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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2019-7-6 20:50
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2958
バロック期入門:アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖
ふう、ようやくバイエル卒業できたね( ´∀`)

なので予定していた通り、バロック期の鍵盤曲を勉強することにします。

普通は4期の作品をまんべんなく勉強するのが良しとされているけど、子供みたいに時間がいくらでもあるならそれもありだけど、働いている大人の場合にはいろいろ浮気はできません( ´∀`)

バイエルの106曲を勉強して感じたのは、小さな子供でも弾けるような対位法の技法を取り入れた曲とかが多いのは、バイエルの意図として、家庭で親と一緒に正式な教師の下でバロック期の曲を学べるための下準備の意図があったのではないかと勝ってに想像しています。

古典期やロマン派の時代の曲はバロック期の独奏曲と比べ物にならないほど構成が複雑で演奏時間も長くなっているので、小さな子供がみんなそれに取り組めるとは思えません。

バイエルの生きた19世紀ロマン派の時代でも基本はバロック期のクラビア曲だったんじゃないかなと思います。

バロック期に常識的に用いられる装飾音とかもその後の古典派やロマン派の作曲者によって継承され、更に変化していっているので、先にバロック期の基本の装飾音を学ぶことは意義があると思います。

とはいえ、バロック期とその後の時代では音楽の需要が異なっており、バロック期はそれ以前のルネサンス時代の尾を引いているのに対して、古典派の時代では完全に器楽曲が確立してそれだけで音楽公演が成り立つようになったという違いが大きいです。

バロック期はそれ以前の時代の楽器の需要の延長線上で曲が作曲されていたこともあって、以下の特徴を持っています。

・主題は一曲につきひとつが基本(複数の主題を演奏する場合、組曲として別の曲に独立して作曲し続けて演奏)
・テンポは一定で揺らさない(舞踏の伴奏ではビートが変化すると踊れなくなるため)
・デュナミークは当時の鍵盤楽器ではつけられない(チェンバロなどの撥弦楽器では現在のハンマーアクションピアノのような音の強弱をつける仕組みが無い)
・楽譜は自作自演やプロの演奏者向けのため必要な装飾音を除いては詳細な指示は書かれていない(演奏法は演奏者の良識に委ねられていた)
・当時の常識的な演奏法(イネガル奏法)は譜面では常識的に省略されている(演奏者が常識的に判断して演奏する)
・ペダルは当時の鍵盤楽器には存在しなかった(弦楽器独自の響きを最大限に活用するフィンガーペダルやアーティクレーションが代わりに用いられた)

ということなので、バイエルではペダル指示のある曲が無いのも、そのまま正式な教師の下でバロック期のクラビア曲に取り組むことになるからという理由があったのかもしれません。

もちろんペダルを使用しなくていいのは初心者と古楽器奏者だけで、熟練したピアニストの場合にはバロック期の和声的な響きを最大限に聞かせるためにハーフペダルを使用することがあります。

バッハ曲の演奏でピアノのダンパーペダルを使わなかったグレン・グールドも、ウナコルダペダルは適宜使用していたようです。良く効くと息をするように自然で絶妙なデュナミークが用いられているのがわかります。

初心者の場合には当面下記の習得を目指すことになります。

・自然なテンポと拍感覚(ビート)のあるコンスタントな演奏技能
・適切で明確な修飾音とアクセントの演奏技能
・自然で適正なフレージング(繊細なイントネーション)とアーティキュレーション
・フィンガーペダルによる和声的な響きのある演奏技能
・適切なイネガル奏法技能

これらの習得には、楽譜に書かれている情報では限界があり、理想的には既にそれらを習得している教師からかみ砕いた形でひとつひとつ教授されるのがいいのですが、大人の場合には「自分で本読んで勉強してこいバーカバーカ」となるのが普通なので、本読んで独学するしかありません(きっぱり)

幸いな事に現代では需要の多いバロック期入門初級者向けの曲集が多く出版されていて、丁寧な演奏譜や解説、模範演奏CDとかも沢山出版されています。

中にはバロック期の勉強サボってた教師とか向けにレスナー用の虎の巻本も出ているので、大人の初級者はそれが読める利点を活かすことができます。

小さい子供の場合には、本当に教師がかみ砕いて重要なポイントだけ厳選して伝えるしかないのですが、大人の場合は余計なうんちくも含めて自分で学ぶことができます。

さて、今回はとりあえず、世の中で出版されているバロック期入門初級者向けの教材(曲集やCD)がどんだけあるかその一端を紹介することにします。

まず最初に日本国内でアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖と言えば、下記がお勧め。

J.S.バッハ アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集「改訂版」山崎 孝 校訂 井口 秋子 監修 全音楽譜出版社



