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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-8 0:13
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3086
多重極展開
前座の第1章の4ページ目で既に挫折しかけている読者いねが?

次も前の多重極子の理論の続きで、やはり物性や分子化学で必須とされる概念である。20世紀の半ばまではこれらの理論は純粋数学者からすると異端として扱われていたが、実験での観測結果とよく一致した計算結果をはじき出すことで常用されていた。これらの数学的な裏付けのない数理物理の理論に数学的な添え木を与えたのが、前にも紹介したSchwartzである。その他にも数少ないが同様の裏付けを最新の数学の成果を用いて与えた人が居るお陰で生き続けている。

なぜだかそう考えると現実と辻褄があうというのは沢山あるということだ。

前に様々な多重極子の電位ポテンシャルの式を導出したが、導体とか分子結晶とかの性質を探る分野では、強い力であるCoulomb力を知ることは重要である。しかもそれが及ぶ範囲が単電荷、双極子、4重極子、8重極子、16極子となるにつれ狭くなることを学んだ。物体から遠いと単電子と区別が付かず、もう少し近寄って調べると偏りがあるのが見えてきて、更に近寄るともっと激しい偏りが見えてくるという具合になる。それによって分子同士が接近遭遇した場合に互いの作り出す電位ポテンシャルによって受ける力が決まってくる。それによって分子そのものが変形したり、回転したりすることになる。これらを考察することは化学反応の仕組みを理解したり解明するのに今日では不可欠である。生物化学では、タンパク質も多数の分子の連鎖からなるので、それらの分子の間に働く分子間力は静電ポテンシャルによって支配される。タンパク質がどのような分子で構成されるかは分析装置で判っても、その構造は判っていないものが多いのはそのためである。そうした分野を志す者にとって電磁気学のこの部分は必修というべきものになる。

ここでも導出方法については著者は演習問題としているので、結果だけを与えることに留める。

多重極展開の定理

電荷分布から離れた点での電位ポテンシャルは以下の様な多重極子による電界の重ね合わせの形で表すことができる。



これを多重極展開という。

また半径aの球内の位置x'に電荷密度ρ(x')が分布しているとき球外の位置rでの電位φ(r)は



ということになる。

式だけ眺めてみてもよく判らないので図を描いてみると



最初著者の演習問題にある図を参考にしようと思ったら更に判らなくなって、自分で考えたらこうなった。どうやら著者の演習問題の図は間違っているように思える。無限小の体積要素dv'の点電荷は電荷密度ρと体積要素dv'の積で表されるから、それが作り出す電位は無限小体積要素から点Pまでの距離に反比例することになる。それを全球中の体積要素に関して重ね合わせれば電荷密度ρの球が作り出す点Pにおける電位ということになる。

さあいよいよ最初の章の演習問題に臨もう。
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題名 投稿者 日時
   真空中の電荷分布による静電界 webadm 2009-10-21 11:57
     Re: 静電界I:真空中の静電界 webadm 2013-11-18 4:56
     Coulombの法則 webadm 2013-11-18 5:45
     電界の強さと電位 webadm 2013-11-25 0:14
     点電荷による電界 webadm 2013-12-1 17:04
     連続的電荷分布による電界 webadm 2013-12-2 2:10
     電気双極子による電界 webadm 2013-12-9 13:58
     電気二重層による電界 webadm 2013-12-30 13:35
     多重極子 webadm 2014-1-4 18:42
   » 多重極展開 webadm 2014-1-8 0:13

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