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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2008-11-21 10:20
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
多相交流演習
いよいよ演習問題が山ほど待っている。

見ると既に理論を学ぶ時にやってしまった証明問題や公式の導出問題があるが、それは割愛する予定。

さっさと片付けて最後の章に進みたい。
webadm
投稿日時: 2008-11-21 10:38
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【1】対称三相交流起電力の瞬時値の和
これも自明だけど、対称三相交流起電力の瞬時値の和が0になることを示せというもの。

面倒なので一般的な対称n相交流起電力のケースについて考えてみよう

e1=Em*sin(ωt)
e2=Em*sin(ωt-2π/n)
...
ek=Em*sin(ωt-(k-1)*2π/n)
...
en=Em*sin(ωt-(n-1)*2π/n)

従ってその総和は

e=e1+e2+...+en
=ΣEm*sin(ωt-(k-1)*2π/n) (k=1,n)
=Em*Σsin(ωt-(k-1)*2π/n)
=Em*Σ(sin(ωt)*cos((k-1)*2π/n)-cos(ωt)*sin((k-1)*2π/n))
=Em*sin(ωt)*Σcos((k-1)*2π/n)

ここでn>1の場合

Σcos((k-1)*2π/n)=0

なのでn=3の対称三相交流起電力の総和は

e=0

であることが証明される。

n=1の単相の場合には当然ながら

e=Em*sin(ωt)=e1

ということになる。

webadm
投稿日時: 2008-11-21 11:11
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【2】対称三相電圧であることの証明
次ぎも対称三相交流の問題。

以下の3つの電圧が対称三相交流電圧であることを証明せよというもの。

Ea=50√3+j50 [V]
Eb=-j100 [V]
Ec=-50√3+j50 [V]

対称三相交流の場合にはその対称座標成分を求めれば零相成分は0に正相もしくは逆相成分どちらかが基準相と等しくなり他方は0となるはずである。

対称座標成分E0,E1,E2は

([E0],[E1],[E2])=(1/3)([1,1,1],[1,a,a^2],[1,a^2,a]).([Ea],[Eb],[Ec])

すなわち

E0=(Ea+Eb+Ec)/3
=(50√3+j50-j100-50√3+j50)/3
=0

E1=(Ea+a*Eb+a^2*Ec)/3
=(50√3+j50+(-1/2+j√3/2)*(-j100)+(-1/2+j√3/2)^2*(-50√3+j50))/3
=(50√3+j50+50√3+j50+(-1/2+j√3/2)*(25√3-25√3-j25-j25*3))/3
=(100√3+j100+(-1/2+j√3/2)*(-j100))/3
=(100√3+j100+50√3+j50)/3
=(150√3+j150)/3
=50√3+j50

E2=(Ea+a^2*Eb+a*Ec)/3
=(50√3+j50+(-1/2+j√3/2)^2*(-j100)+(-1/2+j√3/2)*(-50√3+j50))/3
=(50√3+j50+(-1/2+j√3/2)*(50√3+j50)+25√3+25√3-j25-25*3)/3
=(50√3+j50-25√3-25√3+j25*3-j25+50√3-j100)/3
=0

従って

E1=0
E2=50√3+j50=Ea
E3=0

零相成分と逆相成分が0で正相成分が基準相と同じであることからこれらは対称三相交流電圧であることが証明された。
webadm
投稿日時: 2008-11-21 11:42
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【3】線電流と相電流
次ぎの問題はΔ結線の三相交流負荷に流れる相電流から線電流を求める問題。



これは特に考える必要もなく節a,b,cに関するキルヒホッフの電流則から

Ia=Iab-Ica
Ib=Ibc-Iab
Ic=Ica-Ibc

という関係が成り立つので

Iab=-200 [A]
Ibc=100+j100√3 [A]
Ica=100-j100√3 [A]

を代入すると

Ia=-200-(100-j100√3)
=-300+j100√3 [A]

Ib=100+j100√3-(-200)
=300+j100√3 [A]

Ic=100-j100√3-(100+j100√3)
=-j200√3 [A]