本書とは別に、校訂者の山崎 孝氏による模範演奏CDが出版されています。

私は下記のダウンロード配信版を携帯音楽プレイヤーに入れて利用しています。



今後はこの教材をベースに研究していく予定です。

それ以外にもどんだけ需要があるんだということを理解するために、他社から出ているアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖の関連曲集も購入してあるのだけ紹介します。


まずは国内で出版されているものから。

バッハ アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集「原典版/改訂版」田村 宏 編集 音楽之友社



模範演奏CDもリリースされています。



こちらは出版年では先に紹介した山崎版より前に出ており、収録されている曲も1722年と1725年の2つの音楽帖からの出典なのに対して、山崎版では1725年のみからの出典である。1722年の方は実際には大バッハが常に旅行の際に携帯したらしく大バッハの直筆譜のみのため、贈呈時に予めバッハが記譜していた部分以外はアンナ・マグダレーナによって切り取られ残っていない、通常は1725年の音楽帖からの出典曲が多い。

実は1725年の方はアンナ・マグダレーナやバッハ家の子供たちや家庭教師が記譜したものがほとんどで、作曲名がほとんど記載されておらず、現在でも多くが作曲者不明のままである。一部近年の研究や調査で作曲者が突き止められたものを除いては、誰の作曲なのかは想像するしかない。

この本は解説こそほとんど無いものの、近代の原典主義に準拠して装飾音の演奏方法を除いては原典譜のままである点が特徴。

山崎版は原典譜と演奏譜を併記しており、最初に演奏譜で学んで後に原典譜だけで演奏できるように配慮されている。

なので大人でもそれなりの知識を実力を持った教師の下で学ばない限りは原典譜と装飾音演奏解説だけで独学するのは無理がある。

一冊の校訂版を独学で読んで自分の演奏解釈をこしらえていいのかという指摘は差し置いて(´∀` )

じゃさ、一人の教師に教わった演奏解釈だけで満足していいのかと逆に問いたい(´∀` )

次に紹介するのは、

アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集 校正・解説:角倉一郎 カワイ出版



こちらは歴史的な解説や2つの音楽帖の構成内容に関して説明が詳しい。それだけでも読む価値がある。

初版の出版が2002年と新しく、それまで長らくバッハ伝とされていた有名な2つのメヌエット(BWM Anh.114 と 115)の作者は近年の研究で確認された、C. ベッツオルトと記載されている。

譜面は原典譜+装飾音奏法譜のみ。

もうひとつは比較的新しい従来の楽譜本とは明らかに違うセンスで編纂されたもの。

レスナーのための指導のポイント バッハ/マグダレーナ&小品集
千蔵 八郎 監修
中津留絵里加 著
株式会社エー・ティー・エヌ



レスナーのための指導のポイントとサブタイトルが示すように、これは生徒向けというより大人の指導者向けの虎の巻。

ページを開くと今風なパソコンやワードやエクセルの解説本「できる・・・シリーズ」みたいに、カラーで要所にコメントが記載されているではありませんか( ゚д゚)




これが教師が生徒に突っ込むポイントというわけね(´∀` )

当然既に新たな書き込みをする余地は残されていないので、生徒は別に原典版のどれかを手にしてそこに指導ポイントをφ(。。)メモメモ…というスタイルかな。

確かどっかでバロック曲を原典譜のままで印刷したノートを出していたところがあったよね、それを買えばそれに自分の解釈を書き込めるわね、後日思い出したら買うことに。

大人の場合は、これを直接読んで独学できるよね。突っ込まれるポイントを予め知ることが出来るし(´∀` )

他の本だと指導的な内容は文章でしか記載されていないので、具体的ではなかったりするよね。たぶんレッスンの現場でないとピンポイントな指導は無理だという前提なのでしょう。

ある意味ピアノ教授法の常識を覆す出版本だよね。

このシリーズは他にたくさんあるぽ。

次は、有名なウイーン原典版で、国内出版社から日本語版が出版されているものを紹介しておきます。

Wiener Urtext Edition(ウイーン原典版)
UT 50150
アンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集
付録:クリスティアン・ベッツオルト≪チェンパロ組曲≫
編集・解説・校訂:種田直之
音楽之友社



