スレッド表示 | 古いものから | 前のトピック | 次のトピック | 下へ |
投稿者 | スレッド |
---|---|
webadm | 投稿日時: 2010-6-5 13:04 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
まだまだ:4端子定数 次ぎも4端子定数の問題。
理論の時にやった気もするが、4端子定数A,B,C,Dで表される2端子対回路の入出力を入れ替えた場合に4端子定数がD,B,C,Aとなることを証明せよというもの。 電流の極性の違いに注意すれば、I1=-I1',I2=-I2'であり、また線形受動回路ではAD-BC=1であることから Q.E.D |
webadm | 投稿日時: 2010-6-3 12:42 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
アドミッタンスパラメータ 次ぎの問題は下記の回路のアドミッタンスパラメータを求めよというもの。
普通にアドミッタンスパラメータの条件を適用して駆動点アドミッタンスや伝達アドミッタンスを解析して求めるのは既にこの規模の回路で大変である。 従って部分回路に分けてそれらの並列接続として全体回路のアドミッタンスパラメータを求めるのが簡単である。 著者とは異なる部分回路構成でやってみよう。 既にこれまでの問題で登場した3種類の部分回路の並列接続として考える。 それぞれの部分回路のアドミッタンス行列は 従って回路全体のアドミッタンス行列は ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-30 12:45 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
もうひとつの:4端子定数 次ぎは再び4端子定数の問題。
既知の4端子定数を持つ2つの異なる二端子対回路を並列接続した場合の4端子定数をもとめよというもの。 図で表すと 4端子定数の縦列接続は計算し易いが、並列接続はそうではない。 著者はYパラメータに変換して並列接続の計算を行い、それを4端子定数に変換しているが、別の方法でやってみよう。 以下の様に各端子対の電圧と電流を定義する それぞれの端子対の電圧と電流を座標とするベクトルを考えると、以下の関係が成り立つ ここから解法の見通しを立てることになる。 Fは回路全体の4端子定数で構成される伝送行列でベクトルPをベクトルQに線形変換する。 F',F''は個々の回路の4端子定数で構成される伝送行列でそれぞれP'をQ'へ、P''をQ''へ線形変換する。 以下に示す通りにPはP'とP''、QはQ'とQ''の以下のような線形結合で表される。 だめだ熱が出てきた(;´Д`) いきなり演繹的に考えても見通しがつかない。 ここはGauss大先生に習って帰納法でやってみよう。 まず簡単な回路を並列接続して4端子定数がどうなるか見てみよう。 最初に以下の回路を考えよう 2つの小回路の4端子定数は以前の問題の解答で既出であるし、並列にした場合、Z1とZ2が並列になるだけなので 従って伝達インピーダンス(B)は2つの小回路の伝達インピーダンス(B1,B2)を並列にしたものになることがわかる。 次ぎに以下の回路を見てみよう これも以前の問題の解答で既出なので 従って伝達アドミッタンス(C)はそれぞれの伝達アドミッタンス(C1,C2)の並列したものと変わらないということがわかる。 この事実から伝達インピーダンスと伝達アドミッタンスについての一般化した場合の以下の予想を立てることができる。 数学的にはこれは証明を待つ命題ということになる。証明さえできれば即時に定理となる。 証明を考える前に、もう少し複雑なケースを考えてみよう。 これはπ形回路の各素子がそれぞれ並列接続されるのでπ形回路の4端子定数が解れば結果は自明である。 π形回路のアドミッタンス行列は以前の問題の解答で以下の通り導出済み またアドミッタンス行列の4端子定数への変換も以前の問題で以下の通り導出している 従ってπ形回路の4端子定数は ということになる。途中で以前の問題で導いた式に転記ミスがあって嵌った。訂正しやり直した。 この結果からπ形回路の並列接続時の4端子定数は、各素子が並列接続されたπ形回路になることから という複雑怪奇な結果になる。このことから先に立てた予想は以下の様に修正されなければならない。 さてここからどうすんだ。A,C,Dについては謎のままである。T形回路の並列接続時は各素子の並列接続とはならないので簡単に回路全体の4端子定数を見いだすことは容易ではなく、もはや一般的な解法を必要とする。 もうひとつL形回路の並列接続を考えておこう。 それぞれの小回路の4端子定数は4端子定数が既出の回路の縦続接続として導くことができるので ということになる。全体の回路はZ2がZ2'とZ2''の並列接続になったπ形回路であるので 上記の結果から注目すべきは、 ということである。 従ってここまでの結果から以下の予想が得られる あとA,Dが残っている。 