ということになる。

ちなみにこれらを非対称三相交流電流として対称座標変換すると

(%i11) (1/3)*matrix([1,1,1],[1,a,a^2],[1,a^2,a]).matrix([-300+%i*100*sqrt(3),300+%i*100*sqrt(3),
-%i*200*sqrt(3)]);
(%o11) matrix([0],[(-200*sqrt(3)*%i*a^2+(100*sqrt(3)*%i+300)*a+100*sqrt(3)*%i-300)/3],[((100*sqrt(3)*%i+300)*a^2-200*sqrt(3)*%i*a+100*sqrt(3)*%i-300)/3])
(%i14) subst(-1/2+%i*sqrt(3)/2, a, matrix([0],[(-200*sqrt(3)*%i*a^2+(100*sqrt(3)*%i+300)*a
+100*sqrt(3)*%i-300)/3],[((100*sqrt(3)*%i+300)*a^2-200*sqrt(3)*%i*a+100*sqrt(3)*%i
-300)/3]));
(%o14) matrix([0],[(((sqrt(3)*%i)/2-1/2)*(100*sqrt(3)*%i+300)-200*sqrt(3)*%i*((sqrt(3)*%i)/2-1/2)^2+100*sqrt(3)*%i-300)/3],[(((sqrt(3)*%i)/2-1/2)^2*(100*sqrt(3)*%i+300)-200*sqrt(3)*%i*((sqrt(3)*%i)/2-1/2)+100*sqrt(3)*%i-300)/3])
(%i15) factor(%);
(%o15) matrix([0],[100*(sqrt(3)*%i-3)],[0])

従って

I0=0
I1=-300+j100√3=Ia
I2=0

ということになり、零相電流と逆相電流が共に0で正相電流がIaと等しいので対称三相交流電流であることがわかる。
webadm
投稿日時: 2008-11-22 15:26
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【4】三相回路の各相の等価インピーダンス
次ぎの問題は以下のような回路の各相の等価インピーダンスを求めよというもの。



対称Y結線の負荷と対称Δ結線の負荷が並列接続されていると捉えることができる。



解き方としてはいくつかあるが、著者のやり方と同じ方法ではつまらないのでへそ曲がりな方法でやってみよう。

三相線の電圧をVa,Vb,Vcとし、Y結線の中点の電圧をVoとした場合、Y結線回路において以下の関係が成り立つ

Va-Vo=(R+jωL)*Iao
Vb-Vo=(R+jωL)*Ibo
Vc-Vo=(R+jωL)*Ico

両辺を(R+jωL)で割ると

Iao=(Va-Vo)/(R+jωL)
Ibo=(Va-Vo)/(R+jωL)
Ico=(Va-Vo)/(R+jωL)

一方中点におけるキルヒホッフの電流則より

Iao+Ibo+Ico=(Va-Vo)/(R+jωL)+(Vb-Vo)/(R+jωL)+(Vc-Vo)/(R+jωl)
=(Va+Vb+Vc)/(R+jωL)-3*Vo/(R+jωL)
=0

Voについて解くと

Vo=(Va+Vb+Vc)/3

これを元の関係式に代入すると

Iao=(Va-(Va+Vb+Vc)/3)/(R+jωL)
Ibo=(Va-(Va+Vb+Vc)/3)/(R+jωL)
Ico=(Va-(Va+Vb+Vc)/3)/(R+jωL)

マトリックスで表すと

([Iao],[Ibo],[Ico])=(1/(R+jωL))*(([1,0,0],[0,1,0],[0,0,1])-([1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3])).([Va],[Vb],[Vc])
=(1/(R+jωL))*([2/3,-1/3,-1/3],[-1/3,2/3,-1/3],[-1/3,-1/3,2/3]).([Va],[Vb],[Vc])
=([2/(3*(R+jωL)),-1/(3*(R+jωL)),-1/(3*(R+jωL))],[-1/(3*(R+jωL)),2/(3*(R+jωL)),-1/(3*(R+jωL))],[-1/(3*(R+jωL)),-1/(3*(R+jωL)),2/(3*(R+jωL))]).([Va],[Vb],[Vc])

ここで

Y1=1/(3*(R+jωL))

と置くと

([Iao],[Ibo],[Ico])=([2Y1,-Y1,-Y1],[-Y1,2Y1,-Y1],[-Y1,-Y1,2Y1]).([Va],[Vb],[Vc])

ということになる。

一方Δ結線についても

Ia'=Iab-Ica
Ib'=Ibc-Iab
Ic'=Ica-Ibc

マトリックスで表すと

([Ia'],[Ib'],[Ic'])=([Iab-Ica],[Ibc-Iab],[Ica-Ibc])
=([1,0,-1],[0,1,-1],[0,-1,1]).([Iab],[Ibc],[Ica])

