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webadm
投稿日時: 2007-5-25 5:01
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
Tektronix 475オシロスコープ
アルバイト先の事務所にだいぶ前に持って行ったままのTektronix 475オシロスコープ、久々に電源を入れてキャリブレーターの矩形波を表示してみた。

やはりつまみでトリガーレベルとか操作できるのはわかりやすい。デジタルオシロにありがちの押しボタンをピッピというのはどうも使いづらい。

綺麗に波形が止まった。美しい。ほれぼれするグリーンの輝線。惚れ直したというべきかもしれない。

Tektronixのオシロはこれが2代目で、初代は秋葉原の今はもう無いジャンク屋で買い求めた465Bというもの。当時286PCを386SX CPUで載せ換えるというアイデアを思いつきCPUアクセラレータを自作し始めた(と同時にデジタル回路の設計法を独学し始めた)頃に信号を観測するために購入した。しかし志半ばでオシロの方が先に逝ってしまった(高圧回路が壊れ輝線が出なくなった)。仕方なく後釜を探していたら今は無き秋葉原の丹精に置いてあったのが475という465Bとよく似たモデル。

この475は共通する持病があって、CH1のアッテネーター回路に接触不良が発生し低い電圧レンジが使えなくなってしまうというもの。購入した時は時々接触が悪くて使えない時はあったが、最盛期はなんとか2チャンネルとも問題なく使用できていた。

デジタルオシロを購入するまでは現役でずっと使っていた。ByteBlaster II互換なプログラミングケーブルを作成した時も活躍した。デジタルオシロを買ってからは過渡現象を観測するのが便利なのでデジタルオシロばかり使っていて475はほったらかしだった。

昨年475を急遽事務所に持っていってトラブルシューティングに使用したが、その時にCH1の低い方の電圧レンジで接触不良が起きていることが判明。最初はコネクタ部分をひねったりして回復していたがそれもまもなく効かなくなった。恒久的にどこか断線したらしい。

久しぶりに電源を入れていろいろいじってみるとやはりアナログオシロは自然で使い易い。反応がリアルタイムなのも良い。

今度家に持って帰ってゆっくりオーバーホールしてあげよう。ついでに持病の原因を調べて直してあげよう。

それと持病と言えるかどうかわからないけど、この頃のテクトロのオシロは皆背面の足が経年変化ですっかり硬化してしまって私のもアルバイト先の社長が「持ってあげよう」と背面の方に手をかけたはいいものの想像より重くて手先が滑ってそのままテーブルの上に落下してしまった。幸い足の部分は破砕してオシロ内部の損傷には至らなかった。まかり間違えばCRTとかが壊れてしまったかもしれない。意外に丈夫に出来ているものである。それだけに長持ちして今も完動品が世の中に沢山あるのだろう。

破砕した足も大きいゴム足を買ってきて代わりに付けてあげることにしよう。

もうなんか年寄りをいたわるような感覚である。といってもまだ製造されてから30年ぐらいだろうか。電解コンデンサをオーバーホールで取り替えてあげないといけない。

webadm
投稿日時: 2007-6-25 2:02
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
ドック入り
先代の465Bが逝った後を継ぐ形でやってきた古株475をいよいよドック入りさせることに。手持ちのアナログオシロでは200MHzの垂直帯域を持つ今でも優れた性能を誇る。



この日のためにヤフオクで475用のサービスマニュアルを購入しておいたので役に立つはず。

まずは今持っている以下の持病を直し、寿命の切れている電解コンデンサを取り替える予定。

・CH1の0.5V/div以下のレンジが接触不良で使えない

買った当時は問題なかったが、10年後に火を入れてみたら接触不良のような感じでほとんど使えない状態に陥ってしまった。

垂直レンジ切り替えのノブをゴニョゴニョすると元に一瞬戻る時があるのでロータリースイッチの接触不良が起きている可能性が大きい。

良く使う0.5V/DIVが使えないのが致命的。回路図を見るとレンジの低い方はプリアンプの電源をスイッチで切り替えているので大きな電流が流れ易く接触不良を起こし易いのかもしれない。

写真を見て初めて気づいたが、前の持ち主か会社での使用者の名前が鉛筆で本体枠に書き込んである。

webadm
投稿日時: 2007-6-28 19:54
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
Re: ドック入り
ケースを外してみた。裏側のゴム足とかのネジを外すとすっぽり抜けるのはどれも同じ作り。