ウイーン原典版はクラッシック音楽の楽譜の原典版を各種出版しているので有名ですが、赤い装丁の本としても目立つのでそれとわかります。

他のアンナ・マグダレーナ本と同様に、大バッハの作品が記譜されている場合、既出版に収録されているものと重複混乱を避けるために除外されています。パルティータやフランス組曲がそれに該当します。

他の出版社が同一曲で異なるバージョンが記載されているものついては片方しか掲載しないのに対して、ウィーン原典版はその両方を掲載しています。

こうして世界中で出版されているウイーン原典版の校訂者が日本人であるため特別に日本語版が読めるというのは幸いなことである。

ウイーン原典版だけに、オリジナルのアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖に記載されている内容が忠実に反映されている。

通常は省略される歌曲や歌詞や詩文なども掲載されている。

各曲に関する注解(CRITICAL NOTES)は巻末にまとまって収録されているため、原典譜はオリジナルのままで余計なものは付け加わっていない点が新鮮である。

注解というのは通常の楽譜の演奏法の解説ではなく、原典とその他のオリジナル出版譜や保管資料、研究論文に照らし合わせて相違点を列挙しているだけなので注意が必要である。

ウイーン原典版はとりあえず持っておくべきかな。

もっとオリジナルに近い(直筆譜入り)とかが希望なら、アンナ・マグダレーナ・バッハの生誕300年記念の際にオリジナルの音楽帖を模した復刻版が出版されたので探してみるといいかも。

続いて海外で出版されているアンナ・マグダレーナ本を紹介します。

海外から紀伊国屋書店経由で取り寄せたもの。アマゾンからも運が良ければ買える(値段はレートによって変動するけど)。

バッハ, J. S. : アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア練習帳 1725年版/新バッハ全集版/ベーレンライター社/ピアノ・ソロ 楽譜



協賛しているかは明記されていないものの収録曲は完全に一致しているCDがリリースされています。



クラシック曲の楽譜出版社として有名なベーレンライター版。

ウィーン原典版と収録曲はほぼ同じですが、同一曲で二つのバージョンがあるものについては片方のみ収録している点が異なります。

原典版とうたっているもの以外は、クラッシック曲の楽譜は必ず校訂が入っていてデュナミークや速度記号が記載されている。

この本も運指付きと表紙に明記されている。

表紙に1725とあるのは曲が1725年版の音楽帖からの出典であることを意味している。

またウイーン原典版のように、通常は省略される歌詞や大バッハの通奏低音規則とかも記載されている。オリジナルのアンナ・マグダレーナ・バッハの筆跡と思しきページの写真とかも添付されている。

もうひとつの海外出版社のアンナ・マグダレーナ・バッハ本でアマゾン経由で取り寄せたもの。

バッハ, J. S. : アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア練習帳/ザウアー編/ペータース社



クラシック曲の楽譜出版で有名なペーターズ版。

この本は、明らかに初級者向けの小曲集として需要があるアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖の中から易しい曲を20曲抜粋して収録してある点に特徴がある。

なのでアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖に記載されている、有名なゴルトベルク変奏曲のアリア(BWV 988/1)は含まれていない点に注意。収録曲のほとんどが1ページかそれに近い大きさのものばかり。

それとこの版では作品番号(BWV anh)が一切記載されていないので原典を探そうとする場合に困ると思う。

出版社の意図なのか、この本から易しい曲を選んで練習は他の版を使ってという良いとこどりはできないようになっているのかな。

つまりアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖の中の易しい曲目リストとしてだけ利用されたくない、利用されてたまるか、利用させないぞという出版社の意図が見え見え。

あくまで初級者が必要に迫られてさらうだけの目的を前提としていると思われる。

初級者が練習すべき小曲は全部通過点であって生涯取り組む曲はもっと他にあるべきという考え方があるのも確か。

ペータース版は校訂者の名前が明記されているのが特徴、すべての曲に原典版には無いデュナミーク記号、フレージングスラー、テンポ指示が記載されている。

楽譜が読める一見さんの初級者向けと言った感じ。

C. ベッツオルトの2曲のメヌエットも最初のBWV anh.114のみ。


とりあえずデュナミーク、フレージングの参考用にはあるといいかも。

もうひとつは、厳密にはアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖とは言えないけれども、一部の曲を除いてはすべて出典がそうなのでAmazonで見つけて購入した次第。

