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webadm
投稿日時: 2011-7-20 9:12
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3089
RL並列回路
次はやっとフィルタの問題かと思いきや

RL並列回路に電流源Iを接続し周波数を変化させたとき、回路の両端の電圧と最大電圧E0との比で与えられる減衰定数の周波数特性を示せ。

いきなりRL並列回路。いみわかんね(´Д`;)

この問題は題意をくみ取る問題である。RL並列回路だけではどうみても二端子回路なので入力と出力の区別がない。強いて上げれば電圧と電流の関係が周波数特性をもつぐらい。と思っていたがこういう見方もあるということで感心しきりである。

RL並列回路のLは周波数が0で短絡状態であり周波数が高くなるほどリアクタンスが大きくなりωが無限大でリアクタンス無限大となる(すなわち回路上存在しないのと一緒)。

この問題の罠は最大電圧E0の意味である。最初なんのことかさっぱり判らないかったが、著者の回答例をみてやっと納得した。

RL並列回路のインピーダンスの軌跡を描くと、ω=0で原点から始まり、ω=∞でRに至る。その中間はインピーダンスは複素数になりちょうと半円を描くことになる。



だからなんだということになるが、インピーダンスが最も大きくなるのはω=∞の時で、その時にRL並列回路に流れる定電流で最も大きな電圧が生じることになる。これがE0の定義だということだ。

つまりω=∞の時のRL並列回路のインピーダンスZはRと等しくなる。これとの比から与えられる減衰定数を導けという意味になる。

この種の円線図はRが固定でリアクタンスが変化する固定抵抗線と呼ばれる。後に分布定数回路で登場する高周波のインピーダンス整合回路設計に活躍する水橋−スミスチャート(通称スミスチャート)の一部である。

さて問題の回路を図で表すと



というフィルタ回路とは似てもにつかないのである。著者はこの回路のままで解いているが、違うやり方をしてみよう。

へそ曲がりなので定電流源とRの並列回路を等価電圧源回路に置き換えると



ちゃんとしたフィルタ回路になるではないか。おそらくこの問題の考案者はこの回路で出題するのではなく、ひとつひねって等価電流源回路に置き直して問題文を作ったのではなかろうかと想像する。どちらも同じ回路であるが、言い換え問題である。

この回路は立派なR-∞型構成フィルタと呼ばれる。

これなら減衰定数もすんなり見てとれる。

題意ではLの両端の最大電圧E0を基準にとあるので、実際には以下のように0-∞型構成フィルタの周波数特性を調べることになる。



すなわち入力信号源E0と開放端出力電圧Eの比率の対数をとればいいわけである。

なんだ簡単じゃないか( ´∀`)

上の回路図で問題を出されたらあまりに簡単すぎるから少し捻った等価回路で出題したのだろうね。



ということになる。

著者の解だと減衰定数ではなくゲイン定数を求めている点が大きく異なる。減衰定数なら正の値が減衰で負はゲイン(増幅)である。このあたりがデシベルの定義が曖昧に教えられてきた歴史の弊害がある。そもそもデシベルの考え方からすると入力と出力のインピーダンスが異なっているのでこれは明らかなな誤用である。出力側に電力が伝わらない時点で理論上は0-∞型構成に分離されるが決して実用的な回路ではないことは確か。

題意に従って減衰定数をω/ω0に関してプロットすると




ということになる。すなわち高域通過フィルタというわけだった。

P.S

さらなる別解として等価回路から伝送行列を起こせばその開放電圧減衰率(A)からも同じ結果を得ることができる

\begin{eqnarray}<br />F&=&\begin{bmatrix}1 & R\cr 0 & 1\end{bmatrix}\begin{bmatrix}1 & 0\cr \frac{1}{L s} & 1\end{bmatrix}\\<br />&=&\begin{bmatrix}\frac{R}{s\,L}+1 & R\cr \frac{1}{s\,L} & 1\end{bmatrix}\\<br />\alpha&=&20 log_{10}\left|\frac{R}{s\,L}+1\right|=20 log_{10}\sqrt{\left(\frac{R}{\omega L}\right)^2+1}\\<br />&=&10 log_{10}\left(\left(\frac{R}{\omega L}\right)^2+1\right)\\<br />&=&10 log_{10}\left(\left(\frac{\omega_0}{\omega}\right)^2+1\right)\\<br />\omega_0&=&\frac{R}{L}<br />\end{eqnarray}
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