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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-9 0:00
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
真空中の電荷分布による静電界演習問題
第一章が終わりだと思ったら、第一章の第一節が終わっただけだった...orz

まだ電磁気学の前座の前座に過ぎないのでここで諦めないようにしよう。

諦めなければいずれチャンスが巡ってくることもあるし、ないこともある。

問題の意味が判らなければ、とりあえず飛ばしてもいいし、判りそうなものから手をつけてもいいし。とにかく一歩を歩むことが重要だ。

といってもここでは、順番に進めることとして、難題にぶつかっても何日もそこにとどまることがあるかもしれない。もしくは何ヶ月も判るまでとどまるかもしれない。

誰かが考えたことなのだからいずれ判ると開き直るしかない。

考え続ける、視点を変える、他のおもちゃをいじる、散歩するとか色々突破口を開く手段はいくらでもある。
webadm
投稿日時: 2014-1-9 0:04
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
一直線上の複数の点電荷
最初の問題は点電荷に関するもの。

一直線上に距離a[m]を隔ててq1,q1,q3[C]の3つの点電荷がある。

(1)それぞれの電荷に働く力を求めよ。
(2)3電荷が平衡にあるためにはq1,q2,q3をどのように選べばよいか。



というもの。

(1)について考えてみよう

・q1にはq2とq3との間でCoulomb力(F12,F13)が働く
・q2にはq1とq3との間でCoulomb力(F12,F23)が働く
・q3にはq1とq2との間でCoulomb力(F13,F23)が働く


Coulombの法則より以下の関係が成り立つ



従ってq1,q2,q3それぞれに働く力は上記の重ね合わせで



ということになる。

電荷q1,q2,q3の単位は[C]で各電荷に働く力F1,F2,F3の単位は[N]である。q1,q2,q3がそれぞれ正電荷とした場合にq1がq2,q3から受ける斥力の方向を正とした。

(2)について考えてみよう

上の結果から、q1,q2,q3が平衡状態になるためには



が成り立つ必要がある。



という自明の解を除いた



の場合を考えると

以下が導かれる



q1とq3は同じ極性で同じ電荷を持つ必要があり、q2はq1,q3と逆極性で1/4の電荷を持つ必要があるということがわかる。

従って



ということになる。

P.S

期末試験の一問目に出て来そうな簡単な問題だけど、危うく間違えるところだったのは内緒だ。q1とq3の間の距離はq1とq2それにq2とq3の距離の二倍だったのをうっかり忘れてしまうところだった。
Coulombの公式は斥力が正としているのを思い出す必要がある。Newtonの引力の法則とは逆である。そうすれば正の単電荷は周囲に正の電位ポテンシャル場を作り、正の電荷を正の電位ポテンシャル場に置けば斥力が働くというのが自然と導かれる。
webadm
投稿日時: 2014-1-12 3:42
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
振り子検電器
次はCoulombの法則のちょっと捻った問題

質量m[kg],電荷Q[C]の小球2個をそれぞれ長さl[m]の絶縁糸で同一点からつるしたとき、糸が角度θだけ傾いたとすれば、次の関係があることを示せ。



図を描いてみると



それぞれの球にはCoulomb斥力と重力による引力が働く。斥力によって振り子が開き、2つの球の距離が広がって斥力が弱まり重力によって2つの球を真ん中に引き戻そうとする力とが振り子の傾きがθで均衡すると考えられる。

厳密にやると面倒なので、図から直感的に以下の関係式をたててみる



従って



という関係が成り立つ。

P.S

これも図から直感的に関係式を導くことが肝心だ。もし図を描かないで関係式を導いて説明しろと言われたら大変面倒なことになる。純粋数学者は図形の助けを借りずに少ない字句で同じことを言明する能力が必要である。それは誰でも容易に身につくものではないからそれが出来ないからといって不安に陥る心配は無用である。