ここで気残りなのが一端C=C1+C2という予想をたてたものの、π形回路の並列問題でそれが否定されたわけだが、修正されたCの関係式はπ形回路の並列接続でも成り立つのだろうかという点である。 π形回路の並列接続時は重複するが再掲するとこうだった Bに関する予想はあっているが、Cに関してはどうだろう? 一見すると似て非なる結果になているが、予想式に小回路の4端子定数をそれぞれ代入して確認してみよう。 ということで一見違ってそうに見えて実は一致していた。Maximaではどうにもならなくて手で計算してようやく式が同じであることを確認した。 さてあとA,Dだが相反回路ではAD-BC=1が成り立つので3つがわかれば残り一個は自動的に決まる。ちょうど仏典の般若心経に出てくる六波羅蜜のうcい5つを得ると最後の一つ(智慧波羅蜜)が自動的に得られる(修行が完成する)というのと似ている。波羅蜜は仏典の原語であるサンスクリット語पारमिता Pāramitā パラミータにあてた漢字であるが、パラメータと良く似ている(全然意味が違うが)。4つのパラメータのうち3つを得ると残りは自動的に得られるという。なんとなく仏典には数学的なものを感じる。実際読んでみると証明論理的な記述もあったりして驚かされる。残念ながらホテルとかに置いてある仏典集の日本語文を読んでいていつくも意味不明な文があり、対訳の英文を読んだら明快明瞭、日本語の訳が基本的な誤訳か不適切な文になっているだけだった。おろらく英文がオリジナルで、それを日本語訳した人が英語を良く解っていなかったのだろう。英文でwithoutが使われている部分の訳が「煩悩なくして悟りを得ることはなかったのである」とでもすればわかるものを「煩悩はなく悟りもなかったのである」としてある辺りがひどすぎる。 何の話しだったっけ。 ああ、AとDね。 もうひとつのケースを考えてみよう。それはLattice回路である。 全体の回路の4端子定数は 各4端子定数は電流分流則や電圧分圧則、重ね合わせの理を駆使して導いた。回路への入力電圧は同じで、電流が2つの回路に分かれ、出力側では電圧が同じで電流が合流するとわかれば比較的簡単である。そこからひとつの重要なヒントが得られた気がする。 このLattice回路のケースとと前出のπ形回路のケースからA,Dに関してAはA1,A2,B1,B2の内容に、DはD1,D2,B1,B2の内容に依存する事実から最終的に以下の予想を導くことができる さてあとは証明するだけだ。Lattice回路のケースで気づいたヒントを元に、最初の線形代数によるアプローチを少し改良すれば見えてきそうである。 命題を整理すると。以下の既知の4端子定数を持つ2つの小回路を並列接続した場合 全体の回路の4端子定数は以下の様に一意に定まる。 さて振り出しに戻って線形代数的手法でこれを証明することにしよう。それに先だって線形代数をちょっと勉強してくる(;´Д`) なにもそこまでしてというかもしれないが、粘着気質なのでなかなか諦められない。おそらくどっかの本にずばり同じような問題が扱われているということは期待できないだろう。自分で考えるしかない。 ひとつの可能性は著者のように一度Y行列に変換して重ね合わせた後、再びF行列に戻すというのを途中Y行列を経由せずともショートカットして重ね合わせの理でF行列のまま導出できないかというもの。いちど全体の流れを描いてみて、ショートカットできる可能性を探るという手もある。I1=I1'+I1'',I2=I2'+I2''、E1=E1/2+E1/2,E2=E2/2+E2/2という風にすれば2つの電流源か2つの電圧源の重ね合わせと考えることもできる。これがヒントなのだが、そこから先が見通しがつかない。 もうひとつはまだ知らない線形代数理論がうまく当てはまる可能性。 最悪は前者でお茶を濁すことになりそう。 手元の参考書で他にこれと同じ問題の解を示しているのは電気書院「電気回路」大坪昭著のみで、行列表記を一切使わず4端子定数による回路方程式から部分回路に流れる端子対電流をもとめ、それらから全体の回路の端子対を流れる電流(I1=I1'+I1'',I2=I2'+I2'')を重ね合わせの理で導き全体の4端子定数を簡潔に求めている。行列を使わない方が簡潔だ。それでもステップとしては複数段あるので見通しが良くない。 そこで思いついたのが、それとも違う独自のアプローチ。なんのことはない、今まで部分回路側からボトムアップでアプローチしようとして挫折していたのだが、ふと全体回路からトップダウンで下りてくれば見通しよく証明できることに気づいた。 やってみたらうまくいった。基本的に全体回路をアドミッタンス行列表現に直すと、部分回路も4端子定数で与えられているので、すぐに全体のアドミッタンス行列が求まる。それを4端子定数に変換するだけである。 まず回路全体のアドミッタンス行列を以下のように導く 最後に上記で導いた回路全体のアドミッタンス行列を回路全体の4端子定数に変換すると ということになる。 Q.E.D P.S すくなくとも著者のよりは見通しが良い。