シャーマー社ライセンス版 ファースト・レッスン・イン・バッハ コンプリート
ヤマハミュージックメディア



表紙に日本後が記載されていることから解るように本書は、シューまー社からヤマハミュージックメディアがライセンスを受けて日本国内で出版しているもの。

オリジナルはBook I と Book II の分冊があり、それとは別に2冊が合本した Complete 版というのがあり、これは Complete 版の日本語版。

なので解説も日本語訳されていて英語が読めなくても心配は無用(´∀` )

これもペーターズ版同様にそれぞれの曲の掲載目的がはっきり記載されており、C. ベッツオルトの2曲のメヌエットも最初のBWV anh.114のみで、バッハのアリア(BWV 988/1)は当然ながら長いし初級者には無塚しいので載っていない。

まあ、目的が初級者向けのバロック期練習曲ということであればはっきりして良いかも。

ここからはバロック期の入門書の類いで、収録曲にはアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖にしか出典が無いものがあるため、後学のための購入したもの。

本当はヘンデルやスカルラッティの入門者向けの曲が知りたいという目的もあったけど。

こんだけ紹介しただけでも、どんだけ需要があるんだと驚くよね。

お次はAmazonで見つけたバロック期入門本。

はじめてのウィーン原典版(原典版プリモ) 第1巻: バッハ, ヘンデル, スカルラッティ: やさしいピアノ作品と練習のヒント/フランケ編/ウニヴァザール社/ピアノ・ソロ

ヤマハミュージックメディア



この本は海外で出版されているウイーン原典版の初級者向け(はじめてのウイーン原典版)オリジナルを輸入楽譜販売を事業としているヤマハミュージックメディアが国内で再版しているもの。

内容は海外版とまったく同じなんだけどね。輸入しなくても国内から配達されるというだけ。

バロック後期を代表するバッハ、ヘンデル、スカルラッティの同年生まれの三大作曲家の入門曲を集めたもの。

どれも演奏時間が短く、楽譜も1ページ程度なのでバロック期の代表作曲家の入門としては丁度良いよね。

残念ながら日本語版ではないので、巻末にある豊富な解説は独語と英語だけで日本語訳は無し(;´Д`)

まあ、Google翻訳とか使えば独語や英語苦手な人でもなんとかなるかも。

私はどちらも読めるからNp

今気づいたけど、有名な楽譜出版社のヘンレ版は購入してなかった。

なんか理由があったのかな、もう充分だと思ったのかも。

大手楽譜出版社だからいつでも買えるからかな。

一応リンクだけ貼っておくね。

J.S.バッハ: アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア練習帳/原典版(運指なし)/ヘンレ社/ピアノ・ソロ



良くみたら原典版なので運指以外の校訂なしだったのね。んじゃウィーン原典版とかぶるから購入やめたのかも。

原典版同士の比較研究とかは目的にないから。

最後に紹介する一冊は、直接はアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖とは無関係で、取り組むのはその後になると思うけど、買ってあったもの。


ウィーン原典版(41) バッハ 小前奏曲とフゲッタ
音楽之友社



購入した理由というのは、バロック期の装飾音の演奏方法が文章として残っているものが唯一「ヴェルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」にある装飾音表で、出版されているバロック期の小曲集に記載された装飾譜の演奏譜はすべてこれが原典である。

ウィーン原典版の日本語版。

最初「ヴェルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」を手に入れようと思ったものの、見つけることができず。そこから抜粋された曲を含むこの本を代わりに購入した次第。

実際本書の解説を読むと大バッハが寵愛する長男で神童であったヴェルヘルム・フリーデマン・バッハの教育用に特別に御自ら作曲した商品集は散逸した遺稿の集まりを指している模様。

大バッハは大事な長男のためにはやはり他人が作曲した曲ではなく自らが作曲した曲で伝授すべきと考えたのが、その後インベンション、シンフォニア、平均律クラヴィーア曲集(24の前奏曲とフーガ第一巻)に発展するきっかけだったんだよね。

大バッハの性格として子供向けの演奏時間の短い曲でも決して手を抜かず、むしろ本職モードを発動して名曲を作ってしまうというところがさすがだよね(´∀` )

本書に収録されている曲の一部はグレン・グールドも録音を残していて、手元の携帯音楽プレイヤーにはハイレゾにリマスターされたダウンロード配布版が入れてある。

とりあえず大バッハが長男や息子や弟子たちのために書き記した装飾音表の原典を参考用に入手したということ。

今後はこのスレッドで、研究成果を報告する予定。

あと、アンナ・マグダレーナ・バッハについては昔は何も記録が無くあたかも彼女が生前に書き残した日記風のフィクション小節がヒットしてそちらの内容が誠しやかに流布されていた時代がありました。

