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webadm | 投稿日時: 2012-10-13 23:50 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
続:波長と位相定数 次は再び波長と位相定数に関連する捻った問題
特性インピーダンスZ0=300[Ω]の無損失線路が負荷インピーダンスZRで終端されている。負荷から1/4波長離れた点から負荷を見たインピーダンスを測定したところZ=200+j150[Ω]であった。ZRはいくらか。 というもの。 今度は未知数が負荷インピーダンスZRである。 無損失線路なので以下の前提が成り立つ 問題の回路を二端子対回路として見ると以下の関係が成り立つ これをZRについて解くと ということになる。 この問題では波長と位相定数の関係式がキーである。無損失線路における位相速素v,角周波数ω、周波数fそれに波長λに関する以下の3つの関係式を思い出せばいつでも導ける。 一般的に高周波回路では負荷からの伝送路の距離によって駆動点のインピーダンスが違って見えるのが集中定数回路と大きくことなる点である。線路長によらず常に一定とするためには特性インピーダンスで終端されることが必要十分条件となる。 P.S 特性インピーダンス300Ωというと思い出すのが、今はもうない地上波テレビジョンのVHSのアンテナとテレビジョンセットの間の接続に使用されていた平行フィーダーのそれである。 子供のころ電気いじりを初めて、平行フィーダーに300Ωと刻印されているのを見てなんでだろうと頭を捻っていた。分布定数回路とかインピーダンスの概念を知らない場合にはそんなもんである。学生時代に平行フィーダー線を使ったアマチュア無線用のアンテナ自作記事をCQ誌で見て、FM放送周波数用に自分で設計しなおして好結果を得たことがあった。 実家に居た子供の頃に兄と一緒に屋根の上に登ってアンテナ調整とか修理するのが楽しかった。その時だけは屋根の上に登ってもおとがめなしだから。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-14 0:39 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
続々:特性インピーダンス 再び特性インピーダンスに関する問題
有限長線路の特性インピーダンスZ0が周波数に無関係となるための条件を示せ というもの。 有限長線路の特性インピーダンスは であったから、一般的には角周波数ωの複素関数である。 特性インピーダンスが角周波数ωに依らず一定であるためには、 が必要十分条件である。 すなわち ということになる。 従って上記を満足する場合、Z0はそれぞれ ということになる。 最初のは無損失線路、残りは無歪み線路であることは理論の時に既に学んだ通り。 P.S Z0をそのままωで微分すると面倒なので、その二乗を微分したのは であるからして ということであるからである。 つまり が成り立つからである。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-14 2:05 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
基礎方程式:無限長線路で送電端に直流電圧,電流を与えた場合 次は再び基礎方程式の問題
単位長さ当たりの抵抗R,漏洩コンダクタンスGの線路の送電端に電圧ES、電流ISなる直流を加えたとき、送電端からの距離xの点の電圧と電流を求めよ。 というもの。 問題文には受電端の条件についてなんら触れられていないので無限長線路とみなして考えることにしよう。 直流回路なのでω=0とすればL,Cがいくらでも無関係になる。RとGだけが効いてくる。 無限長線路の場合、基礎方程式は ということになる。これに送電端の条件を与えてA,Bについて解くと ということになる。これを元の基礎方程式に代入すると ここで伝搬定数γ、特性インピーダンスZ0は直流(ω=0)なので 従って ということになる。 著者はEの式でγを一カ所置換するのを忘れてしまっていることを注意しておく。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-14 2:15 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
基礎方程式:有限長線路で受電端を開放し送電端に直流電圧、電流を加えた場合 今度は有限長線路の問題