厳密にやろうとすると、重力場に質点を置いた際に働く力と点電荷Qが作り出す静電場に同じ点電荷Qを置いた際に電荷に働く力の重ね合わせの理を記述する必要がある。幸いにしてどちらの力も同じ形式なので憶え易いという救いはある。点電荷と質点は重なっているとするのはよいが、糸でつるされているというのはどう表現すればいいのか判らない。それは読者の課題としよう( ´∀`)

webadm
投稿日時: 2014-1-12 4:10
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:振り子検電器
次も振り子検電器の問題

質量0.5[g]の小球が、それぞれ30[cm]の絶縁糸により同一点よりつるされるとき、小球に等量の電荷を与えたところ、5[cm]だけ開いて静止したとすれば、与えられた電荷はいくらか。

というもの。

問題文に曖昧な点があるが、どうやら前問と同じ2つの小球がクラッカー状につるされた振り子検電器だということが著者の解答例を見てわかった。

前問の結果から小球の電荷を導くと



ここで題意より振り子の振れ角θに関して



という関係が得られる。

真空の誘電率と重力加速度を



とすると



ということになる。

1[C]は1秒間に1Aの電流が流れる際に移動する電荷量だから、上の値はそれに比べて極めて微量であることがわかる。このことからCoulomb力が重力に比べて大きい力だと言われる理由がわかる。

P.S

単位系に注意しないと正しい結果が得られないので注意。質量の単位は[Kg]、長さの単位は[m]としなければならない。問題文では長さは[cm]、質量は[g]といった具合にそのままの数値を式に代入してもだめなように捻ってある。この程度は捻りとは言わないかもしれないが、公式丸暗記受験者避けみたいなものである。

前問もそうだけどこれなども出題者は毎回数値を変えたり、単位を変えたりして、前年度の出題と同じにならないように問題文を変えることができる。つまりいくらでも違う問題を自動生成できるわけである。このおもちゃ箱が終わったらそうやって毎回同じ問題文が出ないように自動生成してくれるWeb学習システムを作ってもいいかもしれない。もしくはiPhoneやAndroidのstand-aloneもしくはサーバーと連携して演習問題を生成するアプリを作って売り出してもいいかもしれない。きっと既にそういうのはあると思うけど。

ところで著者はこの問題に関する図を与えていないが、前問と同じだからということだろうけど、次の問題の図がはみ出してきているので、最初それが題意だと誤解してしまった。問題文には電荷がいくつとか書いてないからね。そしたら以下の様に勝手に解釈して新しい問題を作って解こうとしていたのは内緒だ。



この図を見て先の問題文を読んでも違和感が無い。

ただしこれは更に捻ってしまっている。一つの電荷には他の3つの電荷のCoulomb力が重ね合わさる。一見して面倒なように見えるが実は小球を中心線から離そうとするCoulomb力と中心線に引き戻そうとする引力のベクトルが均衡していると考えれば2つの小球の問題と同型であることに気づいた。また小球の数を無限数まで任意に増やしても同型である。これなど来期に出題されてはどうだろうか。
webadm
投稿日時: 2014-1-12 13:05
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
平面上の複数電荷
次は直線上ではなく平面上に複数の電荷が並べた問題。

下図のような正方形の各頂点にq[C]の電荷がおいてあるとき、その中心にどれほどの電荷をおいたら各電荷はつりあうか。



というもの。

頂点の4つの電荷は皆同じ極性で同じ電荷量qなので互いに斥力で反発しあっている。中心点Oに別の電荷Qを置いて平衡するようにするには電荷Qはいくらでなければならないかということになる。