生誕300周年に向けて調査研究が進み、その成果をまとめた本が出版されています。その日本語訳をアマゾン経由で購入して予め読みました。

アンナ・マグダレーナ・バッハ 資料が語る生涯
マリーア・ヒューブナー (著), 伊藤 はに子 (翻訳)
春秋社



だいぶ真実に迫る証拠や資料の裏付けがあって安心しました。

んじゃまた。
webadm
投稿日時: 2019-7-15 5:06
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登録日: 2004-11-7
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投稿: 2958
バロック期の楽曲の譜読み
4期のどの時代にしても譜読みには細心の注意を払う必要があると考えています。

現代の記譜法に近い時代のものであれば、譜面だけで事足りる場合が多いかもしれませんが、バロック期とそれに続く古典派の時代の曲については現代の楽器とは異なる古楽器が使用されている点もあり、ロマン派時代以降の現代とほぼ変わらない楽器と記譜法の場合とは区別して扱う必要がありそう。

もちろん先に紹介した曲集には奏法解説や装飾音の演奏譜が最低限書かれていますが、それで十分とは誰も思わないでしょう。
普通はちゃんとした教師の下で学ぶのを前提としています。

独学者はそれでは足らないのではないでしょうか?

そんな不安を裏付けるように、バロック時代の楽曲の譜読みに関しては様々な研究が行われ、分厚い本もあったりします。

出版されている全部の本に読むというわけにもいかないので、バロック期の楽曲に取り組むのであれば、これは座右の書とすべきという本が一冊だけありますので紹介します。

「正しい楽譜の読み方 バッファからシューベルトまで
〜ウィーン音楽大学インゴマー・ライナー教授の講義ノート〜」
大島富士子 著 ウィーン文化芸術協会 後援 現代ギター社 出版



2009年初版で比較的近年出版された本で古い人は知らないかも。手元にあるものは2018年第10版とあるのでコンスタントに需要がある本のようです。

ページ数は85ページで厚くはないですが、内容はぎっしり詰まっていて濃く読み応えがあります。

アマゾンのコメント欄で知ったのですが、著者の大島富士子さんは2016年にお亡くなりになっているらしく大変惜しい人を亡くしたことになります。

本書の内容は著者の前書きにもあるように現代ギター社から出版されている「現代ギター」誌上で連載され、話題を呼び日本国内でインゴマー・ライナー教授と共に講演するなどして評価の高い内容を単行本化したもの。



内容は読むとすぐ判りますが、インゴマー・ライナー教授がウィーン音楽大学で教えている講義そのものを著者自身の言葉(日本語)で伝える形になっています。

なので良くある翻訳本のような訳注とかは一切なく、日本語ですべて違和感なく読めるというのはありがたい。

まえがき読むとインゴマー・ライナー教授と著者は同じ頃に共に専攻は異なるものの同じウィーン国立音楽大学で学んだ同志。

著者は数少ないウィーン国家公認日本語法廷通訳者の一人で翻訳はお手の物、まったくお見事です。

こうした方が居られたということを同じ日本人として誇りに思います。

さて時折この本を開いて読み返しながら、譜読みを始めることにします。

一曲の演奏時間が短いものが多いので、それらを複数まとめて同時並行進行することにします。

んじゃまた。
webadm
投稿日時: 2019-8-11 22:52
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登録日: 2004-11-7
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投稿: 2958
BWV anh. 113 F-dur Menuet
1725年のアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖には大バッハ自ら写譜した自身のパルティータから2曲の後に最初にアンナ自身によって写譜された作者不明の Menuet があり、それが BWV anh. 113 と整理番号が付けられている。

さすがに大バッファに12歳の頃にクラヴィーア演奏を習いに師事していたアンナであっても、パルティータは難し過ぎたのかも。その後は初心者向けの曲が写譜されていくことに。

有名なのはその次に写譜されたのが大バッハと親交のあった Christian Petzold のクラブサン組曲からの2曲(BWV Anh. 114, 115)で、これは子供たちにも人気で、その後に記されている曲は作者不詳でも明らかにChristian Petzold の Menuet にあるモティーフが使われており、バッハ家の息子達の誰かの習作と思われる。