また

Iab=(Va-Vb)*jωC
Ibc=(Vb-Vc)*jωC
Ica=(Vc-Va)*jωC

なので

マトリックスで表すと

([Iab],[Ibc],[Ica])=([jωC,0,0],[0,jωC,0],[0,0,jωC]).([Va-Vb],[Vb-Vc],[Vc-Va])
=([jωC,0,0],[0,jωC,0],[0,0,jωC]).([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1]).([Va],[Vb],[Vc])

これを前の式に代入すると

([Ia'],[Ib'],[Ic'])=([1,0,-1],[0,1,-1],[0,-1,1]).([Iab],[Ibc],[Ica])
=([1,0,-1],[0,1,-1],[0,-1,1]).([jωC,0,0],[0,jωC,0],[0,0,jωC]).([1,-1,0],[0,1,-1],[-1,0,1]).([Va],[Vb],[Vc])
=([2jωC,-jωC,-jωC],[-jωC,2jωC,-jωC],[-jωC,-jωC,2jωC]).([Va],[Vb],[Vc])

ここで

Y2=jωC

と置くと

([Ia'],[Ib'],[Ic'])=([2Y2,-Y2,-Y2],[-Y2,2Y2,-Y2],[-Y2,-Y2,2Y2]).([Va],[Vb],[Vc])

従って全体を流れる電流Ia,Ib,Icと線電圧Va,Vb,Vcの関係は

([Ia],[Ib],[Ic])=([Iao],[Ibo],[Ico])+([Ia'],[Ib'],[Ic'])
=([2Y1,-Y1,-Y1],[-Y1,2Y1,-Y1],[-Y1,-Y1,2Y1]).([Va],[Vb],[Vc])+([2Y2,-Y2,-Y2],[-Y2,2Y2,-Y2],[-Y2,-Y2,2Y2]).([Va],[Vb],[Vc])
=(([2Y1,-Y1,-Y1],[-Y1,2Y1,-Y1],[-Y1,-Y1,2Y1])+([2Y2,-Y2,-Y2],[-Y2,2Y2,-Y2],[-Y2,-Y2,2Y2])).([Va],[Vb],[Vc])
=([2Y1+2Y2,-Y1-Y2,-Y1-Y2],[-Y1-Y2,2Y1+2Y2,-Y1-Y2],[-Y1-Y2,-Y1-Y2,2Y1+2Y2]).([Va],[Vb],[Vc])

ここで

Y/3=Y1+Y2

と置くと上の式は

([Ia],[Ib],[Ic])=([2Y/3,-Y/3,-Y/3],[-Y/3,2Y/3,-Y/3],[-Y/3,-Y/3,2Y/3]).([Va],[Vb],[Vc])

ということになる。

これはY/3なるアドミッタンスが対称にΔ結線された回路と等価であることを意味する。

これを等価なY接続結線回路に置き換えると

([Ia],[Ib],[Ic])=([Y,0,0],[0,Y,0],[0,0,Y]).(([1,0,0],[0,1,0],[0,0,1])-([1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3])).([Va],[Vb],[Vc])
=([Y,0,0],[0,Y,0],[0,0,Y]).(([Va],[Vb],[Vc])-([(Va+Vb+Vc)/3],[(Va+Vb+Vc)/3],[(Va+Vb+Vc)/3]))
=([Y,0,0],[0,Y,0],[0,0,Y]).([Va-Vo],[Vb-Vo],[Vc-Vo])

従ってアドミッタンスYが対称にY接続されているのと等価である。

各相の等価インピーダンスZはアドミッタンスYの逆数なので

Z=1/Y=1/(3*(Y1+Y2))
=1/(3*(1/(3*(R+jωL))+jωC))
=1/((1/(R+jωL)+3jωC)
=(R+jωL)/(1+3jωC*(R+jωL))
=(R+jωL)/(1-3ω^2CL+3jωCR)

ということになる。

P.S

更にへそ曲がりな解法としては対称座標法を用いる方法がある。それは読者の課題としよう。
webadm
投稿日時: 2008-11-23 4:34
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【5】V結線
三相起電力のΔ結線からひとつの相を省いたV結線がΔ結線と同じ相間電圧を生成することを示せというもの。



著者の解答だとなんだか狐につままれたような感じがしてならないので、納得の行くように自分で考えてみよう。

ab間の起電力をEab、bc間の起電力をEbcとするとそれぞれ対称三相交流の二相なので瞬時値を以下のように表すことができる

Eab=Em*sin(ωt)
Ebc=Em*sin(ωt-2π/3)