頂点の電荷が受ける他の頂点の電荷との斥力は3つのベクトルの合成になり、中心点から離れさせるように働くことが判る。

従って中心に置く電荷Qは逆に頂点の電荷を中心に引き戻すような引力が働いて斥力を相殺するように頂点の電荷とは逆極性でなければならないことは予想が付く。

厳密に考えると、中心点には周囲の4つの頂点の電荷によって作られる静電場が重ね合わされて谷間の様な電位ポテンシャルの極大極小点(勾配ベクトルが0となる点)が存在すると予想される。

plot3d(1/sqrt((x-1)^2+(y-1)^2)+1/sqrt((x+1)^2+(y+1)^2)+1/sqrt((x-1)^2+(y+1)^2)+1/sqrt((x
+1)^2+(y-1)^2), [x,-2,2], [y,-2,2], [z,2,5],[gnuplot_preamble,"set contour both;set
cntrparam levels incremental 2,0.1,5"],[grid,100,100])$


すると今度は中心点に逆極性の電荷を置くことで3つの頂点の電荷が作り出す静電場が重ね合わされ、残る一つの頂点の位置に盆地のような電位ポテンシャルの極大極小点が生じるようにすることが出来ると予想される。そうすればその点にどんな点電荷が置かれても勾配ベクトルが0なので何らのCoulomb力も生じないはずであると予想がつく。

plot3d(1/sqrt((x-1)^2+(y-1)^2)-1/sqrt((x)^2+(y)^2)+1/sqrt((x-1)^2+(y+1)^2)+1/sqrt((x
+1)^2+(y-1)^2), [x,-2,2], [y,-2,2], [z,-2,5],[gnuplot_preamble,"set contour both;set
cntrparam levels incremental -2,0.1,5"],[grid,100,100])$


あとは関係を立式してQについて解けばよいことになる。



従って点電荷aに働く対角線上の力Faが0になるためには



ということになる。

P.S

先に予想したように点電荷が作りだす電位勾配が0となる条件から求めることもできる。

点電荷aの位置に点電荷b,c,dと点電荷oが作り出す対角線方向の電位勾配は



従って点電荷aの位置で電位勾配が0となる条件は



ということになる。

これはほぼQ≒-qという関係になる。なので先にプロットしたグラフではQ=-qとしているので確かに点電荷aの位置付近で電位勾配が0になる点があると思われる。

点電荷aでの位置での他の電荷が作りだす電位ポテンシャルを先に計算し、その勾配ベクトルを求めても同じ結果が得られるはずだが、それは読者の課題としよう( ´∀`)

この問題はたまたま対角線を中心に対称なので対角線方向だけ考えればよかったが、非対称の場合はそれ以外の方向で電位勾配が0とならないため同じやり方は通用しない。

webadm
投稿日時: 2014-1-12 21:28
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
電気双極子
次は電気双極子の問題

+q,-q [C]の二つの点電荷が2l[m]の距離においてある。(1) 両電荷を結ぶ直線上、および(2) 両電荷を結ぶ線分の垂直二等分面上で、電荷を結ぶ線分の中点Oからx[m]の距離にある点での電界の強さと方向を求め、xが変化するときの電界の強さの変化を図示せよ。



というもの。

まずは2点電荷を結ぶ直線に接する平面上での電位ポテンシャルを計算してみよう。それが基本だから。



というとになる。

電位スカラーポテンシャルは-qと+qの点電荷に関してそれぞれ点電荷との距離に反比例するのでそれを重ね合わせればよい。式から明らかのように、それぞれの点電荷からの距離の関数の線型合成として表される。

これをMaximaでプロットすると

plot3d(1/sqrt(y^2+(x-1)^2)-1/sqrt(y^2+(x+1)^2),[x,-2,2],[y,-2,2],[z,-5,5],[gnuplot_preamble,"set contour both;set cntrparam
levels incremental -5,0.2,5"],[grid,100,100]);


ということになる。

問題で問われているのは2点電荷を結ぶ直線上での電界であるので、次に直線上の電位ポテンシャルを計算しよう。これは先の電位ポテンシャル関数でy=0と置けばよい。



ということになる。

これもまたMaximaでプロットしてみると

plot2d(1/abs(x-1)-1/abs(x+1),[x,-5,5],[y,-5,5]);