前問において、線路の受電端を開放にしたとき、任意の点xにおける電圧、電流および受電端の電圧はどうなるか。ただし線路長をlとする。 というもの。 今度は有限長線路なのと受電端が開放であるという条件がついている。 受電端の条件を与えて、基礎方程式の未定積分定数を解くと これを基礎方程式に代入すれば と言う結果が得られる。 しかしまだこれには未知数ERが含まれている。 ここで送電端の条件を与えてERに関して解くと ということになる。 これを代入するとE(x),I(x)は ということになる。 ここで直流(ω=0)の場合は これを代入すると最終的には ということになる。ERの置き換え方次第では同値だが別の表現式も得られる。それは読者の課題としよう( ´∀`) 同じ結果は一般的な受電端に負荷インピーダンスZRを接続した場合のケースからZR→∞の極限操作することでも導くことができる。それも読者の課題としよう( ´∀`) 著者の解とはE(x),I(x)の表現が異なるが同値である。著者は何故か時間が無かったのか今回は双曲線関数の加法定理を用いずに長くややこしい表現にしてしまってお茶を濁している。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-14 22:26 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
線路長が波長より十分短い場合の送電端と受電端の電圧、電流の近似 次は再び近似の問題。
波長に比べ十分に短い長さlの線路の導電端電圧ES,電流ISと受電端電圧ER,電流IRの関係はどのように近似できるか。 というもの。 線路長が波長よりも十分短いとそうでない場合とで何が違うのだろうか? いやまさに問題文はそれを命題として定式化を求めているわけである。 ストラテジーがすぐに思いつかないが、有限長なので二端子対回路として見れば以下の関係が成り立つのは明らかである ここで線路長lと波長λの比をεとして書き直してみると ということになる。 εをl/λに戻すと これでも十分であるが を代入すると 少し簡単になった。 更に線路全体の直列インピーダンス、並列アドミッタンス で置き換えると ということになる。 波長より十分線路長が短くても、送電端から供給する電圧と電流に線路全体の直列インピーダンスと並列アドミッタンスの積に比例した天使の取り分を増しておかないと受電端に意図した電圧と電流が流すことができないということになる。 ほとんど著者と同じアプローチになってしまったが、著者は双曲線関数の近似式の導出方法については触れていない。普通に公式集にも双曲線関数の級数展開式など載っていないから、指数関数表記に戻して、指数関数を級数展開して有る程度高次項は無視するということで導くことができる。この場合、指数関数展開の3次の項まで含めないと著者の解よりちょっと近似があまい式になってしまうことに途中で気づいた。 他にも別な近似式の導出方法がないかどうか検討するのは読者の課題としよう( ´∀`) P.S 近似問題の元ネタをドイツの理論電気学の教科書にいくつか見いだすことができる。議論している問題は異なるが、双曲線関数を級数展開で近似しているのは一緒である。 こちらは3次以上の項を無視している。近似式が恒等式として記載されているのは厳密には正しくないが、他にの近似式が恒等式として記載されているのを見ると、ドイツ人は意外におおざっぱなのかも。 別の例題では3次の項まで考慮している。不鮮明だが上の方に線路全体のキャパシタンスと漏洩コンダクタンスの関係式が出ている。 いずれも隣接するページで送電線の実際のパラメータを使用して試算している記述もあり、ドイツでは数式だけでなく現場でのたたき上げも重要視している感じがする。 P.S その後今年本屋で見つけて良い本だったので購入してあった「回路網理論」電気学会 オーム社にまったく同一の例題が解説されているのに気づいた。別の近似の問題も例題として丁寧に解説されている。ただし著者の解とは違っていて、こちらで導いた結果と一緒。 他書では割愛される事が多い分布定数回路に関してほとんど基本敵なところは網羅して書かれている。さすがにスミス図表については言葉しか出てこないが、これは近年マイクロ波工学で扱うべきものということで電気とは分離されたためだろう。大学の専門カリキュラムでは分布定数回路に関してはいくつもの教科でだぶってしまっていることもあり、どれも中途半端という感が否めない。ドイツの理論電気学の本もどこか中途半端で、どちらかというと送電工学に必要な範囲にとどめている感じがする。その点では先の「回路網理論」はページ数が少ないのにしっかりまとまっている。お勧めである。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-16 4:55 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
