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webadm
投稿日時: 2008-5-14 23:17
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
おジャンクなエレクトロメーター
古い武田理研製のエレクトロメーターがやってきた。



故障品ということだが、入力端子のBNC変換コネクタの外側が無くなっている以外は電源も入り損傷はない。以前手に入れたKEITHELAYのピコアンペアソースと錆び具合は同じ程度。

前に姉妹機のピコアンメーターを手にいれようとしたけどできずにいて、今回それよりも機能が多いエレクトロメーターが手に入ってうれしい。



エレクトロメーターはピコアンメーターの機能に加えて、電圧測定、抵抗測定、電荷測定機能を備えている。基本はボルトメーターなのだろう、内部を見てみると、抵抗ネットワーク回路の後ろにハイインピーダンス増幅回路が空中配線でつながっている。



基板上の四角い部品は良く見ると、基板シルク印刷で+F,-F,G1,G2,Pとか書いてあるので真空管であることが判明した。基本は真空管電圧計だった。真空管が使われているのはここだけで、それ以降は古いトランジスタばかり。



製造年月日を見ると1968年とか69とかいう数字が見えるので1969年製造だろう。今から40年前である。だとするとまだFETとかが登場する前だから真空管が使われていてもおかしくはない。

早速簡単なチェックをしてみると、入力端子がハイインピーダンスなので入力端子をオープンにすると0にならずにマイナスやプラスに大きく触れてしまう。一端入力端子をグランドに短絡してやるとそれ以降は0付近で落ち着く。

電池の電圧を計測してみると多少ずれてはいるものの2.66Vのところが若干高めな2.7xV程度を示している。入力端子もハイインピーダンスなので1uFのフィルムコンデンサを電池に並列に接続した後、電池を取り外しても電圧は同じ値を示し続ける。

抵抗測定機能はまったく針が振れないので完全に故障しているようだ。

次ぎに電流測定をチェックするためにHP3456A内部の抵抗測定用のカレントソースを利用する。1mA,100uA,50uA,5uA,500nAの5種類の微少電流を流すことができる。測定してみると、1mAはちょっと少なめ、100uA以下はなるべくx1倍率で測定するレンジを使う分には合っている。高い電流のレンジや倍率を桁違いにするとかなりずれが出てしまう。1mAはどうやっても0.7mAとかしか示さない。それと倍率がどうもダイアルに書かれている通りではない。



電源回路は+21.5Vと-8.5Vの2電源で、その他に真空管用の高電圧電源がある程度。電源回路は当時良く使われていた整流用シリコンダイオード(SD-1)で整流しホーロー抵抗と電解コンデンサで平滑する程度のもの。トランジスタ回路用の電源はパワートランジスタ1個で降圧しているだけで定電圧回路ではない。本来出力電圧が何ボルトなのかは謎。



余裕が出来たら抵抗測定機能の修理と測定誤差の原因調査をしてみよう。

P.S

メーター出力安定化電源回路基板を取り出してみたら、そちらに定電圧ダイオードが複数使用されていた。9V用ので-9Vを、他9V,6V x 2とかで21Vを定電圧化していると思われる。電源関係のトランジスタを除くと実質真空管2本に、トランジスタ4石というかなり規模が小さい回路。ただ抵抗ネットワークがすごいのでこれだけの大きさになってしまう。余裕があったら回路を研究してみたい。



40年前の一般に手に入る電解コンデンサはみんなこんなぐらいの大きさだった。1000uF以上の電解コンデンサは滅多に見かけなかったしコンピューター用電源とか特別な用途にしか使われることはなかった。

P.S

後で良くみたら、取り出した基板は信号出力用ではなく安定化電源回路だった。この装置の電源回路はの配線はシールド線を使って配線されている。電源にノイズが乗るのを極力嫌っているか、筐体側に近い配線がそうなっているので、入力端子をフロートにした場合に筐体を通して誘導ノイズが入力に入り込むのを減らしているのかもしれない。
webadm
投稿日時: 2008-5-16 13:57
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
ロータリースイッチの接触不良
アンメーター時に一部のレンジがスケール内の電流でもオーバースケールしてしまう原因が判明した。

