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webadm
投稿日時: 2011-9-17 19:18
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
並列誘導M形フィルタ
次はいよいよ誘導M形フィルタの問題。

最初題意が読み取れなかったが、どうやら著者は理論のときに定K形フィルタから誘導される片方の誘導M形フィルタ(直列誘導M形フィルタと呼ぶのだろうか)についてのみ解説し、もう片方は演習問題として取っておいたということらしい。

なので同一の定K形フィルタのプロトタイプから誘導されるもうひとつの誘導M形フィルタを導出してその影像パラメータとm=0.6のときの減衰極を示せということらしい。

こちらは既に理論の時にValkenburgの本をなぞってやってしまったので、どうしようか。あの時は天下り的に飲み込んだに近い(途中でValkenburgの誤りを発見してしまったりもしたが)。

もういちどフルスクラッチからやってみても良いかもしれない。



上の左側の定K形プロトタイプフィルタ回路から、Z2'=Z2/m、Zi2=Zi2mという条件を与えて誘導されたのが右の回路である。

Zobelの発想は、右と左の回路の片側の影像インピーダンスが同じでZ2'=Z2/mなる関係を与えた場合、Z1'はどういう構成になるかを解くものだった。数式の知恵の輪を解いて期待通りの特性の他に通過域での影像インピーダンスが元の定K形フィルタよりフラットにできるという予想外の福産物も発見したという次第。未知数はZ1'だけなのでm、Z1,Z2,Z1'を含む式をひとつたてられれば容易に解ける。影像パラメータまで求めるとすると、さてその見通しはどうだろう。

それぞれの回路の2つの端子対に関する開放および短絡駆動点インピーダンスから影像インピーダンスの関係式を導くと



ということになる。Zi2=Zi2mでなければならないのでZ1'について解くと



ということになる。回路で構成すると。



ということになる。

従って影像インピーダンスZi1m,Zi2mはそれぞれZ1'を代入すると



ということになる。

影像伝達定数は伝送行列の固有値より



ということになる。

従って題意のm=0.6のときに減衰極の条件式は



つまり低域フィルタの場合、遮断周波数の1.25倍のところに減衰極が現れ、高域フィルタの場合は逆に遮断周波数の1.25分の1すなわち0.8倍のところに減衰極が現れることになる。
webadm
投稿日時: 2011-9-18 0:41
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
誘導M形フィルタへの変換
しばらく誘導M形フィルタに関する問題が続くようだ。

次の問題は、すでに知っている定K形フィルタの半回路(逆L字形)から2つの誘導M形フィルタを導出せよとの計算問題。

与えられているのは以下の定K形低域フィルタ回路



これを著者の呼ぶ直列誘導M形と並列誘導M形にそれぞれ変換せよというもの。

直列誘導M形はZ1'=mZ1、Zi1=Zi1mとした場合のZ2'を解けばよいことになる。



ということになる。回路図に直すと



並列誘導M形は逆にZ2'=Z2/m、Zi2=Zi2mという条件でZ1'を解けばよく



ということになる。これを回路で表すと



ということになる。
webadm
投稿日時: 2011-9-18 5:37
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
誘導M形低域フィルタの設計
前問までは理論のおさらい的な問題だったが、今度は与えられた仕様で誘導M形低域フィルタ回路を設計する問題。

公称インピーダンスR=1[kΩ]、遮断周波数fl=1[kHz]、m=0.6の誘導M形低域フィルタを設計せよ。

というもの。

ストラテジーとしては

・与えられた公称インピーダンスと遮断周波数を持つ定K形低域フィルタ回路を設計する
・上記の定K形低域フィルタからm=0.6で誘導M形低域フィルタを導出する

という二段階のステップになる。最初のステップが肝心で、最後のステップは公式に素子定数を代入するだけということになる。

著者は通過域でフラットな誘導M形フィルタ特有の影像インピーダンスを入力及び出力の影像インピーダンスとするために、最終的に対称T形および対称π形の複合フィルタとして設計している。

