スレッド表示 | 古いものから | 前のトピック | 次のトピック | 下へ |
投稿者 | スレッド |
---|---|
webadm | 投稿日時: 2010-5-23 1:32 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3093 |
インピーダンスパラメータとハイブリッドパラメータ 次ぎの問題はインピーダンスパラメータ(Z行列)とハイブリッドパラメータ(H行列)の間の変換を示せというもの。
Z行列はI1,I2とE1,E2の線形変換を表すが、H行列はI1,E2とE1,I2の間の線形変換である。変換する二点の座標を交換したようなものであるが、そういうふうに難しく考えると熱が出てくる。物事を難しく考えるのも才能の一つだと思って気を休めることにしよう。 著者の解法も他の古い参考書にある通りの方法で当たり前すぎるので、もっと見通しの良い別解を考えてみよう。 図のP,Q,P',Q'に関して以下の関係が成り立つ Z行列表記にそれぞれ代入して整理すると 更に左辺の係数行列の逆行列を両辺に乗じると ちゃんとできたじゃないか(´∀` ) 同様に逆方向の変換は H行列表記にそれぞれ代入すると これは先のZ行列の場合のP',Q'をP,Qにz11,z12,z21,z22をh11,h12,h21,h22に置き換わったものであるため、結果も同様に置き換えれば ということになる。 P.S これらが線形代数ではどういう扱いになるのか知らない。読者の課題としよう(´∀` ) |
webadm | 投稿日時: 2010-5-22 23:43 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3093 |
インピーダンスパラメータとアドミッタンスパラメータ 次ぎの問題は、前問の解で既に出てきてしまったが、インピーダンスパラメータとアドミッタンスパラメータの変換式を導けというもの。
インピーダンスパラメータ(Z行列)とアドミッタンスパラメータ(Y行列)は互いに逆行列な関係にあるので ということになる。 代数的にはインピーダンスパラメータとアドミッタンスパラメータは互いに他方の逆元で、唯一つ存在することになる。このような線形変換行列は並行移動要素も含むAffine変換群に包含される。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-20 5:54 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3093 |
インピーダンスパラメータ &&線形受動素子のみで構成される任意の二端子対回路で一次側と二次側の電圧、電流の関係は4つのインピーダンスパラメータz11,z12,z21,z22で表すことができることを示せという問題。
基本的なことだが、実は良く解っていなかったりする。 一端子対回路の時のように一般的な電源を含まないn端子対線形受動回路網の2端子対を除いてすべて短絡したものが二端子対回路 n端子対回路のインピーダンス行列と各端子対の電圧と電流の関係を行列で表すと 証明のストラテジーとしては、I3〜Inと無関係にE1,E2,I1,I2とインピーダンス行列の関係式を導けば良いことになる。 どうすんだこれ(;´Д`) 著者の解答や他の参考書「電気回路の基礎」足立修一、森大毅共著 東京電機大学出版局をちらりと覗き見するといずれも共通して分割行列表現を使用してI3〜Inをうまい具合に消去している。偶然消去されるというのではストラテジーがなさすぎる。 意地を張って別解を考えようとすると今の季節、眠くなってすぐに寝てしまう。横になりながら考えていると、謎の定理の文章が目の前を流れていき、つかもうとしても捕まえられないというもどかしさ。記憶に残すこともできず。 とりあえずE1,E2,...,Enの単位が電圧であるとか、I1,I2,...,Inの単位が電流であるとかを一旦忘れてn次元空間の一点を表す座標と考えるとそれぞれQ(E1,E2,...,En),P(I1,I2,...,In)と表すことができる。それと原点O(0,0,...,0)とを結ぶ直線がただ一つ決まるとするとそれはn次元空間上のベクトルOQ,OPとみなすことができる。ベクトルOQがベクトルOPの間にはAなる線形変換(原点を中心とする回転と拡大縮小のスケーリング)が唯一存在することになる。 それらのn次元の点を二次元平面に投射した場合、原点OはO'に点P,Qは点P',Q'にそれぞれ投射されることになる。同様に二次元平面上のベクトルO'P'とO'Q'の間にも線形変換A'が唯一存在することになるが、その場合AとA'の間にどういう関係が成り立つかという問題に帰着する。 益々わからなくなってきた。よくCGやゲームで三次元オブジェクトを二次元ディスプレイ空間にレンダリングする際もこれと同じである。古くは影絵とかの伝統芸能もこうした理論が背後にある。宮本武蔵が小次郎に勝った時も船の舵で作った通常より長い木刀を小次郎の目の網膜上の二次元に投射された際に長さが実際よりも短く錯覚するような線形変換テクニックを駆使したと思われる。 よく考えたらわざわざ誰もこんな難しいこと考えないので、検索してもヒントはみつからない。意外にコンピュータグラフィックスの数理は知られていないものだということを知る。昔勉強した時に学んだ式すらどこにも見あたらない。 しかしそれも必要無いということがようやくわかった。 基本的に上の二端子対回路のモデルではI3〜Inは独立ではなくI1,I2に依存するので、E1,E2,I1,I2とインピーダンスマトリックスの関係のみ考えればよく ということになる。 