さてうんちくが長くなったので、譜読みをしてみた結果をば。

この曲は以前に紹介したアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖本の中でも取り上げられていないものもあり、また難易度順にしている本では、Christian Petzold の曲よりも後になって順番が逆になっているものもある。

易しい順でいくと、Christian Petzold が先で、この曲は少しそれよりも難しいということになる。

実のところ譜面を見た限りでは、2声だし、装飾音が比較的多いという点を除いては、バイエルの途中から併用してもよさそうな気もする曲。

しかし丹念に譜読みをするとバイエルにはなかった以下の4つの難所が見えてくる。

(1) 前打音の演奏解釈
バイエルの生きた時代はロマン派後期で、前打音と言えば短前打音(小音符に斜線が入った記号でそれ以前の時代の前打音と区別される)acciaccaturaで、アクセントはもっぱら主要音につけて、前打音は限りなく短くもしくは、その前の音の音価を食う形で演奏するのが常。

それに対してバロック期の前打音は長前打音で、前打音である非和声音にアクセントがあり、音価も主要音の半分程度の長さで演奏する(場合によっては主要音より長い音価を食う)、appoggiatura で小音符に斜線が入っていないことで区別できる。

まずもってここを間違えると曲が台無しになってしまい、名が伏せられているとは言え作曲者に申し訳ないことになる。

Youtube とかで模範演奏動画を探すと、自前で演奏しているのはまだちゃんとしているけど、酷いのは譜面作成ソフトで自動演奏しているものがあり、問題の前打音が長前打音ではなく短前打音に入力ミスされたままのものがあるという点。まったく噴飯ものである。もしかしたら譜面作成ソフトが短前打音しか入力できないクソだとか?

少なくとも原典版でなくても正統な楽譜出版社から出ているアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖本であれば前打音記号は間違っても近代の短前打音に誤植しているということは無いはず。あってはならいのだ。

バロック期の曲は前打音に要注意ということでひとつ。

(2) 装飾音の演奏解釈
バロック期の曲には頻繁に装飾音が付けられていて、それがバロック(いびつな真珠の意味)という名の由来でもあるけれども、それ故にそれ無くしてはバロックとは言えない。

問題は演奏方法が細かく記譜されていないため、どう演奏するかは解釈によって分かれるところ。
長年の研究成果によって、装飾音の最初の音は主要音の2度上の非和声音となるのがデフォルトで、臨時的にその前の音が既に経過音として同じ音を使っている場合には、主要音から始めるか、2度下の非和声音から始めるというルールがあったぽい。

トリルのような何度も音価が許す限り繰り返しできる場合には、回数は決まっていない。これも奏者の良識に委ねられている。

問題は、装飾音の実際の演奏は、主要音の4分の1か8分の1の音価の繰り返し音型となるため、場合によってはバイエルの時には出てこなかった32分音符や64分音符相当の音型になる点である。

それらを軽やかに自然に違和感なくかつシームレスに演奏するのには相当の熟度が必要であることは想像に難くない。

バロック期のような沢山の装飾音は時代とともに使われなくなっていき、例外的にショパンとかバロック期の作曲家を尊敬して止まない作曲家が近代の演奏法に逆らってまで使い続けたぐらい。

ならば用法が限られたそっちの時代の曲を先にさらえばいいじゃんという安直な考えもあるけど、やっぱり基本はバロック期なので、それをさらってからその後の変遷を追体験するのも悪くないと思う次第。

ただしロマン派時代の曲は初心者向けの曲が皆無だしね。

(3) 上声部とバスのリズムが異なる
BWV Anh.113 を譜読みしていて驚愕の事実が発覚。
最初の部分はいいとして、後半の部分で右手と左手のリズムが異なる部分があるため、片手づつ弾くのは簡単でも両手合わせると弾けないという箇所があることが判明。
どうすんだこれ(´Д`;)
幸いにしてこの曲の場合、8分音符で数えれば8分音符2つが右手の四分音符に対応するので、ゆっくり合わせて練習すれば克服できる感じ。
こういうのはショパンの曲にも良くあるよね。