それならば最初から対称T形および対称π形の定K形フィルタをプロトタイプとして、それから誘導M形フィルタを導出するというショートカットができるはず。

ならばやってみよう。



上の対称π形定K低域フィルタが仕様の公称インピーダンスと遮断周波数を持つためにL,Cが満たすべき条件は



というとになる。これをLとCに関する連立方程式として解くと



ということになる。

従ってこの素子定数を持つ定K形フィルタをプロトタイプとして直列誘導M形フィルタを導出すると以下のような回路となる



従って誘導される素子定数をそれぞれ計算すると



ということになる。最後の数値だけ著者の解と最後の桁が違っているが、著者の式通り計算しても著者の結果と合わない。

引用:

これより直列誘導M形低域フィルタを求めると


詳解電気回路(下)第3章フィルタ演習問題【22】解より


実際にはもっと大きな有効桁数で計算した結果を四捨五入して有効数字3桁とした最終値として書いているためだ。これは教育上よろしくないと思う。学生はまねをしないように、テストでは減点対象となる。

回路図にすると



ということになる。

同様に並列誘導M形回路として導出した場合



ということになる。

これを回路図にすると



ということになる。真ん中のZ2'は、2Z2'が2つ並列に入ったものと考れば0.191[uF]ということになる。
webadm
投稿日時: 2011-9-18 18:57
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
続:誘導M形低域フィルタの設計
次も前問と似たような誘導M形低域フィルタの設計問題。

今度は与えられる仕様がちょっと違う。

公称インピーダンスR=600[Ω]、遮断周波数fl=2[kHz]、減衰極f∞=3[kHz]なる並列誘導M形低域フィルタを構成せよ。また直列誘導M形の場合はどうなるか。

というもの。

前問でm=0.6と与えられていた代わりに減衰極の周波数が指定されている点が大きく異なる。しかしこれも以前のmを与えられて減衰極を求める問題の逆問題のようなものである。

ストラテジーとしては

・与えられた公称インピーダンスと遮断周波数を持つ定K形低域フィルタの素子定数を求める
・上記のプロトタイプフィルタから誘導される誘導M形フィルタの誘導極が与えられた周波数となる誘導係数mを求める
・上記で得られた誘導係数mを用いてあらかじめ求めた定K形低域フィルタから誘導M形フィルタ回路を導出する

もしくは

・指定された遮断周波数と減衰極の周波数から誘導係数mを特定する
・与えられた公称インピーダンスと遮断周波数を持つ定K形低域フィルタの素子定数を求める
・先に求めた誘導係数mを用いて上の定K形フィルタから誘導M形フィルタを導出する

ということになる。

著者は後者のアプローチをとっているので、こちらは前者の手順でやってみよう、順序が前後するだけの違いではあるが。

最初に元になる定K形低域フィルタの素子定数の関係式



これをL,Cに関する連立方程式として解くと



ということになる。



一方、以前の問題で得た減衰極と誘導係数mの関係式から



ということになる。

あとはmを用いて先の定K形フィルタから誘導M形フィルタを導出すればよいことになる。

並列誘導M形の場合





ということになる。

これを回路に表すと



ということになる。

同様にして直列誘導M形の場合





ということになる。

回路図に記すと



ということになる。

定抵抗終端の外部回路と通過域でのインピーダンス整合を良くするためには、定K形フィルタと同じ影像インピーダンスの端子を内向きに対向接続した対称T形もしくは対称π形とするのが実用的であるので、著者はそれについても回路図を示している。同じ様に記すと。





ということになる。

webadm
投稿日時: 2011-9-18 21:23
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
続:誘導M形フィルタへの変換
誘導M形フィルタに関する最後の問題。

これまでは定K形低域フィルタを誘導M形フィルタに変換する問題だったが、今度は定K形高域フィルタを変換する問題。

低域フィルタと高域フィルタの特性は、標準化された周波数を変数とする同一関数として現れるのは既にご承知の通り。標準化された周波数は低域フィルタと高域フィルタとで互いに逆数として定義される。すなわち低域フィルタと高域フィルタは数学的には互いに同形であり、一対一の写像関係を持つと言える。

なんの話だったっけ。

ああ、定K形高域フィルタの誘導M形変換ね。

以下の定K形高域フィルタを考える



直列誘導M形に変換する場合、Z1'=mZ1、Zi1=Zi1mを満たすZ2'を導けばよいので





ということになる。

これを回路図に記すと



ということになる。

並列誘導M形への変換はZ2'=Z2/m、Zi2=Zi2mとした場合のZ1'を求めればよいので





ということになる。

これを回路に記すと



ということになる。
webadm
投稿日時: 2011-9-18 22:01
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
抵抗減衰器の設計
フィルタの演習問題ももう残りすくなくなってきた。

