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webadm
投稿日時: 2010-5-17 3:55
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 2958
2等分定理
Bartlettの二等分定理(bisection theorem)は二端子回路網で触れている参考書は国内では戦後出版されたものしかない。

というのもジャイレータや二等分定理が発表された頃には既に日本には海外からの書物は入らなくなり、海外の最新研究事情がまったく知ることができなかったという事情もある。それらが既に欧米で当たり前になっているのにを知ったのは戦後になってからということになる。

戦中の日本人技術者はジャイレータも二等分定理も知らずに居たと思われる。

先日紹介した「回路網理論I」ですらも、二等分定理は載っているが、Bartlettの名前は出てこない。おそら源典から知ったわけではないからだろう。源典は1931年のBartlett, A. C.の著書「Theory of Electrical Artifical Lines and Filters」John Wiley & Sona Inx.である。世界恐慌を経験した直後で資源の無いドイツ、イタリア、日本は窮地に立たされ、領土拡大策へ大きく舵を切っていた。こんな時期にこの本が日本に入ってくることはなかっただろう。ただしその年にまだ米国に居てBartlettとも親しかったWilhelm Cauerは例外である。CauerはBartlettの理論をドイツに帰国する際に持ち帰り、独自にすべての対称回路網に適用できるように拡張することができたが、それが知られるのは戦後になってからであった。

一方1955年出版されたM. E. Van Valkenburgの著書「NETWORK ANALYSIS」Prentice-Hall Inc.には正確な出典も含めて"13-12. Bartlett's bisection theorem"として二端子回路網の最後に解説されている。それにはBrune,Ottoらによる"Note on Bartlett's bisection theorem"が1932年に書かれていたことを知ることができる。

著者が敢えてこれを示したのは後のフィルタ理論と関係が深いもののひとつだからだろう。

では二等分定理って何?

Bartlettのオリジナルの論文を見いだすことはできないが、時代とともに定義が拡張され、オリジナルのものよりも以後の拡大解釈の方が二等分定理として生きているようである。

オリジナルは古い参考書に共通して見られる通り、対称二端子対回路に関するもので、

・対称二端子対回路(Ladder Network)は常に等価な格子回路(Lattice Network)に変換できる

というもの。当時既に二端子対回路を縦続接続して梯子回路(Ladder Network)の形にフィルタを構成する方法が一般化していたが、共通帰線を持つことから不平衡回路であることから電話網の様に平衡回路に必要な格子回路フィルタ設計には役立たなかった。しかし対称二端子対回路であれば梯子回路から等価な格子回路に変換できる方法があれば設計は梯子回路で行えることになる。これは当時朗報であったと思われる。

戦後になって電気回路技術が発展すると平衡回路が必要とされる分野はニッチとなり、電話網もデジタル化によってアナログ技術が必要とされる分野が更に限られるようになってしまい、オリジナルの定理が有益な分野は少なくなった。

一方で、オリジナルの原理を拡張したものが現在も有益であることが知られている。ひとつはCauerが伝達関数でフィルタを設計する手法と共に二等分定理を拡張したものがある。オリジナルのBartlettのそれは物理的に対称なLadder回路に関するものだったが、Cauerは物理的に軸対称でなくても電気的に対称であれば成り立つように拡張されることを見いだした。これは電気的に対称な回路を二等分して、それぞれの回路の零点と極を変えることなく素子定数をスケーリングすることによってインピーダンスを変更することが可能であることを意味する。

・対称二端子対回路は二等分して周波数特性を変えずにそれぞれ独立にインピーダンススケーリングすることができる

また平衡回路の解析が机上では難しいのは現在も変わらないため、様々な電子回路で差動増幅回路を伴うもの(例えばエミッタ結合回路など)を解析するために、等価なシングルエンドのLadder回路に変換するという方法が有用である。また格子回路と等価なLadder回路を比較した場合、後者の方が部品数が少なくて済むので、民生品の回路では部品数を少なくした方が同じ性能ならばコストダウンに直接つながるので平衡回路を不平衡回路化する方法として有用である。

・対称格子形回路は等価な梯子回路に変換できる

現在ではこれら3つを2等分定理と称しているようである。

著者が記述しているのはそのうちオリジナルの定理に関してであるが、結論部分だけなのでこれで理解しろというのは無理がある。

Valkenburgの"Network Analysis"ですら二端子対回路(フィルタ理論)の最後の2ページを割いて説明しているが、それでも証明は抜きである。

今日的な理解をまとめると以下のような図になる。



物理的に対称な二端子対回路(Ladder Network)は同一の2つの回路に分割でき、切り出された端子を開放した場合の端子対から見たインピーダンスZaと短絡した場合の端子対から見たインピーダンスZbから等価な対称格子形回路が構成できるというもの。その後の拡張で、理想変圧器を使って格子形より素子数が少なくて済む共通帰線を持つ3端子フィルタが構成できることがわかる。これは高周波回路のバンドパス水晶フィルタ回路に用いられた。

さてどこまでを二等分定理ととどめるべきかは今日的には悩ましい。

元々の対称Ladder回路の中に理想変圧器を含めるとHybrid回路やJaumann回路、Rigger回路にも変換できることになる。巻線比が正と負があるのは、極性が逆、すなわちLattice回路で交差している部分がそれに該当する。



おそらくこれに関連した演習問題が用意されているだろうから、詳しくはそっちで考えることにしよう。
webadm
投稿日時: 2010-5-19 8:08
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2958
伝達イミッタンス
著者は伝達イミッタンスとしてZ12という名前を使っているが、これはZ行列の同名パラメータとはまったく別物であるように思えるのだが、はてさて。

オーム社の「電気工学ポケットブック」を見ると、伝達イミタンスについて明確な定義がされていた。

それによるとZ行列のZ12,Z21、Y行列のY12,Y21を総称して伝達イミッタンスと呼ぶらしいことがわかった。

ポケットブックにはそれ以上のことは書いていないが、著者は伝達イミッタンスも有理関数であるものの必ずしも正実関数である必要はないとある。また正実関数である場合には位相回転が最小となる特徴を持つらしく最小位相推移回路(minimum phase shift network)と呼ぶらしい。

しかし検索しても伝達イミッタンスについては用語すら見つからず、代わりにあるのは伝達関数(transfer function)に関する最小位相推移関数(minimum phase function)についてのみである。伝達関数は電圧伝達関数や電流伝達関数で、無次元の単位を持つため単位がΩやSの伝達イミッタンスとは明らかに異なることになる。

詳しい理屈はかなり説明が必要なようで著者は割愛している。実のところこっから先が回路網理論の入門みたいなもので、狭義の電気回路理論はその手前で境界線を切っているように思える。ちょうど三途の川みたいに、そっから先は別世界(近代理論)のようでもう戻ってくることはないのかもしれない。

これも後ほど演習に出てくるものと思われる。

それでは演習問題に取り組んでみるとしよう。かなり沢山あって死にそうである。いままで通り、頑張らないでやろう。
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