ここでΔはインピーダンス行列の行列式、Δijはインピーダンス行列の余因子行列式である。 実際に上記の式に基づいてn=3やn=4のケースで計算してみると著者の方法によるものと同じ結果が得られる。 n=3のケースでは n=4のケースでは ということになる。 なんとなく暗号処理みたいに複雑で元の回路のインピーダンスマトリックス要素が配合されている。まんざら暗号処理と関係なくもなさそうである。暗号文と平文は互いに代数的な操作によって相互に変換可能である。こんなことは理数系から見ると当たり前で「ばーか、ばーか」と工学系が馬鹿にされる格好の材料でもある。これだから工学系は理数系に一生頭が上がらないのかもしれない。 P.S ううむ危うく神経衰弱になって三日三晩寝込むはめになるところだった。いきなり大きい絵を描くのは身の程知らずだったということ。 それ以前に逆行列について良くわかってなかったことも判明したり。 線形代数も今の時代色々本が出ているけど、どれもまとめに徹していて他の数学の分野とのリンクとか全然触れてないし、歴史的経緯すら触れてない。ファイナンス数理で線形代数が必須とかで売れているのかもしれない。そんなこと数学者もまったく予想してなかっただろうね。元々純粋数学だった確率微分方程式も金融工学でデリバティプ商品の値付け理論に使われてから急にスポットライトを浴びたようなものだし。 結局一番解りやすかったのは戦前のまだ線形代数とか無かった時代の高木貞治の「代数学講義」の行列と行列式の章だった。歴史的経緯からはじまるし、昔の文体は外来語がひらがなで本文は旧漢字カタカナでなかなか味わいがあってじっくり読めた(というか速読できないしこれ)。 寺澤寛一の「自然科学者のための数学概論」は行間隔や文字の大きさのバランスが絶妙にすばらしく、美しく読みやすい本であるが線形代数はおろか代数系の話しがまったくない古典解析の本でもある。それでも行列表記は随所のページに登場するが、行列そのものの理論は扱っていない。もちろん集合とかもブルバキ以前なので出てこない。行列の概念は非常にマイナーだったし、便利なのでいろいろ少しずつ多くの数学者に使われるようになって、蟻の巣穴のようにあちこちの分野とつながりだしてから、まとめて教えるということになったのだろう。しかしつながってる先を学ぶのが本来の意図なのだろうけど、数学は意図も目的も無いので無味乾燥なものとなるのは仕方がない。 いきなり最初の問題で読者の出端をくじくのが本書の常套手段だ。 |
webadm | 投稿日時: 2010-5-20 4:53 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3093 |
2端子対回路演習問題 本書の特徴として理論は概説にとどめて各論は演習問題でというスタイル。実際その方が身をもって学ぶというか、自分で調べたり考えたりしないといけないので良い感じ。
下巻の内容はどれもまだ生きている分野の入口を紹介しているだけなので、本格的に深く学ぼうとすると他の専門書に頼るしかない。 それでも現代でも解決を待たれている問題や課題は歴史を辿ることでしか知るすべが無い。電気工学ポケットブックや電子工学ハンドブック、電子回路集とか見てもすでに解決された答えしか載っておらず、それすらそれらの答えに辿りついた経緯や手法は明かされていない。これは数学の世界も同じで。Gaussに限らず数学者は誰も「足場は残さない」というスタイルに徹していて、証明方法を除いてはそれに居たる経緯は口外しないものだ。唯一死後に日記や研究メモとかが明らかにされることでその一端をのぞき見ることができるにすぎない。 実務で回路設計に携わると自分で答えを導くよりも、誰かが既に同じ問題を解いていたらそれを使いたいという誘惑にかられる。当然そうした実務者向けにハンドブックやら便覧やらが出版されているものの、それらにずばり載ってなければやはり自分で解くしかないことになる。実務向けのそうしたハンドブックは意外にも理論的なことにはページを割いておらず、結論だけを集めたという感じのものがほとんど。いざ理論からしっかりやろうとすると、大学の教科書や参考書が一番まとまっているというのが現状。もともと限られた時限で広範囲に基礎を理解させるという目的で書かれているので当然である。 しかし基礎だけでは現実の問題を解くにはギャップがありすぎて、やはりその先は専門領域の各論にスポットライトを当てた専門書や論文から学ぶしかない。中には目的をもたない理論研究というのもあって、数学もそうだけど目的を持たないから、あらゆる問題に応用できるという面がある。特定の目的のために考えられた手法は意外に適用範囲が狭いものである。 手法を考える場合にどうしても前提条件を多くして適用範囲を狭めることになりがちであるが、一方で目的を忘れて、もっと広範囲に一般化して考えることによって寿命の長い理論が見えてくる場合がある。実務の現場では前者で十分だし、それ以上欲張ると時間とお金の制約から無理であるが、一端喉元を過ぎた後にゆっくり同じ問題や類似のもっとバリエーションの異なる問題の可能性を考えることによって一般的な解法が見つかることもある。 それには抽象数学の考えかたや問題の対象のとらえ方に参考になるものがある。それらは特定の目的をもっていないので、なんにでも応用が利くという最大の利点を持つ。 話しが長くなったが演習問題を解いていこう。 |
« 1 ... 4 5 6 (7) |
スレッド表示 | 古いものから | 前のトピック | 次のトピック | トップ |
投稿するにはまず登録を | |