次は与えられた仕様を満足する抵抗減衰器を設計する問題。

以下の回路で、



(1)電圧減衰比k(=E1/E2)を実現するためのT形抵抗減衰器のR1,R2,R3を求めよ。

(2)RS=RL=Rとなる対称T形抵抗減衰器の場合のR1,R2,R3はどうなるか

というもの。

見通しよく解くために、T形抵抗減衰器の影像インピーダンスをそれぞれRS,RLと置くと影像パラメータを用いて以下の様に等価電圧源回路として見ることにする



すると仕様の電圧減衰比kは



ということになる。すなわちkは抵抗減衰器回路の伝送行列の固有値そのものであることになる。

T字形抵抗減衰器の伝送行列から影像パラメータを求めると



ということになる。このままでは未知数R1,R2,R3が解けないので、影像インピーダンスがそれぞれRS,RLとなる条件を付け加える必要がある。

影像インピーダンスの式は非対称回路なので簡単な開放及び短絡駆動点インピーダンスから導くことにする



これらの関係式をR1,R2,R3に関する連立方程式として解くと

実は簡単には解けない( ´゚д゚`)えーーー

べき項が消去できないためMaximaでは解けないのだ

この問題は以下の非線型連立方程式を解くということにつきる。



もっと簡単な方法が他にありそうだが。

kに関する式だけべき乗してもべき項が消えないので、これを別のアプローチでべき項のない関係式を得るというのはどうだろう。

具体的にはオーソドックスに回路方程式をたててE1/E2=kであるとするもの。これならきっとべき項は現れないはず。

回路方程式をたてるために、入力と出力の電流をそれぞれI1,I2とすると、





これをI1,I2,E1,E2,kに関する連立方程式として解くと



ということになる。

予想通りべき項を含まない式が得られた。

これとRL,RSに関する影像インピーダンスの式からR1,R2,R3を解くと



ということになる。

なんですかこれは(;´Д`)

どうやら違う道に迷い込んで仕舞ったらしい。どこをどう間違えたのだろう。

回路方程式から導いた電圧減衰比の式にはRLの項が含まれているので、これを伝送行列から求めた影像インピーダンスの式を代入してみると



伝送行列から求めたものとはちょっと違う式になってしまう。

袋小路に迷い込んだら前提を疑ってみたほうがよい。

どうやら電圧減衰比の解釈に違いがあるようだ。

伝送行列から求めた影像伝送量は厳密には見かけ上の回路への流入電力と流出電力の比の平本根である。



従って影像伝送量(e^θ)=電圧減衰比(k)となるのは入力と出力の影像インピーダンスが等しい場合(RS=RL)、すなわち対称回路であることが前提となる。

それで回路方程式から導いたk=E1/E2と伝送行列から導いた影像伝送量e^θが違うわけである。

最初の演習問題で紹介したベル研究所の書物には、上記の事が注意点として警告されていたのだが、すっかり忘れてしもた(;´Д`)

ということで出題者はそのことを意図していたのかどうかはわからないが、フィルタ演習問題とすれば、題意の電圧減衰比は影像伝送量の意と解釈すべきであろう。なまじ(E1/E2)とか書いてあるので道を間違ってしまう。

オーディオ回路に例えれば、入力インピーダンスが600Ωのマイク入力を増幅して出力インピーダンス8Ωのスピーカーに出力するときの増幅率は入力電圧と出力電圧の比ではなく、入力電力と出力電力の比の平方根で表すのが正しいというのは容易に理解できるであろう。

まあこれも手を動かさなければ永遠にわからなかっただろう。

というわけで問題は振り出しに戻って、複雑な非線形連立方程式を解くということになる(;´Д`)

まてよ、kをe^θの式で置き換えればいいじゃん(´∀` )



魔法の花火のように次々と係数が消滅して式が簡単になっていく様子を見るのは気持ちがいい(´∀` )

これで著者と同じ結果が得られたことになる。著者のkをe^θに置き換えたようなものである。

従って、RS=RL=Rとすれば対称回路においては



ということになる。

なんだ著者のアプローチよりずっと簡単じゃないか(´∀` )