一見も面倒そうに見えるが行列の計算はよく見れば単純なものばかりだった。 各変換の前半部分に頻繁に現れる2行2列の定係数行列は線形代数ではなんと呼ぶのだろう? パラメータ間変換公式に代入する方法よりも線形代数を使った方がはるかに簡単で間違いなくパラメータ変換ができる。何よりも変換公式を完全に忘れてしまっていても良いのが嬉しい。少なくともこの方法によるパラメータ変換はどの参考書やインターネット上でも見かけない。もしかしてオリジナルかもしれないし、単に誰もやろうとしないアホな方法かもしれない。後者の様な気がする(;´Д`) P.S 証明の前半で回路全体のアドミッタンスパラメータを導いた段階で以下の関係が得られていることを賢明な読者は見逃さないだろう。 これをA,B,C,Dに関する4元連立方程式として解けば同じ結果が得られる。以前の問題にも出くわしたように二次形式が伴うので手計算で解くのは意外に大変であるが、その確認は読者の課題としよう(´∀` )。 証明の後半はその方程式を解いているのに等しい。代数的に面白い関係である。 P.S 手元の古書を眺めていたら以前も紹介した「回路網理論I」尾崎弘、黒田一之著の付録A-4 "2端子対回路と4次元ベクトル"に同じ様なことが書かれていた。Vitold Belevitchが1954年6月号のIRE. Transactions on Circuit Theory, Vol CT-4 P.P. 105-111で発表したと出典がある。 ページにはこの本の以前の持ち主だった人が油紙のしおりを差し込んである。特別目をひいた内容だったのかもしれない。確かに他では見たことがない。V. Belevitchは卓越した数学的観点での回路網理論や多方面の研究で業績があった人のようだ。Cauerと同時代の人で戦後Cauerの功績を広めたことでも知られる。歴史的に二端子対回路を最初に考えたのは Franz Breisigであることを見いだしたのは彼である。数え上げればきりがない。ちょっと教わりたかった気がする。生まれるのがあまりにも遅すぎた。せめて回路網理論のバイブルである著書の"Classical Network Theory"を読んでみたい。入手困難だが。 こちらも遅ればせながら独自に同じ着想に到達したというだけで満足である。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-30 12:37 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
二端子対回路の並列接続 次ぎの問題は二端子対回路を並列接続した場合の問題点について。
これは理論の時に既にやってしまったので割愛。 共通帰線を持たない二端子対回路を並列接続する場合には、端子対に理想変成器を挿入すれば解決できるというもの。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-30 11:15 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
またまた:4端子定数 次ぎも4端子定数。
以前の問題で見たような以下の回路の4端子定数を求めよというもの。 著者は今回は最もストレートな方法で解いているので、それとは別解でやってみよう。 以前の問題で同様の回路のインピーダンス行列を求めているので、それを4端子定数に変換すると 従って全体の回路の4端子定数は ということになる。 P.S 一部題意と異なる記号が使用されていた部分を訂正(2010/06/07) |
webadm | 投稿日時: 2010-5-29 11:57 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
アドミッタンス行列 次ぎも似たような問題。今度は複数のアドミッタンス回路の並列接続に関するもの。
以下の回路のアドミッタンス行列を求めよというもの。 これは前の問題と良くにている。 これもアドミッタンス行列を求める問題なのは、並列接続に都合が良いから。 著者は簡単な解法を読者に残しておいているので、それを使わない手ははない。 上の回路は以下のような2つの回路の並列接続だと見なすことができる。 上部の回路のアドミッタンス行列は 従って全体の回路のアドミッタンス行列は ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-29 11:27 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
インピーダンス行列 次ぎは二端子対回路の接続に関する問題。