(4) ノート・イネガル演奏解釈
バロック期の記譜法では、同じ音価の音が続く場合に、記譜上は音価が等しくても、実際の演奏時には必ずしも均等ではなかったというのが近年の研究で明らかになっています。
なので、そうした研究成果に基づいて均等に同じ音価が並んでいる音型についても見直しされて、演奏時の音価を適切に変えるという解釈がされている校訂の版も少なくありません。
しかしそうした解釈にはルールが無いので、校訂者の解釈によってまちまちの結果になります。
とりあえずはわからないので、参考譜の通りに弾くことになりそう。
大抵は記譜されているよりも短い音価になるか、音と音の間をつなげないようにする感じにする校訂が多いぽ。
以前紹介した「正しいクラヴィーア奏法」でもテンポが速くなるにつれ、記譜されているよりもより短くするというのが昔からの暗黙のルールぽい。
レガート奏法というのはバロック時代にはデフォルトではなかったのよね。音が重なってもやんとした響きが好まれたのはロマン派時代になってからだし。それ以前ははっきり粒の良い響きが好まれたというのもあるよね。

ということで、難所が見えたところで、部分練習に入ることに。

難所の多い後半の部を先に取り組んだほうがいいね。特に最後のコーダ部分が聞かせどころでもあるので、念入りに練習する必要があるかも。

2部構成の曲だけど、これはバイエルの最後の106番と一緒だね。なんとなくつながりを感じる。

模範演奏としては、長前打音がちゃんと演奏されていて、難所もクリアしている以下の動画を。楽譜作成ソフトの自動演奏ぽいけど良くできているね。



投稿チャネルの動画一覧を見たら同じ曲でも上の原典版の他に Student edition(演奏譜版)もあって、そっちは指番号がすべての音符に振ってあるし、前打音や装飾音も詳細に記譜されているといもの。今まであちこちの版をとっかひっかえ見ながらああでもないこうでもないと思考錯誤して譜面に指番号を書いていた苦労はなんだったんだ(´Д`;)、いやバロック期だけじゃなく運指は最終的に自分で設計するもんだし、あくまでも参考ね。鵜呑みにしないように。



Bach とあるけど、正確には作曲者不明。

他にもデジタルピアノ生演奏のがあったけど、一部の前打音とか省略したりしていたので残念ながら却下(´Д`;)

あとyoutubeにアップロードされた知られていないCDアルバムとかもあるけど、そっちはいろいろ曲が入っていたりして参考にはなるけど、演奏者の現代的な解釈による演奏なので、自由なテンポルバートはあるは、ため(こぶし)が効いているわで、模範演奏にはお勧めできないもの。

コンピュータの自動演奏音源だけでは申し訳ないので、ハープシコードのプロの演奏をば紹介します。



んじゃ最後の方から部分練習開始しま。
webadm
投稿日時: 2019-8-12 17:25
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 2958
BWV anh. 114 G-dur Menuet
Christian Petzold 作曲のクラヴィーア組曲中のメヌエット2曲の最初の曲がバッハ家で写譜されたもの。

Christian Petzold は大バッハより7歳年上で、作曲家でありオルガン奏者でもある点で大バッファと共通し、おそらくオルガン献納式の際に大バッハが招かれた際に意気投合し、親交が始まったのではないかと想像されます。

Christian Petzold を自宅に招いた際に、妻や子供たちにも弾ける易しい曲として披露した2曲が写譜されたと思われます。しかしChristian Petzold自身は自作品を出版していなかったので、名前は伏せて欲しいとかということになったのかも。

Christian Petzoldの死後は遺品が教会に寄付されて、人目に触れることもなく、20世紀になってからその存在が知られ、最終的に先に有名になっていた BWV anh. 114 と 115 が実はChristian Petzoldの残したクラヴィーア組曲の最後の2曲だったことが判明した次第。

以前紹介したウィーン原典版には最後に付録として Christian Petzold のクラヴィーア組曲全曲が掲載されています(史上初の出版譜)。

さてうんちくはここまで。

とても聞きなれた曲で、普通は聞きなれた曲を弾くのは嫌いなのですが(その曲が大好きではない限り)、この曲は昔から縁あって聞き馴染んでいたこともあって拒否反応はありませんでした。

学校を卒業して就職してちょうど1年間日本各地の工場で実習で回っていた頃に、ルーテル派教会かどっかの提供でラジオの人生相談番組があって、それを毎晩聞いていましたが、そのオープニングとエンディングがこの曲でした。

その番組、人気もあっていろいろ人生相談が舞い込んでいたのですが、最後に現代のソドムとゴモラみたいな性虐待の相談が舞い込んだのを最後に放送が終了してしまいました。あれはやらせだったのか、放送を中止させるための仕組まれた罠だったのかは謎ですが、記憶に残っています。

さてなんの話だったっけ、ああ、譜読みね。

これも2部形式で、前半は足ならし、耳鳴らしみたいな感じですが装飾音であるモルデントが登場します。その点を除けば易しいですが、第二部が本気モードでかなり難しい部分もあります。