抵抗減衰器を甘く見たのがよくなかった、上巻の時の抵抗ラダー回路の時みたいに寝込まずに済んだのが幸い。あれからだいぶ進歩したのを感じる。

P.S

影像インピーダンスもわざわざ伝送行列からでなくても、オーソドックスな回路方程式から導出することができる。

出力端にRLを接続したときの入力端から見た駆動点インピーダンスがRSに等しく、逆に入力端をRSで終端した場合に、出力端から見た駆動点インピーダンスがRLと等しくなるので



という関係が成り立つ。これをRL,RSに関する連立方程式としてMaximaで解くと



と解ける。Maximaでは上のRLの式をどうしても意図した通りにrefactoringできないので手で整理する必要があった。

実はMaximaにバグがあるのをこの時に発見。

以下の様にsolveを実行すると、第一変数の解が誤る。

solve([(R2*RL+R1*RL+R2*R3+R1*R3+R1*R2)/(RL+R3+R2)=RS,((R3+R2)*RS+(R2+R1)*R3+R1*R2)/(RS
+R2+R1)=RL],[RS,RL]);



二つ目の解のペアのRSの式はどう考えてもおかしいだろう。

第一変数と第二変数の指定を以下の様に入れ替えると正しい結果が得られる

solve([(R2*RL+R1*RL+R2*R3+R1*R3+R1*R2)/(RL+R3+R2)=RS,((R3+R2)*RS+(R2+R1)*R3+R1*R2)/(RS
+R2+R1)=RL],[RL,RS]);



変数指定を逆にするだけで結果が違うというのもおかしい。

それぞれの結果の最後の解は正しくMaximaで意図した通りrefactoringしてくれる。

元となるRL,RSの関係式の一方を他方に代入して1変数多項式として解けば間違いなく正しい結果が得られることからバグと認定。
webadm
投稿日時: 2011-9-20 1:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
続:抵抗減衰器の設計
次も抵抗減衰器の設計問題。

特性インピーダンスRS=600[Ω]、負荷抵抗RL=10[kΩ]が与えられているとき、電圧の減衰量α=20[dB]を達成するためのT形抵抗減衰器のR1,R2,R3を求めよ。

というもの。

これは前問の回路で電圧源を等価な分布定数回路に置き換えたものと考えたほうがよさそうである。

問題は出題者が言う「電圧の減衰量α=20[dB]」をどのように解釈すべきかという一点につきる。これは非常に不適切な表現であるといって良い。

むしろ電力減衰量で示してもらったほうがよいし、その方が一般的だ。問題の趣旨から考えると、入力と出力のインピーダンスが等しい場合の電圧減衰量と等価な電力減衰量を与えると解釈すべきだろう。



電力伝送モデルで考えよう。

入力から回路に供給される電力をp1,回路から負荷へ供給される電力をp2とすると抵抗のみの回路では



ということになる。

従って電力減衰量はデシベルで表すと



ということになる。

従って電圧減衰量というと多くの書では最後の式の第一の項のことを公式として載せているにすぎない。第二項のことはベル研の書以外では論じられることがない。回路が対称であれば第二項は0となり無視できるからだ。

しかし問題の回路は非対称であり、電圧減衰量ということで第一の項だけ計算するというミスを犯すことを出題者が意図しているとしか思えない。こんなひねくれた問題はおそらく第一級公務員試験ぐらいだろう。

そこんとこをちゃんと理解しているのであれば、題意の電圧減衰量はすなわち電力減衰量と同値であると解釈するので問題ないということである。

すなわちα=20[dB](電圧比)であるなら減衰比は



ということになる。

これを前問の非対称回路の式にe^θの代わりに代入すればよく



ということになる。

おろ著者と最後のR3の答えが違うぞ。

どうやら原因は不明だが、著者の計算ミスらしい。最後にびっくりさせられた。
webadm
投稿日時: 2011-9-20 5:11
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
続々:抵抗減衰器の設計
次も抵抗減衰器の問題。

前問まではT形回路だったが、今度はπ形回路。

電源および負荷インピーダンスがともにRなるとき、電圧減衰比kを実現するための対称π形減衰器の抵抗R1,R2を求めよ。

というもの。

アプローチとしては、

・以前の問題と同様に影像インピーダンスがRと等しくなる条件で電圧減衰比kを満たすR1,R2の関係式を導く。

へそまがりな方法として

・以前の問題の対称T形回路で最初に設計し、それを等価なπ形回路に変換する

が考えられる。

もう複雑怪奇な方程式はうんざりなので、へそ曲がりな方法でやってみよう。

まず題意の電圧減衰比kを有する対称T形減衰回路を以前の問題の解を使って設計する





ということになる(´∀` )