1/4波長より短い無損失線路 1/4波長の整数倍の無損失線路については線路の共振の理論で学んだが、それ以外の線路長の場合についての問題
周波数が一定なるとき、1/4波長よりも短い無損失線路の受電端を短絡または開放したものはそれぞれ誘導リアクタンス、容量リアクタンスと等価であることを示し、かつ等価インダクタンスL0,等価キャパシタンスC0を特性インピーダンスZ0と位相定数βで表せ。 というもの。 すでに理論のところでやってしまっているが、もう一度初めからやってみよう。 思いつくストラテジーとしては (1) 受電端が開放のときと短絡の時の送電端から見た駆動点インピーダンスを導く (2) それが受電端開放のときに誘導性となり短絡の時に容量性となるかどうか調べる という順序である。 受電端が開放の時の送電端から見た駆動点インピーダンスは、二端子対回路とみなして、受電端の条件を与えれば 従って受電端を開放した時の送電端の開放駆動点インピーダンスは ということになる。 これではなんのことやらさっぱりわからないので、題意の1/4波長より短い無損失線路のZ0,γは を代入すると ということになる。 以下が成り立つ場合Zoは誘導性リアクタンスを持つことになる 問題はlが1/4波長より短い場合に上記が成り立つかという点である。 ここで波長の定義を思い出すと ということになる。 これを代入すると ということになる。 従ってlが1/4波長より短い開放端の線路は誘導性リアクタンスL0と等価になる 同様に受電端が短絡の時の送電端から見た短絡駆動点インピーダンスは、 ということになる。 これも同様に無損失線路のZ0,γを代入すると ということになる。 あとはlが1/4波長より短い場合 を満足するかどうかである。 これも同様に ということになる。 従って1/4波長より短い短絡端の無損失線路は容量性リアクタンスC0と等価になる 見通しをたてても伏兵が潜んでいるのが普通である。その場合でも手を動かせば自ずと道が見えてくる。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-17 5:55 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
漏洩線路 次はなんと呼んだらよいのか、漏洩するだけの直流線路なので漏洩線路とでもしよう。
単位長さ当たりの抵抗がR, 大地への漏洩コンダクタンスがGなる長さlの線路がある。いま電圧Eの直流電源を下図のよううに接続するとき、電源から流れ出る電流はいくらか、ただし電源の他端の接地抵抗をReとする。 というもの。 線路いってもこれまで出てきたように、一本の線路が大地と平行に走っているだけだが、これも線路と言えるのだろうか。 大地側はそれなりの抵抗が分布しているように思えるのだが。 それと何の説明もなく接地抵抗という用語が登場するがそれはなにを意味するのか。 接地というと子供の頃に受信用にアンテナだけでなくアースもとると良いと知ったので、自宅の側に何本か銅線を埋めて並列につないでアースをとったことがある。受信感度が良くなったのかはわからないが、商用コンセントとの片方とアースの間をテスターで電圧測定するとAC100Vあるのを発見。試しに電球をつないでみたら光った。これはいいのだろうか、電力メーターには積算されるのかどうか。電柱のトランスで中点が接地されているのを知っていたので、一種の漏電なんだと理解していた。当時は実家のブレーカーはそれまで旧式のフューズボックスで、黒いブレーカーになったのは大分後である。つまりそれまでは漏電があっても検出していなかったということになる。 なんの話しだっけ。ああ、漏洩線路ね。 いつも参考にしているドイツの理論電気学の本を見ると、この問題はどうやら架空接地線と送電線の間の漏洩問題を簡略化したもののように見える。 架空接地線というのは、送電線の真上を通り送電塔を通じて接地されている鋼線のことである。送電線への落雷を防止する役目を負っている。送電線の真上を平行に沿っているので、その間に漏洩電流が流れるというものである。 図に書いてみると こんな感じだろうか。これの等価回路が最初の図になるというもの。 そういうことだと思ってしまおう。 接地抵抗は電源を接地した場所と最寄りの送電塔との間の電気抵抗である。接地抵抗計という測定器で測定する。あとは平行線路なので分布定数回路として扱えるというわけである。 