Christian Petzoldはオルガン奏者だけあって、冒頭オルガン曲かと思わせるバスの和音から始まります。

和音は最後のカデンツでも登場しますが、終止両手を合わせたオルゲルプンクトが頻繁に使われており、後半の聞かせどころで、25〜26小節目で左手で難しいオルゲルプンクトもしくはフィンガーペダルが使用されるところが肝かも。

これも先の BWV Anh. 113 と同様に、youtube には長前打音を短前打音と誤解して演奏している動画がいかに多いことか。

前打音の演奏は良くても、モルデント全部省略という簡易版演奏も残念ながらお勧めできません。

まがいものが多すぎ注意(´Д`;)

生演奏で模範演奏として挙げるなら、やはり以前にバイエルの時にも紹介した、アイオワ大学のチャネルから、



あと、後学のためにバッハの時代の演奏の再現(ノート・イネガル奏法や繰り返しの際の変奏や装飾音の付加)を試みた真似の出来ないハープシコード演奏をご覧ください。



これも後半の最後から部分練習開始。

webadm
投稿日時: 2019-8-12 18:16
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BWV anh. 115 g-moll Menuet
Christian Petzold のクラヴィーア組曲の中の2つ目のメヌエット。

先のBWV anh. 114 ほど有名ではないのは、短調で物悲しいからかな。

興味深いことに以前紹介した初級者向け(小児向け)のアンナ・マグダレーナ・バッハ音楽帖本に抜粋された曲はどれも長調ばかり。

小児にはどうもバロック曲は評判が悪いらしく(日本でもそうらしい)ので、いやいや仕方なくさらうというのが普通ぽい。
なのでそこに短調とか鬱になりそうな曲想の曲を入れたら致命的だということで外される運命にあるのかも。

でも良い曲だよね。

ト短調として知られるこの曲ですが、どの版の譜面を見ても調音記号はヘ長調で、E/eの音階にはほとんど臨時記号で♭がついていますので、実質的には変ロ長調と同じ、第一小節の和声がGm(GとB♭が短三度)で始まるので、変ロ長調(B-dur)の並行調であるト短調(g-moll)ということになります。

なんでこうなっているかというと、Christian Petzoldの自筆譜もそうだし、それを写譜したアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖も同様になっているだけ。

アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖の楽譜は低音部は現在と同じヘ音記号で書かれていますが、高音部はハ音(ソプラノ)記号を使って書かれており、現在の標準であるト音記号(G clef)とは異なっているため、どの版もト音記号を使った形に書き直されています。

ベーレンライター版は、その経緯を説明すると共に、5線譜の最初にオリジナルの調音記号が以下の様に添え書きされています。



同じ2部構成で、今度は前打音は出てきませんが、トリルが沢山、モルデントが少しな感じ。

もうね、老眼になるとトリル(トリラー)とモルデントの見た目の区別がつかなくてのう(ノД`)シクシク

やっとこさモルデントは真ん中に刺状のものが見える程度で区別できる感じ。

あと、版によっては左手の親指で黒鍵を弾く運指と、弾かない運指に分かれるんだけど、どっちがいいのかな。
昔は後者が普通だった気がするけど、最近は親指も特別扱いではなく、他の指と同様に黒鍵を弾くのが普通なのかも。
確かに親指を使わないと黒鍵でオクターブとか弾けなくなるのは確か。

全般的に両手のオルゲルプンクトが多くて、さすがオルガン演奏の名士の作曲だけあるよね。

youtube とかみると本当にオルガンで演奏している動画がいくつもあったりします。

アマチュアの演奏動画でちゃんとしているが少ない中、以下のチャネルは健闘しています。自分もこれぐらい弾けたら合格にしちゃうかも。



後学のために、ハープシコードでの模範演奏音源を紹介します。



二段鍵盤のハープシコードを使用して、繰り返しの際に上下のレジスタを使い分けて音色を変えているところがみそ。
繰り返しの際には同じように弾くのではなく、あれ?変わったな程度に気づく変奏をするのが良しとされます。

以下のハープシコード演奏音源では、繰り返し部の最初はオリジナル通りで、2回目は装飾音追加、ノート・イネガル奏法を駆使して真似の出来ない変奏を披露しています。



サムネイル画像が、以前紹介したCDのジャケットと同じ。


これも後半が難しいので後半から部分練習開始。
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