あとはこれと等価な対称π形回路に変換すればよい




対称π形回路の素子定数をR1',R2'とおくと、開放および短絡駆動点インピーダンスが先の対称T形と互いに等しいとすれば



が成り立つということになる。

これをR1',R2'に関する連立方程式として解くと



ということになる。

なんだ簡単じゃないか(´∀` )
webadm
投稿日時: 2011-9-20 6:06
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
まだまだ:抵抗減衰器の設計
次は抵抗減衰器の最後の問題。

今度はちょっと骨休め的な計算問題。

入力インピーダンス、出力インピーダンスがともに、R=1[kΩ]、減衰量α=40[dB]の対称π形抵抗減衰器を求めよ。

というもの。

出題者はこれまでは電圧減衰量とか言っておきながら、対称回路になると減衰量として電力なのか電圧なのか言及していない。これも罠だ。

しかし一般的には電力減衰量ならばdBmとか1mWの電力との比に基づいた表記をするので、これは電圧減衰量であると判断してよさそうである。

だとすれば以前の問題と同様に



ということになる。

これと題意のRを前問の結果に代入すればよい。



ということになる。
webadm
投稿日時: 2011-9-20 6:18
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
対称ブリッジT形抵抗減衰器
遂にフィルタ演習問題の最後である。

しかし抵抗減衰器である。

これまで登場しなかった対称ブリッジT形に関する解析問題。

対称ブリッジT形抵抗減衰器の

(1)影像パラメータを求めよ
(2)R1R2=R^2なるときにはこの減衰器の影像インピーダンスがRとなることを示し、そのときの入力および出力の電力比が、P1/P2=kなるときR1,R2が次式で与えられることを説明せよ。





著者の解を見ると第2章の二端子対回路の演習問題で登場したくさいが、憶えていないので、スクラッチから考えよう。

対称回路なので影像インピーダンスは簡単に求めることができる。

伝送行列を使わずに影像インピーダンスRiで終端した場合の駆動点インピーダンスがRiとして見ることを利用して解いてみる。

だが('A`)マンドクセ

駆動点インピーダンスが簡単には求められないのがブリッジ回路だった。

入力端に流れる電流をI1,出力端に流れる電流をI2、ブリッジ抵抗R1に流れる電流をI3としよう。



これをI1,I2,I3,Riに関する連立方程式として解くと



ということになる。

R1R2=R^2のときに影像インピーダンスRiは、R1=R^2/R2を代入すると



とということになる。

最後に電力減衰比kを与えられた場合のR1,R2の求め方について。

出題者はk=P1/P2と言っているが鵜呑みにしてはいけない。古典フィルタ理論では電力減衰比といえば動作伝送量(e^θ)のことである。

これも回路方程式をたててみると



これをI1,I2,I3,R1,R2について解くと



ということになる。

これにてフィルタ演習問題終了。

もっと研究してみたいが、それには影像インピーダンスを一端忘れて定抵抗終端での近代フィルタ理論を学ぶ必要があるので、また別の機会にしよう。

P.S

最初の問題からちょうど2ヶ月もかかってしまった。それでもフィルタ理論は電気回路理論を本当に理解しているか試す試金石のような感じがする。これをやらないと本当にわかっているのかどうか疑わしい。近年ではゆとり教育の影響で割愛される傾向があるが、最近は復活しているところもあるらしい。

昔は式を操るのが紙と鉛筆、自分の手と頭だけだったが、今はコンピューターの時代でMaximaを活用すれば、数式処理が苦手でもなんとかキャッチアップできる。最初の丘を越えてその先を見るのが大切だと思う。実はまだまだ広がっていて、誰も到達したことのない領域もあることに気づく(電気回路に限らず、数学や計算の世界で、複雑な高次の連立方程式を解くのはまだ未解決の領域である)。Maximaはべき根の混じった式があると簡単にギブアップする。いわゆるradical idealというのが混じった多項式だと最新のアルゴリズムを実装しないと解けない。

そういういろいろな世界が見えてきて楽しい。そこで将来目指すテーマや方向を決める機会になるかもしれない。


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