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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2008-11-6 15:45
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3092
多相交流
ようやく上巻も残すところ2章となった。

今日の電力伝送は三相交流が主で大口需要家には三相のまま、小口の一般家庭には単相に変換されて電力が供給されている。

特に水力発電所などの山岳地帯から都市部への電力電送は長い距離の送電線を敷設しなければならない。いかに電気伝導度の高い送電線を使おうとも抵抗値によって消費される電力は無視できない。

仮に単純な単相交流で長距離を送電した場合には、送電線の行きと戻りで2倍の損失が伴う。

それに対して三相交流では3本の送電線で単相の3倍の電力を供給することが出来るので、同じ電力を単相で送電するよりも送電線による電力損失が格段に少ないという特徴がある。

また単相交流での瞬時値電力には2倍の周波数成分が含まれるが、三相交流ではそれらは互いに位相の異なる3つの成分によって相殺され有効電力成分のみとなる。

これらの利点から自ずと電力送電の主流は直流や単相交流ではなく三相交流となった。

電力供給の主流が交流となった時代に三相交流もスタインメッツが体系化した記号法を用いて解析や計算が行われていた。

古い電気回路の参考書を見ると、基本交流回路に続いて三相交流回路を教えていたらしい。歴史的には記号法のみを用いた三相交流回路解析がスタインメッツの記号法以来25年の長きに続いたらしい。三相交流回路は電源及び負荷が平衡しているような理想的な条件では単相に関して計算すれば残りの相も対称であるが、不平衡の場合には複雑な方程式を解く必要が出てくる。それを打開したのがフォーテクスの対称座標法である。それまでの三相交流の起電力は位相が互いに2π/nだけ違うという記号法的な扱いだったが、対称座標法では各相が零相、正相、逆相の3つからそれぞれ合成されたものとして扱うため、電圧、電流、電力も零相、正相、逆相について扱えば良く今日ではそれが主流である。

本書では記号法の後に回路網理論があって、その後に多相交流理論の中で三相交流が扱われている。他の参考書では回路網理論の次ぎは2端子対回路とか回路網理論の応用展開が入るのだが、本書の著者はそれらを下巻で扱っている。おそらくは下巻の主題であるフィルター理論の前座として2端子対回路を学ぶのが適切としたのだろう。特に近代的な非対称三相交流回路の解析方法は行列表現を用いるため回路網理論で線形代数に慣れてから学ぶという流れに変わったものと思われる。

本書における多相交流の理論説明は極めて手短でわずかなページ数しか割いていない。その代わり演習問題は豊富である。詳しく説明すればページ数がかさみ上巻と下巻のページ数配分がアンバランスになるのを恐れたのかもしれない。しかしいささかはしょり過ぎのような気もする。他の参考書だとかなりの理論説明にページ数を割いている。

理論のうわべを眺めただけではまったく身につかないのは確かなので演習問題で疑問を呈して理論に立ち戻るということが不可欠である。
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題名 投稿者 日時
 » 多相交流 webadm 2008-11-6 15:45
     Re: 多相交流 webadm 2008-11-7 10:23
     星形結線と環状結線 webadm 2008-11-7 10:53
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