最初の等価回路で以下の関係が成り立つ ここでIは送電端に流れる漏洩電流、ERは受電端と架空接地線の間の電圧。この2つが未知数である。 上記の関係式よりI,ERについて解くと ということになる。 ここで直流回路(ω=0)なので を代入して整理すると ということになる。 おそらくこの問題は送電線を建設した際に最後に架空接地線と送電線の間の漏洩電流を測定するという試験が行われると思われるので、送電網を設計時点で予め予測した値と著しい相違があれば、どっか断線しているとか、地落しているとかの可能性が疑われる。 その設計目標値を計算する基本的な考え方を題材としたものだと思われる。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-24 8:35 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
まだまだ:特性インピーダンス 次は特性インピーダンスの測定方法に関する問題
受電端を短絡、開放したときの送電端から見たインピーダンスZss,Zsoを測定すれば線路の特性インピーダンスZ0および伝送定数γを知ることができることを示せ。 というもの。 線路を二端子対回路とみなすと以下の関係が成り立つのを思い出そう。 ここで受電端を短絡、開放した時の端子条件をそれぞれ与えると ということになる。 上記の結果から特性インピーダンスは ということになる。 残る伝搬定数γも上記のZ0をZss,Zsoどちらかの式に代入すると ということになる。 |
webadm | 投稿日時: 2012-10-25 6:19 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
RC線路 次はThomsonが海底電信ケーブルの数理モデルであるRC線路に関する問題。
長さl[km]の同心ケーブルの受電端に抵抗RLを接続するとき、送電端から見たインピーダンスZsはいくらか。ただし、ケーブルの往復1[km]当たりの抵抗をR[Ω]、ようようさせ婦タンスをB[S]とし、その他の線路定数を無視する。 というもの。 有限長lの線路なので二端子対回路と見なすことができる。受電端条件から ということになる。 ここで線路定数G,Lについては無視できるものとすると ということになる。 これをZSに代入すれば ということになる。 Z0とγはそれぞれ複素数なので、これを直交形式に直すと ということになる。 これを使ってZsを書き換えると これは複素数になることは明らかなので、ここから先は読者の課題としよう( ´∀`) |
webadm | 投稿日時: 2012-10-25 7:19 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3094 |
インピーダンス整合 次は線路のインピーダンス整合に関する問題
単位長さ当たりのインダクタンスL,キャパシタンスCの無損失線路を抵抗RLで終端した。送電端インピーダンスが純抵抗となるにはどのような条件が必要か。ただし電源の角周波数をωとする。 というもの。 線路を二端子対回路として考えると以下の関係が成り立つ ここで無損失線路の場合R=G=0として無視できるので これを代入すると ということになる。 従って、Zsが純抵抗になるためには、上の式で虚数部が0とならねばならないことから のいずれかが条件となる。 第一の条件は 受電端を特性インピーダンスで終端することを意味する。 このときの受電端から見たインピーダンスは ということになる。 第二の条件は 線路長がλ/2の整数倍であることを意味する。 この場合、送電端から見たインピーダンスZsは ということになる。 最後の条件は、 線路長がλ/4の奇数倍であることを意味する。 この場合、送電端から見たインピーダンスは ということになる。 著者の解ではlと波長との関係やZsの値についてまでは言及していない。特に題意で求められていないからだが、全ての場合でインピーダンスが同じ値になるわけではないことがわかる。特に最後の条件ではZsが負荷インピーダンスに反比例することがわかる。インピーダンス変換器(負荷が誘導性インピーダンスならZsは容量性インピーダンスに、逆も真なり)になることがわかる。ただしλ/4の奇数倍の線路長を必要とする点に注意。 線路長と波長との関係が重要である。こうした線路を用いることによって高周波回路やアンテナ回路でインピーダンス整合を取ることがよく行われる。 P.S 著者の解を見るまでは第三の条件があるのを見落としていたのは内緒だ。 |
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