o*R*X),C=(sqrt(-4*X^2+4*R*X+R^2)+R)/(2*o*R*X)] 整理すると C=(R±sqrt(-4*X^2+4*R*X+R^2))/(2*ω*R*X) =(R±sqrt(R^2-4*X*(X-R)))/(2*ω*R*X) ということになる。ここでCが正の実数あるためには R^2-4*X*(X-R) ≧ 0 でなければならない。 これを満たす条件は X-R ≦ 0 すなわち X ≦ R の場合かまたは (R-2*(√2-1)*X)*(R+2*(√2-1)*X) ≦ 0 でなければならないので R-2*(√2-1)*X ≧ 0 すなわち R ≧ 2*(√2-1)*X の場合となる。 X ≦ R の場合はsqrt(R^2-4*X*(X-R))がRより大きくなるので C=(R+sqrt(R^2-4*X*(X-R)))/(2*ω*R*X) に限定される。それ以外の X > R > 2*(√2-1)*X ではsqrt(R^2-4*X*(X-R))はRを超えないので C=(R±sqrt(R^2-4*X*(X-R)))/(2*ω*R*X) となる。 かなりこのへんはやっかいである。 著者の解は二次方程式の判定条件から導き出している。 |
webadm | 投稿日時: 2008-1-6 1:09 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3089 |
問題61:RL直列回路の無誘導化条件 次の問題はRL直列回路の力率をRに並列に可変キャパシタを接続して100%に改善する方法に関するもの
今までも同相点の解析問題で抵抗による無誘導化にはある条件がつきまとうことを学んできた。これに関して焦点をあてた問題。 まず合成インピーダンスの実効リアクタンスが0になるRの条件を導いてみる Z=jX+1/(1/R+jωC) =jX+((1/R)-jωC)/((1/R)^2+(ωC)^2) =(1/R)/((1/R)^2+(ωC)^2)+j(X-ωC/((1/R)^2+(ωC)^2)) 実効リアクタンスが0となる条件は X-ωC/((1/R)^2+(ωC)^2)=0 であるので、Cについて解いてみると (%i15) solve([(X-(o*C)/(1/R^2+o^2*C^2))], [C]); (%o15) [C=-(sqrt(R^2-4*X^2)-R)/(2*o*R*X),C=(sqrt(R^2-4*X^2)+R)/(2*o*R*X)] 整理すると C=(sqrt(R^2-4*X^2)+R)/(2*ω*R*X) の時に同相となる。またCが実数であるためには R^2-4*X^2 ≧ 0 でなければならない、すなわち R ≧ 2*X という条件が付く。 著者の解では二次方程式を解く際の判定条件に基づいて条件を導き出している。 |
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