ここでca間の電圧Ecaは

Eca=-Eab-Ebc
=-Em*sin(ωt)-Em*sin(ωt-2π/3)
=-Em*(sin(ωt)+sin(ωt-2π/3))
=-Em*(sin(ωt)+sin(ωt)*cos(2π/3)-cos(ωt)*sin(2π/3))
=-Em*(sin(ωt)*(1-1/2)-cos(ωt)*(√3/2))
=-Em*(sin(ωt)*(1/2)-cos(ωt)*(√3/2))
=Em*((√3/2)*cos(ωt)+(-1/2)*sin(ωt))
=Em*(sin(-4π/3)*cos(ωt)+cos(-4π/3)*sin(ωt))
=Em*sin(ωt-4π/3)

従ってEca間は残りの一相と同じ瞬時値をとることになる。

また

Eab+Ebc+Eca=Em*sin(ωt)+Em*sin(ωt-2π/3)+Em*sin(ωt-4π/3)
=Em*(sin(ωt)+sin(ωt-2π/3)+sin(ωt-4π/3))
=Em*(sin(ωt)+sin(ωt)*cos(2π/3)-cos(ωt)*sin(2π/3)+sin(ωt)*cos(4π/3)-cos(ωt)*sin(4π/3))
=Em*(sin(ωt)*(1-1/2-1/2)-cos(ωt)*(-√3/2+√3/2))
=0

となることから対称三相交流起電力のΔ結線と同じである。

P.S

ほとんどの参考書はV結線について本論では触れていない。せいぜいこれと同じような演習問題を載せている程度である。

調べてみるとV結線はΔ結線された変電トランスのひとつの相が故障(欠相という)した際に一時的に用いられる縮退動作であったり、一般需要家向けの単相100Vへの変換トランスで用いられているらしい。
webadm
投稿日時: 2008-11-23 14:53
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【6】V結線(その2)
次ぎもV結線の問題。V結線された起電力に対称Δ結線負荷を接続した場合の相電流と線電流を求めよというもの。きたこれ。



V-Δ接続だがV結線の線間電圧はΔ結線と同じであるので以下の関係が成り立つ。

Iab=Eab/Z
Ibc=Ebc/Z
Ica=Eca/Z

また線電流と相電流の関係は

Ia=Iab-Ica
Ib=Ibc-Iab
Ic=Ica-Ibc

Eab=200∠0
Ebc=200∠-2π/3
Eca=200∠-4π/3

Z=25∠π/3

をそれぞれ代入して計算すると

Iab=Eab/Z
=200*exp(jωt)/(25*exp(jπ/3))
=8*exp(j(ωt-π/3))
=8∠-π/3

Ibc=Ebc/Z
=200*exp(j(ωt-2π/3))/(25*exp(jπ/3))
=8*exp(j(ωt-2π/3-π/3))
=8*exp(j(ωt-π))
=8∠-π

Ica=Eca/Z
=200*exp(j(ωt-4π/3))/(25*exp(jπ/3))
=8*exp(j(ωt-4π/3-π/3))
=8*exp(j(ωt-5π/3))
=8∠-5π/3

従って線電流は

Ia=Iab-Ica
=8∠-π/3-8∠-5π/3
=8*(exp(j(ωt-π/3))-exp(j(ωt-5π/3)))
=8*exp(jωt)*(exp(-jπ/3)-exp(-j5π/3))
=8*exp(jωt)*(cos(-π/3)+jsin(-π/3)-(cos(-5π/3)+jsin(-5π/3)))
=8*exp(jωt)*(1/2-j√3/2-(1/2+j√3/2))
=8*exp(jωt)*(-j√3)
=8*√3∠-π/2
=13.9∠-π/2

Ib=Ibc-Iab
=8∠-π-8∠-π/3
=8*(exp(j(ωt-π))-exp(j(ωt-π/3)))
=8*exp(jωt)*(exp(-jπ)-exp(-jπ/3))
=8*exp(jωt)*(cos(-π)+jsin(-π)-(cos(-π/3)+jsin(-π/3)))
=8*exp(jωt)*(-1-(1/2-j√3/2))
=8*exp(jωt)*(-3/2+j√3/2)
=8*√3*exp(jωt)*(-√3/2+j/2)
=8*√3∠-7π/6
=13.9∠-7π/6