レンジ切り替えのロータリースイッチの接触不良で、入力端子に接続されるはずの電流測定用抵抗がつながらずオープンになってしまっていたのが原因だった。

本日ピコアンペアソースを使って再度確認したら、前回は問題なかった10uAのレンジが振り切れてしまうようになって、接触不良が原因であることを見つけた。

入力端子間の抵抗値をテスターで計測しながら問題のレンジを選択してロータリースイッチの接点の部分を上から少し押さえると接触不良が改善されて電流測定用抵抗値が表示される。



アンメーター時には選択されたレンジのフルスケール値の電流が流れれば入力端子間に1Vの電圧降下が生じるように電流測定用抵抗値が定められている。最も大きなレンジの10^1A(0.1A)では10Ωが、最も小さなレンジの10^-11A(10pA)では100GΩが使われる。

倍率のローターリースイッチも同様に一部接触不良を起こしている可能性が高い。倍率は入力バッファの増幅率を設定していると思われるが10よりも大きい増幅率の設定ではどうもその通りの増幅率が出ていない。使用されている抵抗器はみたところ正確に合っているので問題ないがスイッチの接点部は長期間使用されずに放置されると絶縁体となる酸化膜が接点表面に出来てしまってまったくコンタクトしないということになってしまう。

最大100GΩとか尋常ではない高インピーダンス回路になるので、簡単に洗浄というわけにはいかない。接点だけ磨く工夫が必要だ。

抵抗測定モードの故障原因はやはり接触不良なのかどうかは不明。ただ電圧測定モードとにたように電圧をかけると針が振れるので、接触不良かカレントソースが故障しているかどっちかだ。

基本の電圧測定動作は倍率設定の問題を除いてはまだ精度を保っている。電圧測定動作ではレンジ選択はなく倍率設定ロータリースイッチでフルスケールの電圧を選択している。最大100Vから30v,10V,1V,300mV,100mV,30mv,10mV,3mV,1mVの9レンジが選択できる。

測定モードやレンジ、倍率を切り替えるとオフセットが変化する傾向があり、その都度ゼロチェックをしてオフセット補正を調整しないといけないのが難点。昔の人はみんなそうしてきたのだろう。

電圧測定は大変高インピーダンスなので入力端子をオープンにするとゼロチェックを使うか入力端子をショートしないとゼロ点がずれていないかどうかを知る手段が無い。

クーロン測定モードでは、10^-7〜10^-10クーロンの4つのレンジがあって、それぞれ被測定対象物に並列に測定用フィルムコンデンサが接続される仕組みになっている。これによって被測定対象物の電荷の一部がコンデンサに移動した後の電圧を測定する。10^-7Cでは100pF、10^-8Cでは1000pF,10^-9Cでは0.01uF、10^-10Cでは0.1uFが接続される。フルスケールの1Vの電圧でコンデンサにはレンジで選択されたクーロンだけの電荷が蓄えられていることを示す。あくまで移動した電荷の量を計測するのであって、移動元の電荷を測るわけではない。

webadm
投稿日時: 2008-5-17 0:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
Re: ロータリースイッチの接触不良
綿棒に洗浄液をしみこませて汚れたロータリースイッチの接点部を擦ると意外にも綺麗に長年の錆びというか酸化物が取れて鏡面のようになった。

これで接触不良は無くなったろうとチェックしてみたら何も状況は変わっていない。

何故だということで、テスターで接触不良を起こしているレンジ固定接点と可動接点との間の導通をチェックしてみた。

そこは導通している。しかし全体としてはやはり導通していない。

良くみると可動接点が乗っている円盤上のダイヤフラムの反対側に別の円環上の接点があり、そこにロータリースイッチ外側の端子へ導く固定接点が押さえつけるように接触している。ダイヤフラムの裏と表の間の導通が無いことが判明。

セラミック製のダイヤフラムの裏と表をつないでいる箇所が怪しいと思って調べてみると、なんと円環と可動ブラシはハンダ付けで固定されていてそこが見事にクラックが発生している。



2カ所ハンダ付けされている部分が両方ともクラックが発生しちょうどその場所の180度反対側が固定ブラシ接点で押さえつけられると浮き上がる格好で完全にオープンになってしまう。かろうじて導通するのはこのハンダ付け部分が固定ブラシで押さえつけられた時だからという理由だった。