ということになる。

さて直線上の電位ポテンシャルの勾配を眺めると驚愕の事実が発覚する。電界は電位ポテンシャルの高い方から低い方を正の向きとするが、グラフを見ると電位ポテンシャルの高い方から低い方への勾配は2つ存在する。2つの点電荷を結ぶ線分の間は+qから-qへ向けて下り勾配が認められる。その向きを正とすると、2つの点電荷を結ぶ線分の外側の勾配は同じ電位ポテンシャルの高い方から低い方に向いていてもx軸上では逆向きとなる。

どうすんだこれ(´Д`;)

問題はx=-lと+lに特異点があって、そこだけ電位及び電界が不定である点だ。穴が空いていてつながっていないのである。

そこで2点電荷を結ぶ線分の区間と、それ以外とで別に式をたてたほうがよさそうである。

数学で複素関数を学んだ際にはピンとこなかったけど、実数それも一次元空間でこうした特異点があると、そこを超えることができないというのがどうしてもある。複素関数だと、平面になるので、特異点を迂回して飛び越えることが可能である。ここでは複素関数論を持ち出すことはしない。

そうすると2点電荷によって作られる電界は



ということになる。

ここで2点電荷を結ぶ直線上に限定すればy=0だから



ということになる。

これが2点電荷を結ぶ直線上の電界の式である。注意しなければならないのは、先ほど電位ポテンシャルをプロットした時に明らかになった、電位勾配の向きが2点電荷の間と外とでは逆になる点である。



ということになる。

題意で求められているのは、電界の大きさであるから、上の式の絶対値をプロットすればよいことになる。



これをMaximaでプロットすると

plot2d(if abs(x) < 1 then (x^2+1)/(1-x^2)^2 else bs(x)/(x^2-1)^2, [x,-5,5], [y,0,10], [plot_format, gnuplot])$


ということになる。

著者はx<-lのケースでもx>lの場合と同じ式を示しているが、そのまま真に受けてプロットするとx<-lの場合ベクトルの向きは反対になってしまうので、ベクトルの絶対値をとる必要がある点を注意しておく。

最初陥り易いのは|x|<lの式を導いただけで|x|>lのケースもその式でプロットしてしまうもの。絶対値をとると良く似た傾向のグラフが描かれるが、実際より少し強めの電界値でグラフが描かれてしまう点にも注意しておく。

(2)について考えてみよう

本来は3次元空間での電界の式を導いて、2点電荷を結ぶ線分と中点で直交する平面上の電界の大きさをプロットすればいいのだが、('A`)マンドクセ

よく考えると、問題の平面は2点電荷を結ぶ直線に対して軸対称であることに気づく。

なんだそうだったんだ( ´∀`)

ということで2点電荷を結ぶ線分の中点における法線上の電界を導けばいいということになる。



しかし良く考えると、問題の平面は電位0の等電位面なので、平面上では電位勾配は存在しないことになる。その代わり平面に対して法線方向の電位勾配は存在する。

どうすんだこれ(´Д`;)

そうだ(1)で2点電荷を結ぶ直線に接する平面上での電界の式を導いたけど、あれをx=0とすればいいんじゃない?



ということになる。

ここでも求められているのは電界の大きさなので絶対値をとると



ということになる。

これを2点電荷を結ぶ線分の中点を通り線分と直交する直線(y軸)上でプロットすると

plot2d([1/(y^2+1)^(3/2)], [y,-5,5], [plot_format, gnuplot])$


ということになる。

当然ながら2点電荷との距離が最も短いところが最も電位勾配が大きく、距離の3乗に反比例することがわかる。

P.S

理論を頭で憶えていて考えるのと、実際に計算してみた結果が違うのに驚かされる問題だ。結果的には微分とか数学の道具というのがうまく使いこなせていないというのが原因なんだけどね。電位(スカラーポテンシャル)は座標の取り方によらず大きさも極性も不変だけど、電界(勾配ベクトル)は座標系の取り方によって大きさは不変だが向きは変わってきてしまう。まだまだ修行が足らないな。
webadm
投稿日時: 2014-1-13 22:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:電気双極子
次も電気双極子の問題。