Ic=Ica-Ibc
=8∠-5π/3-8∠-π
=8*(exp(jωt-5π/3)-exp(jωt-π))
=8*exp(jωt)*(exp(-j5π/3)-exp(-jπ))
=8*exp(jωt)*(cos(-5π/3)+jsin(-5π/3)-(cos(-π)+jsin(-π)))
=8*exp(jωt)*(1/2+j√3/2-(-1))
=8*exp(jωt)*(3/2+j√3/2)
=8*√3*exp(jωt)*(√3/2+j/2)
=8*√3∠-11π/6
=13.9∠-11π/6

ということになる。いまどきフェーザー表記はめんどい。

著者は対称Δ結線では線電流が相電流に√3∠-π/6を乗じたものであるという関係を利用して導いている。
webadm
投稿日時: 2008-11-24 3:14
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【7】三相四線式回路に流れる電流
次ぎの問題は三相四線式負荷回路に流れる電流を求めよというもの。



負荷はY形結線なので線電流と相電流は同じである。負荷が不平衡なので各電流も不平衡となる。従って中性線は各相の零相電流がリターンしていると見なせる。

各線電流はマトリックスで表すと

([Ia],[Ib],[Ic])=([1/Ra,0,0],[0,1/Rb,0],[0,0,1/Rc]).([E],[E],[E])
=([E/Ra],[E/Rb],[E/Rc])

Ra=4 [Ω]
Rb=5 [Ω]
Rc=10 [Ω]
E=100 [V]

をそれぞれ代入すると

([Ia],[Ib],[Ic])=([100/4],[100/5],[100/10])
=([25],[20],[10])

∴Ia=25 [A]
Ib=20 [A]
Ic=10 [A]

ということになる。

一方中性線に流れる電流は非対称相電流を対称座標変換して得られる零相電流の総和であるので

([I0],[I1],[I2])=(1/3)([1,a,a^2],[1,a^2,a]).([1/Ra,0,0],[0,1/Rb,0],[0,0,1/Rc]).([E*exp(jωt],[E*exp(j*(ωt-2π/n)],[E*exp(j*(ωt-4π/n)])
=([((((sqrt(3)*%i)/2-1/2)*%e^(%i*o*t)*E)/Rc+((-(sqrt(3)*%i)/2-1/2)*%e^(%i*o*t)*E)/Rb+(%e^(%i*o*t)*E)/Ra)/3],[((((sqrt(3)*%i)/2-1/2)*a^2*%e^(%i*o*t)*E)/Rc+((-(sqrt(3)*%i)/2-1/2)*a*%e^(%i*o*t)*E)/Rb+(%e^(%i*o*t)*E)/Ra)/3],[((((sqrt(3)*%i)/2-1/2)*a*%e^(%i*o*t)*E)/Rc+((-(sqrt(3)*%i)/2-1/2)*a^2*%e^(%i*o*t)*E)/Rb+(%e^(%i*o*t)*E)/Ra)/3])

a=-1/2+j√3/2,Ra=4,Rb=5,Rc=10,E=100*exp(jωt)を代入すると

([I0],[I1],[I2])=([-((5*sqrt(3)*%i-10)*%e^(%i*o*t))/3],[(55*%e^(%i*o*t))/3],[((5*sqrt(3)*%i+10)*%e^(%i*o*t))/3])

従って零相電流は

I0=(10-j5*√3)*exp(jωt)/3

中性線には各相の零相電流が流れるので

In=3*I0=(10-j5*√3)*exp(jωt)
=5*√7*(2/√7-j√3/√7)*exp(jωt)

従って

|In|=5*√7
=13.23 [A]

ということになる。

かなりへそ曲がりな解き方なので真似をしないように。

P.S

対称座標法で計算する場合には、すべての値が複素表記でなければならないのをうっかり忘れてしまうので注意が必要だ。本来はすべて複素表記でやれば問題ないのだが計算が面倒なのでつい絶対値だけですましてしまいがちである。

webadm
投稿日時: 2008-11-24 4:23
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【8】Y結線の電源と負荷に流れる線電流
次ぎはY結線の起電力にY結線の負荷を接続した場合に流れる線電流の式を導く問題。



著者は網目方程式で求めているが、違う方法を使って解いてみる。

負荷の中点の電圧をEとすると以下の関係が成り立つ

Ia=(Ea-E)/Za
Ib=(Eb-E)/Zb
Ic=(Ec-E)/Zc

また中点におけるキルヒホッフの電流則から

Ia+Ib+Ic=(Ea-E)/Za+(Eb-E)/Zb+(Ec-E)/Zc
=Ea/Za+Eb/Zb+Ec/Zc-E*(1/Za+1/Zb+1/Zc)
=(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb)/(Za*Zb*Zc)-E*(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)/(Za*Zb*Zc)
=0

