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webadm
投稿日時: 2008-10-4 12:13
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3088
Millmanの定理
手元にいくつかある参考書の中ではこのMillmanの定理の記述を省略しているものがある。おそらくさして目新しさが無いというのと、これまで学んだ重ね合わせの理と等価電圧源の定理(テブナンの定理やノートンの定理)を使うと容易に導くことができるためだろう。

国内で出版されている論文や参考書の中には"帆足-Millmanの定理"と呼称しているものがいくつか見受けられる。帆足(Hoashi)という人がMillmanよりも10年先に証明していたらしい。

Millmanという人はロシア生まれのロシア系米国人で、コロンビア大学で教鞭を執っている間に執筆した教科書にこの定理が載っていて1991年に無くなった時にはTime誌に報じられるほど北米では広くしられていた。コロンビア大学時代はまさに第二次世界大戦に重なる。当然ながら敵国だった日本人に名誉を与えるわけにはいかない。米国人の名前を付けるしかなかったと思われる。電気電子の歴史を学ぶと戦争の影響が大きい。ここにも戦争の傷跡が残っている。

ところが日本人だけが呼ぶ"帆足-Millmanの定理"のその帆足という人物は何者かという点については、その呼称を使う参考書においてさえ一切出典が明らかにされていない。帆足という先生は今やインターネットの時代において完全に忘れ去られた人物となってしまっている。これは酷い話だ。名前だけしか残っていないのは戦前の人だからだろう。これも戦争の傷跡だろうか。

さて話をもとに戻そう。

さして重要でなさそうなMillmanの定理であるが、以外にも多くのケースでこの定理が応用できる。それは起電力を有するすべての線形回路の任意の2端子は単一の等価電源回路と見なすことができるというテブナンの定理やノートンの定理があるからである。つまり、それらを並列に接続した場合に端子間の電圧がどうなるかという問題を扱うことは結構多い。

典型的な例として簡単なD/Aコンバーターは、複数の異なる等価電圧源もしくは等価電流源を出力に並列に接続することで任意の電圧もしくは電流を生成する。



図の上が元の回路網で、下が等価回路である。

等価回路の内部アドミッタンスは、重ね合わせの理で上の回路の電源をすべて0(短絡)さればアドミッタンスの総和で表される。

Y0=ΣYi (i=1〜n)

一方回路の出力端を短絡した時に流れる電流も、重ね合わせの理でそれぞれの電圧源から出力端に流れる電流の総和で表される。

Io=ΣYi*Ei (i=1〜n)

従って等価電圧源(出力端を開放した際の出力電圧E0)は

E0=Io/Yo
=ΣYi*Ei/ΣYi

と表すことが出来る。

線形回路網中の電圧源を電流源に置き換えたり、電圧源と電流源の混成としても同様の定理が成り立つ。
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