なんだハンダクラックだったのか。こいう応力のかかる部分をハンダ付けだけで固定するのはどう見ても設計ミスだろう。

いろいろ勉強になる。

さてハンダ付けをし直さないといけないけど、ロータリースイッチを分解しないと難しそうだ。
webadm
投稿日時: 2008-5-17 0:41
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
全測定モードが復活
とりあえず応急的にクラック箇所をハンダコテで溶かして補修したところ導通は回復した模様。

これまでダメだった10^-6A以下のレンジもピコアンペアソースをつないで測定すると多少誤差はあるものの全レンジそれなりの値を示すようになった。

それとまったくダメだった抵抗測定モードも復活し、20MΩとそれを2個直列にしたもの、100KΩとかを試してみると誤差はあるもののだいたい指示値はあっていて抵抗値に比例している。GΩクラスの抵抗は持ち合わせていないので確かめようが無いがおそらく大丈夫だと思われる。これで漏洩抵抗とかの測定が可能に。

絶縁抵抗計(メガー)とちがって測定時に被測定対象に加える電圧は一番抵抗値の小さいレンジ10^5で10V、レンジが1桁あがる毎に1/10になるので1MΩ以上を測定する際には印可される電圧が小さく素子を壊す心配は無い。手持ちのフルークのテスターのDCV測定モードの入力抵抗を10^8(100MΩ)レンジで測定すると10MΩを示し、フルーク側では0.151Vが表示されていた。

よかった復活したよママン(ノ∀`)

あとは倍率の問題が残っている。
webadm
投稿日時: 2008-5-17 6:00
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
HP3456Aの入力抵抗を測定
抵抗測定機能が復活したので、昨日フルークのテスターの入力抵抗を測定したのに続いてHP3456Aの入力抵抗を測定してみた。

HP3456Aの0.1, 1V, 10V DCVレンジでの公称入力抵抗は10GΩより大となっているが実際どうなのかは測定する手段が無かったのでわからなかった。

TR8651の100GΩレンジで測定すると、コンデンサのような感じで段々と抵抗値が上昇していき10Gを超えて20Gでだいたい変化が緩やかになって30GΩ近辺で落ち着く。



ということで仕様通りに10GΩより大きく、実測30GΩあることが確かめられた。


webadm
投稿日時: 2008-5-17 7:15
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
CURRENT COMPENSATOR
TR8651にはセルフキャリブレーション用にカレントソースが内蔵されている。CURRENT COMPENSATORというのがそれで、フロントパネルのCURRENT COMPをONにするとカレントソースの電流を測定する。

カレントソースは10^-5〜10^-11Aまで9レンジあり、特別なピコアンペアソースが無くてもアンメーターの動作をテストできる。

実際に使ってみると、外付けのピコアンペアソースでテストしたのと同様の結果が得られた。nAぐらいからオフセットがあるためfineチューニングで補正してやる必要があったがだいたいOKだった。

実際に外部の装置と接続してnAやpAクラスの電流を測ろうとすると、わずかな電磁誘導とかの影響をうけて針が踊りまくってしまう。

こうした微少電流を計測する場合には、目に見えない電磁気的な影響を防ぐ対策を施す必要がある。
webadm
投稿日時: 2008-5-17 10:47
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
倍率、リア出力その他
倍率がダイヤル設定とずれているように見えたが、増幅率が高くなるにつれてかなり外部の静電誘導の影響を受けていることが判明。

ケースに入れて再度チェックしてみたところ、それほど悪くないことが判明。

一番増幅率が高くなる0.003と0.001に関しては半固定抵抗器で微調整することができるが、それ以外は固定抵抗で固定されているので調整要素は見あたらない。全然ずれているというわけではないのでこれはこれで現状のままとする。基本は壊れていなければいじらない方針で。

背面パネルには2組のバナナ端子があり、ひとつはOUTPUTと書かれもうひとつはRECORDER OUTPUTと書かれている。

おそらくOUTPUTは入力端子をバッファを介してそのまま出力していると思われる。実際に電圧を測定してみると入力端子間の電圧がそのまま出ている。

RECORDER OUTPUTはペンレコーダーとかをつないで記録するものだろう。フルスケールが1Vと10mVのどちらかを選択できるスイッチがとなりについている。チェックしてみると1Vフルスケールはフロントパネルのメーターの指示値より5%ほど大きめの電圧が出る。10mVはぴったり文句なし。