電気量+qの2個の点電荷が2lの距離に置かれているとき、両者を結ぶ線分の垂直二等分面上、中点Oからxの距離の点Pでの電界を求め、xによるその変化を図示せよ。



というもの。

これは教科書には書いてないモデル。教科書丸暗記避け問題かな。

例によって2点電荷を結ぶ直線に接する平面の電位ポテンシャルをプロットしてみると



plot3d(1/sqrt((y-1)^2+x^2)+1/sqrt((y+1)^2+x^2),[y,-2,2],x,-2,2],[z,0,5],[grid,100,100],[gnuplot_preamble,"setcontour both;set cntrparam levels incremental 0,0.1,5"]);


ということになる。

monument valleyみたいな景色になったけど、谷間に極大極小点があるように見える。

題意で求められているのは中点Oで2点電荷を結ぶ線分と直交する平面での電界である。

問題の平面は2点電荷を結ぶ直線に対して軸対称なので、中点Oを通り、2点電荷を結ぶ線分に直交する直線上の電界を導けばよいことになる。先の電位ポテンシャルの式にy=0を代入して勾配ベクトルを求めると



これも前問と同様に中点を境にして勾配ベクトルが反転する。どちらも下り坂であると共に、x<0の領域ではxが大きくなるにつれ電位が高くなるので勾配ベクトルは電位の高い方から低い方の向きが正なのでそのままプロットすると逆向きになってしまう。

中点Oを通り2点電荷を結ぶ線分に直交する直線上の電位ポテンシャルをプロットしてみれば明らか

plot2d([2/sqrt(x^2+1)], [x,-5,5], [plot_format, gnuplot])$


したがってこれも問題文には書かれていないが、著者の解答を見る限り、電界の大きさをプロットすればよいように見える。

なので電界の絶対値を取ると



Maximaでプロットすると

plot2d([abs(x)/(1+x^2)^(3/2)], [x,-5,5],[plot_format,gnuplot])$


ということになる。

最初に示した電位ポテンシャルの等電位線図で中点で等電位線がクロスしているポイントがあったが、そこが唯一電界が0となるところであることがわかる。

題意には無いが著者は上のグラフで電界がピークに達する座標を求めている。これは連続関数の極大極小点条件だから、微分して



が成り立つには



ということになる。

P.S

Maxwellの著者には似たような等電位線が描かれた図が多数添付されているが、それを描くのはこの問題を解く程度の知識があれば可能だが、計算機が無かった時代にそれを短時間に行うのは相当の工夫が必要だったと思われる。今ではそうした工夫は必要ないが、今日の恵まれた環境に感謝するしかない。グラフを見ることでだいぶ理解の早道にもなる。
webadm
投稿日時: 2014-1-13 23:45
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
点電荷による電界
次は空間中に複数の点電荷が離散的に置かれている場合の問題

q1,q2,...,qn[C]のn個の点電荷がそれぞれ点P1(x1,y1,z1),P2(x2,y2,z2),...,Pn(xn,yn,zn)にあるとき、(1)点P(x,y,z)での電界と、(2)P点に電荷q[C]をおいたときに作用する力とを求めよ。



