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webadm
投稿日時: 2011-7-18 1:22
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3089
抵抗減衰器
さて元のテキスト「詳解 電気回路演習(下)」の内容を無視してValkenburgの著書から古典フィルタ理論を詳しくまなんだが、元のテキストでは最後に抵抗減衰器を紹介している。

いわゆる抵抗アッテネーター(attenuator)と称されるものである。

使用される回路網によって平衡形と不平衡形がある。

平衡形はH形やO形、不平衡形はT形とπ形である。



これは二端子対回路の伝送行列の要素がすべて実数であるため、周波数によらずパラメータは常に実数となる。LC回路のみから成る二端子対回路のZ行列やY行列はすべての要素が純虚数であることから歪Hermitian行列であったが、抵抗のみからなる二端子対回路はちょうどその逆ですべての要素が実数であるHermitian行列ということになる。線形代数で習ったことを時々思い出すように心がけよう。

Hermittian行列の固有値は実数であるので、影像伝達定数もまた実数となる。

従って周波数によらず常に一定の減衰定数を持つことになる。

抵抗減衰器が非対称回路で構成される場合、2つの影像パラメータは互いに異なる実数値を持つことになる。これは異なる特性インピーダンスを持つ入力と出力の整合を行うことを可能にする。ただし抵抗で出来ているので電力を消費し必ず一定の挿入損失が伴う。広帯域のインピーダンス変換(例えば50Ωと75Ωのインピーダンス変換)が必要とされる場合には抵抗減衰器が用いられる。そうでない特定の帯域だけでインピーダンスを整合する場合には挿入損失の低いLC回路や分布定数回路が用いられる。



上の回路が影像インピーダンス整合されている場合

\begin{eqnarray}<br />Z_{i1}&=&Z_S=\sqrt{\frac{A B}{C D}},\,\,\,Z_{i2}=Z_L=\sqrt{\frac{D B}{C A}}\\<br />e^{\theta}&=&e^{\alpha}=k=sqrt{A D}+sqrt{B C}<br />\end{eqnarray}

が成り立つ。

回路が対称な場合、伝送行列の要素AとDは等しいことから

\begin{eqnarray}<br />Z_{i1}&=&Z_{i2}=Z_S=Z_L=sqrt{\frac{B}{C}}\\<br />\alpha&=&ln\,k=ln\left(A+sqrt{B C}\right)<br />\end{eqnarray}

従って電源と負荷のインピーダンス、Zs,ZL、それに減衰比kが与えられれば、それを実現する抵抗減衰器の4端子定数が定まり、その抵抗値も定まることになる。

本当は近代的なフィルタ理論を学びたいところだが、別の機会にしよう。

これで古典フィルタ理論は終わり、演習問題に臨むことにする。

P.S

更にフィルタ理論を勉強したい人には同様の減衰定数αと挿入損失Nの比較プロットを、(1)入力端に信号源と直列に公称インピーダンスRを挿入し出力を開放端にした場合(R-∞型構成)、(2)入力端に信号源を直接接続し出力を公称インピーダンスRで終端した場合(0-R型構成)についても行ってみよう。先の比較では両端が公称インピーダンスRで終端するケース(R-R型フィルタ)と呼ばれ、回路素子の定数が乖離しても特性が変化しにくい(素子感度が低い)特徴を持っている、(1),(2)と比較して本当にそうかどうか確かめてみるとおもしろいかもしれない。これに関しては以前に紹介したフィルタ理論の入門書「線形回路理論」高木茂孝 昭晃堂、の"抵抗量終端型LCフィルタの素子感度"に興味深い証明が載っている。
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題名 投稿者 日時
   フィルタ webadm 2011-5-3 7:21
     概説 webadm 2011-5-4 9:24
     定K形フィルタ webadm 2011-5-24 5:11
     誘導M形フィルタ webadm 2011-6-1 5:49
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   » 抵抗減衰器 webadm 2011-7-18 1:22

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