気をつけなければならないのはケースを外した場合には内部の基板や部品が剥き出し状態なのでうっかり何かにぶつけたりひっかけたりしないようにすること。寝かせたりする場合には突起や異物が落ちてそうなところには置かないこと。以前これと良く似た465Bを修理しようとケースを外して長い毛が生えている絨毯の上に寝かせたところ毛にトランジスタが絡まってポロポロ抜けてしまった経験がある。トランジスタは一つ一つ交換できるようにすべてソケットに差し込んであるだけなのでちょっと引っかかっただけでもすぐ抜けてしまう。



左側からトリガー、タイムベース、CRTに垂直アンプという具合。



垂直アンプとアッテネーター部分を横から見たもの。垂直アンプはさすがにDC-200MHzと広帯域なため専用部品のOPアンプが使用されている。アッテネーターはDelicate Materialと書かれたアルミシールドに納められている。ここが問題の部分だ。



反対側にあるトリガー回路。

基板にはそれぞれ実装担当者と検査担当者の刻印がしてある。岩本さんの名前は前に持っていた465Bの基板でも見た覚えがある。この頃に現役だった方はもう既に定年退職されているだろう。



この475はソニーテクトロニクス製なので米国からパーツを輸入して国内で組み立て検査されたものだ。だいぶ前にソニーテクトロニクスは合弁を解消したが、それ以前はこうした高額測定器は冷戦時の輸出規制もあって米国から製品を直接輸入するのは困難だった。なので部品だけを輸入し技術のある国内で組み立てて販売するという形になったのだろう。部品ならば規制が緩い。



当時のソニーテクトロニクスで働いていた方々の名前だろう。なんとなく今では失われてしまったクラフトマンシップを感じる。



こちらは電源及びCRT周辺回路。いたって綺麗だ。

ざっと見てみると基板上の電解コンデンサはすべてDIPタンタルコンデンサなので交換の必要はない。アルミ電解コンデンサは電源ユニットにのみ使用されているが、こちらはちょっと外すのが大変そうなので今回は見送ろう。

問題のCH1の低電圧レンジの接触不良について調べてみるとどうやらアッテネーター内部の接触不良のような感じだ。

正常なCH2のプローブをアッテネーターの出力(プリアンプの入力)につなげてレンジを切り替えて波形を観測すると問題のあるレンジになるとまったく信号が出てこなくなる。接触具合によっては正常に戻る時があるが、その時はちゃんとアッテネーターから適切な比率で減衰された波形が出てくる。

アッテネーターユニットを指で少しはじいてみても接触状況が変化する時があるので中を見てみないとわからない。アッテネーターユニットは大変精密な部品なのと、サービスマニュアルには熱に弱いのでワット数の低いハンダ鏝を使い、長時間熱し過ぎないようにと注意書きがしてある。

次ぎは問題のアッテネーターブロックのシールドを外して中を調べてみよう。

webadm
投稿日時: 2007-6-28 22:25
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
Re: ドック入り
アッテネーターブロックのシールド板を外してみた。ちょっと垂直ポジショニングのロッドが邪魔でそれを先に外さないとネジを外しても取り出すことができなかった。



中には100x,10x,4x,2xの4つのアッテネーターが鎮座していた。それぞれレンジ選択ロータリースイッチによって組み合わせに応じて挿入されたりバイパスされるような回路になっている。



アッテネーターのバイパス及び挿入のスイッチは金メッキされたリードを持つスプリングコンタクトで構成されている。このコンタクトはロータリースイッチのカムの突起によって押されることで上下して回路が閉じたり開いたりする。上から見えるのはどうやらアッテネーターを挿入するための接点だけ。どこかにバイパスする回路がなければならないはず。と思って裏側を横から覗くと。



裏側にもスイッチがあった。それぞれ同じカムで上下するので片方が閉じると片方は開くという感じ。

アッテネーターブロックの出力を観測しながらレンジを切り替えるとどうやら100xのアッテネーターがバイパスされるレンジ(低い方のレンジ)で信号が出てこなくなることが判明。ということで面側をいくらクリーニングしても効果がなかった訳である。



アッテネーターブロックの基板の裏面を基板を少し押したり100xのアッテネーター周辺の基板を少し上から押したりすると症状が改善されることから裏面のコンタクトの接触不良が起きている可能性が濃厚である。