というもの。

これはかなり数理的な問題で、直感的に答えが導けるものではない。

1個以上の点電荷が空間に離散的に存在する場合には、それぞれの点電荷が空間中に作り出す電界は幸いにして線型的に重なる。

問題は点Pにおける各点電荷が作る電界を導くには点Pと各点電荷との距離を知らなければならない。

点Pと点P1,P2,...,Pnとの間の距離をr1,r2,..,rnと定義すると



ということになる。

r1,r2,...,rnの距離における各点電荷が作り出す電位ポテンシャルは



従って点Pに置けるq1,q2,...,qnが作り出す電位ポテンシャルはその重ね合わせで



ということになる。

従って点Pにおける電界は



となり各点電荷が作り出す電界の重ね合わせということがわかる。

各点電荷が点Pに関して作り出す電界は



従って点Pに関して点電荷q1,q2,...,qnが作り出す電界とその成分は



ということになる。

これが(1)に関する解答。

上記の電界点に電荷量qの点電荷を置いた場合に働く力とその成分は



ということになる。

ある座標での電界Eが既知であれば、そこに点電荷qを置いた時に受ける力はqEで与えられることを憶えていれば簡単である。それを思い出させる問題でもある。

電界は電位勾配なので、大きさが0でない電位勾配がある点に電荷量が0でない点電荷を置けば勾配と電荷量に比例した(双線型)力が発生し勾配を登り下りさせようとすると解釈することもできる。双線型なので、力を電荷量で微分すれば電界が得られる。電界が存在しない点にどんな電荷量の点電荷を置いてもCoulomb力は生じないし、逆も真なり。

もちろんCoulombの法則を使って各点電荷q1,q2,...,qnとqとの間のCoulomb力を総和するということでも同じ結果が得られるはずである。それは読者の課題としよう( ´∀`)

電磁気学の中で力が議論される機会は限られていて、そう沢山は出てこない。

P.S

電位と電界(電場)の区別が付くまでこの種の演習は繰り替えすべきである。どうにも日本語だとどれも似たような第一印象を与えるのでよろしくない。電位スカラー、電界はベクトルというのも最初頭に入らない。座標を変数として実数値の電位量を返すのが電位関数の式であり、それの一次微分形式(勾配ベクトル)が電界であり、その値はベクトルであり、座標軸に接する単位ベクトル毎に成分が存在する。とかなんとか、いろいろ辻褄が合うように自分で再構成するしかない。電界も電場も元々は同じElectric Fieldが語源だが、異なる分野でそれぞれ訳語が定められたものでどちらも今日までその地位を互いに譲らない。
webadm
投稿日時: 2014-1-14 0:34
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続:点電荷による電界
次は前問の特殊ケースの問題

q1,q,2,q3,q4の電荷がそれぞれP1(x1,y1,z1),P2(x2,y2,z2),P3(x3,y3,z3),P4(x4,y4,z4)にあるとき、q4に採用する電気力はいくらか。

というもの。

これは前問の結果を知っていればP1,P2,P3にあるq1,q2,q3によって作られるP4に置ける電界と電荷量q4の積によって得られることが明らかである。

著者のようにそうやってもよいし、これが期末試験の最初の問題だったら(その可能性は大いにあり得る)、力づくで各電荷との間のCoulomb力を計算して総和するという手もある。

それをやってみると、P4に置かれるq4とP1,P2,P3にあるq1,q2,q3の点電荷との間のCoulomb力は



ということになる。

ところでF41,F42,F43はそれぞれ図でわかる通りに、P4とP1,P2,P3を結ぶ直線上に接したベクトルであるので、最終的にq4に働く力はそれらを合成する必要がある。つまりx,y,z座標軸方向の成分に分解する必要がある。('A`)マンドクセ

そこでP1,P2,P3からP4へ向かう線分r41,r42,r43を考えてみることにする。



ということになる。

すなわち線分r41,r42,r43はそれぞれP4とP1,P2,P3とのx,y,z方向成分に分解出来てそれらは各座標成分の差分となる。これは当たり前で、そもそも座標系の原点OからP1,P2,P3,P4への線分をベクトルとして表した場合、P1,P2,P3からP4との間を結ぶ線分はベクトルP4-P1,P4-P1,P4-P3で表されるからである。

従ってF41,F42,F43がそれぞれP4とP1,P2,P3を結ぶ線分の接ベクトルであったから、それらのx,y,z座標成分は



従ってq4に働く力は成分毎に



ということになる。

これは前問の結果を利用して得た著者の解と一致している。

P.S

Coulombの法則だけで空間中の複数の電荷から受ける力を計算しようとすると大変面倒なことが判る。Coulombの法則で簡単にそれが出来るのは全ての電荷が同じ直線上にある時だけである。つまりCoulombの法則自身は独立に存在するのではなく、Maxwellが定式化した静電界中の電荷が受ける力の関係式から導出される特殊なケース(一次空間のケース)と考えることが出来る。