このメーターの精度は仕様上どの程度だろう。古い真空管電圧計は良くても1%だった。このメーターは真空管とトランジスタのハイブリッドなのでそれと同等かそれよりましかもしれない。

とりあえずRECORDER OUTPUTはそういうことだとデータだけ取ってお終いにしよう。

余裕が出来たら内部の回路を解析してRECORDER OUTPUTの1Vフルスケール時の誤差を調整できないか調べてみたい。

少しフロントパネルを中性洗剤の薄水溶液を付けたペーパーで拭いてみたらかなり綺麗にピカピカになった。このメーターが購入した会社に届けられた時の輝きを取り戻したような感じだ。

入力端子は良く見ると基本はN型コネクタのように見える。それに元はN-BNC変換器だったと思われるものの外枠だけが無くなってしまっている。これもN-BNC変換器を取り替えれば同軸ケーブルとか、デテクタ(検波器)プローブとかをつなげて応用範囲が広がるかもしれない。

良いものを手に入れた気分。
webadm
投稿日時: 2008-5-17 11:26
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
TR8651の入力抵抗
検索したら出てきた。

10^14Ω(100TΩ)より大きいらしい。

ちなみに武田理研はこれの後継機種のTR8652と現行機種のTR8252の3種類のエレクトロメーターを出している。

TR8652は真空管はは使っていないのでちょっと入力抵抗が一桁落ちるが現行機種では10^14Ωに戻っている。エレクトロメーター級のOPアンプ、OPA128なんかが使われているのかもしれない。

エレクトロメーターというのはいわゆる検電器のことで、電荷を測るもので、真空管の登場で電子化されていろいろな用途に使われている。

微少電流を扱う半導体の評価や試験にも使われるし、科学や物理の実験装置にも使われる。

かなり現在でも重要な測定器のひとつではある。

いつかこれを利用して半導体の特性とかを測定してみたい。
webadm
投稿日時: 2008-5-19 5:51
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3093
TR8651の入力端子
入手してから気になっていた入力端子の状態。



根本の端子もそれにつながっているBNC変換コネクタのどちらも同じぐらい熟成して良い色を出している。

BNC変換コネクタはどうみても一般のN-BNC変換の外側を取り除いたような格好である。市販されているN-BNC変換コネクタと並べてみると一目瞭然。



どうやって外側だけを外したかしらないけど、苦肉の策だったにちがいない。というのもTR8651の入力端子が良くみるとN型コネクタではなく特殊な二重シールド構造をしているためである。



はじめはN-BNC変換コネクタをつないだままそこにBNCワニ口クリップケーブルをつなげて使っていたのだがシールドが宙に浮いたままよりもGNDに落としたほうが良いだろうと根本の端子の外側につないでみると針が振り切れてオーバーロードしてしまう。これはGNDではないのか?

そのままシールドを宙ぶらりんにしていてもノイズが乗るとかはなさそう。

見ての通り、N側コネクタではシールドになっている中間の輪が実は中心や外側とも独立していて、電圧を測定してみると微弱なバイアス電圧がかかっている。

つまりこれは、微弱電流測定時の誘導ノイズや暗電流をキャンセルするためのフィードバックバイアスがかかっているということなのだろう。

確かに現行のエレクトロメーターの入力端子を見ると、どれもTRIAXケーブルという特殊な二重シールド構造のものを使用している。ケーブルのしっぽには3つのワニ口クリップがついている。

なるほどこんなところに肝心要なノウハウがあったのね。

40年前にはTRIAXなんて規格は定まっていなかったからこういう特注設計のコネクタやケーブルを使用せざるを得なくて、早々無くしてしまうともう作ってないとかで苦肉の先でN-BNCコネクタの中身だけをつないで使っていたというのが隠された真相かもしれない。

たぶんTRIAXコネクタが入手できれば、それに交換すればいいのかもしれないが、一般には入手困難なので当面はこのままにしよう。
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