以下の回路のインピーダンス行列を求めよというもの。 インピーダンス行列が既知の二端子対回路の外側に端子対と直列にZ1とZ2がそれぞれ挿入された全体の回路のインピーダンス行列を求めることになる。 著者はちょっと面倒なやり方をしているが、おそらく読者に最も簡単な答えを残しておいてあげているのだろう。そっちで解いてみよう。 インピーダンス行列は複数の二端子対回路を直列に(端子対をシリーズに)接続するのに都合が良い。 上の回路は以下のような2つの異なる二端子対回路を直列接続したものと考えることができる。 上部の回路のインピーダンス行列は 従って回路全体のインピーダンス行列は ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-29 3:39 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
続々:4端子定数 次ぎも4端子定数の問題。
前問と違って今度は駆動点インピーダンスの代わりに、片方の端子対を短絡した状態で他方に与えられた電圧を加えた場合のそれぞれの端子対に流れる複素電流値から4端子定数を求めよという計算問題。 図で表すと 4つの不定元(A,B,C,D)を与えられた複素係数(二組のE1,E2,I1,I2)から求めれば良いので、前問の様に連立方程式を解けば簡単だが、別解を考えてみよう。 基本的に連立方程式を解く点は代わらないが少し見通しを良くしよう。4端子定数,A,B,C,Dを不定元とすると と解ける。 これに題意の電圧、電流値を代入すると ということになる。 見通しは良かったが計算が大変だった。全部Maximaでやったんだけどね。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-27 22:14 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
続:4端子定数 次ぎも4端子定数の問題。
端子対22'を開放及び短絡時の端子対11'から見たインピーダンスをそれぞれZ1f,Z1sとし、端子対11'を短絡したとき端子対22'から見たインピーダンスをZ2sとした場合の4端子定数を求めよというもの。 題意で与えられた条件はインピーダンスパラメータやアドミッタンスパラメータそのものである ただしZパラメータやYパラメータから4端子定数を導けという問題ではなく、上の3つのパラメータだけで表せということになる。 それははたして可能だろうか? 相反定理が成り立つ線形受動回路では以下が成り立つので3つの独立パラメータだけで必要十分ということになる。 ストラテジーとして以前Hパラメータ変換問題でやったように線形代数を駆使して求めてみよう。 4端子定数はベクトルP(E2,I2')をQ(E1,I1)へ変換する。一方等価な回路のZパラメータやYパラメータはP'(E1,E2),Q'(I1,I2)の間の線形変換行列である。それぞれの数ベクトルP,Q,P',Q'の間には以下の関係が成り立つとする。ただしI2'=-I2。 従って4端子定数とP,Qの関係は 左辺の係数行列の逆行列を両辺に乗じると 従って等価なF行列とZ行列の関係は ということになる。 同様にF行列と等価なY行列を求めるには上の式にZ行列の逆行列を求めればよく 従って題意より という関係が成り立ち。上記をA,B,C,Dに関する連立方程式としてMaximaで解くと ということになる。 最後だけ線形代数というわけにはいかなくなってしまった。実は良いところまでいったのだけれども、最後まで詰められなかった。 更に磨きをかけるのは読者の課題としよう(´∀` ) P.S 最後のところは二次形式を使えば行列で扱えそうな気がするが。結局Maximaで解くという落ちになってしまった。Maxima自身もこの手の方程式を解くには苦手なのだが今回はあっさり解いてくれた。どうやってやってるのだろうか。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-27 13:50 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3095 |
続:伝送行列 次ぎも伝送行列の問題。伝送行列と呼んだり4端子定数と呼んだり統一されていないのは、オリジナルの問題文が異なる著書から引用しているからだろうか。
以下の回路の伝送行列を求めよというもの。ただしG=1/Rとする。 いろいろやり方はあるが著者とは違う方法で 伝送行列は小さな二端子対回路の縦続接続で考えると楽なのでその点では共通である。 既に以前の問題で出てきたT形回路を含む以下の基本回路の縦続接続として考える。 左から順番に各基本回路の伝送行列は前出の問題の解より ということになり、従って全体の回路の伝送行列は ということになる。 P.S 最初どうも著者の答えと合わないと思ったら、途中の回路のF行列の内容を間違えていた...orz ひっかけではないが並列接続の抵抗がRではなくGと表記されているのは、後に学ぶ分布定数回路とかでの慣例であるため。でもひっかけかな。そのまま記号として既知の式を置き換えるわけにはいかない。あくまで逆数表記だと意識する必要がある。 |
« 1 2 3 4 (5) 6 7 » |
スレッド表示 | 古いものから | 前のトピック | 次のトピック | トップ |
投稿するにはまず登録を | |