上記の理由のため、教科書によってはオリジナルのCoulombの式ではなく以下のベクトル形式を示しているものも多い



しかしこれだと確かにn次元空間でのCoulomb力が表されるが、オリジナルのCoulombの式がNewtonの万有引力の式からインスパイアされたものだとは誰も気がつかない。それは重要ではないという考えに基づく。

おそらく最初にMaxwellが臨んだのはこの問題であると思われる。この面倒な問題を解決するにはどうしてもFaradayのアイデアを定式化する必要があった。それが電界であり、その積分曲線がFaradayが考えていた電気流力線のことだということが明白になった。手元の一番古いAbraham本がその後の電磁気学の教科書の流儀の手本になっていると思われ、最初から電界ありきで、



というFaraday-Maxwell理論でのCoulombの法則の定式化がベクトル表記で登場する。少し後でオリジナルのCoulombの法則の式が電界の式が登場する前に一度だけ現れて電界の式に後を譲る形で二度と現れない。



この直後に電界の式が現れCoulombの法則は同じ極性の電荷同士では反発し、異極性では引き合うという結果だけが重要であるとしている。



Coulombの時代には力は直線上に作用するというNewton力学の域を出ることが無かったばかりかその時代で支配的だった遠隔作用論の頸城から解き放たれていなかった。Maxwellによってそれは三次元空間で自在に使えるようになり、近接作用論に書き換えられた。そのため初版のMaxwell本は座標軸毎に式が登場するため大変煩雑なものとなった。もう少し少ない字句で簡明にかつ広い範囲に有効な定式化に変形したのが、ベクトル派のHeavisideやHerzらだった。これによって更に学び易く応用し易くなった。しかし半面誰もMaxwellの原点の頃に立ち戻ることは無くなってしまった。その必然性はもはや無いということなのだろうか。
webadm
投稿日時: 2014-1-14 12:28
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続々:点電荷による電界
次も点電荷による電界の計算問題

電荷-40x10^-3[μC]が原点に、50x10^-3[μC]が点(-6,-12,0)[cm]にあるとき、20x10^-3[μC]の電荷を点(3,4,5)[cm]の位置においたら、どのような力が作用するか。

というもの。

これはもはやいちいち図を描いても徒労に終わる。

数理的に答えを導くべきだ。

問題文を以下のように代数を使って読み替えると

電荷q0が点P0(x0,y0,z0)に、電荷q1が点P1(x1,y2,z3)にあるとき、qの電荷をP(x,y,z)においたらどのような力が作用するか。

ということになる。

座標系の原点からPと,P0,P1の間の線分ベクトルをr,r0,r1とするとPからP1,P0,P2を結ぶ線分の長さは



ということになる。

従って点Pにおけるq0,q1によって作り出される電界は



ということになる。

従って電荷qに働く力は



ということになる。

題意の値を代入すると



ということになる。

著者の解とはFzだけ小数以下の最後の桁が違うが、おそらく円周率πの有効桁数が違っているためだと思われる。こちらはMaximaで計算した( ´∀`)

P.S

この種の計算問題では単位が重要だ。最初そのまま[cm]で値を入力して計算するという誤りを犯したのは内緒だ。それだけでなく距離ベクトルの差を得るのに距離の絶対値をそのまま引き算しようとするミスを犯しそうになった。ベクトルの描く三角形を思い出せばそんな誤りはしないのだが、数式だけ眺めているとつい勘違いしてしまう。電磁気学では暗黙の了解で単位系が決まっているので、それを周知して数値計算に臨む必要がある。あと値を代入するのは代数的に解いて最後にすること、そうしないと数値の意味がなんだったか忘れてしまう。
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