基板裏面の接点付近を洗浄するために基板洗浄剤をスプレーして乾燥させると症状はすっかり消えた。直ったかのように見えたが、しばらくするとまた元に戻った。

それとアッテネーターのバイパス接点だけの問題ではなさそうな気がする。というのも症状の中でじんわり波形の振幅が大きくなったり、またすぐじんわり小さくなって振れなくなるというモードがある。それとは別に明らかにアッテネーターのバイパスがオープンになって波形が出たり出なかったりパラパラ変化するのもある。前者はプリアンプの増幅度を切り替えるスイッチの接触不良な感じがする。そこも洗浄が必要かもしれない。
webadm
投稿日時: 2007-6-29 1:24
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
修理完了か
結局CH1のレンジ切り替えスイッチ部分を全部基板洗浄剤スプレーで洗い流して乾燥させた後動作チェックすると今までの症状が嘘のように綺麗にレンジが切り替わるようになった。

もうレンジ切り替えノブをごにょごにょこじってもトレースが乱れることもない。低いレンジもちゃんと昔のように問題なく使えるようになった。

なんだ簡単じゃないか。

めでたしめでたし。

オシロスコープの洗浄に使ってよいものと悪いものがサービスマニュアルに書いてある。イソプロピルアルコールを推奨。無ければ中性洗剤を水で薄めたもの。燃料用アルコールとか有機溶剤、接点復活剤は樹脂が溶けてしまったり絶縁度が低下するので絶対使用しないこと。

よくアマチュア無線家の人で中性洗剤をスプレーして風呂場でシャワーで洗うという人がいるけどそれは実に正しいのでした。

でも水を使うと乾燥に時間がかかるので、基板洗浄剤をスプレーして汚れや埃を洗い流すことにしています。部品とかの樹脂にこびりついた埃は取れないけど接点部分とかは綺麗になります。

ヘアドライヤーで冷風をあてて風通しを良くすれば短時間に乾きます。

webadm
投稿日時: 2007-6-30 18:58
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
垂直帯域200MHzの意味
修理が終わった475の垂直帯域の実力を計測してみることにした。

ファンクションジェネレーターで10Vp-pのノコギリ波(実際は三角波でDuty 90%に設定)を出力させて、それをRohde and Schwartz SMLUのExt Sweep入力として各バンド毎にスイープ出力をX-Yモードで観測。



25-75MHzまではほぼフラットな特性。70-125MHzを見ると80MHzあたりから右下がりの傾向が現れる。



120-210MHzを見ると200MHzあたりの振幅はフラットな時のちょうど半分。すなわち3dB落ちている。

ということでDC-200MHzといっても一般的な周波数ゲイン特性の定義通り3dB右肩下がりするところまでということだった。

3dBといっても振幅は半分になってしまうので実質フラットなのはどこまでかは明記されていない。自分で実力を計測してみるしかないようだ。

帯域を狭めるpull upスイッチを入れると書いて有るとおりに3dB落ちの周波数が100MHzと20MHzとに下がっていく様子が確認できる。実際の波形を観測している時に変えてもあまり変化は見られないのだがスイープ信号を見るとてきめんはっきりする。

webadm
投稿日時: 2007-7-5 19:05
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
よく考えたら
3dBって30%だった。ということは70%まで減衰したところが帯域幅ということに。

475のそれは200MHzよりも低いところで既に70%まで振幅が減衰している。

今回リアパネルを良くみたらプローブパワー端子が2つあるのを発見。

ということは200MHz帯域というのはFETプローブを使った時の話だったのか。

十分あり得る。

ということで岩通のオシロも70%減衰ということになると実質40MHzということであっているのかも。
webadm
投稿日時: 2007-8-7 12:09
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
475のプローブキャリブレーター
何気なく475のサービスマニュアルを眺めていたらプローブキャリブレーション用の1kHz矩形波発振回路を発見。

ちょっと電源が複数種類あったりして見慣れない回路だけどマルチバイブレーターの出力をバッファしているような感じ。微妙に小容量のコンデンサでスピードアップしてあったりダイオードクランプしてあったり。

適当に回路シミュレーターに回路図を入れてシミュレーションしてみたら、ぴったり300mVp-pの1kHz矩形波が出てきたのにはびっくり。



475が設計された時代に回路シミュレーターとかはなかったので基本的な回路構成と定数決定であとはカットアンドトライで定数を微調整したと思われる。再現性の高さには驚いた。当たり前の話だろうけど。
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