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webadm
投稿日時: 2008-5-15 11:15
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3090
相互誘導回路
今まで正弦波交流回路の基礎を学んで来て、なにか忘れていませんかという気分にさせられていた。そうインダクタンスの扱いは学んだが、複数のインダクタンスを誘導結合したトランスがいつまでたっても出て来ない。

交流回路ではつきもののトランスやカップリングコイル、カップリングトランスとかは回路理論ではどう扱えばいいのかやっとここに来て登場である。

これで大概の交流回路は理論的に扱えるようになる。しかしトランスに代表される相互誘導回路は応用範囲が広く、沢山の応用回路が考案されてきている。相互誘導回路の解析の基本を学べばその応用回路についても解析が可能であり、また設計やシミュレーションが可能になる。



2つのインダクタンスが誘導結合している回路では一方のインダクタンス回路に流れる電流の変化に応じて他方のインダクタンス回路に流れる電流が一定の比で変化することが実験的に知られている。

これを式で表すと。

e1=±M*di1/dt
e2=±M*di2/dt

という関係が成り立つ。

ここでMは相互誘導係数と呼び、単位はインダクタンスと同じヘンリー[H]を使用する。

またMとL1,L2の間には以下の関係が成り立つ。

M=k*√L1*L2 (-1≦k≦1)

ここでkを結合係数と呼ぶ。

また相互誘導している2つのインダクタンスを直列に接続すると合成インダクタンスは以下のようになる。



ここまででMは正と負の2通りがあるとしているがその意味するところはL1とL2に流れる電流によって生じる磁束が同方向か反対方向かによる。同方向なら互いに磁束を強めことになり正の値、逆方向は磁束を弱めるので負の値。

実験により電流の流れる方向と磁束の向きの関係は右ネジの法則として古くから知られている。インダクタンスのようにコイル状の導線を電流が流れると電流が流れる向きがネジの回す方向とすれば、磁束はネジが進む方向を向く。

2つのインダクタンスL1,L2に流れる電流によって磁束が同一方向を向くのであればMは正の値、そうでなければ負の値を取るとする。

従って相互誘導回路では、(1)L1とL2の電流の向き、(2)L1とL2の巻き線の巻く向き、(3)L1とL2に生じる磁束の向、といったことが絡んでくるために、(3)を知るために(1),(2)を先に知る必要がある。

回路図ではよく巻き線の向きを示すために●を付けることが多い。従って巻き線の向きと電流の流れる向きによって磁束の向きが同方向か異方向か定まる。

(1)と(2)の組み合わせは4通りあり、(3)のパターンは4種類になることがわかる。



相互誘導回路は解析する際に以下のような等価回路で表すことができる。ただし実際にはL1とL2は誘導結合しているが等価回路では直流的にはつながってしまっているので直流電流は扱えない。



片方のインダクタンス回路を無視すれば、等価回路はもう片方から見ると合成インダクタンスはL1-M+M=L1となる。同様に逆方向から見てもL2-M+M=L2となるので等価であることがわかる。

これを利用すると誘導結合のある回路の解析が可能になる。

個人的に興味のあるSuicaで代表される近距離無線通信やRFIDなどは誘導結合を利用して短い距離で無線通信を行う。その場合互いにループアンテナ(コイルのようなもの)を近接させて誘導結合回路を形成することになる。なので無線だけれども電波伝搬距離が最も短く、途中に邪魔が入らないという前提で考えることができる。

実際に上の等価回路を使用して負荷変調によりRFIDカード側が給電側にASK変調波を発生させる動作をシミュレーションしてみることができる。カード側は単に負荷をトランジスタスイッチで送信したいディジタル信号のH/Lに合わせてOn/Offするだけである。既に直流回路の演習で学んだ通り、こうした回路網では電源側の電流電圧は常に終端の状態によって変化することから、誘導結合回路というネットワークを介して高周波電源を供給する側に変調された信号を発生することができる。Suicaとかはそれによってカード側から改札機側へ情報を伝送している。特に新しいアイデアではなく、アナログ電話が発明された頃から知られている通信方式である。アナログ電話機は電源をそれ自身は備えていなくても電話網の反対側にカーボンマイクを通じて音声信号を伝えることができる。



実際の回路には必ず負荷があり、インダクタには導体抵抗があり、キャパシタには損失抵抗がつきものなので上記の理想的な回路とは異なるものの等価回路を現実を近似したものにすればより現実にあった解析や設計が可能になる。
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題名 投稿者 日時
   交流回路 webadm 2008-5-10 10:38
     インピーダンスのY-Δ変換 webadm 2008-5-14 10:59
     » 相互誘導回路 webadm 2008-5-15 11:15
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