上の式からEを求めると

E=(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb)/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)

これを先の三式に代入すると

Ia=(Ea-(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb)/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb))/Za
=((Ea*(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)-(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb))/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb))/Za
=((Ea*(Za*Zc+Za*Zb)-(Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb))/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb))/Za
=(Ea*(Zc+Zb)-(Eb*Zc+Ec*Zb))/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)

Ib=(Eb-(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb)/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb))/Zb
=(Eb*(Zc+Za)-(Ea*Zc+Ec*Za))/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)

Ic=(Ec-(Ea*Zb*Zc+Eb*Za*Zc+Ec*Za*Zb)/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb))/Zc
=(Ec*(Zb+Za)-(Ea*Zb+Eb*Za))/(Zb*Zc+Za*Zc+Za*Zb)

ということになる。

P.S

更にへそ曲がりな解法としては対称座標法を用いて零相、正相、逆相電流を先に求め、それを比対称座標系に逆変換して比対称線電流を導くというもの。面倒くさいことこの上もないので読者の課題としよう。
webadm
投稿日時: 2008-11-24 11:59
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3095
【9】平衡三相交流回路の線電流
次ぎはありきたりの平衡三相交流回路の線電流を求める問題。



起電力も負荷も対称Y結線でY-Y接続。電圧と電流の絶対値や実効値だけならなんも考えずに単相と同じように一相についてのみ計算すればよい。

しかしながら位相を考慮する場合は各相の起電力の位相が異なるので、各相毎に計算する必要がある。

負荷の中点の電圧をEとした場合に、

Ia=(Ea-E)/Z
Ib=(Eb-E)/Z
Ic=(Ec-E)/Z

が成り立つ

また負荷の中点でのキルヒホッフの電流則によって

Ia+Ib+Ic=(Ea-E)/Z+(Eb-E)/Z+(Ec-E)/Z
=(Ea+Eb+Ec)/Z-3*E/Z
=0

が成り立つのでEを求めると

E=(Ea+Eb+Ec)/3

これを最初の三式に代入すると

Ia=(Ea-(Ea+Eb+Ec)/3)/Z
Ib=(Eb-(Ea+Eb+Ec)/3)/Z
Ic=(Ec-(Ea+Eb+Ec)/3)/Z

これをマトリックスで表すと

([Ia],[Ib],[Ic])=(1/Z)*(([1,0,0],[0,1,0],[0,0,1])-([1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3],[1/3,1/3,1/3]).([Ea],[Eb],[Ec])
=(1/Z)([2/3,-1/3,-1/3],[-1/3,2/3,-1/3],[-1/3,-1/3,2/3]).([Ea],[Eb],[Ec])

これに

Ea=100*exp(jωt)
Eb=100*exp(j*(ωt-2π/3))
Ec=100*exp(j*(ωt-4π/3))
Z=4+j3

を代入すると

([Ia],[Ib],[Ic])=(1/(4+j*3))*([2/3,-1/3,-1/3],[-1/3,2/3,-1/3],[-1/3,-1/3,2/3]).([100*exp(jωt)],[100*exp(j*(ωt-2π/3))],[100*exp(j*(ωt-4π/3))])
=(1/(4+j*3))*([2*100*exp(jωt)/3-100*exp(j*(ωt-2π/3))/3-100*exp(j*(ωt-4π/3))/3],[-100*exp(jωt)/3+2*100*exp(j*(ωt-2π/3))/3-100*exp(j*(ωt-4π/3))/3],[-100*exp(jωt)/3-100*exp(j*(ωt-2π/3))+2*100*exp(j*(ωt-4π/3))/3])
=(100*exp(jωt)/(4+j*3))*([(2-exp(j*(-2π/3))-exp(j*(-4π/3)))/3],[(-1-exp(j*(-2π/3))+2*exp(j*(-4π/3)))/3],[(-1-exp(j*(-2π/3))+2*exp(j*(-4π/3)))/3])
=(100*exp(jωt)*exp(j*(-atan(3/4)))/5)*([1],[1/2-j√3/2],[-1/2+j√3/2])
=20∠-atan(3/4)*([1∠0],[1∠-2π/3],[1∠-4π/3])
=([20∠-atan(3/4)],[20∠-(2π/3+atan(3/4))],[20∠-(4π/3+atan(3/4))])

従って

Ia=20∠-atan(3/4)
Ib=20∠-(2π/3+atan(3/4))
Ic=20∠-(4π/3+atan(3/4))

ということになる。

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